リリカルBuddyStrikers   作:やまさんMK2

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いやほんと、お待たせしました(土下座


第四話 賢者の帰還 Cpart

「あ~あ~、やっぱり間に合わなかったかぁ」

「やっぱりって……あ~、ウーノ姉に怒られる~!」

 

 のんびりとした口調で、物陰から様子を見るドゥーエはぼやき、セインは頭を抱え、チンクは呆れたようにため息をつく。元より急な要請だったので、こうなる事は想定内ではあったが、それでも面倒な事は確か。あの場にいるレジアスの娘がゼストと出会ってしまったのは、あまり面白い状況ではない。

 

「で、どうする?」

「どうするも何も……手出しできんだろ」

「そうよねぇ。仮に寝込みを襲っても勝ち目無いだろうし」

 

 どこか他人事のドゥーエの言葉に再度溜息。この場で介入したところで後の祭りというヤツだ。下手を打ってゼストの怒りを買おうものならこの場の三人全員返り討ちが関の山なのだから。疼く右目を眼帯越しに抑えながらそう呟くチンクを、心配そうに見やりながらもドゥーエの視線はすぐにゼスト達へと向けられる。

 

(ま、あっちもあっちでどうなる事やらねぇ……)

 

 

 

 自分とレントを槍の一撃で弾き飛ばし、双方の間に立つ乱入者に困惑しながらもギンガはオーリスを背にする形で油断なく二人の男を睨みつける。その行動にフッと笑みを漏らしながら、ゼストは視線だけをギンガへ向けた。

 

「まだ未熟だが、良い局員に育っているようだ。クイントは良い娘を持った」

「あなたは……あなたが、ゼスト・グランガイツですか?」

「あぁ。久しいな、オーリス」

「…………」

 

 声を掛けられたオーリスは、どう答えればいいか解らずに顔を背ける。それを気にする事は無く、ゼストは続けてレントへと視線を向けた。

 

「お前もな、レント。まさかまた会う事になるとは思わなかったぞ」

「それは俺だって同じですよ、隊長。なんであなたが……」

「……お互い、色々あったらしいな」

 

 ほんの一瞬だけ、ゼストはレントから視線を外してとある物陰を睨みつけ、そこに隠れている三人組がビクッとなった事などゼスト以外の誰も知る由もなく、彼は槍の切っ先を地面に下ろしたまま、それでいて一切の隙を見せず未だに銃を降ろさないレントへ睨みを利かせる。

 

「だが、お前に親友と部下の娘達を、殺させるわけにはいかん」

 

 暗に脅しにかかるゼストに、レントは顔を顰める。仮に戦いを挑んだとしても、確かに勝ち目は欠片も存在しない。懐に忍ばせている切り札を使えば話は別だが、ゼストを相手に使う暇など果たしてあるだろうかというレベルの実力差なのだ。

 

「…………ッ」

 

 銃を下ろし、忌々し気に舌打ちをしてレントは背を向けて足早に立ち去る。それを追うべきだとは解っているが、目の前に立つゼストにどうしても意識が向いて、ギンガはそれを出来なかった。レントから自分達を守ってくれたとはいえ、そのまま素直に味方だと信じられる訳もないし、そもそも彼とてすでに死んだはずの人間なのだ。

 

(……なんで、死んだ筈の人が二人もここにいるのよ……)

 

 母は死んだのに、一緒に死んだ筈の人間が生きてこの場にいるという訳の分からない状況に、腸が煮えくり返るのを感じる。

 

「ゼストおじさん。なんで、あなたが……」

「死にぞこなっただけだ。二人とも、とりあえず無事でなによりだ……」

 

 絞りだす様な声を発したオーリスに、ゼストは自嘲気味に返す。二人に目立った怪我も何もない事を確認し、声を掛けようとしたところでこちらに近づいてくるサイレン音に気が付き、二人に背を向ける。

 

「待ってください!」

「すまんが、管理局とあまり関わるわけにもいかんのだ。レントの事は、俺に任せてもらう」

「待てって、言ってんでしょ!」

 

 声を張り上げ、怒鳴りつけたギンガにゼストは肩越しに視線を投げる。

 

「あなたも……アンタも、アイツも! 母さんが死んだ事件に関わってて、思わせぶりな事だけ言うだけ言って、はいそうですかって見逃せる訳ないでしょ!」

「…………」

 

 力尽くでも話を聞かせてもらうとでも言いたげなギンガに、ゼストは特に身構えるでもなく視線を外した。

 

「色々と言いたい事があるのは俺とて同じだが、少なくとも今のお前に話す事は何もない」

「なっ……!」

「俺はお前の事を良くは知らんし、偉そうな事を言えるわけでも無いが……今のお前を見て、クイントがどんな顔をするかぐらいは解る」

 

