八幡side
フットボールフロンティア地区予選第1試合、野生中に勝利したオレ達。ますます勢いを増していく部員達。オレはそんな奴らの空気についていけてないが、いつも通り河川敷で練習をする。けど…今日はやけに集中できない。理由は、河川敷の上の橋に他校の生徒達が見ているからだ。
半田「なんか最近ギャラリー増えてないか?」
栗松「そうでやんすね」
円堂「どうしたどうした?動き止めるな」
風丸「ついに俺たちにも出来たんじゃないのか……?」
円堂「出来たって……何が?」
風丸「ファンだよ」
「「「ええぇぇ!?」」」
風丸の一言で騒ぎ始める円堂達。オレは豪炎寺に近づき
八幡「なぁ豪炎寺。あれってさもしかして」
豪炎寺「ああ、十中八九他校偵察だろうな」
八幡「だよな…はぁ」
というかこいつらめでたい奴らだ。アレが自分達のファンと勘違いするなんて。けど、確かにオレ達のデータは少ない。だからこうしてデータ収集をしに来ているのだろう。
円堂「さぁ練習練習!必殺技にもっと磨きをかけるぞ!」
と円堂が言う。おい。こっちの手の内を堂々とさらしてどうする。と、思ってるとグラウンドに突っ込んでくる一台の車……雷門お嬢様の車だ。そして車から降りてきた雷門が一言。
夏未「必殺技の練習は禁止します」
ま、妥当な判断だろう。
円堂「いきなり何言ってんだよ。必殺技なしでどうやって地区予選勝ち抜けるんだよ」
いやいや、必殺技だけがサッカーじゃないからね。パスやドリブル、それを11人でやるからサッカーだと誰かが言ってたような言ってないような。
八幡「オレは雷門の意見に賛成だ」
円堂「比企谷まで何言ってんだよ」
何言ってんだよって言われても…日本語?とまぁ、しょうもない考えは置いといて。
八幡「あれ見てわからねぇのかよ」
オレは偵察部隊に向かって指を指す。
円堂「何って俺達のファンだろ!」
八幡「はぁ…違ぇよ」
円堂「じゃあなんだよ」
八幡「あれはオレ達のデータを取りに来た偵察部隊だよ」
「「「ええぇぇ!」」」
ダメだ〜。コイツらほとんどが偵察部隊の事を自分達のファンだと思っていたらしい。いや、他校の生徒でファンって少しぐらいおかしい思えよな。
音無「分かった!ここで必殺技の練習をすると他校にこちらの情報を渡しちゃうのですね!」
八幡「正解だ音無。今のオレたちはどうぞ見てください、好きなだけ分析して対策してくださいって言ってるものだ。だから必殺技の練習はやめとこうぜ」
円堂「必殺技なしでどうやって」
豪炎寺「円堂。必殺技だけがサッカーじゃない。パス回し、トラップ、シュート。やることは山ほどある」
さっきオレが思ってた事と似ている。
円堂「だったら誰にも見られない秘密の場所で練習しよう!必殺技のさ」
八幡「またそう簡単な事言う。そんな都合のいい場所どこにあるんだよ」
円堂「でもさ必要だろ」
はぁ…ホント能天気というかなんというか……アレだな。円堂はバカなんだ。そうだ、そうに違いない。ほら見ろ、あの豪炎寺ですら頭を抱えるんだぞ。やっぱりバカなんだ。
そして日にちを跨いでも、他校の偵察は減ることは無かった。むしろ増えている。いや、増えるなよ。というかそこに居たら他の人達に迷惑だろ。少しは考えろよな。もう…正直
八幡「うぜぇ…」
豪炎寺「声に出てるぞ」
八幡「やっべ」
豪炎寺「まぁ、気持ちは分からんでもないが」
八幡「ていうかアレ、ほとんど道占領して迷惑だろ」
豪炎寺「そうだな」
八幡「はぁ…視線が痛い」
豪炎寺「気にしないことが1番だ」
八幡「そうだな」
そんな会話をしながら基礎練をしていると、2台のトラックがやってきた。
八幡「うっわ…レーダーみたいなのある」
風丸「ホントだ」
八幡「ていうか誰?」
音無「次の対戦相手ですよ比企谷先輩」
八幡「次の対戦相手?どこだ?」
音無「御影専農のメンバーです。私データベース作ったんです。キャプテンでありキーパーの杉森。エースストライカーの下鶴です!」
音無はそう言って横からデータを見せてくる。
八幡「ほーん」
染岡「徹底的に観察する気でいやがる・・・嫌な感じだぜ」
豪炎寺「気にせず行こう…さあ、シュート練習だ!」
豪炎寺の声掛けで全員が再び練習に意識を向ける。数十分程そうしていると、急に杉森と下鶴が降りてきてグラウンド内に入ってくる。
