次の日、円堂はマジン・ザ・ハンドを習得する為に特訓をしていた。マジン・ザ・ハンドが書いてあったノートには、人の絵に胸あたりり赤い丸の印がつけられていたので円堂は、ガトリングガンからボールが出てくる機械で、出てきたボールを自分の体で受けたり、肺とか心臓を鍛えれば良いと言われ水を入れた洗面器に顔を突っ込んだり、呼吸とアドバイスをもらい練習で大声を出したりと、どこを鍛えているのかわからんな。そういうことで今は円堂も全員の練習に参加をしている。練習をしているといつの間にかマネージャー達の姿が見えなくなっていた。さっきまで3人一緒にいてビデオカメラで練習を撮っていたのにどこ行ったんだ?まぁ、あの3人もやる事あるしな。練習に集中するか。
音無「皆さ〜ん、おにぎりが出来ました」
練習をしていると音無の声が聞こえる。なるほど、姿が見えなかったのはそういう事か。他の奴らはそれを聞いて顔に輝きが戻ってくる。俺はと言うと鬼道のあとを追うようにして手を洗いに向かった。
手を洗い終えて、鬼道と共に戻っていると雷門に手を洗ってくるように言われた円堂達とすれ違う。というか何故驚いたような顔になってるんだよお前らは。良いから早く洗って来いよ。
ほんの少し待ち全員が手を洗った事を確認すると、食べても良いと許可が出たので全員一斉に食べ始める。というか無茶苦茶早く食べるやん。どうしてそんなに早く食べるんだよと思いながらおにぎりを食べる。
八幡「美味いな」
そう一言が思わず漏れ出す。丁度小腹が空いていたし丁度良かった。塩加減も丁度良い。運動して出た汗を補給するかのような感じだな。
音無「どうですか?比企谷先輩、おいしいですか?」
八幡「ああ、おいしいぞ」
音無「本当ですか!?ありがとうございます!まだまだありますので!食べてください!はいどうぞ!」
そう言われて大きいおにぎりを差し出してくる。いや、他のおにぎりよりもちょっと大きくない?まぁ、持ってきてくれたんだし、せっかくだがら受け取るか。
八幡「お、おお、サンキュ」
音無「はい、お兄ちゃんにもあげる!」
鬼道「ああ、ありがとうな春菜」
音無「じゃんじゃん食べてくださいね。お兄ちゃん、比企谷先輩!」
鬼道「ああ」
八幡「お、おう」
音無はちょっと嬉しそうに木野達の所へ向かった。そして、俺は音無から貰ったおにぎりを見る。やっぱちょっと大きいよな。
鬼道「どうした比企谷?」
八幡「ん?ああ、いや、やっぱ大きいよなって思ってな」
鬼道「確かに」
そう言いながらも鬼道は嬉しそうだ。まぁ、実の妹である音無から作って貰ったんだそりゃ嬉しいよな。俺も小町から貰ったら心の底から嬉しい。そう思いながらおにぎりを口に運ぶ。
八幡「うん、うまっ」
また、そう一言口から漏れ出す。
一方の音無はと言うと、八幡に自分の作ったおにぎりを食べてもらい、おいしいと言われ嬉しさのあまり口角が上がってしまった。
壁山「音無さん」
音無「どうしたの壁山君」
壁山「俺にもあのおにぎりくれないッスか?」
音無「ああ、ごめんなさい。あのおにぎりはもう無いんですよ」
壁山「ええ〜!そんな〜!」
音無「ごめんなさい。ほら、まだ他にもおにぎりあるからそれ食べてください」
壁山「わかったッス」
壁山は少し残念そうにしながら他のおにぎりを食べに行った。だが、音無は少し嘘をついていた。それは、あの大きいおにぎりは八幡と兄だけの為に作った物だったのだ。
その後おにぎりを食べ終わった後練習を再開させた。
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小町「ねぇ、お兄ちゃん」
八幡「ん?どうした?小町」
家でゆっくりと過ごしていると小町が話しかけてくる。
小町「そろそろだよね。決勝戦」
八幡「ああ、そうだな」
小町の言う通り世宇子中との決勝戦の日が近づいている。
小町「勝てそう?」
八幡「それはわからん。当日になってみないとな」
俺達が苦戦したあの帝国が棄権するほどの強さ。しかも、他の学校との試合も最後までしていないらしい。そんな奴らに勝てるのかと言われると言えない。それに、マジン・ザ・ハンドも完成していない。
小町「そっか……ねぇ、お兄ちゃん」
八幡「ん?」
小町「サッカー楽しい?」
八幡「……ああ、楽しいぞ」
小町「そっか、なら良かった」
そう言って小町はニコッと笑顔を見せてくる。
小町「お兄ちゃんいつも1人でサッカーをしていて、全然楽しそうに見えなくて、小町心配してたんだ」
八幡「小町…」
小町「でも、お兄ちゃんがサッカー部に入った時はすごいびっくりしたんだけどさ、お兄ちゃんが楽しそうにしているのを知った時、小町すごい嬉しかったんだ」
その言葉を聞いて小町がどれくらい俺の事を心配してくれていたんだなと思った。
八幡「ありがとな小町。心配してくれて」
小町「当然でしょ?お兄ちゃんを心配するなんて。あっ、今の小町的にポイント高い!」
八幡「最後のがなければな。ほら、さっさと風呂入ってこい」
小町「はーい」
そう言って小町は風呂場へと向かった。
まさか、小町にあんなに心配されていたとはな。まったく兄としてしっかりしないとな。
数日後
マジン・ザ・ハンドを完成させる為に今日も特訓をしていた。なのだが、何をとち狂ったのか円堂は必殺シュート2本同時に止めようとしていた。元々頭が悪いと思っていたがもっと悪くなってしまったか。
染岡「ドラゴン!」
豪炎寺「トルネード!」
鬼道・一之瀬「「ツインブースト!」」
2本のシュートが円堂に向かっていく…が、シュートが円堂の元へ辿り着く前に、円堂とボールの間に割って入る人影が現れた。すると、そいつは2本のシュートを片手ずつ軽く止められていた。止めた奴を見るとそこには長い金髪の男のような奴がいた。一体誰なんだ?