 とても酷い顔をしているぞ、とだけ言い残してゼストは背を向けて歩き去る。反射的に後を追おうとするギンガだったが、その肩に手を置く形でオーリスがそれを制した。

 

「止めなさい。ホント……酷い顔してるわよ、あなた」

 

 そんな顔をさせてしまっている一因は自分にもある。その申し訳なさから目を伏せるオーリスに、ギンガは何も言えずに押し黙ってバリアジャケットを解除。そのまま、通報を受けた管理局員らが来るまで、重苦しい空気がその場を支配していた。

 

 

 

 

「それで、お前達はここで何をしている?」

 

 そそくさと引き上げようとするドゥーエ達を、ゼストは背後から呼び止める。ビクッと反応する三人を冷めた様子で睨むゼストを背中越しに見やり、諦めたようにため息をついてドゥーエは彼へと体を向けた。

 

「あなたがこのタイミングで中将と出会うのは困る。とうちの心配性の姉が言い出しまして」

「お、おい!?」

 

 もうちょっと言葉を選べと青ざめるチンクとセインの様子を尻目に、ドゥーエは真っ向からゼストを見据える。対して、ゼストはその言葉に暗に込められた意味を察したか、小さく鼻を鳴らす。

 

「くだらん真似を……だが、その言葉。つまりはそういう事を受け取らせてもらうぞ」

「ええ、そういう事ですから」

 

 剛速球を投げ合うかのような二人のやり取りを、最早どうする事も出来ず青ざめていくセインと、ドゥーエの真意を測りかね困惑の顔を浮かべるチンク。

 

「あ、そういえばご挨拶がまだでした。私、ナンバーズ二番。ドゥーエと申します。もう、()()()()()()()()()()を主にやらせていただいてます」

 

 ゼストが求める物。最早その答え合わせ同然の自己紹介。表面上は冷静のままなゼストが逆に恐ろしく、冷や汗を流すチンクは責めるような視線をドゥーエに向ける。

 

「ドゥーエ、一体どういうつもりだ?」

「どうも何も。騎士ゼスト相手に下手な誤魔化しとか逆効果でしょ?」

「だからってぇ! もうそれ殆ど言っちゃってるようなもんじゃん!?」

 

 妹二人よ。君達の態度も十分に答え合わせになってるよと突っ込みたいのをぐっとこらえるドゥーエ。そんな最早コントの如きやり取りを無視し、静かに目を閉じたゼストはぐっと握りしめていた拳を開く。

 

「……一つ聞こう。お前は、何を考えている?」

 

 ゼストの問いに、ドゥーエは少し考えるそぶりを見せてから。

 

「私はただ、怪獣という不確定要素が気に入らないだけですよ?」

「スカリエッティの指示か?」

「いえ? ほぼほぼ独断です。まっ、今回はレント・クジョウが下手するとこっちにもやってきそうなんで……利害は一致してますよ、一応」

 

 嘘は言ってないが本心を言っているわけでも無い。信用も信頼もしなくていいが、今回はあなたに味方しますと暗に告げるドゥーエ。うっすらと笑みを浮かべるその顔をしばし睨み、ゼストは静かに目線を外した。

 

「お前達の手は借りん。邪魔だけはするな」

「あら、そうですか? なら、そういう事で……これで失礼しますね。二人とも、帰りましょ」

「ちょ、ちょっとドゥーエ姉!?」

「ご安心を。邪魔はいたしませんので」

 

 戸惑うセインを無視してスタスタ歩き去っていくドゥーエ。その背を呆れたように見やった後、ゼストに小さく頭を下げて二人を追うチンク。それを見やりながら、ゼストは小さく唸る。果たして彼女達は、というよりドゥーエはどういうつもりなのか。信用など欠片も出来る筈もなく、本当に邪魔をしないのかどうかも怪しい物だ。何をしてくるか解らんのなら、一応でも警戒はすべきか……とまで思考して、何者かが近づいてくる気配を察した。

 

「誰だ?」

 

 気配のする方向からして、ドゥーエ達が戻ってきた訳では無さそうだが油断はしない。何時でもデバイスを展開できるよう準備だけはして、姿を現した気配の主に目を丸くする羽目になるとは微塵も思わなかった。

 

「……お前、は」

「お久しぶりです。隊長」

 

 

 

 

 駆けつけた局員達が忙しく動き回るのを尻目に、ギンガはベンチに腰かけていた。すぐ傍ではあれこれ指示を出すオーリスの姿。あんな事があった後でも、そんな様子を欠片も出さずに指示を出す様は、伊達に今の地位にいるわけではないという事を示していた。

 

「オーリス!」

 

 不意に響いた声に、オーリスが顔を上げるとそこにいたのは父だった。連絡がいかない訳が無いとは思ってたが、まさか現場に来るとはと驚きの表情を浮かべる娘に、ホッとしたような怒っているような曖昧な表情を見せる様は普段テレビで見る会見では一切見せない親のそれだなと、横目で見ながらギンガは思った。

