(ここは……)
暗い、暗い場所。ぷかぷかと、浮いているような感じがする。
(そっか……いずな、死んじまったのか・・です)
なんとなく、そんな気がした。死んだ後も、こうやって意識があるなら、じいじたちにまた会えるかもしれないと思った。
(みんな、今、そっちに……)
ふと、何かが目に入った。それは、いずなにとって馴染みあるものだった。
(パズルキューブ?なんで、こんなとこに……)
パズルキューブとは、面にあるパズルを、隠された指示に従いながら解かなければ開かない、ボックス型のゲームで、五面、六面と増えるたびに難易度が上がっていく。このゲームが昔から得意ないずなは、最高難易度の十二面をクリアしたことがあった。
(これは…十六面!まさか、そなもんが……)
「やってやる…です!」
ゲーマー魂が刺激されたいずなは、死ぬのを後回しにして、これを解くことにした。
このパズルキューブは、不思議な特性を持っていた。謎を解くたびに、イメージが流れ込んでくるのだ。
(今度は、パズル大会で優勝した時の……)
そのイメージは、いずなの大切な思い出。自身を犠牲にしてでも守りたかったもの。
『いずなちゃん、いい魚が手に入ったんだよ!』『さすがいずなさん、上達が早いですね』『おい!いずな!これやる!』『ありがとう、助かったよいずなちゃん』『ははっ、いずなちゃんは元気だね〜』『いずなちゃーん!一緒に遊ぼう!』
「………うっ……くっ……ぐずっ……」
『いずなおねーちゃーん!頑張れ〜!』
「………できた…です」
気がつけばキューブは開き、中には綺麗な赤い石がついたネックレスが入っていた。手に取ると、辺りが光に包まれる。
「みんな、いずな、しっかり生きるです!みんなを、なかったことにはしねえです!」
『それで良い、いずな』
『やっと外に出られたー!』
誰もいなくなったそこで、声が響く。
『いやーあの子には感謝しないとな〜』
『どうせ捨てられてたみたいだし、
悪戯な子供のような、けれど慈愛に満ちた声が。
『あの子の旅路に幸あれ…てね!』
「……かっ、ゲホッゲホッ、はあっはあっ」
いずなは、生き残った。攻撃された際に、『血壊』を発動していて衝撃に耐えることが出来たこと。嵐に突っ込み、勢いが弱まったこと。無意識下で流木を掴み、その流木が、近くの動物を癒す特性を持っていたこと。いずなが持っていた、獣避けの匂い袋が魚にも効いて、襲われなかったこと。海流に乗って、餓死する前に漂着したこと。これら全ての要素がなければ起こり得なかった奇跡だった。
「腹、減ったです」
獣人種が自分一人しか残っていないと思うと悲しかったが、いつの間にか首にかかっていたネックレスを見ると、不思議と生きようと思えた。
??「捨てる神あれば拾う神あり……あいつは嫌いだったしね」
ここで死んだら、本当に絶滅する上に、みんなのことを覚えてる人がいなくなってしまうことに気づいて、生きる理由を出したいずなたん
赤い石のネックレス・ステフの青い石のネックレスの色違い。不思議な力に覆われていて、そう簡単には壊れない。見ていると前向きな気持ちになれる