異世界に転生したら人魚になりました   作:花時雨

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地位向上編
01話 目覚めは水の中で


 

  コポコポ…という音が聞こえる。私の体は浮遊感を感じた。何だか暖かいものに包まれてる感じがして、何処か不思議な……それでも心地よい感触がした。…やべぇな、自分で何言ってるかわかんねぇ(白目)

  けれどもう少しこうしていたい……そう思ったが、何だかそろそろ起きなきゃいけなかった気がするので私は目を開けた。

 

「…は!?」

 

  目を開けると、そこは水の中だった。今の今まで息をするのも忘れて水に流されていたのか…!と思い、急いで地上に上がろうとするが上手く泳げない。それどころか足をバタバタとしている感覚すらない。てか私泳げないじゃん!!

  そう思ったが、泳げなくても足ぐらいバタバタ出来るはずだ。

  それなのに足をバタバタしている感覚が無いので何で?と思い下を見ると、下半身が魚みたいになっていた。なんてこった。これじゃあまるで……

 

「人魚だ……」

 

  飾りではなかった。

  足を開こうとしてみるが何だか足の感覚が無かった。本物か?と疑問に思って尻尾をつついてみるとくすぐったかった。

  何なんだ、これは…と思考をぐるぐる回すがどう考えてもこの状況の答えを導き出すことは出来なかった。

  だんだんと冷静になってくると水の中なのに息が出来ていることに気付いた。

  とりあえず溺死することは無いと判断したがここは何処?何で人魚に?何で水の中で喋れるの?何で息が続く?などと疑問は尽きなかった。だがこれに答えてくれる者はいない。

 

  そういえば何故私はこんな所にいるんだろう。

  その疑問が頭に過ぎる。

  えーっと…焦るな…落ち着け……思い出せ、私。自分のことだろ?自分と昔のことをよぉーく思い出すんだ。

 

  私の名前は夕凪(ゆうなぎ)(みなと)。春に高校生になったばかりの華(笑)のJK。特技は物作り。苦手なことは水泳。後…

 

  ……あぁ、そうだ。思い出した。死んだじゃん、私。一年生恒例行事のオリエンテーション合宿で。

  行き先は海付近にあるキャンプ場。夜の肝試しで殺人犯に出くわしてシャベルで殴られて、逃げてる途中に崖が崩れて海に落ちたんだっけ?それで溺れて死んだのかぁ…けど海に落ちた後の記憶が無いや。それに真っ暗だったから崖の存在に気づかなかったんだよなぁ…

  …いや、よくよく考えてみると何だこの不幸のトラブル続き。私の近くに小さな名探偵でもいたの??

 

  まあ、こんな姿(人魚)になってしまったので異世界にでも転生したのだろう。ちょっと色んなことが起きすぎて異世界転生に現実味が無いが。

 

  …さて、これからどうしようか。水の中だってことには驚いたけど、人魚になった影響なのか、水中での呼吸は出来るようだ。声もちゃんと出るから会話が可能。まるで空気がまとわりついているみたいに。ちょっと不思議である。一体どうなってるのだろうか。

 

  人魚という体は人間だった私にとって慣れないものなので、まずは泳ぎ方を覚えた方がいいな。そうじゃなきゃ先に進めない気がする。何かに。知らんけど。

  そうと決まれば泳ぐ練習だ。前世、水泳は得意では無かったが、今世ではどうだろう。もしかして水泳が苦手だったから水泳能力が高いとされる人魚に転生したのだろうか。…いや、まさかね。

  とりあえず今は泳ぐ練習だ。けど水泳が苦手なのに泳ぐことは出来るのだろうか。…まあ、細かいことは気にしない方がいい。何事にも挑戦だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  どのくらいの日にちと時間が経ったのかはわからないが、大分泳げるようになってきた。そこで疑問に思ったのだが、私は食事をしなくてもいいのだろうか。目が覚めてから何も口にしていないが全く食欲が湧かない。いや、言い方が悪いな。空腹にならない。

  眠気はあるので睡眠は必要だが。…え?水中なのにどうやって寝てるのかって?

  いやいつの間にか寝てるんだよね。そしていつの間にか起きている。怖いね。魚みたい。いや、魚とはちょっと違うか。

 

  水の中は思いのほか明るかった。けど若干暗い部分もある。そして全然魚が見当たらない。何故だ。

  だんだんと泳げるようになってきたので、地上に向かって泳いでいく。うん、大分慣れてきた。

 

  バッシャーン!

