プリキュア5の世界に転生しました…悪役サイドだった者ですが。 作:クルミ割りフレンズ
遅れた理由は活動報告にある通りちょっと身内でゴタゴタがあったのとそれが解決したと思ったら副反応でダウンしてました。熱40℃なんて初めて出ました。
それではどうぞ!
こまち から彼女の姉である『秋元まどか』が失踪したという話を聞いて翌日、ウェザートは一人考えに耽っていた。それは勿論『秋元まどか』が失踪した事もあるが最も懸念していたのはその裏である。
まどか さんが帰って来なかった、ここまでなら単なる家出や友人宅に泊まっている事も考えられますが状況的に見ても裏で糸を引いている者が居る...間違いなく奴であるのは間違いなさそうですね。何せ原作には こまち さんの姉が居なくなるなどの話はありませんでしたから。
こまち さんのご家族も捜索願いを出したらしいですが彼女は成人済み、つまり望み薄。一縷の望みを懸けて私達に話してくれましたがウルフショットを使おうにも街中に残された匂いなどは雨によって消えている為恐らく捜索は不可能。
甚だ遺憾ですが基本的に私は何か事が起こってからでないと動けません。つまり奴が目の前でドーパントを作るなどの状況でない限り後手に回り続けるしかない。生徒一人の不安を取り除く事すら出来ない自分に腹が立つ。
それでも捜索しない訳にはいきませんのでヘラクレスビートルフォンとウルフショットを街中に放していますが、収穫があれば良いのですけどね。
「何か思い詰めているという顔をしているな。こまち の姉の事でか?」
「こまち にも言ったけど、何か悩んでいるなら僕たちに話してみるのはどうかな?それだけでも少しは楽になれると思うよ。」
先日に引き続きナッツハウスに私は来ています。ここのバルコニーは私が力を使わずとも良い風が吹くので考え事をするにはもってこいの場所なのでお邪魔しています。ナッツさんとココさんがどうやら私の様子を見に来られた様です。
誰かに悩みを話す、か。確かに散々誰かの相談を受けた事はありますがあまり自分の悩みを誰かに話す、といった経験は少ないですね。
「ココさんナッツさん...悩みというか、これは酷く傲慢な考えをしていただけです。もっと力があれば未然に防げたかもしれない、等というとても傲慢な考えですよ。」
そう、これは思い上がりも良いところのタラレバです。もし私が索敵能力が高ければ、私が奴を最初に出会った時に倒せていたら。考え出せばキリが無い不毛な思考。下らないと、起こってしまった物は仕方ないと割り切るべきなのでしょうが如何せん彼女達の幸せを願っておきながらこの体たらく。腐ってしまうのが嫌になります。
「確かにそれはとても傲慢な考えだ、だがそういった事を考えた事は俺達にもある。」
「そうだね、僕らだって何度も悔いた事はある。もっと力があればパルミエ王国を救えたのにって。」
「ああ、だからこそそこまでの力が無い俺達でも出来る事はある。」
「出来る、事ですか...?」
「希望を忘れないって事だよ、ウェザート。どんな状況でも希望を持つ事、君も良く知ってる事だろ。」
ナッツさんココさんの言葉にハッとする。そうです、どんな暗闇の中であろうと希望を忘れない事。それを私は彼女達からこれでもかと学んだ筈です、そんな初歩的な事を忘れていた自分が情けない。一度考え込むとうじうじ思考してしまうのは私の悪い癖です。
確かに手を拱いている状況はあまりよろしくありませんが少なくともまだ『秋元まどか』さんは生きている可能性はある。端から最悪を想定して動くべきではありませんね。何事も希望を持って行動しなければ気付ける事にも気付かなくなってしまう。
「ありがとうございます。とても単純な事を私は忘れていました、少し悪い方向にばかり考えていました。」
そうです、今私に出来る事はこのバルコニーで物思いに耽る事では無く何かしらの行動を起こす事。ナイトメアに居た頃の私は陰ながら色々と行動を起こしていましたが今の私は後手に回り続ける事は甘んじて受け入れているだけ。索敵能力が高く無いとしても気合いを入れない理由にはならない。
取り敢えずガジェット達を回収しましょう。収穫が無くても取り敢えず記録の確認を行えば何かしらの手掛かりがあるかもしれません。
そう思いナッツハウスを出ようとした時です。地震とまでは行きませんがかなりの地響きが起こりました。
その際に尻もちをついてしまったお二人は衝撃で妖精の姿に戻ってしまわれました。それにしても今の地響きは...まさか。
「っ!?!?」
「何か出たナツ!」
「街の方を見てみるココ!」
ココさんナッツさんが指摘するのと同時に私が街に放っていた霧から反応が帰って来ました。間違いなくドーパント、しかもこれは拙い。
更に街の方からシロップさんが、ナッツハウスの下階からは のぞみ さん達5人がやって来ました。
「ねえ、さっきの揺れってただの地震じゃないよね!」
「地震なんかじゃないロプ!街の方が凄い事になってるロプ!」
私の方も丁度向かわせていたガジェット達が戻って来た為記録を確認しましたが、奴めここまで派手に動き始めましたか!
