Re:エヴァンゲリオン シンジとアスカの物語   作:鱸のポワレ

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第拾参話 RE:世界の中心で愛を叫んだもの

RE:碇シンジと式波・アスカ・ラングレーの場合

 

ゆっくりと目を開ける。

最初に僕の顔を覗きこでいたマリと目が合った。

気になって周りを見渡すとあの時と同じ風景が広がっている。

マリ、カヲル君、綾波、そしてアスカ。

この4人もあの時と同じ位置、同じ格好をしていた。

ただ1つ違うのはマリ同様、カヲル君と綾波もこっち側を見ているということだ。

そんなことを気にしていると、じっと僕のことを見つめていたマリが僕の肩を強く掴んだ。

 

「戻ってきたってことはわんこ君……」

「うん。ありがとう」

 

僕の返事を聞くとマリの口角があがった。

 

「じゃあいってらっしゃい」

 

 

⭐︎

 

 

マリに見送られて走り出す。

反対側のホームを目指して。

走る走る走る。1秒でも早く君に会いたいから。

僕は君を救えなかったこの世界をやり直そうとした。

でもそれは間違ってた。

そんな壮大なことをする必要はなかったんだ。

ただ君を抱きしめてあげるだけでよかった。

ただ君の隣にいればよかった。

ただ君と一緒に笑っていればよかった。

好きだったなんて嘘だ。

ずっと好きだ。ずっと君が好きだ。

現実の世界とか虚構の世界とか平和とかエヴァがとかもうそんなことはどうでもいい。

大事なのは君がいるかいないかだから。

ムスッとした顔をして1人座っている少女。

式波・アスカ・ラングレー。

彼女の目の前で立ち止まる。

突然走ってきた僕に対して彼女は明らかに困惑していた。

それでも構わない。

彼女の手を取り立ち上がらせる。

そして、強く彼女を抱きしめた。

もう絶対に離さないように強く強く。

でもこれだけじゃまだ足りない。

ちゃんと言葉にしないと。この想いを伝える。

 

「好きだ」

 

お互いに見つめ合い、ゆっくりと顔を近づけて唇を重ねた。

 

 

 

                     終劇

 

 

⭐︎

 

 

「ちょっと!いきなり何すんのよバカシンジ!」

 

唇が離れたあと、顔を真っ赤にしながらアスカが叫んだ。

 

「ごめんねアスカ。でもさ、決めたんだ。アスカに僕の気持ちを伝えるって」

「あ、あんた……ばかぁ」

 

俯いてしまい語尾にも力がない。

 

「そ、そもそもなんでこっちの世界に来ちゃったのよ。せっかくコネメガネとあっちの世界で楽しく過ごせたのに」

「アスカがいないからだよ」

「はあ!?」

「あっちの世界にはアスカがいないから。僕は君と一緒にいたいんだ」

「ほ、ほんとに、……あんたねぇ」

 

恥ずかしそうに顔を膨らませる、そんなアスカも愛おしくて、

 

「可愛いねアスカ」

「ちょ!?変なこと言うな!」

「いくらでも言うさ。アスカは可愛いよ」

「わかったわよ!」

「本当に可愛い」

「もういいっていってるでしょ」

 

アスカがふー、ふー、と息を切らせてこちらを睨みつける。

 

「ごめんねアスカ。ごめんついでにもう一1回キスしていい?」

「なっ!?……ま、まあ、したければ勝手にすればいいじゃない。……ん」

「じゃあ行くよ」

「……うん」

 

もう1度、今度は時間をかけてゆっくりと。

 

「あんた……なさいよ」

「え?」

「し、幸せにしなさいよ!」

「うん。絶対幸せにするよ」

「……なら、いい」

 

力なくそう言うと今度はアスカの方から強く強く抱きしめて、けれども弱々しくこう言った。

 

「私も……大好き」

 

 

⭐︎

 

 

駅での出来事の後、アスカと第3村に戻ると何故かパーティーに参加させられた。

ケンスケとトウジ、委員長(元)、綾波、カヲル君、マリが鍋を囲んでいる。

 