 

  水しぶきを上げてやがて地上に顔を出すと、そこはなんと洞窟の中だった。ということは私が今までいた所は海でも湖でもなく洞窟内にある地底湖だったということか。

  じゃあ何で明るく見えていたんだ?と思ったら周りにはキラキラと光っている鉱石がたくさんあった。虹色に輝いていてかなり綺麗だ。

  なるほど、これが照らされて水中が明るかったのか。かなりの量だし、明るさも十分にあるからそりゃ明るいわ、と一人で納得した。どうやらこれは光源の役割も果たしているようだ。

 

「……そういえば何も着てない」

 

  今更感が半端ないのだが、下半身は魚になってるからいいとして、上半身は素っ裸だった。つまり、人間で言うと何も着ていない状態。ここが異世界だとしたら洞窟を探索しに、冒険者でもやって見つかったら痴女呼ばわりされかねない。これは何としても避けなければ、私の心がもれなく砕けます()

  だがここは洞窟。都合よく服が落ちてるはずがない。ゲームの場合、こういう所には何処かに宝箱がありそうだけど、下半身が魚のため歩くことが出来ない。

  まあそこら辺のイメージをぶち壊してぴょんぴょん飛び跳ねながら歩く人魚とかたまにラノベや漫画で見かけるけど私はそこまで器用ではない。てかアレどうやってんの。

 

「……戻るか」

 

  バシャン!と私は再び地底湖の中に潜った。地上に出ても何も出来ないし、何より服を着ていない状態なのでいつまでもあそこにいるわけにもいかない。人が来たら大変だからね。

  それにしても…地底湖というのがかなり残念だ。海だったら色んなものがあると思うけど、地底湖だったらかなり範囲が限られている。しかも私は人魚だから地上を歩くことが出来ない。つまりここから出られない。詰んだ。

 

  洞窟だから太陽も見えないのでどのぐらいの時間が経っているのか、何日経っているのかもわからない。けど確実に時間は経っている。

  睡眠は必要だが、食事は必要ない。人魚にとって水の中が家みたいなものだから、家も必要無い。これ人間だったら詰んでたな。洞窟からのスタートだから外に出なきゃ食料は手に入らないし。いや、外が森かどうかは不明だけど。そもそも人間だったら水中からスタートだと即死するか。

  まあ、その辺に関しては有難いっちゃ有難いけど、一人となるとかなり暇だ。ここにはスマホもゲームも無いから実に暇である。…いや、人魚は水中で生きるのが普通だからスマホなんか使ったら水没するわ。

  私は暇を持て余すように、地底湖はどのぐらいの広さなのか、どのぐらいの深さなのか、何があるのか、と色々探索した。ちなみに何も無かった。

 

  そしてここに転生してからかなりの日にちが経った。

  意識してから30回ぐらいは寝ているから1ヶ月以上は経っているはず。そこら辺でめんどくさくなって数えるのをやめたから実際どのくらい経っているかわからないけど。

 

  二足歩行が出来るなら速攻で洞窟から出て世界中を見て回るだろうな…その前に服をどうにかしなければいけないけど。

  はぁ…と地上に上がり、固い地面に座ってため息をついていると、微かだが、ちゃぷん…と地底湖に何かが落ちた音がした。

 

「ん?」

 

  すぐさま顔を上げるが、何も無い。少し波紋が広がっている程度。

  勘違いか?と思ったら、今度は勢いよくヒュンッ!と、猛スピードで何かが水の上を走って(?)いった。

 

「…え?」

 

  微かに見えたのは水色の物体。何あれ。凄いスピードなんだけど。

  けれど私は初めての生き物(?)を見つけて心が踊った。自由なのに自由ではなかったこの退屈な空間から抜け出せるかもしれない。

  そう思って私は水色の物体の後を追った。だがそれはスピードを出しすぎたせいか地上に出て何処かに行ってしまった。地上に出てしまったからにはもう追えないので私も追うのを止める。

  何か起こると思ったんだけどな…と落ち込み、地上に上がって地面に座った。すると、

 

《解。固有スキル「人間化」を使用しますか? YES/NO》

 

  突然、私の頭の中に声が響いた。何処からか聞こえるわけでもなく、本当に頭の中で。

  え?………え?誰??

