ウルトラマンX ~怪獣の魂を宿す少女達~   作:火野ミライ

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第4話:ワン・フォー・オール(B)

タクシーに乗り羽田空港へとやって来た大地達は遠くから来る怪獣娘を待ちわびている。

 

「そう言えば今更なんすけど、これから会う怪獣娘ってどんな子なんすか?」

 

「はぁ~」

 

頭を掲げ疑問を浮かべるミクラス。そんな彼女の姿に溜息を吐き額に手を当てるアギラ、その横では懐からソウルライザーでこれから会う怪獣娘の情報を閲覧するウインダム。

 

「オーストラリア人とのハーフで【健啖宇宙人ファントン星人】の怪獣ソウルを持つ怪獣娘みたいです」

 

(___ファントン星人)

 

画面に映るGIRLSの資料を読み上げていくウインダム。その声をBGMに思いふける大地。彼女達も、ファントン星人の怪獣娘をスカウトしたGIRLSも知らぬ事だが、大地とファントン星人の間には切っても切れないある縁があった。

 

大地の元居た宇宙で同じ組織でサイバー怪獣を含めた様々な研究を共にしたファントン星の科学者【グルマン】。時には彼の助力を受け、大地は自身の目標でもある人類と怪獣の共存に向けて研究を進める小手が出来ていた。

 

更には大地がウルトラマンエックスとして戦っている事を早々に察し、何も言わず協力してくれた事もある。そんな彼がこの宇宙でファントン星人の魂を受け継ぐ少女と共に研究をする事となるのは、運命なのかもしれない。

 

「様々な学会で成績を残す天才的な知識を買われ、GIRLS東京支部に引き抜かれオーストラリアから来ると書いてありますね」

 

「マジか!? こいつ滅茶苦茶すごいじゃん!!」

 

「あれ? でも今日は北海道からの便で来るんだよね…?」

 

「え~っと……… 資料には母親の実家が北海道らしいので祖父祖母に挨拶してから来るんじゃないのでしょうか?」

 

「そっか」

 

瞼を閉じ、Xioのラボチームとの思い出に独りでに浸る大地。そんな彼の様子に気が付かず、周りに迷惑にならない声量で会話を広げる少女達。そんな彼らの元にキャリーバックを転がす二人の少女が近づいてくる。

 

「やぁやぁ! 我がアカシックブレインを欲しているのは君達か!!」

 

「____え?」

 

周囲にいる人々などを気にも留めず声をホーム中に響き渡るせるは、金髪と黒目が特徴的な彼女。

 

かっちゃましいミア! 空気がわやや」

 

唖然とする大地達だけでなく周囲の人々の視線を一身に受けながらも胸を張る少女に背後から同じくキャリーバックを引きずる少女がその後頭部を叩く。パッチンと軽快な音が響き渡る中、後頭部を押さえその場でしゃがみ込むミアと呼ばれた少女。

 

「あ~の、あなたは?」

 

「【荒木鷹(あらきよう)】、一応はベムスターの怪獣娘。こっちの厨二病は【佐々木(ささき)ミア】、私の幼馴染で皆がお待ちかねのファントン星人の怪獣娘しょや

 

「ちょっと鷹! いくら永久なる友情を紡ぎ者(エターナルフレンド)だからって我が真名を勝手にばらさないでよ!」

 

「いや、大空博士はミアの上司になる人だべさ。きちんと名乗っておかんと」

 

「そんなの鷹には関係ないし! 上司とか大人とかそんなちんけな存在に我が頭を下げる必要なかろう!」

 

語尾を荒げ独自性の強い単語を発するミアを埃を払うかのように訛った言葉であしらっていく鷹。言い争う二人を見つめるミクラスがアギラに尋ねる。

 

「なぁアギちゃん、何言ってるか分かる?」

 

「ボクに聞かないでよ………」

 

「荒木さんのはちょこっとだけだったら分かるよ」

 

「そうなの?」

 

「うん、前の職場で同じように北海道弁を喋る人がいたからね。でも佐々木博士の言葉はさすがに………」

 

(ま、まさかこんな所で厨二言語を巧みに使う人と出会えるなんて!)

 

飛び交う言葉に交じった単語に頭を捻らせる3人を他所にウインダムが心を躍らせていた。

 

「ゴッホン!! ともかく汝らに我が知恵を授けてやろう!あぁ、そなたらの名は既に把握してる故、自己紹介はいらん!」

 

「そ、そうですか」

 

「ひとまず我と同じく、輪廻の理から授かりし力を秘めたる者達よ、脱げ」

 

「「「はぁ!?」」」

 

「ミアは怪獣娘ではなく、普通の少女としての姿を見せてほしいようです」

 

独自性の強い言葉使いのミアに大地は不安を隠すように頬を書くのであった……

 


 

場所は変わってGIRLS、宇宙から送られてくる信号の翻訳を進めるコンピューターを見つめるランの元に慌てた様子で通ってくるピグモン。滝のように汗を流し息も絶え絶えの中、言葉を紡ぐ。

 

「エレエレ!今すぐ第3会議室に来てください!」

 

普段からのほほんとして場の空気を和ませる彼女のにしては尋常ではない程の焦りよう。らしからぬ姿をただ事で無い事を感じたランは今は何も言わずピグモンの後を追い会議室へと向かった。