円堂「すっげぇ!ツインブーストとドラゴントルネードを止めるなんて。お前すっげぇキーパーだな」
「残念ながら私はキーパーではない。私のチームのキーパーはこの程度のシュート、指1本で止めてしまうだろうね」
なんだこいつ?冷やかしに来たのか?
鬼道「そのチームというのは世宇子中の事だろう。アフロディ」
すると鬼道がそう言いながら円堂達の方へ近づいていく。ていうか世宇子中だと?という事はこいつが帝国に勝ったチームの奴か。そんな奴が一体何故ここに来たんだ?
アフロディ「円堂守君だね。改めて自己紹介させてもらうよ。私は世宇子中のアフロディ。君の事は影山総帥から聞いているよ」
鬼道「やはり世宇子中には影山がいるのか」
染岡「てめぇ、宣戦布告にきやがったな」
アフロディ「宣戦布告?…フフッ」
アフロディは染岡の言葉を聞いて笑った。
染岡「なにがおかしい?」
アフロディ「宣戦布告というのは戦う為にするもの。私は君達と戦うつもりは無い」
八幡「なんだ?じゃあ棄権してくれるていうのか?」
アフロディ「フフッ、面白い冗談を言うんだね比企谷君」
八幡「ほう…俺の事知ってるのか?」
アフロディ「ああ、もちろんさ。君の周りを見る目は一目置いてるのさ」
八幡「は?お前が?」
アフロディ「そうさ、君のように周りを見る目は私のチームにはいない。だから、比企谷君。私のチームに来ないか?」
「「「「「なっ!?」」」」」
アフロディの言葉に円堂達が驚きの声をあげる。だよな、俺も声には出さなかったがかなり驚いている。だが、すぐに冷静にその言葉に答える。
八幡「はっ、それこそ面白い冗談だな。寝言なら寝て言えよ」
アフロディ「そうかい、非常に残念だ。君のように空間把握能力が優れていて、勘も優れている人はそうはいないのに、そんな君がこんなチームにいては宝の持ち腐れというものだ」
なんだと?今…こいつなんて言った?こんなチーム…だと?
八幡「おいてめぇ、今なんて言った?」
アフロディ「こんなチームにいては宝の持ち腐れと言ったんだ」
染岡「てめぇ!!こんなチームだと!?俺達をバカにしているのか!?」
染岡は2度も発せられた言葉に怒りが爆発する。染岡だけではなく他の奴らも怒りが見える。そんな光景を見て俺は一旦冷静になることにした。俺までこうなっては止める奴はいなくなってしまう。危うく我を忘れるところだった。まぁ、冷静になった1番の理由は我がチームキャプテンがすごい怒り顔になっているからだ。
八幡「で?ここに来た本当の理由はなんだ?」
アフロディ「ああ、そうだった。忘れるところだった。もう一度言う。私は君達と戦うつもりはない。君達は戦はない方が良い。その方が良い」
一之瀬「なぜだよ」
アフロディ「何故?負けるからさ」
は?ちょっと何言ってるか分からない。
アフロディ「神と人間が戦っても勝敗は見えている」
一之瀬「自分が神だと言うつもりかよ」
アフロディ「さぁ、どうだろうね」
おいおい、自分で神とか……どんだけ厨二病をこじらせてるんだよ。ちょっと痛いよ?そういうの。……マジで。
円堂「試合はやって見なきゃ分からないぞ」
アフロディ「そうかな?林檎は木から落ちるだろ。世の中には逆らえない事実というものがあるんだ。それは、そこにいる鬼道有人君が1番良く知っているはずだ」
その言葉を聞いて鬼道は前に出ようとするが豪炎寺に止められる。
アフロディ「だから練習はやめたまえ。神と人間の間の差は練習では埋められるものでは無い。無駄な事さ」
円堂「うるさい!練習が無駄な事なんて誰も言わせない!練習はおにぎりだ!」
………………ん?ちょっと何言ってるか分からない。最初はいい事言ってると思ったのに。まぁ、でもあいつが相当怒っているのはわかった。
円堂「俺達の血となり肉となるんだ!」
アフロディ「アハハ、上手いこと言うね。なるほど、練習はおにぎりか」
