その夜、少女は夢を見ていた。なんとも幻想的だが同時に、実際に起こっているとも思えるようにリアルな夢。
例えるなら胡蝶の夢
そう言ってもおかしくないほど不思議な夢だった。
少女は今日も夢の世界へ沈むように入っていく、、、
そこは光の中だった
緑色に色々な色が混ざってようにキテレツな色で、その色をした光が全身へ広がり、包み、中に入っていく。少女にとってそれはとてもとても暖かい心地よい光だった。
そんな中に一つの赤い光が少女を照らし、少女が眩しさのあまりに目を細め手をかざしながら赤い光を見ていると、赤い光から血管のような模様が浮かび上がり、ゆっくりと着実にヒトの様な形をとっているのが確認できた。
やがてその赤い光は巨大なヒトの形をとり、顔であろう部分には優しく美しい乳白色のような、それでも意思のある目が形どられ少女を見つめる。
「、、、だれ?」
少女はその巨大なヒトに畏れ多くも質問してみることにした。
返事がない。
「どこからきたの?」
しかし返事がない。
「名前はあるの?」
やはり返事がない。本当に聞こえているだろうか、そのヒトは全く動かなかった。
と思った矢先、ヒトが手を少女にかざし周りが眩しく包まれた。
眩しすぎる、まぶたの裏に入ってくるような眩しさが少女を照らす。
目覚めると、少女は自分のベッドにいた。
時は西暦2015年 夏 とあるとある小さな井戸の中の様な狭い村にて
「また同じ夢か、、、」
気怠げそうに少女が呟く
「あの夢は私に何か伝えようとしているのかしら、、、、」
起きたのはまだ夜中だった。
夜といっても今日は熱帯夜とのことなので、寝るにはいささか辛い夜である。
「なかなか眠れそうにないわね。」
そうボソボソ呟きながら少女はベッドに横になる。
まぶたを閉じると音が聞こえる。
自分の呼吸音に鼓動音 かけている毛布の擦れる音 ベッドの軋む音 鳥達の羽ばたく音 犬の鳴く音 色々と聞いていると、今日あったことそれまで起きたことなど思い出してしまう。彼女の場合、あまりいい思い出がない為この時間は苦手だった。
彼女はこの世に生を受けた時にはまだ良かった。だが次第に状況が悪くなってしまった、母親の浮気と蒸発にそれを起因とする言われのない罵詈雑言、更には父親からは慰めなど与えられず放置される日々。
普通それを知ればこう思う人は一定数いるだろう、
「誰かに相談すれば良いのに」
確かにそれは間違っていないし、素晴らしいことだ。
だが彼女の場合にはその誰かがいなかった、家族に相談するのはどうだろうか?答えはNO、こんなのが父親なんてやってける訳ないと思えるほど彼女の父親はガキだった。では村人には?これもNO、村人には彼女の母親が浮気して蒸発しただなんて知らない奴は居なかったなんせここは狭い村だ、噂はあっという間に広まる。浮気者の子は悪い奴だからいじめても良いなどと言うウジ虫の様な考えも。ならいっその事この村を出て行くか?難しいだろうな、まだ小学生で金もないし行くあても無い。
これを目の当たりにした人はきっと思うだろう、
「皆マトモじゃない」
、、、人の声が聞こえる。
「また隣の人喧嘩してるのかな、、、」
それは喧騒ではなく、悲鳴だった。
その音が聞こえた瞬間、少女は飛び起きた。
何かあったのかと思いカーテンを思い切り開けると、外は真っ暗だった。しかしただの真っ暗ではない、所々から星屑のようなものが降って来ている。その星屑は隕石のように燃え尽きたり衝突でクレーターを開けるでもなくゆっくりと地面に降りてゆく。
その光景に彼女は絶句する。
「何あれ、、、何が起きてるの、、?」
少女の住む家にも降りてくる。その星屑は彼女に向かって進んでいる。
何かおぞましい気配を感じた少女は玄関に行き、靴を履いて外に駆け出す。少女の住む村のあちこちに、それは降り注ぎ、人を食べている。獣ではなく機械のように。見るに耐えられない光景だった、まるで地獄を表したかの様な悪魔が始まったのだ。人類の文明を破壊する存在に人々は逃げ惑い、恐れ、殺される。燃えるように激しく文明を破壊する様は見る者全てに絶望を与え人々を凌駕する。家は壊れ、森は燃え、人は死に、その光景はまさに地獄。どれだけ武装していても所詮は人間、あっという間にやられ、世界中が混乱と恐怖の渦に巻き込まれていた。美しき終焉が始まったのだ。そんな存在に見つかってしまえばどうなるかぐらい誰にでも分かることだ。途中で星屑を見かけては身を隠し、バレないように必死で逃げ回る。バレれば自分も死ぬと彼女は直感的に理解していた。命の危機になれば生物は本能のままに動き、逃げ出す。だから彼女は必死で走った。
一息つこうと思った時、彼女は知らずのうちに神社についていた。
ここで一度戻った道と、村の様子を見てみることにする。
「もう、、、戻れない、、、」
すると突如に足元が揺れる。
地震だろうか。
建物は崩れ、瓦礫が飛び散り、燃えゆる炎は天を仰ぎ、人々の悲鳴が節々でこだましている。先程よりも大きく。
「あの白いのに、今の地震、、お父さんは無事かな、、、? でも別にいいか、、、」
ずっと父親にひどい行いをされ続けていた彼女の心には親を心配する事など出来なかった。でも少し気になった。