そこに写っていたのは...
「建物も道も、シロップ達が居た時計塔も変な植物に雁字搦めロプ!」
急いで街までやって来ましたが、酷いですね。シロップさんが言った様に建物も道も乗り物も植物の蔦、いえこれは根か。何かの植物の根に雁字搦めにされていました。
根の成長速度が異様に早くまるでヘビの様にうねりながら進路上の物に絡みついている。
「皆さん兎に角直ぐにこの植物の大元、街の中心まで急ぎましょう。今はまだ一角のみの様ですがこのままでは更に拡大するでしょう。」
『はい!(ココ)(ナツ)(ロプ)』
植物と根本に黒幕、つまり奴が居る筈。故に根の迫りくる方向に駈け出しました。数百メートル程進めばそこは街の中心。
そして見えました。黒いローブの男、その傍らにはやはり...
「よう!今回は早かったじゃないかウェザートォ!」
「やはりこの事態は貴様が原因か。何より彼女をさらったのも。」
「え?お姉、ちゃん?なんで、ここに居るの?」
奴の傍ら、足元には俯き横座りした状態の こまち さんの姉である秋元まどか さんが居ました。今でこそ植物とは切り離されていますが彼女の下には根が寄り集まっています。
こまち さんも恐らくは分かっている筈ですが現実を直視出来て、いえ受け入れたくないといった所ですか。誰だって家族が怪物にされたなんて受け入れたくありませんもの。
「あぁこの女か?俺の作ったメモリとお互いに惹かれ合ったみたいでなぁ、良い実験体になってくれたよ。メモリの出力を低くした事でメモリ本来の力を良く引き出してくれたよ。」
「そんな、お姉ちゃん!私よ、こまち よ!目を覚まして!」
こまち さんが必死に呼びかけてはいますが見るからに衰弱している、しかし奴はメモリの出力を下げたと言っていますがそれでも状況は拙い。どんなに出力を下げようと彼女が失踪したのは数日前、その時からメモリの実験体にされていたのだとしたらどんなに出力を下げたメモリであろうと毒素が与える影響は大きい筈。
更に今までのドーパントは言ってしまえば理性を失い闇雲に力を振り回すだけでした。しかし街全体にすら影響を及ぼしかねない程にまで力の範囲が広がっている。なんなら彼女は今人間の姿であるにも拘わらず”根の成長が止まっていない!”
「ククク、実験体にしてから既に数日。それじゃあ最後のお仕事をしてもらおうかぁ。」
「待て!彼女はもう限界だっ!」
「俺の知った事じゃねぇな。」
駄目だ、奴と彼女の位置が近すぎる!妨害しようにも下手をすれば彼女に当たる、いや奴なら盾にすらしかねない。
奴は彼女の腕を掴みメモリを挿そうとし...
「うぅ...ダメ、こまち 逃げて...。」
「さあ、妹に別れを告げな。」カチ
「RHIZOPHORA!」
「あああアアアアアア!!!」
メモリが彼女の体内へと装填された事で全身が根や枝で構成された植物型のドーパントへと変身してました。
そして街を覆い尽くす程の植物の力も分かりました。リゾフォラ...つまり汽水域に生息するマングローブを構成する植物の一種、ヒルギのメモリか!
