「さぁ波留君、きっちり説明してく・れ・る・わ・よ・ね?」
『リンディさんの後ろに般若の顔が見える。』
「ゴホン。はい、エイミィさん。これをお願いします。」
波留は咳ばらいをしつつ持ってきた資料をエイミィに渡す。
そこに映し出されたのは過去にプレシアが携わっていたヒュウドラの資料だった。
「こ、これは………。」
「まさか、こんな……。」
エイミィとリンディが映し出された資料を見ながら狼狽していく。
「こんな劣悪な環境で……これじゃ…事故が起こるのも当然だ。しかもこんなに管理局員
が関わっているなんて………。」
エイミィの顔色が更に悪くなっていく。
「……しかも今では皆、かなりの役職についている大物ばかりだ。
波留、一体どこでこんな資料を手に入れたんだ?」
クロノは皆が思っていたことを単刀直入に聞く。
「…それは、本人に貰ったんだ。」
「…本人?…ってまさか……。」
「そう、プレシア・テスタロッサ本人から譲り受けたものだ。」
波留は手に入れた経緯をかいつまんで説明した。
◇
「…まったくなんて無茶をする子なの?」
リンディが呆れていると
「まったくだ……それでプレシア本人は?」
クロノのその言葉に波留はフードをかぶっている女性を立たせる。
「?…ま、まさか………。」
女性がフードを取るとそこに現れたのは件のプレシア・テスタロッサ本人だった。
「プレシア・テスタロッサ!」
「…母さん………。」
フェイトが立ち上がり両手を口に当て、狼狽える。
クロノが最大限の警戒をしてデバイスを構える。
「ダメーーーーー!!」
プレシアの前にもう一人のフードを被った子供が両手を広げて立ち塞がる。
その時、フードがはだけ、現れた顔に一同が驚愕する。
「?フェイトちゃん………?」
それまで全く会話についてこれなかったなのはの一言で皆フェイトとその女の子を見比べる。
「確かに」
「似てるねぇ」
「そっくりだ」
ユーノ、エイミィ、クロノが納得していると
「ハイハイ!皆、落ち着て。プレシア女史、説明していただいても?」
リンディが手を叩きながら皆を落ち着かせ説明を求める。
「ええ、この子はアリシア、私の娘です。そこのフェイトはこの子の……クローンよ。」
アリシアの頭に手をのせながらそう告げるプレシア。
フェイトはそれを聞き、ガタッと椅子に力なく倒れこむように座る。
それを見たなのはとアルフはフェイトに駆け寄る。
「…フェイト、あなたにはとても酷い事をしたわ。いくら謝っても足りない位、
本当にごめんなさい。」
深々と頭を下げる。それを見てアリシアも頭を下げる。
沈黙した時間が流れる。それを見ていたリンディが沈黙を破る。
「これからの話をしましょう。」
「…そう…ですね……。」
リンディの言葉に反応したのはプレシアだった。
「それでは、現時点での処遇を言います。
プレシア女史、フェイトさん、アルフさん、アリシアさんの4人は
アースラに拘留・事情聴取を行います。聴取は私とクロノ執務官が担当します。
ただし、皆さん体調が万全では無いようなので様子を見ながら行います。
本局に帰還後、裁判、処遇の決定となります。よろしいですか?」
「…はい。」
「あぁそれと、
波留君達には参考人として事情を聴きたいからもう少しアースラに残ってくださいね?」
「分かりました。」
波留は仕方がないかとあきらめ顔で答える。そしてプレシアとフェイトを見て
「リンディさん、彼女の処遇はどういったものになりそうですか?」
疑問に思っていることを聞く。
「正直言って、分からない。」
クロノが代わりに答えてくれた。
「今回の事は、もとをただすと管理局が深くかかわってくる。しかもそれを隠蔽した形跡がある。
そこが事の発端とするとプレシア女史の起こしたことは、情緒酌量の余地があると僕は思う。
ただ、管理局の艦に攻撃した事実は消せないから実刑は免れない。
だがさっきも言った通り情緒酌量の余地があるから短い刑期と
保護観察処分が妥当だと思う。」
「そっかぁ。フェイトの方は?」
「フェイトは私の指示に従っただけなので罪はすべて私が受けるわ!」
プレシアが母親の顔をしてフェイトの事をかばう。
「……母さん。」
そんなプレシアを見てフェイトは驚いた顔をしている。
「彼女の方は本人の証言通り、母親の指示に従っただけ。
実刑にはならないが保護観察処分になるだろう。」
プレシアは胸をなでおろした。
「そうなると近い将来、皆で暮らせるんじゃないか?」
ブリジットが発した言葉に
「そんな……こんなことをした私がそれを望むなんて……………。」
「あなたが望むこともそうだが…アリシア・フェイト二人はどうなんだい?
プレシアと一緒に3人で暮らしたいかい?」
波留が二人に聞くと
「私は暮らしたい!」
アリシアが元気に答える。
「フェイト?は私の妹なんでしょ?お母さんは私のお願いを聞いてくれたから皆で一緒がいい!」
「そうだよな。フェイトはどうしたい?」
「………私は………私は……」
フェイトは俯き悩んでいるとアリシアがフェイトの所に行き手を握って
「フェイト…一緒に暮らそう?」
「……アリシア……い…いの?」
「うん!いいよ!」
フェイトの目から大粒の涙がボロボロと溢れてきて
「……一緒に………暮らしたい………。
アリシアと……母さんと……一緒に暮らしたい!」
それを見たプレシアが泣き崩れ、二人がプレシアに駆け寄り親子3人で抱き合いながら泣いた。
ようやく落ち着いたプレシアがリニスに
「リニス、あなたにも酷く当たったわね。ごめんなさい。」
「いいんですよ、プレシア。私はあなたの使い魔だったのですから。それに今は……。」
リニスは波留の方を向き
「新しい主人もいますから。」
「そう……?あらでも、リニス。あなたと私のパスがものすごく細いけどまだ繋がっているわ。」
「ええぇぇ………本…当ですね。繋がってます。ちょっと波留!どういうことですか?」
リニスとプレシアが波留に詰め寄る。波留はその迫力に後ずさる。他の皆も興味津々に波留を見る。
「あぁ、それね?……リニスと契約するときにそういう風にしたから。」
「だぁかぁらぁ…どうしてこういう風にしたのかを聞いているんです!」
リニスが更に詰め寄る。
「…分かった…分かった、話すよ。
あの時、リニスから話しを聞いて助けたいと思ったんだ。プレシアもフェイトもアリシアも…、 そしてリニスも。だから俺との契約も仮契約にして延命するだけにして、前の契約者との繋がりを残したんだ。うまくいけば契約を戻して、もし失敗したら本契約をすればいいと思ったんだよ。」
「そんな、すごいことを………。」
波留が説明すると皆、驚きすぎて( ゚д゚)ポカーンって顔してた。
「だから、リニス、プレシアさん。再度、契約をして皆で仲良く暮らしてよ!」
波留の申し出に二人は感謝して、その場で再度、契約を結び直した。今度は«生涯を共に過ごす»という内容で。