ありったけの代償を必要としないゴンさんに転生したけど転生場所違くない?   作:反町龍騎

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ハンターハンター見直してたら描きたくなりました


第一話 なんで?

 彼は絶望していた。

 何故、自分の右腕を治しているのか?治すのはカイトではないのか?

 何故、何故、何故?

 彼はもう死んでいる。そう彼女が言った。そこで彼の頭は真っ白になった。

 ならば、今までの事はなんだったのか。自分は今まで、何のためにここまでやってきたのか。あの少女は治しておいて、カイトは治さないのか。

 

「君を殺さなくちゃならない。王のために」

 

 彼女の言葉に、怒りが込み上げてきた。

 ふざけるな、ふざけるな!

 その言葉から、彼は彼女への復讐心で満たされた。

 許さない。お前だけは、絶対に。

 その心が、憎悪に満ちたオーラを溢れんばかりに吐き出した。

 怒りのこもった声で、彼は言った。

 

「もうこれで、終わってもいい⋯⋯。――だから、ありったけを」

 

 その瞬間、今までの彼とは別人とも思える、黒く濁ったオーラが彼を包み込む。

 カイトを殺された怒りが、治せないと言われた虚しさが、自分を殺すと言われた理不尽さが、彼に怒りと憎悪を与え続けた。

 その結果と言うのだろうか。オーラが晴れた頃には、彼の姿は変わっていた。12歳の少年の姿から、およそ数十年時を経た様な姿へと。

 その姿に、彼女は驚愕と目を見開いた。

 念の才能に満ち溢れた者が全てを投げ売り、それだけに全てを費やして初めて得られる程の力。それを今の一瞬に。これが念の、制約と誓約。

 

(この一瞬で成長した⋯⋯っ!僕を殺せるレベルまで!)

 

 このままではと、彼女が臨戦態勢に入る前に。

 

「ついてこい。ここは、壊したくない」

 

 先程までとは違う、成人男性のような低い声で、彼は告げる。

 彼女の返答を待つことも無く、彼は彼女に背を向け歩き出す。

 その背中に、隙などない。彼女は言う通り、彼の行く方へ歩き出す。

 

 どれほど経ったか。森に入った時、彼女が動く。

 

「テレプシコーラ!」

 

 限界を超えて舞え!と念じたその力が、彼の背後を襲う。

 しかし、瞬く間に彼の足が彼女の腹部にめり込んだ。そのまま彼女を蹴りあげ、彼は身を低く屈めた。拳を握り、言葉を放つ。

 

「最初はグー⋯⋯」

 

その拳にとてつもないオーラが集まってくる。成長した彼の身体をも包むほどのオーラが、最終的には拳を包む程度にまで小さくなる。しかしそれは、威力を抑えた訳ではなく、むしろ先程よりも威力は上がっているのではなかろうか。

 

「ジャンケン、グー!」

 

 全てを粉々に殴りきる。それ程までの威力をもった拳を、落下してくる彼女の顔面に打ち込んだ。

 殴り飛ばされた彼女は木へと激突し、痛みを耐えながら片目で彼を見つめ、

 

(僕の予想は正しかった。――やはり彼の牙は、王の元に届き得た!)

 

 そして彼女は思う。良かった⋯⋯。殺されるのが僕で、と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何度も光る身に覚えのあるオーラに、少年はまさか、と不安げに足を進める。そしてそこで見たものは、明らかに姿の違う、だが確実に彼だと確信できる男が、既に頭が無くなっている死体を、幾度となく打ち付ける様子。

 

「ゴン!」

 

 少年は呼ぶ。自身の友の名を。そこで彼はようやく拳を止めて、少年を見つめる。

 

「キルア⋯⋯」

 

 やはり間違ってはいなかった。しかしどれ程の代償を払えば、あのような力が手に入るのか。

 友のありえない成長に、怒りと悲しみと後悔の念を抱き、彼を見つめた。

 彼が何かを発しようとした時、少年は危ない!と彼の体を押した。

 見れば、死後強まる念が彼女を動かし、彼の右腕をもぎ取った。

 右腕を失った彼を哀れむ少年だが、彼は優しく語る。

 

「痛くないよ。本当だよ。むしろ嬉しいんだ。⋯⋯カイトと一緒になれた気がして」

 

 そして彼は、落ちる右腕を彼女の体に突き刺し、トドメのジャジャン拳を放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、そこまで読んで寝落ちした訳だが。

 なんで今俺夜の公園に居るの?ずーっと家でハンターハンター読んでた筈なんだけど?

 そこで背後から、女性に声を掛けられた。

 

「あなたの事は知りませんが、武の道を歩む方とお見受けします。私と一度、手合わせをして頂けませんか」

 

 振り向くとそこには見た事のある女性が。

 グリーンの髪を二つに結んで、バイザーを付けた峰不二子スタイルの女性。

 うん。アインハルト・ストラトスさんやん。

 いや待って?俺は武の道なんか歩んでませんよ?フリーターしながら食っちゃ寝してる25歳ですよ?お腹だってビールっ腹で人に見せれる体型してな⋯⋯い。

 

 なんだこれ?何このバキバキの腹筋。よく見ると短パンに裸足だ。なんか見たことあるズボンだなぁ。

 

「なぁ、俺は今、どんな姿をしてる?」

 

 あ、藩さんの声やん。俺の声って汚くて低い声だったのになぁ。

 

「どう、と言われましても、筋骨隆々の、明らかに数十年は武を極めたお方です、ね。あと、髪がとても長いです」

 

 戸惑いながら俺の問いに答えるアインハルトさん。前の二つはまだ色々当てはまる者があるが、後ろのはもう一人しか当てはまる者がいない。

 

 

 

 

 

 俺ゴンさんになってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?

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