リゾフォラ・ドーパントへと変身した事で植物の成長速度もより活性化したようですね。これは...拙いですね。
「これでこの女ももう長くないだろうな。時間が経過しても死ぬ、例えメモリブレイクされても死ぬ。ウェザートォ、お前の周りに居る奴は不幸になるなぁ。」
「あっ、ああ...そんなお姉ちゃん...。」
コイツ、他者の命すら駒としか見ていないのかっ。
いけません、落ち着きなさい。どんな時でも冷静に対処しなければ。それに、まだ完全に『希望』が潰えた訳ではありません。
だからこそ今の私に出来る事をしなければ!
「こまち さん、立ち上がりなさい。」
「ウェザートさん、でも...。」
「希望はまだ残っています。彼女を救う為にも こまち さん、貴女の力が必要なのです。」
「希望...お姉ちゃんを救けられる、の?」
「勿論ですよ、それは貴女方がこれまでの戦いで学んだ事でしょう?」
今は兎に角 こまち さんを立ち上がらせる事が最優先です。まどか さんを救けるにはこのメンバーの中で こまち さんの力は必須でしょう。これは私でも出来ない事だから。
「そうだよ こまち さん!ウェザートさんの言う通り、希望を捨てちゃダメだよ。」
「こまち、貴女は一人じゃないわ。貴女の傍には私達が付いているんだから。」
「まっ言いたい事は言われちゃったけどそういう事ですよ。どんなに辛い時でも私達は乗り越えてこれたでしょ?」
「大丈夫ですよ こまち さん、皆さんの言った通り諦めちゃだめです!」
彼女を奮い立たせるのに必要な最後のピース、仲間の温かい言葉。私に出来る事はせいぜいが切っ掛けを作る事、でもその切っ掛けさえあれば。
「皆、ありがとう。どんなに辛い時でも先ずは立ち上がらなくちゃいけないわよね。力を、貸してくれる?」
「「「「勿論!」」」」
良かった、何とか奮い立ってもらう事が出来ました。どんなに伝説の戦士だと言われていようとも彼女達は普通の女の子なのだから酷く気持ちが沈んでしまう時がある。でもこうして仲間が寄り添ってくれたなら彼女達ならば何度だって立ち上がる事が出来るのだから。
奮い立った彼女達は奴と まどか さんが変身したリゾフォラ・ドーパントを真剣な目で見据える。こまち さんはどこか覚悟を決めた様な力強い瞳で。
私もこの物語が悲劇に向かわない為にも早く『完了』させなければ。
「茶番は終わったかぁ?なら、やっちまえ。」
「オオオオオオオォ!!!」
リゾフォラ・ドーパントが根をこちらに大槍の如く伸ばしてきましたが...
「させるとでもお思いですか?想覚」カチ
「WEATHER!」
「貴方だけは絶対に許さないわ!」
私が変身する時に生じさせた電撃や風、吹雪によって迫りくる根を吹き飛ばしたの変身妨害なんてさせませんでした。恐らく根事態にはそこまで痛覚は無いのでしょう、結構無茶苦茶に吹き飛ばしましたが怯んだ様子もありません。
「あああアアアアア!!!」
「っ!?皆さん飛びなさい!」
「「「「「はいっ!」」」」」
一斉にその場から飛んで離れましたが次の瞬間には我々の居た地面からは剣山の様に無数の鋭利な根が突き出していました。危なかった、私なら兎も角彼女達でも変身しているとは言え直撃すればそれなりのダメージを受けたかもしれません。
「これはヒルギ科の植物が持つ呼吸根か、厄介ですね。」
ヒルギという植物は呼吸によるガス交換を行う為に地面から突き立つ様に伸びる呼吸根を持ちますがこれを攻撃に使用してくるとは。誘い込まれる様に使用されれば厄介そうですね。
「それだけじゃ無ぇぜ。」
「グッ!ウアアああアアア!!!」ズドドド
まさか遠距離攻撃すら持っているとは。リゾフォラ・ドーパントの背中から茂みの様に伸びる幹から弾丸の様な物が発射されたので内心驚いています。
「させないわ!プリキュア・エメラルド・ソーサー!」
ミントが防いでくれたお陰で弾かれた弾丸らしき物は周囲に飛び散りましたが、これは...実か!