 

『き__K__。地きゅ_____犯___S____』

 

学習に学習を重ね、少しずつ日本語に変化していく画面から視線を外しやって来た会議室。そこには既にミカヅキとレッドキング、そしてかぷせるがーるずの少し後にGIRLSへとやって来た【ザンドリアス】の怪獣娘の姿があった。

 

「すいません皆さん、急に集まってもらって」

 

「気にすんな!」

 

「それで、何が起きてるの?」

 

ランを呼びに行くついでにオフィスでコピーした資料を集まったメンバーに配りながら謝罪するピグモン。そんな彼女に何でもない様な態度を取り、ランは渡された資料を読みながら本題を切り込んでいく。

 

「資料を用意する時間も惜しいので資料は報告書の物をです。ですので私がかみ砕いて事の顛末をお話ししますが、質問は後で受け付けます。最初はお手元の資料に記載された写真を見てほしいのですが、こちらは都内から離れた山奥のガソリンスタンドの写真です」

 

「うひゃ~~、凍っちゃってるじゃん!?」

 

「はい、ゴモゴモの言う通り綺麗サッパリ凍っています。発見されたのは今から1時間ほど前で利用しよとしてた20代女性により発見・通報されました。現場には従業員の凍死死体が放置されており、ガソリンが1滴も無かったの事」

 

あくまでいつも通りの口調で語っていくピグモンであったがその声色自体は真剣そのもの。彼女の説明を受け、事の深刻さを感じ取る3人。一方、この中では一番経験の浅いザンドリアスが自身の感想を零す。

 

「これって冷凍能力を持つ怪獣娘が私の様に暴走したのでしょうか?」

 

「それだったら不謹慎だけどマシかな~」

 

「それってどう言う……?」

 

「世の中には怪獣と言う常人を遥かに凌駕する力を振るう事に躊躇しない連中もいるのよ」

 

「なにより盗みを行ってる時点で黒だろうよ」

 

後輩の素朴な疑問に対し先輩達が答えていく。そのやり取りがひと段落したのを確認したピグモンがこれからの方針を伝えていく。

 

「これから私達は警察と連携して犯人の捜索に当たります。見つけしだい戦闘に入ると想定されますので常に怪獣娘の姿での活動をお願いします。アギアギ達へはメッセージだけを送り博士の声に努めてもらいましょう。既に死人も出ていますし、気を引き締めてください」

 

「よっしゃ!ザンドリアス、俺達は付近のパトロールだ」

 

「分かりました師匠!」

 

「それじゃあ、私は現場の調査に行ってくるね」

 

「私は監視カメラの映像を調査してそれらしき影が無いか調べてみるわ」

 

「警察と情報のやり取りはピグモンにお任せください!」

 

各自の行動を確認した彼女達が席をと問うとしたその瞬間、ザンドリアスが再び素朴な疑問を上げる。

 

「そう言えばゼットンさんはどうしてるんですか?」

 

「彼女なら本部にて行われている緊急会議で重役達の護衛よ」

 

「そうですか…」

 


 

慌ただしくなっていく支部。そんな様子とは真反対な穏やかな時間を過ごす大地達。そんな彼らが今、どうしているのかと言うと____

 

「おぉ! これが東京の地に隠された食の琥珀!」

 

「北海道のラーメンとはまた違うのど越し、ミアに付き合って良かった」

 

都内にて隠れた名店と知る人としる個人店の【ラーメンクロパラ】に来ていた。ここは名前の通りラーメンがメインのお店であり、ネットでは知る人ぞ知る名店として語られている。

 

「うぉ~~! チャーシューがデカい!チャーハンもうめぇ~~!!」

 

「そんなに喜んでもらえるなんて、バラサバラサ」

 

「ばらさばらさ?」

 

「嬉しいって意味だよ。はい、塩ラーメン」

 

ラーメン皿を覆いつくすほどのチャーシューに驚愕しチャーハンに舌鼓を打つのはミクラスの怪獣娘へと変身する【牛丸(うしまる)ミク】。そんな忖度の無い純粋な反応に声から分かるほどの喜びの声を上げる店長。彼の独特の言い回しに疑問を問い塩ラーメンを受け立ったのはウインダムの怪獣娘【白銀(しろがね)レイカ】。

 

その横では眠そうな瞳を店長へ向けながらメンマをゆっくり噛んでいるアギラのカイジューソウルを持つ【宮下(みやした)アキ】が心中で疑問を浮かべる。

 

(なんで着ぐるみで接客してるんだろ?)

 

そんなアキの疑問は晴れる事無く、ミアと鷹に連れられ次の店へと向かう一行であった。

 


 

小さな集落のはずれにある古びた木造住宅にて一人の男性が全身霜まみれで倒れ込んでいた。

 

『度重なる怪獣災害に対しGIRLSは、天才科学者佐々木ミア氏を東京支部に招き入れ、今後の対策にあたっていく事を今朝発表しました。続きま___』

 

家の中から流れてくるテレビのニュース。その音声を車のガソリンを啜りながら聞く影。長細い頭部を持つ人間とはかけ慣れた姿のそいつは瞳はぎょろりと動かすと、車から離れ家の裏に置いていた円盤の中へと乗り込むのであった。

うるさい

滅茶苦茶

だよ




To be continued
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