もろびとこぞりて   作:クソザコぎつね

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久々にネクストさんが登場してきます!正直短えわ。許してクレメンス。気合い全開!インド人を右に!


猛獣 ビースト

「遅かったわね」

 

コツコツと足音が鳴り目の前の扉が開かれる。ここは大社施設の地下、かなり巨大な空間で、高さは10m程だ。

元々は訓練用に作られた施設だったが現在は使われていない。誘き寄せるにはちょうどよかった。

 

「・・・想像してたよりグロい・・・」

 

扉から光が差し込み、今入ってきたモノを逆光がシルエットになり、施設の光がその姿を照らす。皮膚はケロイドのように爛れ、歩くたびに内臓を踏み躙るような音を発し、触手が身体を突き破っているその姿はこの世のモノとは思えない程に悍ましかった。

 

「・・・・・・」

 

モノは喋らない、だがその意志を行動で現す。

 

モノが咆哮を発すると体に無数のトカゲが群がり、その身体は肉の塊になるほど質量を肥大化させる。それが爆発四散すると、血の雨が降る中で新しい姿へと変化していた。

 

体色は青と茶、身の丈は10m前後、大きな口から牙を覗かせ、獣の様な眼光が千景を睨む。

 

その名はスペースビースト ザ ワン

 

最初に地球に来たスペースビーストだ。

 

 

千景が意を決し、瞼を閉じる。次に開眼した時その目つきは少女のそれでなくなり、その瞳孔は赤色の輝きを発する。千景の胸に力が集められる。

その力は光となり、胸から身体中に血管の様に張り巡らされ、体内を駆け巡る。

 

次第にその光が溢れ、千景の身体を包み込む。すると彼女の体は大きくなり、一層大きな光が彼女の姿を包んだ時、そこには彼女は居なかった。

 

あるのは黒い筋肉質な身体に銀色の岩の様な鎧を纏った姿、胸には赤い心臓の様な器官が燦然と輝き、乳白色の目がその先の敵を見つめる。

全体的に冷え固まった溶岩を彷彿とさせるその存在は

 

ウルトラマン ザ ネクスト アンファンス

 

二番目に地球に降り立った、光の巨人である。

 

二つの巨体が地面を蹴り共に駆け出し、互いに衝突すると体の奥から爆発する様な音が聞こえる。その音が現在の体の質量が如何程かを教える。

 

相手の肩へと腕を回そうとするものの届かず、力をぶつけ合う体制へと移行する。

ジリジリと地面を鳴らし互いに一歩も譲らず、その差は互角だ。

 

「ハァッ!」

 

若干人間味の残った掛け声と共に、ネクストは少し後ろへ間合いを取る。力をぶつけるだけでは駄目だと考え、ここはヒトの技で攻めて行くことにした。

こんな事もあろうかと、彼女は格闘の訓練を受けていたのだ。

 

 

両腕を前に突き出し、少し腰を曲げて手を自然体に広げて腰を落とす。これは彼女の知識では無くネクストの知識。ネクストから逆流した経験によるモノがそうさせたのだった。

 

ガ"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"‼︎

 

目の前の獣が自分目掛けて猪の様に獰猛に襲いかかってくる。それを足で横にかわし、手を流水の様に流して突進のエネルギーをいなす。

 

横に回った事で相手には隙ができた。そこへ右フックを一発、続け様に左手で上から振りかぶる。

 

一発目は顔面にヒットし、頭蓋骨の割れる様な音が辺りに響き渡り、肉をぐちゃぐちゃにする感触が伝わってくる。だが二発目は器用に首を曲げて回避されてしまう。

 

「ヘアッ!」

 

その二発目の振りかぶった勢いを保ったまま身体を右に捻らせ、脚ごと回転する。勢いを保ったままの流れる様な回し蹴りが獣の腹部を粉砕し、その巨体は数m程吹き飛ばされていく。

 

「フッッ!?」

 