そう結論が出たのも束の間撃ち出された実が発芽したかと思えば急速に成長し植物怪人へと成長してしまいました。見た感じは戦闘員的な感じですかね?
「......。」
「えぇ!?何か増えた!」
「あの発射された実から次々芽吹いて増えるみたいね。」
「とは言え...はあ!」
無言で襲い掛かって来たので局地的な日照りを起こしてみましたが瞬時に枯れ果てボロボロに崩れて行きました。やはりそこまで強くは無いようですね。
しかし40、50まだ増えますか。倒すだけなら私が一気に広範囲攻撃をすれば良いのでしょうがこの植物怪人共はどんどん増殖して行っている。全部は相手なんてしていられません、ここは彼女達に任せさせてもらいましょう。
「ドリーム、ルージュ、レモネード、アクア。この植物怪人達を任せたいのですがお願い出来ますか?」
「分かった、アレは任せて!」
「正面突破は得意だしやってやろうじゃない。」
「ウェザートさん、私は皆とは別行動なの?」
ミントの疑問も当然ですね。チーム分けしたした理由は3つ、1つ目はリゾフォラ・ドーパントを守る様に今もなお増殖し続ける植物怪人達の対処まで手が回らない可能性があるから。まどか さん救けるには今までと違って神経質にならなければいけません。集中している時に余計な横入が入る事は避けたいところ。
2つ目が最も大事、それは私だけでは恐らく まどか さんを生きた状態で救ける事が難しいから。リゾフォラ・ドーパントをメモリブレイクして倒す事は出来るでしょう。しかしそれでは生存が見込めません。変身前から奴による人体実験の影響でかなり衰弱していた事、そして幾ら毒素の影響が和らいでいたとしてもその毒素を数日前から受け続けている事。いつも通りメモリブレイクしようモノなら彼女の命を奪う事になってしまう。
3つ目も2つ目と合わせてミントの力が必要になる理由。それは今のリゾフォラ・ドーパントからは変身前に辛うじてあった彼女の意識が感じられない事。見た所あのドーパントは完全に暴走している様に見えるのは間違いではありません。出力すらもデタラメに引き出し続けた力を振り撒いています。そこで今この場ではミントにしか出来ない仕事、つまりは妹である こまち さんの声による まどか さんの意識を引き揚げる事。
勿論100%成功する可能性はありません。五分五分になれば良い方で実際はもっと低いかもしれません。しかしそこに確かな『希望』があるというのなら取らざるを得ない選択肢。
僅かでも彼女の意識が戻ったのならその瞬間にメモリとの結び付きが僅かに緩む筈。最後に救出した まどか さんの命を救う『一手』、それさえ間に合えば...。
「ミント、貴女は私と共にお姉さんの下へ行きましょう。貴女は彼女に近づいたら只管に呼びかけてお姉さんの意識を僅かで良い、引き揚げて頂きたい。」
「分かったわ。ウェザートさん、貴方もどうか私に力を貸してちょうだい!」
「勿論ですよ、では...参りましょう!」
私の合図と共にドリーム・ルージュ・レモネード・アクアが先行して駆け出し、私とミントは彼女らを追う様に並び立って地を蹴る。
「それじゃあ行くよ!プリキュア・シューティング・スター!」
最初にドリームが植物怪人の壁を突破し活路を開く。そんな事はさせないとばかりに開いた道に怪人達がなだれ込もうしますが
「邪魔させないって言ってるでしょうが!プリキュア・ファイヤー・ストライク!」
ルージュの蹴り放つ火炎球によって怪人達を消し炭にする事によってそれを防ぐ。
「行きます!プリキュア・プリズム・チェーン!」
「ウェザートさん、お願い!プリキュア・サファイア・アロー!」
「お任せを...はあ!」
開いた道を万全な物にする為にレモネードがチェーンを道の両端に合わせる様に向こう側まで届かせて、アクアがチェーンをなぞる様に一対の水の矢を放つ。最後に私がその矢に冷気を浴びせれば氷の壁が出来た道の完成です。そう長くは持たないでしょうが、後は此処を駆け抜けるだけです。
「皆さん、後は頼みます!」
「「「「YES!!!」」」」
「皆!ありがとう!プリキュア・エメラルド・ソーサー!」
今度はリゾフォラ・ドーパントが操る根を上空から伸ばして来ましたがミントが真上に壁を展開する事でそれを防ぐ。さて気を引き締めて参りましょう、このトンネルを超えた先に待ち構える今までで一番の無理難題を解決する為に。私の方も準備完了まで残り1%を切っている、急がねば。
