こんなの想定の範囲外です
なんだこの娘達は…
目の前で少女達が海の上に立っている
ACのようにブースターが付いているわけでもない
何やらでっかい機械を背負っているがそれで水面に立っているのだろうか
《あの!聞こえますか?》
少女達の1人が話しかけてくる
この子に関しては機械すら背負っていない、肩に装甲板のような物がついてるだけ
「ああ、聞こえている、所で一つ聞きたいのだがここから陸まではどれくらいの距離がある?」
そう言うと少女達はこちらを訝しむような顔をする
《…やっぱり深海棲艦じゃないのかな?ここ敵地のど真ん中だし…こんな生き物見たことないですし…》
《深海棲艦だったら私たちはもう死んでると思います》
《だったらアレは何?艦娘でもないでしょう》
《人間でもなさそうな気もするが》
《なら陸を目指す理由はなんでしょう?》
《そんな事どうでもいいでしょう!早くアレを調べたくてたまらないの!》
6人が輪になって何か話している
俺に聞こえないようこそこそ話してるみたいだが無線から筒抜けだ
ていうかこの子達ACを知らないのか?
初めて聞いたぞACのことを知らない奴なんて
そもそも深海棲艦とやらは何だ?
「なあ、深海棲艦とって何のこと…」
ドゴォン!!
謎の存在について質問しようとした瞬間激しい衝撃が機体を揺らす
さっきのカブトガニの攻撃とは比にならない威力、APが200ほど削られた
「なっ…なんだ!!?」
《深海棲艦!みんな!戦闘態勢!》
《そんな…もう弾もないのに…》
少女達が慌ただしく動き始める、どうやら深海棲艦とやらが来たらしい
無線からは弾がないだとか艤装の調子がおかしいだとか戦うにはかなり絶望的な声がきこえてくる…が
ちょうどいい、助けてあげてそのお礼に陸までの距離を教えてもらおう
リコンを少女達が向いている方向に飛ばす
知り合いに作ってもらった水に浸かっても機能し探知できる優れもの、その代わり馬鹿みたいに高価
居た
反応が出る、数はかなり多い、20なんて数字は大量の目ん玉を相手した時以来だ
《何をするつもりなんですか?》
少女が問いかけてくる
「君達を助けてさっさと陸までの距離を教えてもらうだけさ」
グライドブーストで敵までの距離を一気に詰める
そこにはそこそこ大きい黒い魚みたいなものとさっきの彼女達と同じく、どうやって水面立っているのかわからない少女達がいた
しかし目の前の少女達からは生気が全く感じられない
深海のような冷たい感じがする
深海棲艦とやらはこちらに怯むことなく砲撃してくる、カブトガニよりも威力が強く次々と海面に大きな水柱を立てていく
もちろんこちらも撃たれっぱなしではなくライフルで反撃、カブトガニよりも硬そうではあるが、それでも当たれば一撃で敵は青い血を撒き散らし木っ端微塵になる
少女も魚と同じく青い血を出して砕け散る、人間じゃないのか?
薄々思っていたが、ここはそもそも俺の知っている世界ではないのかもしれない
水面に立つ人間、ACにダメージを与える砲弾を人間が扱えるサイズの砲で連続で撃ちだす技術
そして深海棲艦と艦娘という単語
そんなもの聞いたことがない
ただ今は大きな陸に行きたいあの孤島で暮らすのも海で沈むのもゴメンだ
砲撃を躱し、弾を敵に叩き込む相手が人だろうと躊躇いはしない
戦場では躊躇した奴から死んでいく
大胆かつ精密に
魚には人の3分の2くらいの大きさしかない奴もいたが、そういうやつは真上でハイブーストを吹かしてやれば吹き飛ぶ、音速を超え、噴き出す炎は魚を焼く前に衝撃波によって、その命を刈り取る
ライフル弾を弾く盾を持った奴がいたのでそいつは蹴り飛ばす
身体があらぬ方向に捻じ曲がり青い血をまるでそれを推進力として飛んでいるかのような勢いで噴き出しながら空を舞う
「お前で最後だ」
目の前で仲間が爆散したり千切れたり焼かれたりしたにも関わらずまだ砲撃してくる盾持ちをムラクモで切り裂く
上半身と下半身がサヨナラした
殲滅
綺麗だった青い海が血とオイルで濁っている
それにしても機械みたいな奴らだった、恐怖や戸惑いがまるで感じられかった
俺があっち側だったらションベン撒き散らして逃げるぞ
《大丈夫ですか!》
《すごい…この数をたった1人で…》
少女達がこちらへ近づいてくる
「怪我はないか?」
《はい、あなたのおかげでみんな無事です、ありがとうございます》
最初に喋りかけてきた子…確か赤城と呼ばれていた子が深々と頭を下げてくる
「別に大したことはないさ、ただ…代わりに…」
《陸までの距離、ですね、それなら私たちの鎮守府へ案内します、お礼もしたいですし》
「そうか、ありがとう」
《では、ついてきてください》
その後長い銀髪の子からの機体についての質問攻めを受けながら、海を進み、赤煉瓦で出来た大きな建物のある港に着いた
かなり近かったグライドブーストを蒸しながらでも余裕で届く距離だった
だが陸にこんな近いところに島なんてあっただろうか?
