「クロノに使ったスキルは、存在のすべてを消して相手に近づくんだ。」
「存在を消す?」
訓練室に来た波留は、早速クロノに昨日使ったスキルの説明をする。
「言葉で言うのは簡単だけど人間、どんなことをしても必ず何かに反応するんだ。
それは理解できるだろ?」
「??」
何の事を言っているのか分からないなのはを他所に話は続く。
「あぁ。それはわかる。が、存在を消すの意味がいまいち…。」
「俺の使っているスキルは 魔力・気配・存在 この3つを消すんだ。
実践だと、デバイスが補助してくれるから本人はそれほど考えなくてもいいんだけど
感知系に重点を置くと情報がたくさん出てくるよ。なのは、やってみて。」
「うん。わかった。」
促されて”set up”をするなのは。そのまま、感知系を意識してみる。
「わわっ。すごい!いろんなのが見えるよ!波留君!」
なのはが興奮する。
それもそのはず。今のなのはが見ているのは視覚はもちろん熱・振動・呼吸・電磁波・光・そして魔力。これらの情報がデバイスを通して分かりやすくなのはに知らせているのだ。
同様の事をクロノも行っている。
「それじゃそのまま俺を見てて?」
「ああ。」「うん。」
「まず、魔力を消す。」
スゥーー。
波留から放出されている魔力がみるみる小さくなって消える。
「次に、気配を消す。」
スゥーー。
「「!!!!」」
それまで感知できていた波留の熱や呼吸が感知できなくなっていく。
目を凝らしてようやくそこに波留がいるのが分かるくらいだ。
「視線をずらすとこの状態でも見失うよ。
じゃあ最後に、存在を消すね。」
「…………。」
「…………。」
「ク、クロノ君…。」
「…なんだ?」
「波留君は?」
「……見失った。」
二人は、波留がいた場所から一切、視線をずらしていないのに見失った。
ポンッ!
二人の肩に手が置かれる。
それに反応して、振り向くとそこに笑顔の波留がいた。
「どうだった?」
二人はただ驚愕するばかりだ。
「レイジングハートは?」
「
波留の問いかけにレイジングハートも答える。
「さすがにこれは出来ないから、魔力を抑えるのと、気配を小さくするやり方を教えるよ。」
「よろしく頼む。」
「お願いします。」
こうして、二人は波留から指導を受けることになった。
その後は、1対1で模擬戦をしたり、ユーノとリニスを交えてチーム戦をしたりと、充実した1日を過ごした。
翌日
ブリジットがアースラにやってきた。
先日の情報を持ってきてくれたのだ。それを知ったリンディは心なしか怯えていた。
「さて、魔力災害の方だがこれは、特殊な鉱石と薬草が必要だな。」
「鉱石と薬草。それは、今もあるのか?」
ブリジットの言葉に波留が聞き返す。
「あるぞ。」
「!どこに?」
「慌てるな!両方とも隠れ里にあるぞ。」
「良かった。それなら取りに行かないとな。」
「でも、管理局が行かせてくれるでしょうか?」
リニスが疑問に思う。
「里帰り…じゃ説明つかないか……。」
「私が取りに行ってやろうか?」
「…ホントか?ブリジット!」
「ああ。かまわない。私も久しぶりに隠れ里に行きたいしな。」
『ブリジットがやけに優しい。』
波留は不思議に思った。
「なんか隠してないか?」
波留の質問に
「何を言ってるんだ。なにも隠してないぞ。人の好意を疑うのか?」
「そんなんじゃないけど……分かった。ブリッジに任せるよ。」
「2,3日で戻れると思うぞ。それともう一つの病気の女だが…。」
「どうでしょう。姉さま。」
リニスが不安そうに聞く。
「正直、この状況では判断できないな。
本人に直接会って確かめてみないと……。」
「ん?なんでブリジットが会えばわかるの?」
波留が疑問に思い質問する。
「長く生きているとな、知識を無駄に蓄えるんだ。すると今度は蓄えた知識を実践で
確かめてみたくなる。里にいたころ、医者の真似事で資格も取ったぞ!」
「へ~……。!えええぇぇぇぇぇ!!」
リニスが驚いてた。波留は呆れながら
『どうやら月山家の猫又さんは、完璧超人でした。』
そしてブリジットが里帰りしている間に新たに数個のジュエルシードが見つかる。
現在の発見されているジュエルシードの数
アースラ側・9個(内4個は波留が所持)フェイト側6個
フェイト達が管理局に見つからず発見していなければ残りの未発見は6個である。
そして数日後、ブリジットが海鳴市に帰ってきた。
直ぐにアースラにきて、件の鉱石と薬草を持ってきてくれた。
「ちなみにこれはストラウスには出来なかった治療法だ。
だから行くなら私も行くからな!」
問答無用であった。
来たついでにブリジットにも訓練に参加してもらうように聞いてみる。
「別に構わないが、どうなっても知らんぞ。」
波留は何となく嫌な予感がした。
なのは達はすでにウォーミングアップをしてる。
「どういう風にやるんだ?」
クロノが訪ねるとブリジットが
「私とリニスの2人対残りの4人でかまわんぞ。」
「姉さまそんな……。」
「本当にいいのか?後悔しても知らないぞ?」
リニスの返事にクロノがかぶせ、なのはとユーノもやる気満々だ。
『どうなっても知らね。』
波留は諦めた。
結果は・・・クロノ達の惨敗。
リニスのサポートと絶妙な攪乱。ブリジットの豊富な技の数々。クロノの戦略も全く歯が立たず。なのはに至っては弾幕も砲撃も全くと言って通用しなかった。ユーノの補助や結界も瞬く間に突破された。波留は気配を消して隙をつこうとしたところを見つかりコテンパにのされた。
翌日
波留はクロノに魔法を教わっていた。
「昨日の模擬戦で使っていた射撃魔法と設置型の捕縛魔法を教えてくれ!」
「別に構わないが。どうした?突然。」
クロノが不思議に思い聞いてくる。
「昨日の模擬戦でも思たんだけど、もっと手数を増やしたいなぁと…。クロノは魔力運用
が上手いから教えて欲しいと思って…。」
「そういうことか。///」
照れながらも教えてくれるクロノ。
波留たちがアースラに来てから10日あまりたったころ。波留とリニス、なのはとユーノの4人はアースラの食堂で休憩をしていた。
他愛のないおしゃべりをしていると艦内に緊急アラートが鳴り響く。
「エマージェンシー!海鳴市海上で膨大な魔力反応あり!」
それを聞いた波留たちは急いでブリッジに向かった。
モニターに映っていたのは、海に向かって大規模魔法を放つフェイトとそれをサポートしているアルフだった。