「で、今はべったりって訳ね」

「うん。ありがとうケンスケ。君のおかげだよ」

「ありがとうケンケン」

「別に俺は何にもしてないよ」

 

もうだいぶ経っているのか、それとも元から飲んでいたのかケンスケとトウジの顔は赤く、2人ともどこかテンションが高い気がした。特にトウジはひどく、

 

「シンジ、お前も良い嫁さんもらったな!性格はともかく!ともかくな!ハッハッハッハッハ!」

「おいおいトウジ飲み過ぎるなよ」

「もう遅いわい!それに今日はお祝いや。ガンガン飲むでえ」

「ま、それもそうだな。ほら、碇も飲めよ」

「あ、うん」

 

勢いよくお酒が注がれていく。

そういえばお酒を飲むのは初めてだ。

そもそも僕はお酒を飲んで良いのだろうか。

まずは様子を見るためにそっとひと口だけ飲んでみる。

 

「なんやシンジ、もっと一気にいかんかい。グッと とやグッと!」

「う、うん。グッと」

「って何やってんのよバカシンジ!?」

 

アスカが机を思いっきり叩いて身を乗り出し、お酒が入った僕のコップをふんだくった。

 

「なにするんだよ」

「あんたバカァ!?」

「なに叫んでんねん。ただ酒を飲んだだけやないかい」

「ほんっとにバカね。あのねえ、私たちはエヴァの呪縛のせいで体が成長しなくなったのは知ってるでしょ。エヴァがなくなったからって一気に14年分も成長するわけないでしょ。私たちは14歳の体から1年ずつ成長していくのよ」

「な、なるほど」

 

アスカの説明に対して、みんなが納得の表情を浮かべた。ただし1人の酔っ払いを除いて。

 

「別にいいやろ今日ぐらい」

「良かないわよ!あんたも、……もうちょっと健康に気を使いなさいよ。私より先に死んだら許さないから」

「うん。ありがとうアスカ」

「けっ!けったいなやっちゃな。もうええわ。ケンスケ、今日は朝まで飲むで」

「い、いやぁ、やめといたほうがいいんじゃないかな」

 

何かを見た途端、酔っ払ってほんのり赤くなっていたケンスケの顔が一瞬で真っ青になった。

 

「お前までなに言うてんねん!」

「調子乗りすぎじゃない鈴原?」

「な、ひ、ヒカリ?お前呼び方が……」

「ちょっと来なさい。鈴原」

「え、笑顔が怖いで」

「鈴原?」

「は、はい」

 

トウジが委員長に引っ張られて行く。

完全にあの時と同じだ。

 

「あのバカはいいから他のみんなで楽しみましょ」

「式波の言う通りだな。俺もああはなりたくないし」

 

アスカとケンスケが話をしているのを横目にみながら、綾波とカヲル君とマリが3人で何かを話していた。

 

「なんの話してるの?」

「い、いや!?別になんでも。わんこ君には関係ないよ」

 

マリが何かを誤魔化すようにそう言ったが、僕は見逃さなかった。綾波がそーっとお酒を取って行ったのを。

 

「綾波、なんでお酒を取ったの?」

「私は知らない。お酒って何?」

「とぼけても無駄だよ」

「ちょっとあんた!何飲もうとしてるのよ!さっきも言ったけど私たちは未成年。飲んじゃダメなの」

「お酒はいいね。リリンの生み出した文化の極みだよ」

「そうそう。姫も硬いこと言わないでさ」

「ダメったらダメ!」

 

一気に騒がしくなり、パーティーどころではなくなる。

そんな中、ケンスケが僕の隣に座ってジュースを注いでくれた。

 

「なあ碇」

「ん?」

「こんなこと俺が言うのもおかしいかもしれないけど式波のこと頼んだよ。あいつは寂しがりやだからさ」

「うん、わかった。ありがとうケンスケ」

「ああ。2人には幸せになってほしいって思ってたんだよ。今まではエヴァに乗って俺たちのために戦ってくれてたんだ。これからはゆっくり休んでくれ」

「本当にありがとう」

 

この後、委員長によって3人を抑制。そのままこの集まりはお開きとなった。

 