八幡「おいお前ら」
杉森「なんだ?」
八幡「なんだじゃねぇよ。オレ達は今練習してるんだ。勝手に入ってくるな」
杉森「何故、必殺技を隠す」
八幡「はぁ?話聞いてる?勝手に入ってくるなって言ってんだろ。それに質問を質問で返すな」
円堂「落ち着け比企谷」
八幡「オレはいつだって落ち着いているが」
下鶴「今更隠しても無駄だ。既に我々は君たちの能力を把握している」
杉森「君達では我々に100%勝てない」
円堂「勝負はやってみなくちゃ分からないだろう?」
下鶴「勝負?これは害虫駆除に過ぎない」
そう言われた途端、部員のブーイングの嵐。追い出してやる、と2人に迫る染岡を円堂が制する。思いのほか冷静だなと思ったら、そんなこと無かった。多分、切れてるなあれ。
円堂「俺たちを害虫って言ったこと取り消せ」
杉森「事実を言ったまでだが」
下鶴「理解出来ないとは思わなかった」
八幡「事実ならなんでも言っていい、そう言ってるんだなお前らは」
杉森「そう言っているのだが」
八幡「そうかそうか。………言質とったからな」
杉森・下鶴「「っ!?」」
八幡「ならオレからも…お前らさ何故必殺技を隠すって言うけど、何故むしろ見せてもらえるって思ったんだよ。頭おかしいんじゃねぇの?それにデータだけでオレ達に勝った気取りかよ。ますます頭おかしいな、いや、頭の中お花畑かよ」
杉森「貴様、我々を侮辱しているのか」
八幡「あれれ〜?さっき君達、事実ならなんでも言っていいって言ってたじゃん。だからオレは事実を言ったんだけど?売り言葉に買い言葉って知ってる?」
下鶴「事実では無い!今すぐその言葉を撤回しろ!」
円堂「なら!俺達を害虫って言ったこと取り消せ」
ちょっと円堂さん?この流れだったらオレが言うはずだったよね。なんで君が言っちゃうの?
杉森「それはできん」
円堂「くっ!もう許せねぇ!俺たちの必殺技を見せてやる!今すぐ決闘だ!」
え?はぁ!?何言っちゃってるのこいつ?マジで?
こうして円堂は御影専農の奴らに喧嘩をふっかけ、決闘をする事になった。内容はPK対決。お互いシュート1本、止められるかどうかで決着をつけることになった。
八幡「どうしてこんな事に…?」
風丸「それは比企谷と円堂の所為だろ」
八幡「え?オレ?」
「「「うん!」」」
八幡「いや待て!オレは悪くない。そう社会が悪い」
風丸「なんだよそれ」
そんなしょうもないやり取りをしているうちに決闘が始まろうとしていた。
下鶴「では始める」
円堂「よし来い!」
そして木野が笛を吹き、その合図で下鶴が軽くドリブルをする。さ〜て一体どんなシュートを撃ってくるんだ?そしてボールを高く上げ、足に炎を纏いながら回転する。おいおいちょっと待てよ。
下鶴「ファイアトルネード!」
まさかのファイアトルネード!?豪炎寺のとそっくり…いや、もうあれはファイアトルネードそのものだ。
円堂「熱血パンチ!」
円堂は熱血パンチで立ち向かうが、防ぎきれずボールはゴール中へと入っていった。
染岡「ファイアトルネードだ」
八幡「うっそ〜ん」
目金「こちらの能力を解析したと言ってましたが必殺技をコピーされているとは」
ホントな。そんなんチートでチーターやん!どこぞのトゲトゲ頭のやつも言いそうだな。そんな事考えていると、次蹴るのは豪炎寺。あれを見せられたらな。
染岡「決めろ!豪炎寺!」
半田「ファイアトルネードはお前の必殺技だ!」
壁山「コピーは本物には敵わないって教えてやるっすよ!」
円堂「頼むぞ!」
頷く豪炎寺。ていうか、一つ思ったこと。杉森の頭に付いてる電極なに?まぁ、そんな事は置いといて、また木野の笛の合図で豪炎寺もドリブルを始める。そしてそのまま
豪炎寺「ファイアトルネード!」
杉森「シュートポケット!」
腕を交差させた後、何やら空間が杉森の前に形成される。そこにシュートが入るとシュートの威力は弱まってゆき、杉森に片手で止められた。
八幡「とめ…た」
円堂「嘘だろ…」
こうしてオレ達は完敗したのであった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして翌日
