プリキュア5の世界に転生しました…悪役サイドだった者ですが。 作:クルミ割りフレンズ
アンケートは2021/3/26まで実施しているつもりです。結果は活動報告にて記載させていただきます。
コメント欄に主人公とデスパライアの間には一種の恋慕が存在したのではと考察されていますが、私はそこまで詳細に考えていません。ただ言える事はデスパライアは主人公がナイトメアを抜けてプリキュア側に着こうとも恨みや憎しみは感じず裏切ったとすら思ってもいなかったのではないかという事です。そこに恋慕の情があったのかは私にも分かりません。そして主人公にしてもデスパライアにしてもお互いに戦うのは最も拒みたかった事なのだと考えています。
そこら辺の情景に関しては読者様にお任せします(笑)
目が覚める。体を起こすと自分の状況を少し整理する。
確か、人間界に戻って来た後に流石に限界が来てそれから...。
「そういえば、此処は何処でしょうか...?」
軽く見渡して見れば広い部屋に豪華な装飾品や家具。そして自分が今まで寝かされていたキングサイズベッド。
素人目で見ても何処かのお屋敷と分かるという事は かれんさん のお家でしょうか。
そう思うと申し訳なく感じてしまいます。大の大人一人を此処まで連れてくるのは難しいでしょう。
確か今日は爺やさんが休暇中だった筈です。それならプリキュアに変身した状態かココさんとナッツさんが人間に化けて運んで頂いた可能性が高い。
はぁ~、最後の最後までご迷惑をお掛けするとは情けない。
一人落ち込んでいると「コンコンコン」とノックがされる。
何時までもウジウジしていてもしょうがないので返事をすると かれんさん が入って来られました。
「ウェザートさん、もう起きていても平気なの?」
「ご心配をお掛けして申し訳ありません。一時的なものだった様でもう大丈夫ですよ。」
「だったら良かったわ。」ニコ
凄い破壊力ですね、かれんさん の笑顔。これだけでご飯3杯は行けちゃいます。
おっと、私の中の邪な部分が。静まり給え、私は紳士。
「水無月かれんさん、聞きたい事が。」
「〝かれん″で良いわよ。多分他の皆もフルネームより名前で呼んで欲しいと思うから。」
え、マジですか?合法的に現役中学生の、ましてやプリキュアのメンバーを名前呼びしても良いと許可が!
この時に舞い上がらなかった私に心の中で拍手を送りたいです。
「では かれんさん、私を此処まで運んで下さったのは何方でしょうか?」
「ココとナッツよ、二人とも倒れたウェザートさんを私達プリキュアと同じ恩人だからって此処...私の自宅まで運んでくれたの。」
やはりココさんとナッツさんでしたか。
多分両隣りから肩を貸されていたのだと思うのですがそう考えるとハンサム二人に挟まれるオジサンという誰得な絵面が出来上がるのですがこの際ソレは置いておきましょう。
「それならば後でお二人にお礼を言わなければいけませんね。」
「二人はあまり気にしていない様だったのだけれど、貴男は律儀な人ね。」
律儀?私がですか?いえ、誰かに良くして頂いたならそれに報いる。せめてお礼くらいは言わなければ、これ社会人の常識です。
...ただ今無職ですがね。
「それと、改めて皆さんには謝罪をしなければいけませんね。」
「謝罪?何故かしら?」
「何故って、私は今までナイトメアの一員でした。貴女達と共に戦ったとはいえ確りとした謝罪はしていません。」
そう、これはケジメの様な物です。いくら皆さんが気にしていない、許していると言っても私が敵対していた過去は変わらない。
だからこそ私は謝罪しなければいけない。彼女達は何処にでもいる中学生で、彼らは平和を享受して暮らしていた国民達。本来ならしなくても良い戦いをするハメになり、彼らは故郷を滅ぼされた。
私がナイトメアに入ったのは少しでも彼女達に近づく為。私が直接戦った回数は少なくとも傷付けた事には変わらず、その結果招いたのが今回の悲劇とも言える。
つまりこれは嘗ての自分との決別でもあるのです。そう彼女に説明する。
「......ふふ。ふふふ。」
「え」
あの、私何かそんな口元抑える程の変な事言いました?
