ウルトラマンX ~怪獣の魂を宿す少女達~   作:火野ミライ

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「こちらがGIRLSの隊員証明証となります」
「どうせならお前が本物の怪獣になって、あのいじめっ子たちを消してくれたらいいのに……」
「あなたが、ピグモンの言っていた怪獣研究者ね」
「スケドンは大人しい怪獣で、身に危険が起きた時に全身のトゲ反撃する怪獣です!」
『これはマイナスエネルギー! そうか、だからあの怪獣私たちを無視して……』
「特に復讐心に同調して暴れた可能性が高いです。その復讐相手である人物もしくは集団と、スケドンに同調している人物本人の発見が早急に必要です」
「勝って、良い知らせを真っ先に伝えれば良い」
「ウルトラマン! 怪獣を、スケドンを止めて上げて!」
「私は夏川なつみ、悠然怪獣スケドンって言う怪獣の怪獣娘です。好きに読んでくださいね!」

[OP.ウルトラマンX]


第4話:ワン・フォー・オール(A)

雲を切り裂く影が一つ。黒い翼を広げ飛行するはカラス天狗を思わせる白黒の体色に胸部には赤く輝く十字、鋭い爪を持ち頭部には赤い瞳のような模様。【破滅魔人 ブリッツブロッツ】の瞳が今にも崩れそうなビルを支えているエックスの姿をとらえる。両腕をエックスに向け腕に付いたガントレットの様な物から放たれる赤い光弾。

 

「グァァーーーーッ!」

 

「キェーーーー」

 

光弾の奇襲を受けエックスのカラータイマーが赤く点滅を始めた。膝から崩れ落ちそうになるのを何とかこらえ視線をブリッツブロッツへと向ける。攻撃を受けてもビルを離さない……… いや、離せないエックスをあざ笑うかのように肩を揺らすブリッツブロッツ。

 

「「キャーーァアア!」」

 

「大丈夫、落ち着いて逃げて!」

 

エックスが支えるビルの中では今もなお人々が残っており、その避難誘導をする一人の怪獣娘。眠たげなジト目、色鮮やかなオレンジの髪、一本の角と尻尾が付いたパーカーを纏うは【アギラ】。こけた3歳ほどの少年を立ち上がらせて優しく微笑む。

 

「あっちだ! あっちに逃げろ!」

 

そのビルの玄関で腕を振り比較的安全な道へ誘導する怪獣娘が額に汗を浮かべながら声を荒げていた。彼女は【ミクラス】、四本の角を持ち全身のあちこちにボディーペイントが施されており、野生児の様な力強さを感じさせる。

 

しかしその瞳に宿るは不安。視線を上にあげるとブリッツブロッツの爪で背中を何度も切り裂かれ、苦しそうにビルを押さえている姿が良く分かる。

 

「っく!これじゃ巨人…… エックスの体が持たないよ」

 

切口から血のようにホログラムの輝きを散らすエックス。カラータイマーの点滅が早くなりついに膝から崩れ落ちる。その姿に気分を良くしたのエックスの背中を必要以上に何度も何度も踏みつけるブリッツブロッツ。

 

「ウルトラマンエックスさん。今、助けます!」

 

その様子が良く見えるビルの屋上へとやってきた銀色の髪を靡かせる怪獣娘。眼鏡の上から頭部の目の様なゴーグルを付け、額にエネルギーを溜める。ゴーグルに備わっているスコープ機能でブリッツブロッツの本当の青い瞳をロックオン。額から放たれたレーザー光線が左目を貫く。

 

「やった!」

 

どこかメカっぽさを持つ怪獣娘の【ウインダム】は右手を握りしめ、喜びを現す。しかしその油断がいけなかった……

 

「キェーーーーッ!」

 

「………へ?」

 

先の一撃を受けブリッツブロッツは標的をエックスからウインダムへと変えたのだ。片目を失ったとは思えない程の正確さで腕の砲門を彼女にいるビルへと向ける。その光景に顔を青くするウインダム。彼女に逃げるよう叫びをあげるミクラスとアギラ。

 

砲門にエネルギーが充填されていく中、瞼を閉じ腕で顔を覆うウインダム。誰もが助からないと心のどこかで思っている中、現実とは時間の流れが異なるエックスのインナースペースにいた大地が動き出す。左手を背中に伸ばしベルトにぶら下げていたポーチから1枚のサイバーカードを取り出し、エクスデバイザーに装填。

 

「頼むぞ、ゴモラ!」

 

『リアライズ』

 

カードがスパークドールズへと変わり、それを手にした大地がエクスデバイザーへリード。電子音声がインナースペース内で響き渡る中、現実世界で変化が起きる。

 

「キェーーーー」

 

「マジかよ………」

 

ブリッツブロッツから光弾が放たれたその瞬間、ウィンダムの盾になるかのようにポリゴンが集まり1体の怪獣へと変わる。何処からともなく突如として表れた怪獣にミクラスが唖然と呟く。

 

「ギャオォォォーーー!」

 