 

「おと……中将」

「心配を掛けさせるな! 全く……関わるなと言っただろう。で、お前がギンガ・ナカジマ陸曹か?」

 

 そうして、すぐに地上本部のトップとしての顔に切り替えられる辺りは本当に流石である。

 

「はい」

「今回は娘が迷惑をかけた。それと、犯人から守ってくれたようだな。礼を言わせてもらう」

「いえ……私は別に何もしてません。第三者の介入もありましたし、その人のお陰と言った方が」

「陸曹、その話は私からします。中将、彼女も色々あって疲労が溜まっていますので」

「う、ん? そうか……陸曹、今日はもう休むとよい」

 

 言い残して立ち去っていく二人に、何か声を掛けようとしたが喉まで出ていたそれを飲み込んで、ギンガも事後処理に勤しむ局員達を尻目にその場を離れ、人気の無い路地に捨て置かれた古いベンチを見つけ、腰かける。

 

「……なんなのよ、ホント」

 

 誰にでも無く吐き捨てる。怪獣を相手にしたと思えば、死んだ筈の母の同僚が犯罪者になっているわ、母の死にレジアス・ゲイズが何らかの形で関わっている事が判明するわ、同じく死んだ筈のゼストという男が現れるわ、散々な目にあわされた。

 

【……大丈夫か? なんていうか、酷い顔してるぞ】

「………そ」

 

 基本こっちの事には深く関わろうとしていないタイガも思わず聞いてくる程に、今の自分は旗から見れば最悪の顔をしているらしい。

 

【あのレントって奴に言われた事、気にしてんのか?】

 

 それでいてズケズケ聞いてくるんだから、宇宙人の距離感の掴み方は本当に読めない。

 

【お前の母親の事とか、色々あったもんな】

「………ちょっと」

【正直、レントって人の言い分に同意できるとこもあるんだよな】

「へ?」

 

 その無遠慮さにいい加減キレそうなので、冷静さが残っているうちに諭そうと思った矢先に飛んできた言葉は、流石に予想できない物だった。

 

【俺だって、トレギアの奴に大切な仲間を奪われた。だから、あの人の復讐したいって気持ちは解る。ギンガだってそうだろ?】

 

 そう言われて、ああそうかと納得する。生まれて初めて感じていた湧き上がってくるどす黒い物の正体は、復讐心という奴だ。自分から大切な人を奪った奴が、裁きも受けずにのうのうと生きているのかと思うと許せない。復讐に走るという気持ちは、レジアスを狙う一環として娘のオーリスを狙ったレントの気持ちは、言われてみれば確かに理解出来る。

 

(……でも、だからって)

 

 彼のように、事件とは無関係な人々を巻き込んでまでとは思えない。レジアスとオーリス以外に一切危害を加えないというのなら、まだ理解はできたかもしれない。いや、そものも復讐という行為に理解を示せてしまう自分が信じられない。法と秩序を守る管理局の一員として、決して認めてはならない感情であるはずなのに。

 

「なら、タイガはさ? 守らないといけない人が自分にとって仇かもしれないってなったら、守れる?」

【無理だな。俺、こう見えても結構キレやすいほうだし?】

「それはなんとなく分かってた」

 

 いい加減、付き合いも長くなってきたので居候の性格ぐらい解ってくるのです。彼に相談しても、期待したような答えが返ってくるとは欠片も思ってなかったのでそれはいい。最も、吐き出す相手がいるというのは存外に良い物だ。ほんの少しだが、気分が楽になったような気がする。

 そうして、少しは気が紛れたところでもう一度思案する。レントの境遇は――死亡した筈なのに生き返ってきたという点を除けば――自分にもあり得る物だ。メモールを殺したトレギアに復讐する機会が目の前に転がり込めばやらずにいられるかと言われれば、それは無理だ。内側から溢れ出る衝動を止められる自信はない。

 

「じゃぁ、どうすればいいのよ……」

 

 正直に今の気持ちを言えば、レジアスやオーリスを助ける気になれない。母の死に関わっている可能性があると聞いて、心穏やかにいられるはずもない。

 

【無責任な事言うけど、お前の母さんならどうしたと思う?】

 

 ハッキリ言って、それぐらいの事しか俺には言えないと言わんばかりのタイガの言葉。そう言われて、ギンガは改めて母ならどうするか考える。母は負けん気も強く、正義感もある人だった。そんな母なら、こんな時はどうしただろう。

 ふと思い出すのはまだ小さかった頃。母からシューティングアーツを習い始めたばかりの時期に、将来はお母さんみたいな魔導士になって悪い奴をやっつけると言ったら、なんだかとっても困ったような、でもなんだか嬉しそうな顔をして、こう諭された。

 

 

        ―――ギンガ。それなら一つだけ約束してくれる?―――

 

 

 

 

 

