(何故わざわざこんな事を・・・)
時は午後10時、丸亀城の外。本来であれば自分たちの部屋にいるはずが彼女ら勇者達一同はこんな時間に集まっており郡千景は内心呆れていた。
時は今から少し遡り、昼飯を食べている時だった・・・
「あんず。あまり食べてないみたいだけど、どうした?調子悪いのか?」
球子が杏の今食べている昼飯を見ていると、まだ半分しか減ってないのにも関わらず杏は箸を置いていた。
「体調は悪くないよ。ただ・・・ちょっと食欲がないだけ。」
「何か悩み事ですか?私で良ければ相談に乗りますよ?」
「うんうん、皆でアンちゃんの悩みをやっつけよう!ぐんちゃんもそう思わない?」
「いいわよ。ただ、それはそれとしてその残ってるハンバーグ貰って良いかしら?」
「もしかしたら杏の力になれるかもしれない。よかったら話してくれないか?」
果たして杏の悩みとは・・・?
「あぁ、ハンバーグはあげます。それで・・・悩みというかその・・・正直まだ少し怖いんです。バーテックス達と戦うのが。」
「みなさんの足手まといになってしまうかも。私も、勇者なのに・・・。
杏の悩みというのはバーテックス達への恐怖だった。たしかに彼らは人間を無差別に、残虐非道に殺し、人類滅亡まで後少しという所まで来ている連中だ。そんなのにたった5人で挑むのだから恐怖するのも無理は無いだろう。
「大丈夫、アンちゃん。怖いのはきっと皆も同じだよ。ね?」
「まぁ、あんな化け物を前にしたら普通はそうなるわよねぇ・・・」
「若葉と郡は平気そうだけどなー、バーテックスもガブってやっちゃうぐらいだし。」
「私も怖くない・・・わけではないぞ。だが私達がやらなばこの四国が守れないからな。」
「・・・私だけじゃなかったんですね。」
「星屑の悪魔を叩いて砕く。ユウシャーンがやらねば誰がやる?」
「ああ。だが、恐怖を克服しなければ身を危険に晒す。筋肉は全てを解決するからな、ここはやはり鍛錬を重ね、己に自信をつけるしか無いだろう」
若葉は意外にも脳筋だった。
「待て待て、訓練よりも良いアイデアがタマにあるっ!(コンボイ並感)。戦いが怖いのなら怖いものに慣れちゃえばいいんだよ。」
「なんだか・・・嫌な予感がする。」
「という事で、今夜ここで肝試しするぞ!(死刑宣告)」
そして今に至る
「肝試しにピッタリだろ。もうみんな揃ってるかー?」
「はーい!高嶋友奈います!」
「まるでおばけ屋敷に来たみたいね。テンション上がるわ。」
「それで球子。手順はどうするんだ?」
球子は喋らず、目のハイライトが消え天を仰いでいる。
「何も考えて無かったんですね。」
「そ、そんな事は無いぞ!・・・とりあえず2人1組で城の中を一周するってのはどうだ?」
「ペア・・・よし、若葉ちゃん。お願いしますね(強制)」
「あ・・・ああ任せてくれ(動揺)」
「ぐんちゃん、楽しそうだし一緒に周ろう!」
「お、おい・・・もう帰ろうぜ・・・(恐怖)」
「私はタマっち先輩とだね」
「任せタマえ。最初からそのつもりだぞ。」
「まぁ一周周るだけだし大した事は無いだろう。」
「いえいえ若葉ちゃん、侮ってはいけませんよ。なんでも噂によるとですね・・・」
それはもう遅い深夜の事でした・・・彼女はお手洗いから帰る途中に、食堂からかすかに光が漏れているのを見つけました。
電気の消し忘れかと思い彼女が近づくと物音がします。
更には光に浮かぶ人影が。
何事かと思い彼女が扉からこっそりと覗くとそこには、大量のご飯を貪り尽くす黒髪の女がいたのです・・・。
「そんな怪談があったとは・・・」
(((あの人だろうなぁ・・・)))
「んでまぁ盛り上がってきたし・・・。誰から行く?」
「ねぇ、ぐんちゃん。私達が1番に行ってみない?」
「早いとこ済ませて寝ましょう、高嶋さん」
少女2人は懐中電灯片手に夜の丸亀城へと歩みを進めるのだった・・・
ギシャァ・・・(床の軋む音)
丸亀城の中に潜入した彼女達は、床を軋ませながら歩いて行く。
「本来肝試しって涼む為にやるものでしょ。でも冷や汗かいてるから暑く感じるんだけど・・・」
汗を腕で拭き取りながら入り組んだ城の中を進む。
「ぐんちゃんも怖いものあるんだね♪」
「流石に怖いものくらいあるわよ・・・よし、後は問題の食堂ね。何もいないといいけど・・・」
その時、彼女達の持っていた懐中電灯の明かりが少しづつ弱くなり、ついには電池が切れてしまった。切れてしまった以上、真っ暗な中で進むしか無い。
「うへぇ・・・なんにもみえないよ〜ぐんちゃん」
「大丈夫、後少しよ」