光弾を受けてもなんともないメカニカルなボディ、色は青を基調とし胸にはエックスの字のライン。左右合わせて三日月に見える2本の角と額から伸びる角、計3本の角が日の光に反射して輝く。両腕には[G]の文字が刻まれた巨大なかぎ爪。

 

「………ゴモラ?」

 

その姿にゴモラを重ねたアギラ。それもそうだろう、なぜならこの怪獣は大地が持つゴモラのスパークドールズから作られた【サイバー怪獣】。それ故にサイバーゴモラにはゴモラ自身の意思が宿っており、その肉体はゴモラの第2の体と言っても過言ではない。

 

「私を守ってくれた……?」

 

ウインダムの疑問に黄色く輝く瞳を向け小さくうなずくとブリッツブロッツへと静かな怒りを向け吠える。一羽のカラスが空へ舞い上がったのを合図に【電脳怪獣サイバーゴモラ】とブリッツブロッツが衝突。ブリッツブロッツの正確無慈悲な連撃を強固な装甲で受け止めると爪で反撃。

 

「エックスゥー! 中の非難は終わったよぉーー!」

 

放たれる破壊弾も鋭い手刀も弾いていき、確実に攻撃を当てていくサイバーゴモラ。一方のエックスはビルに取り残された人々の非難が終わった事をアギラから告げられるとビルから手を放し立ち上がる。

 

『行けるか、大地?』

 

「あぁ!」

 

エクスデバイザーを持つ手に力を込める大地。エックスもそんな大地の姿を見て懸念点をいったん頭の中からどかし、サイバーゴモラの胸部を蹴り飛ばしたブリッツブロッツに向け矢尻状光弾を連射する【Xダブルスラッシュ】を放つ。

 

「キェーーーーッ!」

 

「デェェヤァーーー!」

 

「ギャウォオオーーーーン!」

 

並び立つエックスとサイバーゴモラ。何の合図もなしに同時に駆け出し阿吽の呼吸ブリッツブロッツを攻め立てる。エックスの攻撃隙にサイバーゴモラが。サイバーゴモラの攻撃で怯んだところにエックスの追撃が。エックスば吹き飛ばされるとサイバーゴモラがすかさずフォローにまわる。

 

「………すご」

 

「なかなかのコンビネーションですね」

 

「よっしゃー! そこだ、いけぇーーー!」

 

アギラ・ウインダム・ミクラスが三者三様の反応を示す。以心伝心の無駄のないコンビネーションにブリッツブロッツはなかなか反撃できずにいた。

 

しかしそれは当然だろう。なぜならエックスとサイバーゴモラは大地を中心に互いのやりたい事が伝わっているのだ。と言うのもサイバー怪獣の実体化には怪獣と使役する人間の心を理解しあい、脳波を同調させることが必要なのだから。現在、サイバーゴモラを操るのは大地。大地が幼き日から共にした彼らは家族同様の絆で結ばれている。

 

そしてエックスが肉体を得て戦うには生命体が放つ独自の波長が近い大地と【ユナイト】する必要があった。現在のエックスはかつての戦いで肉体を失い、一種の電子生命体のような状態。自身の魂を宿したエクスデバイザーを用いて大地と心を一つにさせている。

 

詰まるところエックスもサイバーゴモラも大空大地の思考に合わせて動いているのだ。実質的に言葉を返さずに思考を共有し、思い通りに動くもう一人の自分と一緒に戦っている状態。

 

しかしこの戦い方は大地に想像もつかないような負荷がかかる。エックスとユナイトする事で心身共に披露していく中、脳波を同調させたサイバーゴモラに指示を出す。元々はどちらか一つだけでもかなりの疲労が溜まるものであり、今回の様に同時に使うのはサイバーゴモラの初陣以来。だからこそ先程エックスは大地を心配していた。そして心配しているのはゴモラも同じ。

 

「ギャウォオオーーーーン!」

 

「イィーーーッサァァーー!」

 

全身を使ったサイバーゴモラの【大回転尻尾打撃】、そして似たような体制で放たれたエックスの踵蹴の同時攻撃がブリッツブロッツに命中。その威力に耐えきれずに地面へ倒れこんだ。

 

「エックス、あの技で決めよう」

 

『あの技って…… あの技か!』

 

「まずはそのための布石だ。ゴモラ、サイバー超振動波だ!」

 

空へ飛びあがるエックスを他所にサイバーゴモラは爪と角にエネルギーを溜め、一気に接近。空中で体を丸め込み炎を身に纏うのを他所に、ブリッツブロッツにゴモラの爪が突き刺さり直接体内へと超振動を流し込まれる。

 

『「アタッカァ………」』

 

【サイバー超振動波】のエネルギーに耐えきれず身体のあちこちから火花が散るブリッツブロッツを上空高くへと放り投げたサイバーゴモラ。

 

『「エックスーーーーッ!」』

 

