怪獣の方舟~The Earth of Monster~ 作:わいえす!
本件の概要
本レポートは2014年8月、日高川流域で発生した火災及び建物の倒壊についての調査をまとめたものであり、本レポートでは建物等の状況を踏まえて、これを巨大生物によるよるものと判断する。
事案の発生
本件は和歌山県の河野地区周辺で発生した。河野地区は日高川流域にある集落で、戸籍台帳によると当時30世帯80人程度が居住していたとされる。発生時間は午後10時頃と見られ、周辺住民からの通報で県警や消防が出動し10分後、それから30分後には防衛隊からFAST Force(初動対応部隊)としてヘリコプターが出動、飛来している。しかし、この段階で河野地区は大規模な火災が発生しており、救出等の実施は困難であった。
消防による消火活動によって翌日の早朝には火災は消し止められたが、地元住民の死者行方不明者が82名という結果となった。
河野地区の状況
事案発生前の河野地区には40棟ほどの建物があり、その殆どが木造家屋であった。それらの被害状況を以下に示す。また、被害状況は内閣府の策定した「災害に係る住家の被害認定基準運用指針」に基づいて、県が被害調査をしたものである。
全壊(住家の損壊がその延床面積の70%以上のもの):31棟
大規模半壊(住家の損壊がその延床面積の50%以上70%未満のもの):5棟
中規模半壊(住家の損壊がその延床面積の30%以上50%未満のもの):1棟
半壊(住家の損壊がその延床面積の20%以上30%未満のもの):3棟
上記に示したとおり、建物のほとんどが全壊かそれに近い状態であり、住民の被災状況と合わせると地区としての復旧はほぼ不可能と思われる。
本件への巨大生物の関連性とその形態の考察
前項で述べたとおり、河野地区の建物はその殆どが全壊乃至は大規模半壊と言う状況である。そして、その建物の損壊状況だが、殆どの家屋が全焼もしくは半焼、つまり火災によるものであったが、一方で倒壊によるものも散見された。一般に老朽化やシロアリなどの害虫によって構造物が劣化する事によって引き起こされるものが多い。しかし、本件で見られた倒壊した建造物において、柱等の構造物の殆どは劣化は見受けられず、いずれも明らかに上から強い圧力をかけられた事により柱等が損壊したとみられる。また、倒壊した建物は北西側の家屋に、そしてそこから200メートルほど直線的に集中している。
また、通報から10分程度で警察や消防が到着しているにも関わらず、その段階で火災が地区中に拡がっていることも注目すべきである。林野火災等でも火の速度は時速4~7㎞、風によっては時速10㎞と言われる(総務省による調べ)。河野地区は日高川を挟んでおり、それが10分という短期間で全て火災に包まれるとは考えにくく、よってこの火災は自然に発生するものではないだろう。
本件の被害を総括すると、全壊した建物は火災や倒壊が中心であり、火災は自然に発生するものよりも明らかに速く、倒壊も上方からの圧力を加えられたことによって損壊している。
加えて、日高地区の日高川付近から北部にかけてS字状の深さ1メートルの溝とその脇に足跡と思しき多数の大穴が存在していた。これは本件に巨大生物が関係する事を示すものである。また、前述の足跡の特徴から、移動方法は基本的には蛇行を行い、足跡が不規則的であることからそれを補助する形で歩行を行っているものと見ることができる。
これら足跡の特徴に類する巨大生物として1963年に出現した「マンダ」が挙げられる。1960年代に太平洋上にムー帝国を名乗る武装集団(ムー帝国は自らを国家と主張したがそれを承認する国家は無かった。)が出現し、太平洋沿岸国へ襲撃を行っていた。当時、マンダは太平洋航路上の輸送船舶や軍艦へ攻撃を行っており、ムー帝国はマンダは守護神であり、攻撃は守護神による天罰と喧伝を行った。結果としてムー帝国は国連の承認した多国籍軍によって壊滅、マンダもその課程で駆除されたが、その形態は蛇のように細長い胴体に手足が付いていたものとされる。
63年当時のマンダは地上へ進出しなかったことや炎による攻撃は行わなかったとされることから、本件の巨大生物がマンダであると直接断定するのは難しい。しかし、一般に蛇による蛇行は腹板と呼ばれる鱗が発達したものによって行われるとされ、本件で発見された溝はその跡に類似し、マンダを検分した調査隊も腹板のような部分を発見しており、マンダに近い生態の巨大生物と考えるべきであろう。
総括
2014年8月に発生した本件は、周辺住民からの通報から10分で警察や消防が到着したにも関わらず地区全体で火災が発生していた。また、翌日から行われた調査では蛇行している深さが1m程度の溝や足跡と思しき巨大な穴が多数発見され、これは1963年に出現した「マンダ」と関連性が見受けられる。
現時点(2014年現在)でマンダと直接結び付ける根拠は出ていないが、今後の継続的な調査を実施することによってより多くの情報が得られることに期待する。
T大学大学院 山根 恭介
「山根君、これはちょっと雑じゃないかな…」
研究棟の一室、その中で教授が半ばあきれ顔でレポートと山根を見比べる。
「ああ、やっぱり」
山根はそれに落ち込むでも異議を唱えるでもなく、その視線を受け止めたのであった。
今回チラッと出てきた『災害に係る住家の被害認定基準運用指針』の諸々です。
http://www.bousai.go.jp/taisaku/unyou.html
度々改定してしまってるので、作中時期(2014年)とは噛み合わないと思いますが…