「なんだよ、随分掛かったじゃねぇか。」
「えぇ、随分と進路妨害が多かったもので...。」
「コイツはもう止まらねえ、根は既にこの街の7割を侵食している程だ。」
「それでも我々は彼女を救います。」
「お前らお得意の希望ってか?下らねえ、やれるもんならやってみな。」シュン
そう言い残して奴はこの場からて撤退して行ってしまいました。邪魔が入らないのなら渡りに船ですが、我々が彼女を救えないとでも決めつけたのでしょうかね。
さて、ここからが正念場です。どんなに頑張ってもあの衰弱具合では後30分持つかどうか。速攻で決めたい所ですがそれすらも容易に出来ない。
「アアアア、アアアアアア...。」
「お姉ちゃん、分かる?私よ、こまち よ。救けに来たわ!」
「ウゥゥ、アッアア...。」
「大丈夫よ、皆本気でお姉ちゃんを傷付けようだなんて思ってない。皆お姉ちゃんを救けたいの!」
「ウウウゥゥア...。」
さて、どうだ?ミントの声に僅かながら反応している様に感じますが...。
「お姉ちゃん?」
「ウゥゥゥ......アアアアア!!!」ビュン
「ミント、危ない!セイッ!」
良い所まで行ったと思いましたがまだでしたか。根を振り回して来たので防ぎましたが、いやこれは...。
「そんな、私の声は届かなかったの...。」
「いえ、大分揺らいでいるのは確かな筈です。このまま声を掛け続けて」
「ウェザートさん、大変!何かコイツら急にそっちに向かい始めた!」
ルージュの声に後ろを振り向けば残っていた怪人共が一斉にこちらに向かって来ていました。一瞬動きが止まってしまった為その隙に距離を詰められたので咄嗟に落雷によって十数体纏めて焼き尽くしましたがそれでも止まる気配が...いや、この怪人共の目的は私達じゃない!
コイツらの目的はドーパントの方かっ!
怪人共が私達を無視してどんどんリゾフォラ・ドーパントに飛び付いて行くと次々に吸収されてしまいました。咄嗟に暴風で壁を作れば次の瞬間には衝撃波を放ちながら巨大化してしまいました。
ここに来て巨大化するとは思ってもいませんでした。まだ人型だった先程の姿からより樹木に近い見た目となり幹には互いに若干位置のずれた二つの眼。差し詰め『ジャイアント・リゾフォラ』とでも呼称しましょうか。まあそれでも
「やる事に違いはありません。ミント、再度に渡って彼女に声掛けをお願いします。」
「ウェザートさん...。」
「大丈夫ですよミント、貴女の希望を信じて下さい。他の方は私と共に迫りくる根や枝の対処をお願いします。」
「「「「「 Yes! 」」」」」
私と共に駈け出しますが相手は巨大化した為小回りこそ効きませんがパワーとスピード、攻撃範囲が上がっていますが対処出来ない事は無いでしょう。寧ろ私よりも巨大戦に慣れている彼女達なら心配ありません。
『■■■■■■!!!』
出来るだけ本体を傷付けない様に根や枝を破壊する様にしていたら巨大化前と違って実を射出するのではなく緑色の光弾を放つようになりましたか。ミントは隙を見つけては声を掛け続けていますが、果たして...。
勝機は恐らくたった一度、それを逃せば救えない。でも彼女達なら出来るだろうという考えはずっと変わりません。
◇ ◇ ◇
感覚なんて、もう殆ど残っていない筈なのに寒い。とても寒くて堪らない。体が冷えているのか、それとも心が冷えていっているのかは分からない。
痛い、苦しい、辛い、もう止めて。そんな感情が頭の中を占める。どれだけ叫び尽くしたのかも分からない。声はまだ出るかもしれない、でももう発声するだけの気力も無い。
一体どれだけこうして一人で居るのかも良く覚えていない。少しだけ外に無理やり連れだされた事もあったけど、それでも直ぐにこうして閉じ込められる。
何だか外が騒がしくなった気がした。いや、多分その時からずっと騒々しいのだろうけど直ぐに気にならなくなった。自分という存在がどんどんすり減って行っているというこの感覚のみが鋭敏に感じられる。その恐怖に比べれば他のどんな苦痛でさえ些細な事に感じられた。
...っ
怖いよ、嫌だよ、誰か...助けてよ。自分の声が届かない事くらい分かってる、それでも助けを求めてしまう。
...え...ゃ...