その吹き飛ばされた肉体から触手が伸びて首に巻き付いて来た。首元を押さえ必死に抵抗する。

すると右腕が光り出し、光の刃がその姿を表した。

 

「シェアッ!」

 

その刃を振り下ろすと触手が一瞬で切り裂かれる。アンファンスでの唯一の技、ラムダスラッシャーだ。

 

ドクンドクンドクンドクン

 

胸にある赤いY字の物体が心臓の様な音と共に鼓動を奏でる。それと同時に全身から力が抜け、膝をついてしまう。

ネクストには時間制限は無い、が生命エネルギーが限界に近づくと胸のエナジーコアが危険を知らせる。ネクストに残された時間は僅かだ。

 

「デュワッ!」

 

ザ ワンに肉薄し、懐へと潜り込んだところで巨大な顎を掴みこじ開けようとする。だがザ ワンの口は固く、そう簡単にはこじ開けられそうには無い。

 

そこで顎を掴んだままザ ワンを横へ大きくなぎ倒した。地響きが辺りを支配する。

 

倒れて無防備になったザ ワンの脚を掴み遠心力に身を任せて思い切って振り回す。四回程回して勢いがついた所で手を離すと、地響きの様な音を鳴らしながらザ ワンが地面に叩きつけられる。

 

叩きつけられた先をみるとクレーターが出来ており、その重さを表していた。

 

更にダメ押し。倒れたままのザ ワンをバーベルの様に天高く持ち上げ、再度地面へと叩きつける。

建物が崩れる様な音が聞こえる。

 

牽制として放って来た触手を手でそのまま掴み、大根の様に引っこ抜く。するとブチブチと音をたてながら一部の皮膚ごと触手が引き抜かれる。

 

「ギャ"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ア"‼︎」

 

触手を引き抜かれた痛みから、ザ ワンが低いのか高いのかよく分からない奇妙な叫び声を発する。

 

二度も地面に叩きつけられたザ ワンが動きを止めた今がチャンス。少し後ろに下がり右手に光を集め、刃の形を形成する。

 

「シュワッ!」

 

今ある全ての光を集め、手がその力を押さえきれなくなった所でザ ワンに向かってラムダスラッシャーを解き放つ。

 

ブーメランの様な形をした刃が立ち上がったザ ワンの頭部目掛けて突き進む。火花と爆発と共にヒットし、辺りには煙が舞い起きる。

 

 

 

 

煙が晴れるとそこには、頭部だけ切り落とされたザ ワンが佇んでいた。その姿はえらく不気味で、嗚咽が出る程だった。

しかもそれでまだ生きていた。腕も、脚も、まだ動く。

この生命力こそ、ザ ワンをスペースビーストたらしめるもの。

原子レベルにまで分解しなければ生き続ける。

 

 

 

 

 

 

エナジーコアの点滅が早まる

 

ネクストにエネルギーはもう指先を動かす程にも残っていない。地面へと倒れ伏し、後はザ ワンの動向を伺う事しか出来ない。

 

幸いここでは二つ幸運が起きた。

 

一つはザ ワンがネクストにトドメを刺さずにそのまま逃げ帰った事。

 

もう一つは、ザ ワンが丸亀城などの都市部へ向かわなかった事だ。

 

千景の意識は闇に溺れ、深く深く潜っていく。

 

人々から遠ざけるために行われたウルトラマンと怪獣との初戦は、ウルトラマンの勝利で幕を閉じたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ・・・ハァ・・・帰・・・らな・・・きゃ」

 

千景は起き上がり、朧げな意識の中自分の部屋へと帰ろうと壁伝いに脚を引きずりながら歩く。最近出来た同居人にいらぬ心配をさせない為に。大社に、皆んなを巻き込まない為に。

 




千景(ネクスト) 自分を狙ってやってきたザ ワンへ人知れず立ち向かった。ザ ワンを追い払うのが目的だったので無問題。

ザ ワン 久しぶりに登場したスペースビースト。大ダメージを負ったので逃げた。


UA1400ありがとうございます!
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