神社が崩れて中に奉納されていた物が姿を表す。
中からは鎌の刃が出てきた。
それを拾うと、少女は突然悲しくなる。
(この刃は誰にも見向きされず、ずっとここにいたんだ。こんな誰も来ない社に、ずっと放置されて、、、錆びついて、、、手入れしてくれる人なんていない。存在に気づいてくれる人さえもいない。)
「ずっと、、、一人で、、、私と同じだ、、、ずっと、一人で、打ち捨てられて、、、。」
少女がそんな事を思いながら前に目を向けると先程の星屑が近づいて来ていた。居場所がバレたのであろう、確実に自分を目指してきている。ここまで来ても追ってくるとは何という執念深さ、奴らに人の心は無いのか? あるはずも無かった。相手は天からの使い、人の決めた事など知らないし知る必要もない、それがバーテックスという生き物だった。
もし彼女にバーテックスに対抗できる力があればこの状況を切り抜けられるのだろうか。答えは
YES
少女には力が足りなかった、でも彼女には勇気がある。
少女の持つ刃は神の持つ武器 神の鎌である
その刃が彼女に力を与える、人々を苦しめる災厄の星屑 バーテックスに対抗できる力を。
「キャッ!?」
だがその刃だけではなかった、遥か彼方より来た赤い光が彼女目掛けて飛び込んで来た。たった一瞬の出来事だった。一体何が起きているのか分からないまま彼女は身構えるが優しいその光に連れられ、彼女は星屑達から姿を消す。星屑達は探していた相手が消えた後も次の標的を探して進み続ける。
少女の意識が覚醒した。
目が覚めると、彼女の目の前には夢でみた巨大なヒトがいた。
「ここは何処、、、?それと、もしかして、、、」
「あなたは、、、、」
「夢の巨人、、、?」
巨人はゆっくりと頷いた。
周りを見ると、夢と同じキテレツな光が周りに流れている。
すると目の前の巨人が語りかけてきた。
「私は、、、君たちがいう別の宇宙からやってきた、、、」
エコーのかかったような、優しい声が聞こえる。
「どうして私を助けてくれたの、、、?」
少女は疑問に思った、目の前の巨人が何の為に自分を助けてくれたのかを知りたかったのだ。
巨人は答える
「私は、、、とあるモノを追ってここにやってきた、、、そして今この星に、、、危機が迫っている、、、」
「危機って何が来るの?」
「私が追っているモノと、、、天の神による人類の抹消だ、、、」
その言葉に少女は困惑するものの、今起こっている現状を見ると信じる事はできた。
「君と私が一心同体になる事で、、、私はこの地球で活動する事が出来る、、、君の力を貸して欲しい、、、」
その言葉に少女は頷く。
少女は心優しき者だった、だからこそ光は彼女が相応しいと感じたのだ。どれだけひどい扱いを受けようとも、彼女の心から優しい光は消えなかったのだ。だが一人ではその光も弱まってしまうだろう。
「後、、、変かもしれないけど、、、私と友達になってくれる、、、?」
少女のただ一つの願いだった。
その言葉に巨人、、、もとい大空からきた友達は頷いた。
光は彼女の願いを受けとり、彼女との最初の友達になった。
もしこの最初の友達と会えずに普通に育っていたら彼女がどうなっていたのか、分からないが大体予想はついてしまう。奇しくもこの何もかもを失う時に彼女は何よりも大事なものを得る事ができたのだ。友達というものを。
そして光は、これから会うであろう仲間を守る為の力を彼女に授ける。
「この暖かい光、、、あの夢の、、、」
「もしあなた以外に他友達に会えるのなら、せめてその友達を守れるのなら、、私はあなたの光が、力が欲しい、、、」
少女は光へと吸い込まれていく。
光が少女を包み、中へと入っていく。
バーテックスによって壊滅した村に、一筋の光の柱が立った。
暗雲を突き破り、宇宙からも見えそうなほどの激しく光が立ち昇った。
光は破裂し、周りが昼と思えるような明るさにまで照らされる。限界まで照らされた後に光のが破裂し、その村に降り注いでいた無数のバーテックス達を一匹残らず焼きつくしてしまった。中からシルエットが浮かび上がり、周りの光はそのシルエットに定着し、生き残った見る者全てにその存在を焼き写す。
『光の、、、巨人、、』
黒い筋肉にほとばしる血管を思わすような模様を浮かび上がらせ胸には心臓を思わせるようなエナジーコア。周りを皆照らす銀色の鎧を身に纏うその姿は、まさに絶望の中の希望。
ウルトラマン ザ ネクスト
のちにそう呼ばれる神の不完全体であった。
その後、生き残った村の人はその日について聞かれると彼らはそれぞれの記憶が曖昧ながらも皆口端揃えて一人残らず、光の巨人がバーテックス達を全て倒してくれたと話したらしい。
・郡千景
本作の主人公 環境がアレだったけれど優しい心をもつ勇者さん。ゲームが好きで絵を描くのが得意だそう。
・赤い光
ネクストさんその人 今作では千景とお友達に。何かを追ってきたらしいけれど千景を助けてくれた優しい宇宙人。千景と一心同体になり、巨人化できるようになったぞ。
んにゃぴ、むずいですね。
次回もかなり空いてしまうのでご容赦ください。感想やご指摘お待ちしております。それではまた。