オレ達はこれまで御影専農と戦ってきた人達の情報を見ていた。そいつらはいつも冷静で正確なサッカーをしているらしい。どの試合も無失点で終わっている。ということはあのゴールキーパーの杉森の実力がわかる。
豪炎寺「恐らく、俺達のデータを全て把握しているというのは本当のことだ」
八幡「だろうな」
豪炎寺「ファイアトルネードを止められたのなら、比企谷のダークトルネード、そして染岡のドラゴンクラッシュ、ドラゴントルネードも効かないかもしれない」
風丸「下手すればイナズマ落しもだ」
円堂「なら、新必殺技だ!」
八幡「話聞いてる?それができたら今頃苦労していないんだよ」
風丸「比企谷の言う通りだ」
染岡「河川敷や鉄塔広場で練習なんてしたら、あっという間に知れ渡っちまうぜ」
ごもっとも。そうなればオレ達の練習場所がどんどん無くなっていく。あれ?詰んでね?そう思っていた時部室の扉が開いた。
木野「みんな夏未さんが呼んでるわよ」
八幡「こんな時になんだよ」
円堂「まぁ、とにかく行ってみようぜ」
八幡「ええ〜、行かないって選択肢は?」
風丸「相変わらずだな比企谷は」
音無「まぁ、行ってみましょうよ比企谷先輩」
八幡「はぁ…わーたよ。行けばいいんだろ」
音無「はい!」
というわけでオレ達は雷門に指定された場所に来たのはいいんだが、肝心の雷門が居ない。呼び出しといていないってどういう事だよ。
八幡「なぁ、雷門どこにいるんだよ。いないなら帰っていい?」
風丸「ダメだろ」
八幡「だよな」
指定された場所は校舎からは離れ、辺りには木々が生い茂っている。何ともまあ不気味な場所である。こんな場所があるとは知らなかったな。
目金「ここは・・・雷門中学七不思議の一つ、開かずの扉・・・!」
突如、目金が妙な事を口ずさむ。それを聞いて全員顔を青くする。…そんな七不思議なんて、うちの学校にあったんだな。と、その時!音を立てながら扉が開いた!
八幡「めっちゃ開くじゃん」
「ヒイィィー」
みんな各々驚いている。そんな中、音無はオレの後ろへと隠れる。ちょっと伸びちゃうから引っ張らないで?
中から一人の生徒が顔を出す。
夏未「皆揃ったわね?」
八幡「お前かよ…」
雷門に中に入るよう促され、薄暗い階段を下に降りて行く。どこまで続いているんだろうか。金属製の扉に着いているセンサーが俺達に反応し、音を立てて開くと明かりが灯る。
円堂「ここは?」
夏未「伝説のイナズマイレブンの秘密特訓場・・・イナビカリ修練場よ」
そんなものがあったのも驚きだが、何より学校の地下にこんな場所があったのが驚きだ。今日は驚きの連続だな。何故こんな場所を見つけられたのか、と雷門に尋ねると「見つけたの」としか返してくれなかった。よく見つけなこんな所。…まあ何にせよ、今のオレらには好都合だ。ここなら誰にも見られることなく練習が出来る。
雷門曰く、必殺技の練習場としてリフォームしたらしいが、この様子なら必殺技の練習だけでなく、単純なトレーニングにも使えそうだ。
そして特訓開始する。するとマネージャー達は外に出て、扉を閉める。どうやらタイムロック式らしく、一定の時間練習をこなさない限りは開かないらしい。なるほど、逃げ道はないと。やべぇ〜帰りたくなってきた。それぞれが持ち場につき、機械が作動する。もう、どうにもでもなれ。
八幡「し、死ぬ…」
そう口から零れた。いや、もうホント死ぬよこれ。他の皆もボロボロで倒れ伏していた。そんなオレ達を見たマネージャーの木野、音無は軽い悲鳴をあげる。今のオレの目は多分ゾンビみたいな目をしているんだろうな。サッカーボールを次々発射するガトリングガン。少しでも止まったら後ろの人にぶつかる巨大ルーレット。走らなければ後ろの車に轢かれる動く床。当たると存在を消されそうなレーザー銃。他にも人を殺す為に作ったんじゃないかとする思える設備が選り取りみどりだ。あ〜、やべぇ…思い出しただけでヤバイ。
円堂「元気出せ…あのイナズマイレブンと同じ特訓を乗り越えたんだ」
豪炎寺「その通りだ…この特訓は無駄にはならない」
円堂「試合まで1週間…毎日続けるぞ…!」
そう言われて他の奴らは「おー」と小さい声で答える。ホントにこれ1週間続けるの?死ぬよマジで。
いかがでしたか?ではまたお会いしましょう。