 レント・クジョウ。グランガイツ隊所属の魔導士。八年前、同隊全滅の際にともに所属していた妻、ナナ・クジョウ共々殉職。それが管理局に残っている彼の記録である。

 

「…………お前達を襲ったのは、間違いなくこの男か?」

「はい。例の犯行声明だけならどうとでも説明はついたでしょうが、実際にこの目で本人を確認しました」

 

 地上本部へと続く地下を走る専用道路を走る公用車の後部座席で、レジアスはオーリスからの報告受けて、頭痛がする思いだった。怪獣による被害はともかくとして、レントに関しては何らかの方法で行われた悪趣味な悪ふざけだと思っていた。それがまさか本当に蘇ったとでもいうのか。全く持って馬鹿げている。死者蘇生など、サブカルチャーの中だけにしてほしい。

 

「それで………お前達を助けたのは……?」

 

 オーリスの口からその名を聞いた時、思わず絶句した。それこそ、一番あり得ないと思っていた人物の名を聞かされたからだ。

 

「はい。間違いなくゼスト・グランガイツ隊長でした。おじさん……なんで生きてるのか、解らないけど、間違いなく本物だったわ」

「どうなっている……死んだ筈の人間がこうもポンポンと……っ!?」

 

 不意に、甲高い炸裂音と共に公用車が急にハンドルを切って、地下通路の壁に激突した。幸いにも他に車は走っておらず、一般車両を巻き込む事は無かったが、激突した衝撃で車の前部は完全に大破。

 

「っ……オーリス、無事か?」

「え、えぇ……」

 

 自動で働くようセットされていた防御魔法で、レジアス達に怪我はない。だが、微かに見える運転席と助手席に座っていた運転手と護衛の魔導士は……。

 

「えぇい……どうなっておる!」

 

 どうにか変形して開けにくくなった後部座席のドアをレジアスはこじ開け、オーリスを連れ出す。幸いにも車が爆発するような心配は無さそうだが、一体何が起きたのか。

 

「ようやく会えたな。レジアス・ゲイズ」

 

 憎悪に満ちた声と視線を向けて、銃型のデバイスを向けるレントがゆっくりと二人へ近づいて来ていた。間違いなく犯人は彼だ。運転手と護衛を一撃で絶命せしめた銃口が、レジアスとオーリスへ向けられる。

 

「キ、キサマ!?」

「俺を、俺達を売った犯罪者が! 裁きを受けろ!」

 

 乾いた銃声と共に、魔力で生成された弾丸がレジアスではなくオーリス目掛けて放たれる。まずは彼の愛する娘を奪うという復讐心に支配されたその銃撃は、魔導士ではない二人には反応すら出来ず、成すすべなくオーリスの心臓はその弾丸で貫かれ、破壊される……筈だった。

 

「はぁあああっ!」

 

 力強い雄叫びと共に乱入した第三者が、二人へ放たれる憎悪の弾丸を横合いから殴りつけ、弾き飛ばした。それは、その場にいた誰もが思いもしなかった少女の一撃だった。

 

「ナカジマ陸曹!?」

「ギリギリ、間に合いましたね」

 

 地上の道路が渋滞などで思うように使えない場合、一般にも開放される地下道路がある。ここ最近の怪獣騒ぎでいくつか道路は復旧工事中で、恐らく地下を走っているだろうと辺りを付けて正解だった。ギンガは上がった息を落ち着かせて、リボルバーナックルのカートリッジをリロードして、オーリス達を守るようにレントを正面から睨みつける。

 

「……まさか、君がそいつ等を守るなんて」

「私、管理局の魔導士ですから。それに……」

 

 もう一度、静かに息を吐く。内側から湧き出てくるどす黒い、衝動的な感情を理性で押さえ付けるように。そして、きっとそうであってほしいという願望も込みで結論付けた答えを吐き出すように。

 

 

       ―――絶対に、誰かを守る為だけに力を使ってね―――

 

 

 そんな言葉を残した母が、レントの凶行を許すはずもない。

 

「もし、ここにいるのが私じゃなく母さんだったとしても……きっと、あなたを止めます!」

 

 少なくとも、亡き母に顔向けできないような自分にはなりたくない。その一心が彼女の中にある黒い物を押さえ付ける最後の一線。故に、真相がどうであれレントを止めるには十分だ。そして、その決意はレントに衝撃を与えるには十分だった。仲間達を、愛する者を奪ったあの二人に復讐を。その為に何もかもかなぐり捨てて、悪魔に魂を売り渡した。だのに、自分の前に立ちはだかるギンガの姿に、同僚の姿がタブって見えて、かつての仲間からガツンと殴られたような衝撃が―――

 

            ――君の憎悪は、その程度か?――

 

 ―――脳裏に聞こえてくる悪魔の声。そうだ、この程度で止まるわけにいかない。この身を焦がす憎悪は、例えかつての仲間達が止めに入ろうとも消え去るモンでは無い。

 