というかそんなに笑われていられる居た堪れない様な美味しい様な複雑な気分なのですが。
「ふふふ、ごめんなさい。でも我慢出来なくて、貴男少し私に似てるわ。」
「わ、私が かれんさん にですか?」
彼女に言われた事が理解出来なくて頭が情報処理に追いつかない。
だって、そんな事を考えた事など全く無かったのだから。
「えぇ、責任感と使命感があってそれでいて真面目過ぎて融通が利かない。のぞみ達と出会う前と出会った直後の私にそっくり。」
「そう、なのでしょうか?」
「そうよ、だからこそ貴男の立場から考える事も出来るわ。纏めれば貴男は自分が許せないって事よね?」
何というか、自分の事がここまでお見通しだと少し恥ずかしいですね。
しかし、それと同時に似ていると言って貰えた事が嬉しい。
「でもね、私達にとってソレはもう終わった事なの。だって私達はもう友達でしょう?」
「友...達、私が既に貴女達の?」
「そうよ、ココとナッツにお礼を言うのは良いと思うわ。でも謝罪をされては逆に困ってしまうわね。」
そう言ってもう一度微笑む かれんさん。
目から鱗とはこの事ですね。私の事を友達だと思ってくれるとは、これは心が躍ります!
それに胸の痞えが取れたような気分です。
「ありがとうございます、目が覚めた気分です。」
「ふふふ、それなら良かったわ。」
「時に皆さんは今何を?」
「パルミエ王国の皆が帰って来た事を祝ってちょっとしたパーティーをしてるわ。」
それならとベッドから立ち上がり私も手伝う事にしました。最初は かれんさん に止められましたが体調は万全なのと手伝う人数は多い方が良いと言って手伝わせてもらう事にしました。
そういう所も似ていると苦笑されたのは面白かったですよ。
厨房に着くとお菓子を作られていた りんちゃん達に驚かれました。
クッキーやビスケットなどの焼き菓子を始めアイスクリームなども作らせて頂きました。
皆さんは大分意外そうな顔をされていましたが私これでも料理は出来るんですよ。得意ではなく出来るタイプと言うんでしょうか。普段はあまり積極的にしないのですが一度やり始めると凝ったモノも作ってしまうタイプですね。
ナイトメア時代も仕事が終わった後は基本的に暇になってしまうので集中して時間が潰せる料理やお菓子作りはまあまあやっていました。お菓子は概ね好評で良かったです、転生してから誰かに振舞うのは初めてですからね。
その際ココさんとナッツさんには確りとお礼を伝えました。
そんな楽しいパーティーも時計の針が00時を指す頃にはお開きに。片付けも終えて王国の皆さんは休まれています。元の世界へは直ぐにでも戻る為に夜明けあたりには出発されるようです。
ココさんと のぞみちゃん、ナッツさんと こまちさん は良いムード。最初から率先してお菓子を作り手伝っていた りんちゃん と うららちゃん は疲れたのか揃って夢の中。
私はというと、
「驚いたわ、まさかウェザートさんがお菓子作りが得意とは思わなかったもの。」
「私もですよ、まさかこうして振舞う機会があるとは思ってもいませんでした。」
「良かったら時々でいいから教えて欲しいぐらいだわ。」
何故か かれんさん と一緒に暫くお話をしています。当人である私が一番が驚いてますよ。
中学生とおじさんが楽しそうに同じ部屋で2人きりで話している、事案な絵面じゃないですよね?
「それは...難しいですね。」
「え?」
「パルミエ王国の皆さんと同じように私もこの街を暫く離れる事にしたのです。」
「...そう。折角仲良くなれたのに寂しくなるわ。」
彼女達は優しいからこういう雰囲気になると思ってあまり話したく無かった事なんですけどね。
でもこれは決めた事なんです。上手くいくかは分からない事、だから下手な事は言えません。
でも、
「そんなお顔をされないで下さい。この世には絶対などありませんよ、縁があれば何処かで会えます。」
「ウェザートさん...。」
「だって世界は繋がっていますから。」
「そうね、そうよね。ありがとう!」
ここまで通してきた紳士ムーブ本当に役に立ってます。
さて、夜明けまであと数時間あります。私は平気ですが かれんさん は未だ中学生ですし何なら女性です。夜更かしは美容の大敵でしょうし、そろそろ休まれるようにって...あらぁ?
HAHAHA私の肩に何やらコテンと乗って来ました。誤魔化すのも此処までにしましょう、勿論かれんさん です。疲れていたのですね、いやしかし幾ら何でも男性の肩に頭を預けるのは無防備過ぎですよ!
