流れついてきてから、いずなは情報を集めていた。森を探索したり、街の人の話を隠れて聞いたり、街の近くの人に見つからなさそうな場所に寝床を作ったりして数週間……
「ひ、ひぃい」
いずなに怯えて、腰を抜かしている男を見て、いずなは困惑していた。いずなの故郷は、知らないということは死を意味し、知っていても、力が足りなければ死ぬような魔境だった。
しかし、いずなが流れ着いた地は、なんというか、安全だった。植物は、素早く動いたりせず、毒もわかりやすい上に弱い。土地は、凶悪なトラップや、侵入者を追いかけて殺そうとする遺跡もない。動物は、せいぜいいずなの二倍くらいの大きさまでしかおらず、強力な武器を持っている訳でもない。
そして、ここの種族は、弱い。言語を操り、建築物を作って集団で生活する点から、知能は悪くない、何より文明が発達している。だが、肉体は脆弱で、まだ子供のいずなのおそらく数百倍は弱い。危険に鈍く、何より精霊がほとんどない。
精霊は、生物ならほぼ全て持っている力だが、ここの生物は、精霊が少ない上に扱えていない。それどころか、精霊を街中に広げても反応しなかったことから、おそらく感知することも出来ていない。
「た、たのむ、助けてくれ!」
「……じゃあ、質問に答えやがれです」
このきに、いずなはこの男から情報を絞ることにした。隠れて人の話を聞いているだけで、簡単な言葉は習得できたものの。しっかりした言葉や、今までの探索ではわからなかった危険、その他人間社会の常識などを聞ければいいと思ったのだ。
「なんで襲ってきたです?」
「この辺りじゃ珍しい人種で、見た感じ弱そうな女だったんで、こりゃ売れるな、と」
「珍しいのはやべぇのか、です」
「いや、まあ裏の連中に狙われたりするくらいで、場所によるが特にまずいってことはない、はずだ」
「あれはなんです?」
「ああ、あれは銃だ。あの先っちょから弾を飛ばす武器さ」
「じゃあ、あれは?」
「あれも銃だよ、色々と種類があるんだ」
「体から出てくる、こうモヤモヤしたやつ、知ってやがるか、です」
「あ、ああ、もしかしてあんた、念使いなのか?」
「念使い?」
「念使いってのは、いろいろと不思議な力を使う連中だ。そのモヤモヤっての・・多分オーラってやつだ。それを使った力の総称が念……らしい」
男の情報は、かなり有益だった。お金の価値、国の大まかな情報、一般人は知らないという、念使いの存在。危険についての情報は、基準が違いすぎてあまりためにならなかったが、男が知る限りの世界は、故郷よりよっぽど安全だということがわかった。またこのことから、故郷はおそらく、ここからよっぽど遠い未確認、または一般に広がっていない土地なのだろうと予想した。
(なら、あんまりフリューゲルのことは気にしなくて良さそうだな、です)
いずなは、こちらの平和具合から、あちら側の存在からもこの土地は未発見か、興味がなくて放置されているかだと考えた。また、お金の稼ぎ方について、男からおもしろい話を聞くことも出来た。
「てんくうとうぎじょう?」
「ああ、天空闘技場だ。この辺りで手っ取り早く稼ぐならあそこだな。世界中から腕自慢たちが集まって戦う場所だが、あんたなら、相手をちょっと睨み付けるだけで勝てるだろうよ」
「どこにありやがるです」
「向こうの道を辿っていけば、遠くに馬鹿でかい塔が見える。そこが天空闘技場だ」
いずなは、そこに向かうことにした。お金が欲しいならその辺の人を襲うこともできるが、いずなは、平和に暮らしている人々を見ると、そのようなことをするのは気が引けた。また、世界中から腕自慢が集まるというフレーズにも興味が惹かれた。いずなは別に、戦いが好きということはない。ないが、戦いを通じて己を高めることは、好きだった。
おじさん・それなりの実力者だったおじさん。昔は用心棒として腕をならせていたが、闘技場の200階から逃げ帰り、心が折れた。いずなたんと死んだ娘を重ねて途中から乗り気で話していた
ワービーストの強さですが、成人した一般人がキメラアント師団長五から七人ほど、戦士団の人がメルエムほど、本気の巫女さまがボロスレベルのつもりです。いずなたんは、念なしで考えればまだ一般人にも届かないけど、成長速度が早いので暗黒大陸で五年も過ごせば念ありで戦士を超えます(現在10歳)