「此処は?」
《私たち艦娘の家、鎮守府です》
「ほぅ…」
なかなかに立派だ、三大勢力のお偉いさんとかが住む家みたいだな
「何処かこいつが置いとける場所はあるか?」
《それなら私たちの倉庫の近くにスペースがありますのでそこに…》
「了解した」
近くの砂浜から陸に上がり、言われた広場にACを駐機する
システムを切り、PDAを引っこ抜きコクピットから出る
「何時間ぶりの外だ?空気が美味いな」
煙やら油やら果てはそこら辺でのたれ死んでる人間の腐敗臭が漂い澱んだ空気は何処へやら、ここまで澄んだ空気は吸ったことがない
ACの上に立つと荒れた土地など一切なく、見ることすら珍しい緑があたり一面に見え、遠くにはビルらしき建築物が建っているのが見えた
「こんな場所があるんだな…」
あの世界もあんな風に崩壊する前は、こんな感じだったんだろうか
「あのっ!」
「ん?」
下から聞き覚えのある声がする
顔を出すとそこには赤城がいた
「やっ、ありがとうな、こんなでっかいの置かせてもらって」
「いえ、貴方は命の恩人ですから」
「そんなたいそうなこと言われる程のことはやってないさ、こっちこそ君たちがいなければ、よくわからんところを彷徨うことになってたんだ」
「貴方はどこからきたんですか?」
「多分…というか絶対別の世界からだな」
「別の世界…?」
「ああ…少なくともこんないい場所は見たことも聞いたこともないからな」
「私たちはもう見飽きた景色ですけど…そんなに大変な世界なんですか?」
「まぁな…君たちも戦争やってるみたいだが、俺たちの世界なんて、いつから始まって、その理由すらわからない戦いのせいで、荒れ果ててるからな、見渡せばそこらへんに死体が転がってる、みんなその日を生き残るために必死だったな」
「そう…ですか…」
「悪いな、変な話しちまって」
「いえ…」
2人の間に気まずい空気が流れる
そんな空気に耐えられずACから飛び降りるが、雨でも降った後だったのだろうか着地時に滑って転ぶ
「いってぇ…!」
激しく腰を打ちつけ悶絶する傭兵を見て赤城は心配そうに近寄る
「だ…大丈夫ですか?」
「ああ…なんとか…」
「そうですか…よかったです」
赤城のほっとしたような顔を見て、傭兵は優しい子だなと思う
「貴方が死んでしまったら、この兵器の扱い方が分からなかくなってしまいますから」
「は?」
赤城の発言に傭兵はどういう事だと顔を顰めた瞬間、周りの草むらから海の上で出会った少女達が傭兵に向かって砲を向けながら出てきた
「申し訳ありません、私たちが生き残るためなんです」
その言葉を最後に傭兵は後頭部を殴られ意識を失った
登場人物紹介
傭兵
本名:エドガー
そこそこの腕前を持つAC乗り、死神部隊と交戦したことがある
容姿は堀の深いイケメン、黒いTシャツの上にカーキ色のジャケットを羽織っている
使用ACは知り合いの傭兵が引退する際に譲ってもらったもの、依頼をこなし、新たに買ったパーツでアセンブリしていく内に元の機体とは全くの別物になった
使用AC
機体名:ボルバクローリク
アセンブリ
頭部:HF-227
コア:CB-402
腕部:Ar-M-E34/L(改造)
脚部:SAWARABI mdl.1(改造)
ブースター:BA-309
ジェネレーター:SUZUMUSHI mdl.1
FCS:Fs-L-F03
リコン:オリジナル
両手:MURAKUMO mdl.1(300)
両ハンガー:AM/RFA-130(300)
肩:SL/CWA-243
カラーリングは暗い灰色、UNACとの共闘を前提に相手の撹乱に特化した機体
改造パーツは知り合いのVD主人公から売ってもらったもの