しかしどうしたものでしょうか。この部屋はあくまで書斎の様な場所、ベッドなどある訳も無いので運ぶ事も出来ません。かれんさん の自室にお連れしようにも絵面的にアウトですし、そもそも初めて来たので場所が分からない。大分お疲れの様ですから起こすのも可哀想です。しかし幾らこのソファが良いものでも座った姿勢で寝るのは体に悪いですし。
仕方ありません、男の硬い膝なのはお許し下さい。あぁそうだ体を冷やさない様にコートでも掛けて差し上げないと。
翌朝声にならない悲鳴を上げられ赤面されたのは言うまでもありませんでした。
やっぱりちょっとデリカシーが無かったですかね?セクハラで訴えられなければいいのですが。
そしていよいよ別れの時となりました。この先の展開を知っている身としては今生の別れでは無いので暫くは寂しくなるといった感じです。
皆さん其々お別れの言葉は済ませた様ですがやはりもう会えないと思っている為か涙を溜めている方も。
そうですね私からも一つ出発される皆様へプレゼントを。
「それでは短い間でしたが、僭越ながら私から皆様へ門出の祝いとこれからのご多幸を願って贈り物を。」
古くから天候とは神々が齎す厄災や怪物、呪いなど様々な解釈をされ畏れられて来た存在。日照りは大地から水を奪い台風は家屋を根こそぎ薙ぎ倒し、大雪はそれだけで人間の生活を麻痺させて来た。
しかし多くの神々が持つように天候はある種の二面性を持つ。人を傷付け命を奪う呪いにもなれば、人を感動させ命を育む祝福にもなれる。
そんな強大な力を持ち、下手をすれば全てを破壊しかねない
『うわああ!』
「すごい!」
「これって...」
「オーロラだわ...」
何も壊さず、何も作らない未だ日が昇りきっていない空に揺れるオーロラ。
それでも彼ら彼女らの心に残ってくれればそれで良い。
「そうだわ、いつか私達をパルミエ王国に招待してもらったら今度は向こうでオーロラで見せてくれないかしら。」
「構いませんよ、皆さんが私もご招待頂けるのなら。」
『もちろん!!!』
かれんさん の言う通り皆さんは私の事を受け入れて下さっていた。それなのに私はずっと小さな事で悩んでいたのですね。
「だったらみんなの約束だね!けってーい!」
「はい、その時は今よりも飛び切り綺麗なオーロラをお見せする事を約束します。」
5つの蝶が1つの大きな蝶となってオーロラの海を泳ぐように飛んで行った光景を私達は忘れる事は無いでしょう。
☆ ☆ ☆
☆ ☆
☆
「ねぇ りんちゃん、急に決まった全校朝会って何だろうね?」
「さてねぇ、黒板に朝会があるから講堂に集合としか書いてなかったし。」
彼女達はココ達との別れから1か月といったところ。ココ達と別れた次の日にはウェザートとも別れる事になり仲良くなれたのにと寂しがる面々だった。
しかしウェザートに励まされた かれん が皆を同じ様に励まし笑顔で見送った。
彼女達はそれぞれ躓く事はあっても自分の夢を追い続けている。
「のぞみさん!りんさん!おはようございます!」
「「おはよう!うらら!」」
「「皆、おはよう。」」
『こまちさん!かれんさん!おはようございます!』
講堂に着くまでに揃ういつものメンバー。
慣れた光景ではあっても傍から見たらやっぱり不思議な組み合わせ。
「私達も全校朝会があるなんて今朝初めて知ったのよ。」
「私もですよ。」
講堂に着くと「また後で」とクラスごとに其々分かれるいつものメンバー。
暫くして始まった教頭先生の話では急遽新しく教師として来た先生がいるからその紹介だという。
そして紹介された教師が出て来た時に5人は同じタイミングで驚くこととなった。
「初めまして、ご紹介に与りました。
これがまた何かの波乱の幕開けになるかは、別のお話。
何故最後に主人公と かれんさん をちょっと良い雰囲気にしたのか?
それはぁ!私がぁ!プリキュアで初めてファンになったキャラクターだからだぁ!ハハハハ...!
いやぁ最終話くらい私の押しキャラを多めに登場させたかったていう欲望を開放させたくて...つい。
あぁそうだ、コメントでオールスターもって意見があったのですが実は私一旦ハートキャッチプリキュアで離れてしまっている為皆様が期待される程のオールスターを書ける程の自身がありません。なので絞りに絞ってアンケート欄は4つのみとなりました。
アンケートで結果が出ましたらそちらを頑張って書きますので何卒応援よろしくお願いします。
それと活動報告がございますので気になる方は見て行って下さい。
それでは皆様、しばらく。ノシ