角を曲がり、食堂の前に着くと何か物音がする。食器のぶつかるような音だ。耳をドアに近ずけると僅かばかり物音が聞こえるが確認するのに一人では心元ない、念の為にも友奈に聞いてみる事にした。
「・・・何か聞こえる?高嶋さん。」
ドアに片耳をくっつけたまま友奈に聞いてみるが何故か反応が無い。
「高嶋さん?」
不思議に思って後ろを振り返るとそこには何も在らずただ暗闇が立っていた。
ありえないほど静かであった。
千景の身の毛が逆立ち恐怖に震えるものの、声は出さずにじっと堪える。
(嘘でしょ・・・)
一息ついた所で、先程の物音を確認する為にドアを恐る恐る開ける事にする。
水の流れる音が聞こえる中
カーテンがなびき月明かりが目の前を照らす
そこには、蝉のような形をした謎の生命体が立っていた。
「・・・ッッ貴方何者?」
動揺はしたものの、冷静に相手を観察する事にした。
相手は腕であろう部位に二つのハサミがみられ、顔は蝉に似ており黄色い目がぐるぐると回っている。明らかに地球の生物では無い。
そしてその生命体は不敵に笑いながら目の前から消えるのだった・・・
「一体何が起きているの・・・?」
目の前で信じられない事が二度も起こった、それに追い討ちをかけるかのように次の出来事が舞い込んで来た。
コツ・・・コツ・・・
足音が聞こえる、よく聞き慣れている足音だ。少し安堵しながらその足音が聞こえる方向に目を向けると、さっきまでいなかった友奈が月明かりに照らされて棒立ちしている。その目は虚で意識が無いように見え、まるで別人のようだった。
「・・・高嶋さん・・・よね?」
友奈らしく思えない雰囲気に思わず質問をする。
「・・・私はその高嶋さんという人間ではない・・・」
「じゃあ誰だっていうの?」
「私は、この女の脳髄を借りて君達の言葉を使う。私が君達が地球と呼ぶm240惑星に来た目的は・・・」
彼の星バルタンは、ある発狂した科学者の核実験が元で爆発し、消滅してしまったのだ。宇宙旅行中だった彼は帰る場所を失い、仕方なく彼の生存できる天体を求めて、地球の近くまで来たのだ。生憎宇宙船に故障が生じ、地球に墜落してきたというのだ。
「私の旅はここで終わった。地球は私にとって住み良い所になるだろう。私は地球に住みたい。」
「私にそんな事言われても・・・」
「あまりこの星の住民に存在を知られたくはない・・・その為にはこの星の代表として君にに許可を貰いたい」
改めて目の前の高嶋友奈を観察するが、どう見ても嘘とは思えなかった。
少し考えて千景は答える。
「・・・まぁいいわよ。何も問題を起こさず貴方がこの地球の風俗習慣に馴染み、地球の法律を守ってくれるなら、不可能じゃないもの。ところで貴方以外にはいるの?」
そう聞くと、目の前の高嶋友奈(バルタン星人)は少し悲しそうに人差し指を立てた。
「・・・ごめんなさい、聞かない方が良かったわよね。」
「気にしなくていい。それでは君達に迷惑をかけないように人のいない所に住む事にしよう。」
「えぇ・・・それじゃ気をつけてね、・・・ようこそ地球へ。」
可哀想な一人宇宙人に対してのせめてもの言葉。
その言葉を聞くと目の前の高嶋友奈(バルタン星人)は微笑み、仰向けに倒れた。
恐らく彼が友奈を操るのを止めたのだろう。
次第に友奈は意識を取り戻し、起き上がった。
「ぐんちゃん!私寝てた!?」
「・・・えぇ、そりゃもうグッスリと。さぁ、早く帰りましょう。」
少女二人は仲良く廊下を歩き始めた。
「二人共遅いぞ、何やってたんだ。」
その後肝試しは無事に終わり、作戦は成功となった。
数日後、街ではとある都市伝説が流行っていた。
「ねぇねぇ知ってる!?あそこの山にはセミ人間が出るらしいよ!」
終
郡千景 以外とビビり。気絶していた友奈の顔を目に焼き付けたらしい。
乃木若葉 脳筋 ひなたとの肝試しでは以外といい雰囲気になったそうな。
土居球子 企画の発案者 杏との肝試しで良い所を見せるのに成功しただろうか・・・
伊予島杏 肝試しは大成功 今度千景にホラーゲームを借してもらおうとしているようだ。
高嶋友奈 被害者 勇気の量が無限大な為お化け自体は怖くないが、何も見えないと少し不安になるそうな。
上里ひなた 確信犯 肝試しを上手く使い若葉との距離を縮める事に成功したらしい。
バルタン星人 食堂で食べた後に食器を流したいた所を見つかる。山の中に住んでおり迷子になった子供に飴ちゃんをあげて家まで返してくれるようで、都市伝説として語られている。原作に比べて優しい。
今回のモチーフはウルトラマン第ニ話のバルタン星人登場回です。ホラー、書いてて楽しいのですが文章力の無さにびっくり。今回も感想やご指摘、評価などお願いします!