あれから約半日
アリシアは、一度は目を覚ましたがまた眠ってしまった。
プレシアは6時間程眠ってから目を覚まし、アリシアの無事を確認してから波留達を自分の書斎に招き入れた。ちなみにアリシアは書斎のベッドで眠っている。
「そういえば管理局はあれから何にもないけどあなた達、平気なの?」
プレシアは不思議に思い質問する。
「実は管理局のシステムにちょっとした細工を施しまして、アルトセイムの家に
飛ぶように設定したんですよ。」
リニスが苦笑いをしながら答える。
「いいの?」
「いいの、いいの。それより当時の資料を早く出して!」
波留はプレシアを急かす。
「えーっと、データはこれで…そこの棚の上から2段目は大体当時の資料よ。
こんな資料を使って何をするの?」
「このままだと確実に貴女は極悪人になっちゃうでしょ?せっかくアリシアも助かった
のに…だから事故当時の資料で、言い方は悪いが貴女が狂った原因を調べて管理局・
アースラの面々に見せれば、どうにかしてくれると思うんですよね~…。」
波留達が探しているのはプレシアが当時、主任で開発を進めていた”次元航行エネルギー駆動炉 ヒュウドラ”の関係資料だ。
「おっ!?これじゃないか?」
「こっちも見つけました。」
「こっちもだ。」
少し探しただけでも大量に出てくる当時の不正資料。
管理局の指示のもと当時、開発を行っていた企業は開発費用の横領に始まり、2級品以下の材料や道具での実験、予算不足を理由に人員の削減、結果を欲しがる上層部等々。
これらの理由でもどうにか形になってきたときに例の事故が起こる実証実験を急かす企業の上層部と管理局。プレシアは
「このままでは危険すぎる。」
「まだ早い。」
や
「もっと検証を重ねないと成功しない。」
など実験の中止を訴えたが、強引に実験が行われ実験は失敗。罪を着せられ追放されてしまった。
こんな資料が大なり小なり大量に出てきたので、これをまとめる。
「よし!これで大丈夫だろう。皆でアースラに行こう。」
リンディside
二人の戦闘が終了したとき、またしてもプレシア女史の攻撃が来た。今度は、戦闘区域のみだがジュエルシード9個は強奪、フェイトさんは重症。なのはさんも軽傷を負う。
先の攻撃を探知し相手の居場所を突き止め武装局員を向かわせたら、なんとそこはミッドの片田舎。どうやらミッド南部のアルトセイムという所らしい。
局員に周辺の探索をお願いしたところ、1件の家が見つかった。
私は、その家の捜索を局員たちに命じた。
そこは半年~1年程前まで何者かが生活をしていた痕跡が見つかった。
「艦長。どうやらトラップの類はありませんね。
どうやら小さい子供がいたみたいです。子供用の食器や衣類があります。」
「艦長!こちらはどうやら研究室のようです。これはずいぶん古い資料だな……………
内容は………ヒュ…ウ……ド、文字がかすれてよく読めません。」
「そう、ありがとう。引き続きお願い。」
「「了解!」」「「了解です!!」」
「艦長!先程の家屋からかなり離れたとこに小屋を発見。山小屋のようですが
屋内から1冊の日記のようなものを発見。」
こんな報告が入ったと思ったら今度はエイミィが
「艦長!!先程の単語なんですがこれじゃないですか?」
「…次元航行エネルギー駆動炉 ヒュウドラ」
「またとんでもないものが出てきたな。」
私がつぶやくとクロノが心底嫌な顔をして言った。
「これはちょっと雲行きが怪しいわね?エイミィ、武装局員に通達!現時刻をもって
探策は中止!直ちに帰還するよう命令を出して。それから先程発見した資料はすべて
持って帰ってくるように!」
「了解!!」
当人たちは見つけられなかったけど、大きな収穫だわ。
「次元航行エネルギー駆動炉 ヒュウドラ
開発当時、プレシア女史が関わっていたものよね?」
「そうです。当時の記録は実証実験中の事故。その事故で彼女は一人娘を亡くし追放された。
本局でもこれ位の事しか分かりません。」
私の質問にクロノが答えてくれる。
「ひとまず、武装局員たちが持って帰ってくる証拠を調べましょう。」