何だろう?今何か聞こえた、ような...?
お...えちゃ...
やっぱり聞こえる。ううん、これは...呼ばれてる?
お姉ちゃん!
この、声知ってる。私がとっても良く知ってる人の声だ。
私はこの声に縋る様に手を...
お姉ちゃん!聞こえる!?お姉ちゃん!
あっ、ああこの声、この声は!
「お姉ちゃん!手を伸ばして!私の手を掴んで!」
こまち!
◇ ◇ ◇
ジャイアント・リゾフォラとの戦いを初めて15分程が経過しました。私の方も残り0.12%、早くもっと早く!あともう少し!
「えっ!?ちょっとこれって!」
「レモネード、何かありましたk」チャプ
チャプ?と思い足元を見てみると踝の辺りまで水に浸かっていました。
「これは...一体何が起こっているの?」
いえ、待って下さい。雨すら降っていないというのにこんな急激に水位が上がるなど普通あり得ない。というかこの水から漂ってくる臭いは...まさか!
「これは唯の水じゃありません、海水です。」
「海水?でも何故急にこんなに。」
「あのドーパントの新しい能力だと思われます。マングローブとは海水のある場所に生息する植物群です。つまり海水のある場所で育つ植物がこうして根付いている以上此処は海であるという事が逆説的に証明されてしまっているのです。」
「いやでもそんな無茶苦茶な。」
「そういう無茶苦茶な事が出来てしまうのが目の前で戦っている相手です。兎に角このままではこの街が海に沈むかもしれません。」
自分達の予想の上を行く能力、どんどん苛烈になって行く攻撃。仲間に攻撃が当たりフォローしに行けばその間に更に枝や根が増え続ける。終わりが見えないというこの立ち回りは精神的に少し来ますね。
皆さんの中でももう駄目なのかという空気が漂い始めていた時に動きがありました。
『■■■■アアアああああああ、あ...こ、こまち」
占めた!やっと まどか さんの意識が浮かび上がった!この好機は絶対に逃がさない!それに私の方もタイミングがバッチリです。『分析完了』!ガイアメモリ製作開始!
「ミント!まどか さんへの道を切り開きます!彼女を引っ張り上げて下さい!」
「分かったわ!」
絶対に狙いは外さない!
『ウルフ』ギュイン
素早くウルフショットをライブモードへ移行させウェザートマグナムに接続させ頭部を前方向に向かせてレーザーポインターへ。
「これで決まりだ!」
『WEATHER MAXIMUM DRIVE』
「ウェザー・ウルフクランチ!」
銃口から発射された複数の弾丸はそれぞれが風と雷を纏ったオオカミの頭へと変わり
「行きなさい、ミント!」
「「「「行っけー!!!」」」」
食い千切られた痕が塞がる前に幹を駆け上がったミント まどか さんが伸ばした腕を
「お姉ちゃーん!!!」
掴んで引っ張り出して避難した。ならばこのウドの大木に要は無し!