「俺はお前達を! 許さない! 許せるものかぁ!」

 

 銃型デバイスに指輪をセットし、頭上目掛けて引き金を引く。魔法陣が展開され、その中にレントが飲み込まれると共にギャラクトロンMK-Ⅱが実体化。地下道路の天井を突き破って70メートル級の巨体を露わにするそれにより、崩落する地下空間。

 

「オーリス!」

「お父さん!?」

 

 咄嗟にオーリスを庇うように抱き抱えるレジアス。それでも、人一人を犠牲にする程度では助かる事もないだろうと無慈悲なまでに降り注ぐ瓦礫の雨。ギンガは迷う事なく、二人の方へと駆けだしながらタイガスパークのレバーを入れ、腰のタイガキーホルダーを掴み取る。

 

《カモン!》

「バディ……ゴーッ!」

 

 タイガスパークとタイガキーホルダーを突き出し、光に包まれたギンガはそのままオーリスとレジアスを崩れる地下道路から救出。ギャラクトロンの脇をすり抜け、光は巨人の姿へと変わって、その手の中に収めた二人をそっと適当なビルの屋上へ降ろした。時間にして一秒にも満たない一瞬の出来事。それにただただ呆然としながらも、レジアスとオーリスは自分達を救ってみせたウルトラマンタイガの姿を見上げて、その姿へと変わってみせた彼女の名を呟いた。

 

「ウルトラマン……だと……」

「ナカジマ陸曹。あなたが……?」

 

 二人の無事を確認し、それを背にしてタイガはギャラクロトンへと向き直った。

 

〖いいのか? 変身するとこ見られたぞ〗

「いいわよ別に。今の私が……私達がやるべき事は、変わらない!」

〖あぁ、そうだな!〗

 

 最早迷いはない。内側から確かに湧き上がってくるどす黒い感情への整理はついてはいないが、それでも決めたのだ。

 

〖クジョウさん! 力尽くでも、貴方を止めます!〗

〖邪魔を、するなぁあああっ!〗

 

 地面を激しく振動させながら進軍するギャラクトロンに、臆することなく真っ向から突貫しての跳び蹴りを決めるタイガ。流石に怯み、数歩後ずさる機械竜に反撃の暇を与えまいと間髪入れずに放つのは必殺の光線。

 

〖ストリウムブラスター!〗

 

 放たれた必殺の光線。それに対し、ギャラクトロンは後頭部のパーツを分離させ、一本の巨大な斧として右手に掴んで、ストリウムブラスター目掛け投げつける。回転しながら投擲されるそれは、真向から必殺の光線を両断しながらタイガへと飛来する。

 

〖何!? ぐぁぁっ!〗

「きゃぁああっ!」

 

 自身の必殺技を正面から両断されるとは思わなかったタイガは驚愕し、避ける事も防御も叶わずに投擲の一撃をまともに受けた。そのまま背中から地面に倒れたタイガへ、容赦なく左の指先から連射する破壊光線を持って、ギャラクトロンは反撃の暇など与えんとばかりに追撃する。

 

「っ、ぁあああっ!」

〖邪魔をするなら、クイントの娘だろうと!!〗

 

 猛攻を仕掛けるギャラクトロン。指先から放つ破壊光線を乱射しながら進撃するそれは、タイガに一切の反撃を許さない。

 

「ぐっ……どう、したら……っ!」

 

 攻撃面でも防御面でも圧倒的に勝っているギャラクトロンに成すすべなく、一方的に嬲られるタイガの姿をみながら、レジアスは悔し気に奥歯を噛みしめる。忌々しく思っていたウルトラマンに助けられた事よりも、その正体が陸士部隊の、娘よりも年下の少女であると知った衝撃よりも、こうして見ているだけしか出来ない自分が情けない。未だ使用承認の降りていないアインヘリアルさえあれば、借りを返す訳でも無いがウルトラマンの援護程度は出来るかもしれないが、組上がってはいても最終調整がまだの兵器を街中に放てるはずもない。

 

「ええい……っ! この局面で何も出来んか……っ!」

「ここはお前達の……いや、俺達が出る幕ではないというだけだ」

 

 その声と共に空から一人の女性を伴って降りてきた騎士。本来そこにいる筈のない騎士の姿に、もう二度と聞く事は無い筈の声にハッと振り返って、レジアスは驚愕に目を見開き、絞り出すような声を出した。

 

「ゼ……ゼスト……」

 

 オーリスから事前に聞かされていなければ、声すら出せなかっただろう。そんな滅多に見る機会のないかつての友の老輩ぶりがほんの少しばかり可笑しく思え、笑いが込み上げそうになるのを飲み込んで小さく言葉を発した。

 

「久しいな、レジアス。ともかく、無事で何よりだ」

 