円堂「笑うとこじゃねえぞ」
おいおい、怒っているのはわかっていたが、御影専農の時よりも怒っているようだ。
アフロディ「しょうがないな。それが無駄な事を今から教えてあげるよ」
そう言ってアフロディは持っていたボールを上へ蹴り上げたと思ったら、アフロディの姿は消え、蹴り上げられたボールの元へ移動していた。そして、アフロディはこちらに向かって軽くボールを蹴った。ボールは凄まじい回転し、赤い閃光を纏う。そのシュートは軽いのにすごい威力だと俺は理解した。そして、そのシュートを円堂が正面から受け止める…が、円堂はゴールの中へ吹き飛ばされた。そして、ボールはゴールバーを超えた。
鬼道・豪炎寺「「円堂!」」
鬼道と豪炎寺は吹き飛ばされた円堂の元へ駆け寄る中、他の奴らも後を追うようにして駆け寄る。集まった奴らが円堂に呼びかける。目を閉じていた円堂の目はゆっくりと開いたのだが……
円堂「どけよ!」
円堂は集まった仲間を怒気で声を発してどかせた。
円堂「来いよ!もう一発!」
後ろから鬼道が抑えようとするも、円堂はそれを振り払う。普段見ない一面に誰も円堂を止められない。あれは完全に頭に血が昇ってやがる。そして、俺は円堂とアフロディの間に割って入る。
円堂「比企谷どけ!」
八幡「どく訳にはいかねぇなぁ。今のお前を見てるとそんな気にはなれねえな」
円堂「なんだと……!」
八幡「頭に血が昇り過ぎだ。ちったあ頭冷やせ」
円堂「っ!いいからどけっぐあ!?」
「「「円堂(君)!?」」」
俺は円堂が最後まで言い終わる前にヤクザキックのごとく円堂の腹に蹴りを加える。
円堂「ぐっぅ……!な、何するだ!!!」
八幡「頭冷やせって言ってんだろうが。周り見てみろよ。お前の事心配しているのに、八つ当たりしている奴は、こうされても仕方ないと思うが?それにそんな震えた足で次の1発止められるのかよ」
俺はそんな円堂を無視してアフロディの方へ向く。
アフロディ「君は落ち着いているみたいだね。比企谷君」
八幡「は?何言ってんだお前。俺が怒ってないっていつ言った?自分の居場所を馬鹿にされて怒らない奴なんていねぇと思うがな」
アフロディ「居場所?ここが?君の?」
八幡「ああ、そうだ。なんか文句あんのか?」
アフロディ「いいや、文句はないさ。まさかそんな風に言うとは思ってなかったね」
八幡「そうかよ。それで悪いんだが今日はお引き取り願いたいんだが」
アフロディ「ああ、そうしよう。それに少し決勝戦が楽しみになってきたよ」
そう言うとアフロディはその場から姿を消した。
一之瀬「なんて奴だ」
鬼道「世宇子中はあいつみたいな奴らばかりだ」
豪炎寺「決勝戦。とんでもないことになりそうだな」
そうだな。それは言えているが……俺はそんな事を思いながら円堂の方へ向く。
八幡「それで?ちったあ頭冷えたか?」
そう言って円堂に手を差し出す。
円堂「ああ、バッチリ冷えたよ」
そう言って俺の手を取ったので、引っ張り立ち上がらせる。
八幡「言っとくが今回は謝んねぇぞ」
円堂「ああ、別に良いさ。今回はちょっと周りが見えてなかった。皆ごめん」
ようやくいつも通りの円堂に戻ったな。
円堂「でもさ比企谷。俺の頭冷やす為とはいえ、もうちょっと加減してくれよ」
八幡「これでも加減した方だぞ」
円堂「マジかよ」
ここで少しだが笑いが生まれる。
一之瀬「でもまさか比企谷があんな事するなんてな」
染岡「ああ、正直びっくりした」
風丸「俺も」
夏未「ホントにびっくりさせないでちょうだい!」
八幡「俺は悪くない円堂が悪い」
円堂「まあまあ、今回は俺が悪かったんだし、その辺で終わりにしよ」
円堂が間に入りこの話は終わりとなった。
円堂「さっきシュートで新しい技見えた気がするぜ。やれるよ俺達」
響木「いや、今のお前達には絶対に不可能だ」
いつの間にやってきたのか、響木監督の一言がその場にいる全員に突きつけられる。