そうこうしているうちに局員たちが次々に帰還し証拠となるであろう資料を会議室に運んでくれる。
私、クロノ、エイミィの3人は会議室に行き証拠資料に目を通していく。
資料に目を通しながら私はエイミィに聞いた。
「ところで波留君達はまだ見つからないの?」
「ダメですねぇ。見つかりません。それどころか痕跡すら見つかりません。」
「一体どこに行ったのやら……」
side out
その頃、波留達はアースラに転移してきた。
とりあえずブリッジに行こうと歩き始めると廊下の角からなのはとユーノが歩いてきた。
「!波留君!!」
波留を見つけたなのはが駆け寄ってきた。手を挙げながら
「リンディさんは?」
「リンディさんなら会議室にクロノ君達といるよ。」
「会議室?」
「なんか、見つけた資料を整理するんだって。私たちも行くところなの、一緒に行こう?」
「あぁ、分かった。」
波留達はなのは達と一緒に会議室に向かった。ちなみにプレシアとリシアにはフード付きのマントを目深に被ってもらっている。
◇
会議室に到着した一行は
「リンディさん、手伝いに来ました!」
なのはの第一声で会議室に入っていく。
「それと…………。」
「…ただいま戻りました。」
「波留君!」「波留!!」
リンディとクロノが手を止め駆け寄る。
「一体今まで何処にいたんだ!」
「そうよ、心配したんだから。」
二人から責め立てられる。
「その説明をしますから、フェイトも呼んでもらえますか?」
「彼女は………。」
リンディが口ごもる。
「かなりふさぎ込んでいるんだよね……。」
エイミィが補足をする。
「なら、私が迎えに行きます。」
「リニスさん?」
「何処にいますか?」
「医務室です。」
リニスはエイミィに場所を聞いて医務室に向かった。
side フェイト
知らない天井で目を覚ます。横の椅子にはアルフが座りながら寝息を立てている。
「…こ、こは………アルフ……。」
私の声にアルフは目を覚ます。
「フェイト!もう大丈夫かい?痛い所はない?」
アルフが心配をしてくれる。私と一緒にいてくれるアルフ、今までどれだけこの子の助けられただろう。
「ありがとう、アルフ。もう大丈夫だよ。それよりここは…。」
体を起こしながらアルフに聞く。
「ここは管理局の艦の医務室だよ。」
私は記憶をたどり自分に起こったことを思い出す。
「…確か、白い子と戦って…すごい砲撃をくらって負けちゃって…それで……母さんの雷に撃たれて……。」
思い出してきた。母さんの雷撃で気を失ったんだ。
自分の状況を確認したときに入り口の扉が開き、思いもしない人物が入ってきた。
「…リ…ニス………。」
「フェイト……目が覚めたんですね?」
そう言いながら居なくなったはずの母さんの使い魔のリニスが近寄ってくる。
「良かった。大丈夫そうですね?」
私の頭に手を伸ばす。私は一瞬ビクッとなって懐かしいリニスの手に頭を撫でられる。
「……リニス……リニス……リニス……うわあああぁぁぁぁぁんん。」
我慢できなくなってリニスの胸の中で大泣きした。
リニスはしばらく昔みたいに頭を撫でて落ち着かせてくれた。
「大丈夫ですか、フェイト?」
「……うん。…リニスはなんでここにいるの?」
私は疑問に思ったことを素直に聞いた。
「それの説明をするので一緒に来てください。もちろんアルフも一緒に。」
「いいけどどこに?」
「この艦の会議室です。皆待ってます。さあ!」
リニスに手を引かれながら後をついていく。
side out
リニスがフェイトを呼びに行っている間、散乱している資料を皆で片づける。その間もクロノ達が色々聞いてくるが、
「全員が集まったら説明する。」
と言ってどうにかかわす。
ようやく片付いたところで、リニスがフェイトを連れて戻ってくる。
「フェイトちゃん!」
「……………。」
なのはは喜んで声をかけるがどう答えていいかわからないフェイト。
それを見かねたリンディが
「皆、集まったわね。席についてちょうだい。」
各々が席に着くと
「さぁ波留君、きっちり説明してくれるわよね?」
波留は皆に、説明を始める。