 

《解。ユニークスキル「理解者」の効果です。能力が定着したため、速やかな反応が可能となりました》

 

  あ、ハイ……それで、「人間化」というのは?

 

《解。その名の通り、人魚から人間になれることです。人魚族(マーメイド)の固有スキルの一つでもあります》

 

  あ、やっぱり私、人魚だったんだ。…ん?人間になれるということは、二足歩行になって地上を歩けるってこと!?(時差)

 

《解。固有スキル「人間化」を使用しますか? YES/NO》

 

  もちろん、YES!

  すると体…というより足が光に包まれ、数十秒経った後に、魚の尻尾は無くなり、念願の人間の足があった。

  嬉しくなって足をばたつかせて、水をじゃぶじゃぶとした。違和感無く動かせる。久々の感覚に私は更に心が踊った。

 

「〜〜!……〜〜…(やった!……って…)」

 

  ……あれ?

 

「~~!〜〜〜!!(あー!あーー!!)」

 

  声が……出ない?何で?

 

《解。「人間化」の代償として「人魚姫の呪い」がかけられています》

 

 「人魚姫の呪い」!?ということは、童話と同じく人間になるための代償として声を失った……ってことか…でも人魚の時は普通に声を出せたから人間の時だけ……って…

 

  また服着てない!!

 そういえば人魚姫も人間になった時服着てないんだったっけ。…あれ、どうだったっけ?

  けど…う〜ん、どうしよう。せっかく人間になれたのに素っ裸のままじゃさっき見た水色の物体を追いかけることも出来ない。いや、その物体に意志があるかどうかだけど…

 

《解。ユニークスキル「生成者」を使用しますか? 

 YES/NO》

 

  は?「生成者」?……よくわからないけど、YES…?

  ……うん?何も起こらないな。私の声が届いてなかったのか?

  そう疑問に思ったら手元にパサッ…と衣服が現れた。

  それは下着と白いワンピースだった。どちらも見覚えのあるデザインで、ワンピースの方は生前私が小さい頃に気に入っていつも着ていたものだった。けどあの時のものとサイズが違い、大きい。

  けど何故ここに?ご丁寧に手元に落ちてきたからこれは着てもいいということだろうか。

 

  考えても仕方ないし、素っ裸でウロウロするのも恥ずかしいし違和感があるので着てみた。すると恐ろしいぐらいにサイズがピッタリだった。

  ちょっと寒気がしたが気の所為ってことにしておく。

  もしかするとさっき「理解者」が言っていた「生成者」で服を作ったとか?

 

《解。ユニークスキル「記録者」の「記録再現」とユニークスキル「生成者」の「原料生成」により作成しました》

 

  な〜るほど。スキルの能力が気になるけどさっきの物体を追いかけるのが先かな。

 

  そして私は内に秘めたワクワク感を振り払うように物体が向かっていった方向へ走り出した。

  久しぶりのこの疾走感。再び人間として走れることが出来てたまらなく嬉しかった。声は出ないけど。それ以外は普通に人間だから何ら問題ない。

  …あ、人間になったら食事や睡眠は必要になってくるのか?

 

《解。「人間化」すると身体が人間と変わりないので食事や睡眠が必要となってきます》

 

  なるほど。それは少しめんどくさいな。

 

《告。人魚は水さえあれば十分に生きていけます。外見は人間ですが中身は人魚に変わりないので水を飲めば食事同様の栄養分を得ることが出来ます》

 

  おぉ。じゃあ水を飲んで睡眠を取れば人間の姿でも普通に生きられるってことか。

  まだ距離はあると思うからこの際聞いてみるけど、ユニークスキル?ってどんな能力があるの?ていうかスキルって何?

 

《解。何らかの成長を世界が認めた際に希に獲得出来るのが「能力(スキル)」です。

  現在所持しているユニークスキルは3つです。詳細を展開しますか? YES/NO》

 

  もちろんYES!

 

《了。ユニークスキル「生成者」の効果…

 

  種子生成:あらゆる種子を生成する

 

  食物生成:あらゆる食物を生成する

 

  鉱石生成:あらゆる鉱石を生成する

 

  原料生成:あらゆる原料を生成する

 

  以上の4つが主な能力です》

 

  種子と食物と鉱石、そして原料を生成出来るのか…戦闘向けじゃないけどかなり凄いかも。

  後は「記録者」と「理解者」…その能力も説明してくれる?

