海を駆ける傭兵   作:スフィラ

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島風と雪風引いた


第4話

「貴方を雇う?」

 

「あぁ俺は自分の武力を商品にする傭兵だ、赤城達も俺が戦力になると思って捕まえたんだろ?なら丁度いいじゃないか」  

 

「ですが…私達は貴方に…」

 

「だったらその詫びに俺を雇え」

 

「あぅ…わかりました…」

 

「決まりだ」

 

いささか無理矢理だがこれで仕事は見つかった、しばらくはACで寝泊まりすることになるだろうが金が貯まれば街で部屋を借りよう

 

「俺の名前はエドガーだ、君の名前は?」

 

「白崎 楓です」

 

「わかった、これからよろしく頼むシラサキ提督」

 

エドガーか握手を求め白崎がそれに応えようとしたその時

 

ウ〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

そんなに大きくなくても充分鎮守府内に聞こえるであろう大音量でサイレンが鳴り響く

 

「なっなに!?」

 

《敵襲!敵襲!哨戒中の第二艦隊が姫級を含めた大艦隊と接敵、現在交戦中!》

 

アナウンスが入り哨戒中の部隊が戦闘を始めたという事が伝えられる

エドガーがチラッと白崎を見るとその顔は青ざめていた

 

「そんな…姫級なんて今のこの鎮守府じゃ勝てるわけない…どうしよう…どうすればいいの?」

 

一人で頭を抱えて何かを呟いている、強敵の出現に白崎は完全にパニックになっていた

 

「皆んな!急いで!第二艦隊を助けに行くよ!」

 

その時波止場の方から声が聞こえてくる

どうやら他の艦娘たちが第二艦隊の援護に行こうとしているらしい

 

その中にいた夕立を白崎が掴む

 

「行っちゃダメ!そんな状態で行っても皆んな沈んじゃう!」

 

「離して!もうお前らに指図されたくない!お前らのせいで仲間を失いたくない!」

 

「夕立ちゃ……」

 

夕立は白崎の手を振り払うと先に行った艦娘たちを追いかけていく

それを見た白崎は膝から崩れ落ちた

その顔は絶望に染まっている

 

ふとACを見るとピンクの髪の子と夕張もいつのまにかいなくなっていた

 

「シラサキ提督」

 

「みんな沈んじゃう、みんな死んじゃう…私のせいだ、私がみんなを救ってあげられなかったから…」

 

「シラサキ提督諦めるな、俺がなんとかする」

 

「貴方に何ができるんですか!貴方は艦娘じゃない!私も貴方もっ!ただの人間に何ができるっていうんですか!!」

 

「落ち着け…たしかに俺はただの人間だが、俺はあいつらを救える力を持っている」

 

立ちあがりACの方へ向かう

 

「お願いします、あの子たちを助けてください…っ!」

 

「わかった、お財布握りしめて待ってろよ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

圧倒的だった

姫級は何もしていない

周りの随伴艦に艦娘たちは全員大破に追い込まれてしまった

 

動ける者は誰一人としていない

夕立は隣で倒れている姉を見る、沈んではいないからまだ生きているのだろうが、もはや時間の問題である

 

(もうダメ…)

 

頭をあげたのが目に留まったのだろう戦艦ル級の砲身が夕立へ向けられる

 

(時雨…皆んな…また会えるかな…)

 

死を覚悟して目を閉じる

耳がやられて音が聞こえない状態の夕立は迫ってくる死に恐怖する

 

しかしいつまで経っても砲弾が着弾する気配はない

 

恐る恐る目を開くと、そこには膝から上を失くした足が2本海面にあった

 

「なっなんで…」

 

深海棲艦が騒ぎ出し陣形を整え始めるが、その間にも次々と血煙に変えられてゆく

そしてあれだけいた深海棲艦は、ものの数分で全滅させられた

 

その様子に唖然としていた夕立の後ろから熱い突風が吹き、さらに上から謎の液体が降り注ぐ

 

「わぷっ⁉︎」

 

かかった液体は夕立の身体へ染み込み、あっという間に全ての傷を癒した

 

「大丈夫か?お嬢ちゃんたち」

 

戻った聴力が誰かの声を捉える

 

振り返るとそこには鋼鉄の巨人がいた

 

「それにしても凄いなこれ艤装まで直るのか、何が入ってんだ」

 

その肩には、先程自分と姉が独房から提督の元へ連れていった男が空になったバケツを覗いている

 

「…ここは?」

 

「時雨っ!!」

 

海水に溶けた修復材によって中破状態まで回復した時雨が目を覚まし、それを見た夕立が時雨を抱きしめる

 

「あっ…貴方は」

 

時雨にくっ付いて離れない夕立の代わりに時雨が問う

 

「提督にお前らの救出を依頼された傭兵さんだ」

 

それだけ言うとエドガーは肩コンテナからバケツを取り出すと時雨達にに投げつける

 

「数が少ないから力持ちな奴らを優先的に起こして残ったやつを運ばせろ俺は周辺の警戒をしてくる」

 

時雨達が何か言う前にエドガーはコックピットに戻って周囲の警戒に行ってしまった

 

それを見ていた時雨達は我に帰ると散らばっていたバケツを集め戦艦と空母を優先して起こし始めた

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ナニアレ⁉︎アンナノ知ラナイ!!」

 

配下の深海棲艦を全滅させられた防空棲姫は全速で海域を離脱しようとしていた

 

防空棲姫の艦隊はいくつもの鎮守府を潰してきた、緻密な戦略を立て、部下が沈まないようにしてきた為、その実力も士気も深海棲艦の中ではトップクラスだった

今回だって援軍が来るのが想像以上に早かったがこちらは被害を出す事なく無力化することができた

 

今回も勝てるはずだった

急に現れたACを相手にするまでは

 

「アグッ⁉︎」

 

艤装に強い衝撃が走り、バランスを崩して海面を転がる

 

正体はわかってる、奴がもう追い付いてきた

 

「ヤッタナァ…オマエモ イタクシテヤル……!!」

 

生きている砲門を斉射するが相手には1発も掠りもしない

 

「ハヤスギル!」

 

自分と砲塔の旋回速度を足しても追いつけない、だからといって予測位置に合わせても急加速や急旋回で狙いを外される

 

「キャッ!!」

 

敵の弾が残っていた砲塔を貫き爆発を起こす

もう武器がない…

 

「クソッ…」

 

だが相手には容赦がなかった

ACのブレードが振られ防空棲姫の体を切り裂く

 

防空棲姫が最後に見たのは斜めに斬られた自分の身体だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




毎日眠い

登場人物紹介

防空棲姫

深海棲艦の中でも最初期からいる「オリジナル」の1人
対空と装甲が自慢だったがACの兵器の前では紙同然だった
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