 

⭐︎

 

 

数日後、アスカと暮らし始めた新しい家に意外な人がやって来た。

 

「あ、いか、碇さん。やっどあえだぁ。うわあああん!」

 

トウジの妹でヴィレの元船員でもある鈴原サクラさん。

僕を見た瞬間、僕に抱きついて泣き出してしまった。

 

「大丈夫?」

「碇さん。私めちゃくちゃ心配したんですよ」

「ごめんね」

「また会えてよかった」

「私は無視か。ていうかいい加減離れろ」

 

アスカが無理やりサクラさんを引き剥がす。

 

「とりあえずドア閉めて。ほら入って」

「ちょっと引っ張らないでください」

「ほらサクラさん。狭いけどどうぞ」

「ありがとうございます」

「何この扱いの差」

 

とりあえずサクラさんに上がってもらい、お茶を出す。

 

「うわぁー広いし綺麗ですね」

「そんなでもないよ。綺麗なのはまだ建てたばっかりだからだし」

「碇さんの掃除が行き届いてるからですよ。さすが碇さん」

「いやー、そうでもないよ」

「デレデレすんな」

 

何故かアスカの機嫌が悪い。

さっきまでは楽しそうにテレビを見ていたはずなのに。

イライラしているアスカを見て、サクラさんは嬉しそうに少しだけ笑った。

 

「本当に良かったです。2人が無事に帰ってきて、こうやって楽しそうにしてて」

「な!?どこが楽しそうなのよ」

「さっきから嫉妬してるじゃないですか。バレバレですよ」

「あんたバカァ!?別に嫉妬なんてしてないわよ」

「本当ですか。もし私と碇さんがくっついても怒りませんか」

「そりゃあ怒るわよ」

「何故です?」

「シンジは、その、わ、私のだから!」

「ですってシンジさん」

「いや、はは。照れちゃうな」

「お2人が仲良しなのはわかってますから。別に碇さん取ろうとかしませんよ。無理でしょうし」

「ふん、そりゃそうよ」

「まあでも私と碇さんがくっつく世界がどこかにあるかもしれませんよ」

 

サクラさんが悪戯っぽく笑った。

 

「ないわよそんな世界!どんだけ世界があってもこいつはどうせ私を好きになるの!」

「どうでしょうか、ね碇さん」

「いやあ、ははは」

「あんたバカァ!?そこは『どんな世界でもアスカを好きになるよ』って言いなさいよ!」

「ですって碇さん」

「あ、うん。どんな世界でもアスカを好きになるよ」

「ま、それならいいわ。ってなるか!完全に言わされてるじゃないのよ!」

「そ、そんなことないよ!」

 

僕らの言い争いを見て、サクラさんは笑っている。

というか今日はずっと笑っている気がする。

 

「ふふふ、こういうのも楽しいですね」

「「笑い事じゃない(よ)」」

「ほんと、お似合いやわ」

 

 

⭐︎

 

 

向こうの世界にいるもう1人のアスカへ。

僕は今、幸せに暮らしているよ。

アスカは幸せに暮らせているかな。

この世界でこうやって幸せでいられるのは、アスカのおかげだよ。ありがとう。

僕は今、星を見てる。

ただのおかしな妄想かもしれないけど、なんとなくアスカの声が聞こえた気がするから。

もう会えないと思うけど、それでも、

 

「アスカのこと一生忘れない。僕も大好きだよ」

 

返事はこれでいいかな?

バイバイ。

 




番外編も出そうと思っていますがひとまずこれにて完結です。ありがとうございました。
感想、評価、お気に入りなどお待ちしておりますのでよろしければお願いします。
また、私のもう一つのLAS作品「まごころを、アスカに」もよろしければご覧ください。この作品以上にシンジとアスカがイチャイチャしてます。
https://syosetu.org/novel/232059/
それからTwitterもやっております。フォローよろしくお願いします。
https://mobile.twitter.com/suzukinopoware
最後に、本当にここまで13話ご覧いただき本当にありがとうございました。
ただいま全2話のシンジ×サクラのssも制作中です。いつ投稿するかはわかりませんが。
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