エックスよりも高い位置へと投げ飛ばされたを確認しブリッツブロッツに向けて両手両足を大きく広げ、身体に纏っていた炎を[X]字にして放つ。眩い光を放ちながら迫る炎の塊は必殺の一撃。【アタッカーX】をまともな防御体制もとれずに受けたブリッツブロッツは爆散。

 

「ギャウォオオーーーーン!」

 

エックスの勝利を見届けたサイバーゴモラは元のデータへと戻り、インナースペース内の大地の元へと帰る。エクスデバイザーに戻ってきたサイバーゴモラのカードに笑いかけた大地。エックスへ向けられた称賛の声を背に空の彼方へと飛び去った。

 

人々の視界からエックスの姿が消えたころ、人気のない場所で無数のポリゴンの輝きが集まり大地へと変わる。戦闘のダメージでふらつく体をビルに預け、違和感を感じる背中に手を添えた。

 

「いてて……」

 

『大丈夫か大地!』

 

「ちょっと幻覚痛が……」

 

軽くエックスと会話を交えながら息を整えると大通りへと歩みだす。戦闘の余波であちこちから煙が上がり、風でビルの瓦礫が落ちてくる様を目にする大地。視界に広がる光景に苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべているとそこに3つの影が駆け寄って来た。

 

「大地博士~~!」

 

アギラ・ミクラス・ウインダム、【かぷせるがーるず】と言うのトリオチームを組んでいる3人だ。その内の一人ミクラスが大声で大地呼び、腕を大きく振っている。少し無理をしながらも穏やかな笑みを浮かべ、彼女達に手を振り返す。

 

彼女達かぷせるがーるずとはミカヅキ経由で交流をしていた大地。本日はラボチームの部屋に置く物を視察・購入しに来ていた。その最中で彼女達で出会い、流れで一緒に過ごしていたのだ。

 


 

それから時間が進み、月光が廃れたガソリンスタンドを照らす。そこに一台の小さな円盤が衛生や監視カメラを掻い潜り着陸。円盤の扉が開き異星人が降り立つと一直線にガソリンスタンドへ。

 

居眠りをしていた夜勤勤めの男性にその手に持つスパークドールズを向けると冷気が放たれ部屋物とも凍り付く。その後わき目を振らずガソリンを根こそぎ奪い、円盤へ戻ると空へ飛び立ち文字通り透明となり消えた。

 

同時刻、ミカヅキと同居しているアパートで大地は大きな機械を組み立てていた。最後のネジを締めドライバーを机に置くと起動させる。そのままコードが繋がったヘッドフォンを装着すると不思議な音色が響き渡った。その音の正体は宇宙の音色。

 

ヘッドフォンに耳を傾け宇宙が奏でる不思議な音に没入する大地。肩から力を抜き背もたれに体を預け、意識を閉ざしていく。夢の中へと誘われた大地。そんな大地の姿に小言を言いながらも「昼間の戦いは過酷だったからな…」と自身も眠りに就くエックス。故に二人は気が付かなかった。

 

__.____.._

 

星の音色に交じり地球に向けて放たれた警告音に…………

 


 

「えぇぇーーーーーーーーー!?!?」

 

朝早いGIRLSのオフィス、4人しかいない部屋でミカヅキの声が大きく響き渡る。その声に一台のパソコンに向き合って手元の書類と見比べながら作業を進めていた大地とランの手が止まる。3人の視線を一身に受けながら不満の声を溢す。

 

「ダイ君、今日もアギちゃん達と一緒なの!」

 

「昨日ダイダイがアギアギと一緒にいたのは偶然ですし、今日アギアギ達3人と一緒に行く仕事は新設されたラボチームの為に海外から戻って来る怪獣娘さんを迎えに行くためです。だから同じ部署で働くダイダイが一緒に行く方が挨拶と交流が同時に出来るからなんですよ」

 

早朝のオフィスで繰り広げられるミカヅキの愚痴。それに対し諭すように優しく言葉を紡いでいくピグモン。

 

「ム~~ッ!」

 

頭ではピグモンの言い分を理解しているミカヅキ。それでも気持ちの方で納得が行かず頬を含まらせ、うねり声をあげながらもオフィスの椅子へと座り込んだ。そんな彼女の様子にランは溜息を吐きながら、大地と共にパソコンへと向き直る。

 

(宇宙は違っても地球の女性は気難しんだな…)

 

朝日の明かりがオフィスを優しく包む中、大地の腰にマウントされたエクスデバイザーの中でエックスはシミジミと感想を心の中で呟く。そんな彼の様子に気が付く事は無くそれぞれの仕事を進めていき、やがて時計の針は9時を示す。

 

「後はソフトがこの音を日本語に翻訳してくれると思います。翻訳が終わったら俺にメールでも送ってください」

 

「分かったわ」

 

椅子から立ち上がり服装をただす大地の言葉に返答したランはパソコンの前へと座り画面と見つめ合う。そんなランの様子を気にも留めずに近くに置いてあったカバンを手にすると部屋の外で待っていたかぷせるがーるずの3人と共に、目的地に向けて移動を始めた。




To be continued
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