怪獣の方舟~The Earth of Monster~   作:わいえす!

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小説初投稿。東宝怪獣全部出せたらいいなぁが目標です。


第一編
序章~2014~


少年は見ていた。

両親が映画を撮る姿を。

少年は来ていた。

両親と古の伝説を撮るために。

少年は感じていた。

訪れた村からの視線を。

少年は出会った。

清流のように透き通った少女に

 

 

少年は見た。

血に塗れた両親を。

少年は知った。

村の伝説を知ることの意味を。

少年は走った。

自らを殺めんとする村人達から逃げるために。

少年は走った。

獣道ですら無い森の中を。

少年は走った。

ポッカリと空いた洞窟に向かって。

少年は走った。

月明かりも届かない洞窟の中を。

少年は走った。

あの清流のような少女に止められるまで。

 

 

 

 

 

空が、燃えている。

雲一つ無い夜空に火の粉が舞い散る様を見上げながら、少年はそうぼんやりと考えた。否、そうしなければ少年の心は目の前の光景を受け入れられなかったであろう。

 

 

少年は崖のギリギリまで歩を進め、ふもとにあった村を見ようとする。しかし、数刻前までそこにあった村の姿は見えない。代わりに見えるのは一面の炎と燃え滓のように点在する炭のような何かだけだ。そう、この天まで焦がすような炎の正体は、村を焼き尽くす業火であったのだ。

 

 

すると、ズシンズシンと地面を揺らしながら、よく目を凝らして見てみると、炎と夜闇の間を何かが蠢いているのが見て取れた。少年はその姿を捉えようとより深く見ようとする。そして、その正体を理解したとき、少年の目はその姿に釘付けになった。龍だ。蛇のように長い胴と小さく短い脚、頭部の角と長いヒゲは伝承で言われる龍の姿、まさしくその通りあった。

 

 

炎に白い体を照らされた龍は天高く嘶き、そして地べたに向き直ると口から炎を吐き家や森を焼く。今、眼下に見える村の惨状はあの龍がやったに違いない。しかし、少年はその事実に恐怖を感じることは無かった。むしろ、()()()()()()()()()()()()事を忘れるほど美しく、神々しささえ感じる程であった。

 

 

ふと、龍がこちらを見る。炎に照らされた瞳が少年をじぃっと見つめる。客観的に考えれば、明らかに危険がが迫っている。それにも拘らず、少年は目を剃らすことが出来なかった。それは恐怖のためではない。龍の目が、“彼女”が悲しんでいるように見えたのだ。「決して私が良いと言うまで、目を開けないでください。」数刻前に聞いた“彼女”の声がよみがえる。あの龍が悲しんでいるのは約束を破ったから……?少年が龍と“彼女”を重ね合わせた刹那、龍は踵を返して村を離れていく。まるで自分の姿を見られたくないかのように……

 

 

「待って…」

 

少年の口から思わずそうこぼれる。追わなければならない。追わなければ二度と取り戻せない。そう思ったときには、既に少年は駆け出していた。あの龍の背中を追って……

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