 

《了。ユニークスキル「記録者」の効果…

 

  記録:自信が五感で感じた体験全てを記録する

 

  記録目視:今まで記録したものを見ることができる

 

  記録再現:今まで記録してきたものを再現し、造形することが出来る。複製も可能。ただし記録に無いものは再現出来ない

 

  記録共有:今まで記録したものを相手に見せる

 

 以上の4つが主な能力です》

 

  ………え、やば。能力自体は少ないけど、内容がかなり凄い気が…いや「生成者」もか。

  ただ日記みたいに起こった出来事を記録するだけかと思ったけど全然違ったわ。

  特に「記録再現」って今まで記録したものを再現出来るから凄いな。これと「原料生成」を組み合わせて服を作ったのか。

  じゃあ、最後に「理解者」お願い。

 

《了。ユニークスキル「理解者」の効果…

 

  思考加速:通常の1000倍に知覚速度を上昇させる

 

  解析鑑定:対象の解析及び鑑定を行う

 

  並列演算:解析したい事象を思考と切り離して演算を行う

 

  詠唱破棄:魔法等を行使する際、呪文の詠唱を必要としない

 

 森羅万象:この世界の、隠蔽されていない事象の全てを網羅する。 

 

  言語解釈:あらゆる言語を解釈する

 

  以上の6つが主な能力です》

 

  おぉ、言語解釈はかなり有難い。異世界の言語が日本語とは限らないからなぁ、うんうん。

 

「(あ)」

 

  走りながらスキルの能力の説明を聞いていると、誰かの声がした。

  走る足を止めて、ゆっくり歩く。恐る恐る岩陰から覗いて見ると、そこには黒く光る鱗を持つ巨大な竜と透き通る水色のボディーを持つ一匹のスライムが。

 

「(…いやどういう組み合わせだ、あれ)」

 

  最強の竜と最弱なスライムってほんとどういう組み合わせだよ。

  …あれ?てことは、水の上を走って(?)いたあの物体はスライムだったのか。

 

(我が名は暴風竜ヴェルドラ!この世に4体のみ存在する、“竜種”が1体である!クァーーーハハハハ!!

 …む。おい、怯えるなと言ったろうが)

 

  いや、無理があるでしょうよ…

  少し離れている私でも怖いと思っているのに、スライムなんかは目の前だし。

 

  けど竜が怯えるなと言っても、スライムはまだぷるぷると震えている。何だか見ていられなかったので私は岩陰から出てスライムを抱き上げた。そして安心させるように撫でる。

  するとぷるぷると震えていたスライムボディーはやがて落ち着きを取り戻した。

  …リアクションがあるということは、意志があるのかな。

 

(む、やっと出てきたか)

 

  …何も考えずに出てきちゃったけど、目の前には自分より倍のある竜。そして膝の上にはスライム。…スライムを撫でながらデカい竜を見ているとか結構シュールな絵図だな。

  ………うん?あれ??この竜、やっと出てきたって…まさか…

 

《解。気づかれていたかと》

 

  うわぁ…まあ、強そうだし私程度の気配を察知するのなんてそりゃ簡単でしょうね……

 

  …まあいい。それより会話だ。この世界に来てから初めて生き物と接触したのだ。せっかくなら会話したい…んだけど…

  …え〜っと、これ、どうやって会話すればいいの?私声出ないし……人魚に戻った方がいいの?ていうかどうやって戻るの?

 

《告。念話を使うことを推奨します。人魚に戻る場合は固有スキル「人魚化」で戻ることが出来ます》

 

  なるほど、変身は自由……っと。

  それより念話…か。念じれば話せるってことだよね。やってみるか。……落ち着け…落ち着け……よし!

 

(えっと……こ、こんにちは?)

 

 




ユニークスキル「理解者」についてですが、オリ主のためにあらゆるものを“理解”し、応えるというスキルです。なので「大賢者」みたいな感じと思ってくれれば大丈夫です。


「けど頬を抓っても痛みはあるのでまさしく現実だ。」→読み返してみたら痛覚無効を獲得してるのに痛みがあるなんておかしくね?と思ったのでこの一文は消しました。

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