 脇に抱き抱えていた女性を下ろし、簡単な挨拶だけをしてゼストはギャラクトロンの猛攻に晒されるウルトラマンへ向き直る。実際に目の当たりにするだけでも解る圧倒的な存在感。こんな存在が目の前にいる等、常識はずれにも程があるなと思いながらも、ゼストは女性から手渡されたキーホルダーを懐より取り出した。

 

「後は、任せて良いのだな?」

 

 ゼストの声に反応するように、能面のような顔と星を模った装飾が施されたキーホルダーは小さく光る。それを肯定と受け取って、ゼストは力一杯にそれを放り投げる。空へと放たれたキーホルダーは光の球体となり、ギャラクトロンの顔面に真っ直ぐ激突。怯ませて砲撃の雨に隙を作り出すと、取って返すようにタイガへと向かって、胸のカラータイマーの中へと吸い込まれるように飛び込んだ。

 

「な、何……!?」

 

 突然現れ、飛び込んできた光は何なのかと戸惑うギンガを余所に、インナースペース内に現れた光はタイガのと酷似したキーホルダーへとその姿を変えた。どことなく力強さと聡明さを感じさせるシルエットのそれは、当たり前のように声を発した。

 

【久しぶりだな、タイガ。暫く見ないうちに鈍ったか?】

〖タイタス! タイタスじゃないか! 無事だったんだな!〗

「え、えっと……タイガが言ってた、お仲間?」

 

 戦闘中に盛り上がる二人に戸惑いながら、ギンガが恐る恐る声を掛ける。

 

【おっと失礼。私の名はウルトラマンタイタス。だいたいの事情はすでに知っている。お嬢さん、私の力を使うと良い。タイガスパークで、私を掴め!】

 

 急展開に対する戸惑いはあるが、このままでは埒が明かないと頷いて、タイガスパークのレバーを下ろしてタイタスキーホルダーを掴む。

 

「バディ……ッ! ゴーッ!」

《ウルトラマンタイタス!》

 

 タイガスパークから放たれた名乗と共に、力の賢者の異名を持つ巨人は己の肉体を取り戻す。

 

〖ムゥン!〗

 

 溢れんばかりの大胸筋。

 はちきれんばかりの上腕二頭筋。

 見事に割れた腹筋。

 それらを見せつけるように、力強さに満ち満ちたポージングを決めるのは額と胸に星型の装飾を持った赤と黒の逞しさがそのまま形になったかのような、一挙一動に誇り高さすら感じさせる彼は―――

 

〖ヌゥゥンッ!〗

 

 ―――その巨人(ウルトラマン)筋肉(マッスル)だった。

 

〖姿をコロコロ変えたところでぇ!〗

 

 それがどうしたと、右手に握りしめた斧を叩き付けんばかりの勢いで振り下ろすギャラクトロン。タイガをも一撃でダウンさせた豪快な一撃に対し、タイタスは左の拳を握りしめ突き出した。特にエネルギーを込めたわけでも無い、ただ力任せというわけでも無く、正確に打ち抜くべき箇所を見抜いた上での剛腕。

 

〖フンッ!〗

 

 粉砕とはまさに事か。真っ向からぶつかり合った斧と拳は一瞬の均衡すらなく、打ち負けた斧が粉々になり、そのまま勢いを落とすことなくタイタスの拳がギャラクトロンの頭を殴り抜く。重く鈍い音が夜のクラナガンに響き渡ったかと思えば、70メートルにもなる白い機械竜の巨体が宙に浮かび上がり、地面に背中から叩き付けられた。

 

〖ごはぁっ!?〗

「………嘘ぉ」

 

 ストリウムブラスターすら真っ向から切り裂いて見せたあの斧を、拳の一撃で粉砕せしめたタイタスに、思わずギンガも驚きの声を漏らす。彼は見た目通りのパワーファイターであると、それで証明してみせたのだ。

 

〖今の一撃で解ったはずだ。君に勝ち目はない〗

 

 タイタスは、静かに語り掛ける。

 

くだらない真似(こんな事)はもう止めたまえ。何の解決にもなりはしないぞ〗

〖お前に何が解る!?〗

〖解らんさ。私と君は初対面だ。君の過去をろくに知らん私に、復讐に走る事を責める権利は無いだろう〗

 

 あくまで落ち着いた口調で、タイタスは続ける。

 

〖だがこれだけは言える。君が一番大切に想う人は、こんな事は望んでいない〗

〖何を、何をほざいて!〗

〖ほざくとも。本人から直接、聞いたからな〗

 

 促すように視線をビルへ向けるタイタス。それにつられて、ギャラクトロンも視線を向けると、そのビルの屋上にいたのはレジアス達に加えて二人の人間。一人はゼスト。もう一人は管理局の制服に身を包んだ、黒髪の女性。

 

〖……ナナ?〗

 