一度離れていた弾丸のオオカミが再度集まり再び噛みつく。
「終わりだ!」
噛みつかれたドーパントだった残骸は雷に焼かれ、暴風に切り刻まれて爆発四散。街中に張り巡らされていた根も綺麗さっぱり消滅しました。私の方も何とか間に合った、最後の一仕事です。
既に変身を解除した こまち さんが まどか さんに寄り添っていました。こまち さんが握っている腕から『リゾフォラメモリ』が排出され
「R...RHIZO,PHORA!」パリン
メモリブレイク完了。ですが まどか さんは呼吸が荒くなり始め肌も青白くなりはじめてしまっています。既に意識を失っていますね。
「ダメ、お姉ちゃん...死んじゃダメ!」
「言ったでしょう、絶対に救けると。」
「ウェザート、さん...。」
「大丈夫です、信じて下さい。何より貴女のお姉さんを。」
『DETOX MAXIMUM DRIVE』
ギリギリ間に合わせる事が出来た新たなメモリ、『デトックスメモリ』を装填しマキシマムドライブを発動させたウェザートマグナムを まどか さんの腕に押し当て引き金を引いた。
◇ ◇ ◇
今回の騒動はあの黒いローブの男に まどか さんが誘拐されガイアメモリの実験体にされた事で起こってしまった。自分の力不足を嘆くと共に街に奴の魔の手が及ばない様に監視の目を強める事で一応は自分を納得させました。彼女達からはあまり自分を責めないで欲しいとのありがたい言葉を頂いたので良しとしましょう。
結果から言えば まどか さんの救命は成功しました。彼女を救う際に使用した新たに作ったメモリ『デトックスメモリ』の力で事無きを得ました。このメモリは私がこれまでメモリブレイクした複数のメモリを体内へと取り込みガイアメモリ特有の毒素を解析し続ける事で製作に漕ぎ着けました。効果としてはメモリの毒素と後遺症の排除、という救命以外にはあまり使えない能力ですが成果としては十分でしょう。
しかし まどか さんは数日間に渡る長期的なメモリの実験によって衰弱していたのは確かなので入院自体は必須でした。毒素は消し去ってもメモリ使用中の事はやはり記憶に無いようです。病院に担ぎ込まれ2日程寝込んだ後、目覚めた時に こまち さんに聞いて頂きましたが何も覚えていないとの事。この事で警察関係者もここ何週間か起こっている数日間の記憶喪失事件と同じ物であるとして取り扱うと思われます。
今も懸念事項はまだ幾つかありますがそれでも、今この瞬間の束の間の平和を味わうとしましょうか。こまち さんからお礼だと渡された沢山の豆大福と羊羹を頬張りながら思う今日この頃。まだお礼し足りないと更に渡されそうなのが怖いですね〜。
【デトックスメモリ】
ウェザートが自身を実験体兼分析装置として使い製作したオリジナルガイアメモリ
メモリブレイクしたガイアメモリを取り込み続けて毒素を分析した事で秋元まどか救出にギリギリ間に合う形で完成した。
中和ではなく解毒の力である為マキシマムドライブを発動させれば対象者の体内から毒素を排除する。副産物的効果として毒素とは別にメモリによる後遺症も排除する効果がある。
前後編に分けたとは言えそれでも初めて1話で一万字超えました。
多分誤字脱字があると思うので遠慮せずにビシバシ指摘して頂けると嬉しいです。コメントも執筆の励みになりますのでよろしくお願いします。ここの所ずっと返信は出来ていませんがそれでもしっかりと拝見させて頂いております。
オリジナルドーパントの設定とかもその内投稿すると思います。タブンネ
何分遅筆ゆえ完結までの道は遠いですが本編が終わり次第オールスターズ辺りを書こうかな~なんて構想しています。
ではまた次回!
直感で選んで下さい。
-
G4
-
王蛇
-
オーガ
-
グレイブ
-
歌舞鬼
-
キックホッパー
-
コーカサス
-
牙王
-
ネガ電王
-
レイ
-
アーク