あっはっは。
アグネスタキオンが夜寝る前に色々考えます。
トレーナーと別れた後、自室のベッドの上でアグネスタキオンは今日のことを思い返していた。ウマ娘の可能性を知るという自分の欲望のために突っ走ってきた自覚はある。プランBに舵を切ろうとしていたのも本気だった。
だが、とアグネスタキオンは思い出していた。
トレーナー、あの澄んだ眼差し、何処までも自分を見つめていた変わった人物。タガの外れた自分と同じくらい、何処か変わったところのある彼。彼が私に火をつけた。
あのモルモット君は私の走るところがとても好きらしい。全くしょうがないやつだ。私にプランAを決心させた。わがままな奴め。
今更だが、色々と実験に巻き込んでも文句は言うまい。私と共に行くと言うのならそれくらいは我慢してもらおう。
そういえば、実験が成功してからいいものの、私がプランBに舵を切ったらどうするつもりだったのだろうか。きっと諦めずに私を走らせる方法を模索するのだろうな。いや、案外私の為を想ってすんなり身を引くのかも。
どちらだろうか。アグネスタキオンは検証してみたい気持ちに一瞬駆られたが、微睡に払われた。
どうせ今日も、寝る間を惜しんで私のトレーニングメニューを立てていることだろう。私がトレーニングに集中できるようになったから、予定の変更をせざるを得なくて頭を悩ませているに違いない。ここで、やはり走るのはやめたなどと言ったらどんな顔をするのだろうか。見てみたい気もするが、流石に可哀想なのでやめておこう。
明日は私のためにどんなトレーニングメニューを用意しているのやら。
彼は私が走っているのがどうしようも無く好きらしいから、あの手この手で走らせようと幾つか策を用意しているに違いない。
やはり、ちょっとだけ困らせてみようか。アグネスタキオンは悪戯心からそう考えた。
いや、私に振り回されるのに慣れたから私が素直に従うだけで驚くに違いない。
彼の驚いた顔は何度みてもあきない。
だからまた明日見ることにしよう。どうやってかは、その時の気分次第さ。
アグネスタキオンは、自分では気付いていないが、小さく笑みを浮かべていた。
少しして、室内はくぅくぅという小さな寝息が聞こえるようになってきた。
夢の中では、問題なく走れるようになった自分がトレーナーと一緒にいた。
あっはっは、どうだいモルモット君。私は速いだろう。ほら、次のレースを組みたまえ、どんなレースだって勝ってみせようじゃないか。君の好きな私の走りを存分に見るがいい。そうだ、君を改造してウマ娘並みに走れるようにしよう。ん?そんな嫌な顔をするもんじゃないぞ。なぜならなあ……。
何処かの誰かの夢の中で誰かと誰かが一緒に走っていた。