 ナナ・クジョウ。彼が心の底から愛した、たった一人の女性がそこにいた。

 

〖ナナ!〗

 

 本来そこにいる筈のない愛した人の名を叫びながら、レントは反射的にギャラクトロンより飛び出して彼女の下へ。コアたるレントを失った機械竜は電源が落ちたように全身から力が抜け、停止した。

 

「あの人は……?」

〖彼女はナナ・クジョウ。彼と共に死んだという奥方だ。粒子となって様々な次元を彷徨っている最中、助けを求める彼女の声を聞いてな〗

 

 そうして、タイタスは彼女を伴ってミッドチルダへとやってきたという事だった。

 

「あれ……それって、あの人と一体化してたって事?」

〖いや、そうではない。そもそも……肉体の無い者と一体化など、いくらなんでも不可能だ〗

 

 タイタスの静かな、それでいてどこか物悲し気な言葉。その意味に少し遅れて気が付いて、ギンガも屋上にいるクジョウ夫妻へと視線を向ける。周りの目も気にせず、

 

「ナナ、なんで君がここに……」

「暗闇の中にいた私を、優しい賢者さんが助けてくれたの」

 

 自然と視線を向けられたタイタスは、それを肯定するように静かに頷いた。

 

「もう止めましょう、レント。こんな事してくれなくても、私はあなたが一緒にいてくれるだけでいいの」

「ナナ……」

「帰ろう。私達が本来いるべき場所に……私達は、ここにいちゃいけないのよ」

 

 そう言いながら、ナナは愛する男性を抱きしめる。レントはその体を抱き返し、憎悪に染まっていた思考がクリアになって、ようやく思い出す。

 

「あぁ……そうだ。そう、だったな……」

 

 八年前のあの日。自分は確かに死んだ事を。突如として現れた未確認のガジェットの群れに襲われ、咄嗟にナナを庇って瀕死の重傷を負った事を。消えていく意識の中、最後に見たのはガジェットのブレードに串刺しにされ、即死した愛する人の無残な姿だった事を。その悪夢のような光景を、何故こんなことになったのかという疑問を抱きながら死した事を。

 

 

          ―――君の取るべき道は、二つある―――

 

 そして、沈んでいった暗闇の中で悪魔の声を聞いた事を。

 

―――このまま無念と共に、永遠の闇に沈むか。君から何もかもを奪った事件の真相を知った上で行動を起こすか……選ぶのは、君だ―――

 

 

 蒼い仮面の奥に光る真紅の眼光。自身を蘇らせた蒼い炎のような超人の事を。悪魔の囁きに乗り、蘇って、真実を知って復讐に走った。怪獣の力を与えられ、自分から全て奪った連中に鉄槌を下さんとした。とっくに死んだ自分達に、今を生きる人々を害する権利など無いという当たり前の事を、こうして愛する人の下に早く逝くべきだったのだと、今更理解した。

 

「ごめん……ごめんな……」

「うん。もういいよ……」

 

 レントを優しく抱きしめて、ナナは肩越しにゼストの方を見やる。

 

「隊長、ありがとうございました」

「気にするな。最後の最後で、隊長らしい事が出来たどうかは解らんがな」

 

 ゼストに深々と頭を下げ、レントはタイタスへ、その中にいるギンガへと顔を向ける。

 

「すまなかった……」

 

 最後に謝罪の言葉を口にして、レントは愛する人と共に消滅した。まるで、最初からそこにいなかったように。

 

「これで、良いのよね?」

〖あぁ、本来あるべき場所へ戻ったのだ。これ以上は無いだろう〗

 

 タイタスの言葉に、ギンガも安心したように息を吐いて……その静けさを打ち破る駆動音に顔を上げた。鈍い起動音をあげて、ギャラクトロンのアイセンサーに紅い光が灯る。コアの役目を果たしていたレントを失った筈の機械竜は再起動し、その巨腕を振り上げてレジアス達のいるビルを叩き潰さんとして、タイタスが即座にそ一撃を片手で受け止めた。

 

「な、なんで!? レントさんはもう!」

〖残留した憎しみだけで動くか、哀れだな〗

 

 そのまま力任せにギャラクトロンの腕を振り払い、がら空きとなったその胴体に拳を叩き込む。怯みながら後退するギャラクトロンの隙を逃さず、タイタスは両腕を突き出す形で交差させ、タイガスパークを起点にエネルギーの球体を作り上げる。

 

〖一撃で終わらせよう! プラニウムバスタァーーーッ!〗

 

 まるで稲妻の如くエネルギーを放出し、大気を震わせる球体を、タイタスは力一杯に右腕で殴り撃ち出した。迎撃も防御も出来ず、それを胴体に受け入れたギャラクトロンの装甲は溶解するよりも早く抉られ、内部の機器が悲鳴のような火花をあげながら膝から崩れ落ち、内側から崩壊。爆発四散した残骸から飛び出した光をその手で掴むと、インナースペース内のギンガの右手の中に一つの指輪となって、光が実体化した。

 

「これは……レントさんが使ってた……」

 

 以前手に入れたヘルベロスリングと同じく、ギャラクトロンを模した装飾が施された指輪。これもまた、タイガスパークに読み込ませる事でその力を得る事が出来る代物なのだろうか。

 

〖ウルトラマンの力を感じる……妙な指輪だ〗

 

 タイタスの言葉に反応するかのように、ぼんやりと黒い靄のような物が指輪から漏れている事に、ギンガは気付かなかった。

 

 

 

 

「……終わったか」

 

 一部始終を見届け、小さく呟いたゼストは静かに背を向けて歩き出す。

 

「ま、待て。ゼスト!」

 

 それを呼び止めるのは、やはりというかレジアスだった。

 

「お前は……儂に聞きたい事があるのではないのか?」

「……」

 

 正直、これ以上ないぐらいに自分の目的を。八年前の事件の真相を親友(レジアス)に問う事を達成するチャンスは無いだろう。少しの間だけ思案して……止める事にした。それでは、レント達の眠りを侮辱するように感じたからだ。死にぞこない(今の自分)が汚していいものではない。

 

「あるにはある。だが、今は聞かん。また会おう」

 

 そう言い残し、ゼストは夜空へと飛行魔法で消えていく。その後ろ姿を複雑そうな表情で見送るレジアスの背中を、オーリスは黙って見つめていた。

 そんな様子を、物陰から盗み見する者が一人。チンク、セインと別れて単独で行動していたドゥーエであった。

 

(ふ~ん……そういう事するんだ)

 

 真面目というか頭が固いなと呆れもちょっと感じつつ、ドゥーエはタイタスへと目線を移す。この世界で怪獣や宇宙人に唯一真っ向から立ち向かえる存在。スカリエッティの性格に一番近いと称される彼女から見ても、あれは利用価値の塊だ。いずれ排除せねばならない相手になるだろうヴィランギルドへの牽制と、切り札になりえる。

 

(せいぜい、頑張ってね)

 

 最後にウルトラマンを一瞥して、ドゥーエは誰にも知られる事無くその場から姿を消した。

 同じくして、彼らのいる場所から遠く離れた廃棄都市区画。その一角でポップコーン片手にウルトラマンとギャラクトロンの戦いを鑑賞していた青年、霧崎もつまらなさそうに空になったポップコーンの容器を放り棄てる。

 

「やれやれ……最後はお涙頂戴。至極つまらないオチだったな」

 

 最も、()()()()()()だけは達成しているので話のオチなど、その辺に転がっている石ころよりもどうでも良い事なのだが。

 

「では、お仲間との再会祝いは……また後日」

 

 大袈裟に芝居がかったお辞儀をして、霧崎は蒼い炎に包まれてその場から消え去った。

 

 

 

 

 ――後日、例の件で話があるので地上本部まで出頭するように

 

 翌日、ギンガを待っていたのは簡潔な出頭命令であった。レジアスとオーリスを助ける為だったとはいえ、目の前でウルトラマンに変身したのだから、当然と言えば当然だろう。予想通りだったので、ギンガも特に驚きはない。

 

『昨夜、ウルトラマンに救われたとの事ですが、その件について何かコメントは?』

『命を救われた事には感謝を表する。だが、警戒が必要な不確定要素である事に変わりはない』

 

 定例の記者会見で、対外的な物や立場もあるとはいえあまり態度を軟化させていないレジアスには、ほんの少しだけ不満はあるが。

 

【あのオッサンも、融通効かねぇよな。感謝するなら余計な一言つけんなっての】

【彼にも立場という物があるのだろう。我々は、この星にとって未知なる存在には違いないのだからな】

 

 不満を漏らすタイガを宥めるタイタス。そんな二人を尻目に、山盛りのパスタを黙々と頬張る。

 

【ところでギンガ。少し食べ過ぎではないのか?】

「私はこれぐらいが普通なの」

【ふむ。まぁ、食べた分だけ動いているのだから不摂生にはならんか】

 

 健康を気遣っての発言だとは解るが、どうやらタイタスは結構なおせっかい焼きのようで……とまで思って、ハッと気づく。昨夜確かに変身したけれど、なんか当たり前のように自分の中にいませんかこの筋肉。

 

「……ちょっと待って? タイタス、もしかしてあなたも!?」

【お世話になります!】

 

 マッスルポーズを決め、元気よく挨拶をしてくる筋肉宇宙人。正直一晩遅いと突っ込みたい。ギンガは乾いた笑いを浮かべ、お茶を飲みながら一言。

 

「…………増えちゃったかぁ」

 

 

 

 




次回リリカルBuddyStrikers

第五話 ホテル・アグスタ



次回からStS本編ストーリーに交わっていきます

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