それから波留たちは、事情聴取やら、けがの治療やらで3日程アースラにいる事になった。
アースラは艦の整備や修理で4.5日程で本局に戻るらしい。
その間、元気いっぱいのアリシアは波留やなのはの所に行ったり、艦内を散策したりしていた。
波留とブリジットが聴取を終えて、一息つこうと食堂に向かう途中に
「えええーーー!なんでーーー!?」
アリシアの悲痛な声が聞こえてきた。
二人は声のする方に向かうとテスタロッサ一家が集まってなにやら揉めている。
「どうしたの?」
波留が近づくとアリシアが泣きながら訴えてきた。
「波留~、聞いてよ~。
私、フェイトのお姉ちゃんなのにフェイトの妹になっちゃうよ~。」
「どういうこと?」
波留がプレシアに聞くと
「アリシアは精神的には11歳なのよ。」
「でも体が小さいからどう見てもフェイトの妹にしか見えなくて……それに…。」
「それに……?」
リニスが言いかけると
「ア、アリシア……そんなことないよ?」
フェイトが必死にフォローを入れるがアリシアはビシッ!という効果音が聞こえそうな動きをして
「それだよ!それ!フェイトがまだお姉ちゃんって呼んでくれない~。」
「そういうことか……。」
「そういうことです……。」
波留はブリジットに念話で聞く。
〘どうにかならないの?〗
〘ん?うーん、一応な。一応、治療するときに本来の年齢まで成長するように術式を
組み込んだんだが、うまくいってないのかもしくは今の姿が年相応なのか…わからん!〗
〘だ、そうだ。お二人さん。〗
〘そうですか…。〗
〘困ったわね…。でも小さくてかわいいから私はいいのだけれど…。〗
プレシアの目が完っ璧に親ばかの目になっている気がする。
〘ここはひとまず、フェイト?〗
〘波留?どうしよう?〗
さっきからアリシアに何で呼んでくれないの?お姉ちゃんって呼んでよ~、私はフェイトのお姉ちゃんなのに、と詰め寄られている。
〘フェイト…………、呼んでやれ!〗
波留は親指を立ててグッとポーズする。フェイトはそれを見て覚悟を決めたようだ。
「…アリシア……お…お姉ちゃん…。」
耳まっで真っ赤にして恥ずかしそうに言った言葉にアリシアは大喜びだ。
そんなことがありながら、波留となのは達の聴取は終わり帰宅することになった。
それから2日後、アースラが本局に帰還する日なった。
早朝・海鳴臨海公園
波留、なのは、ユーノの3人は待ち合わせ場所に来ていた。
すると目の前にゲートが開き、クロノとテスタロッサ一家が現れた。
波留はリニス達に別れの挨拶をする。
一方、なのはとフェイトはお互いに向き合って黙ったままだ。
この二人、アースラにいる間は挨拶も最低限で一切話そうとしなかった。
「……あのね…、お話したいこといっぱいあったんだけど、何から話せばいいか
わからいや。」
「……私は…そうだね、私もうまく言葉に出来ない……。でも、うれしかった。
君が真っすぐ向き合ってくれて。ありがとう。…それとごめんなさい。
いっぱい傷つけて……。」
「ううん。それはお互い様だよ。…ぶつかり合わないとわからない分からないことも
あるよ。それに私は、フェイトちゃんともっと仲良くなりたい!
友達に…なりたいんだ…。」
「…ありがとう…、でもどうしたらあなたと友達になれるか、
方法が分からないだ……。」
「……簡単だよ!」
「えっ!?」
「友達になるのはすっごく簡単。………名前を呼んで。君とかあなたじゃなくて
名前を呼ぶの。私の名前はなのはだよ。高町なのは。」
「…なの…は?」
「うん!フェイトちゃん!」
その後、お互い再会の約束をして二人の少女は別れるのだった。
「良かったのかユーノ?帰らなくて。」
「いいんだ。なのはに魔法を教えた責任って訳じゃないけど、しっかりきっちり
魔法を教えようと思って。」
「そっか。まぁよろしくな!」
「あぁ、こちらこそ!」
波留とユーノは見送るなのはを見ながらお互いの拳を突き合わせる。
それから数日、いつもの日常が戻った波留は店番を頼まれていた。店番をしながらう~ん、う~んと唸っている。
その理由は、昨夜、亜樹から
「来週はやてさん誕生日なんだって。お兄ちゃんなんかプレゼントしようよ!」
と言われプレゼントを決めあぐねている。店の商品を見ながらウロウロしたりレジの傍で唸ったり、今日は一日中こんな感じだ。
「ケーキは翠屋で予約したからいいとして問題は………。」
「何を予約したの?」
「おわっ!…なんだ、なのはか。いらっしゃい。」
「こんにちは!波留君。それで何を予約したの?」
「友達の誕生日ケーキだよ。翠屋で。」
考え込んでいると突然声をかけられたのでびっくりして椅子から落ちそうになった。
「そうなんだ。ありがとうございます。なにか悩んでる?」
「よくわかったな!?」
「そりゃ、あれだけ唸ってれば誰でも気づくよ。」
「それもそうか。実はプレゼントをどうしようか迷ってて。」
「その友達は好きなもの無いの?」
「好きなものか………お?そういえば新商品であれがあったな。ありがとうなのは。
どうにかなりそうだよ。」
「それはよかった。」
なのはのおかげでプレゼントも決まって、はやての誕生日前日。
当日は、はやてが朝から病院で1日中検査なのでこの日にささやかなお祝いパーティーをすることにした。
翠屋特製の誕生日ケーキにほっぺたが落ちそうになり、波留と亜樹からのプレゼントにはやてがお喜びし、とても楽しかった。ちなみにプレゼントは亜樹が髪飾りで、波留が手作りのしおりを10枚プレゼントした。
「あ、そうだはやてさん。なんか面白そうな本、貸してください。」
「うん?ええよ。隣の部屋のもん好きに持っていき。波留君は?」
「それじゃあ俺も何冊か借りようかな?」
3人とも書庫に移動し本を探す。波留は3冊借りることにした。
そんな中、亜樹が不思議な本を見つけた。
「あれ?はやてさん。この本読めないですね?」
持ってきたのは、鎖で十字に縛られた本だ。鎖が外れそうなところは見あたらない。
「そうなんよ。気いついたら家にあったんよ。」
「不思議ですね。」
そう言いながら、本をはやてに渡し読みたい本を探す。最終的に亜樹は5冊借りることにした。
はやての家からの帰り道、亜樹が波留に聞いてくる。
「お兄ちゃんさっきの本。なんか嫌な感じがした。」
「そっかぁ、亜樹も感じたか。嫌な感じだけど今のところは危険じゃないかな。
………亜樹、明日から魔力を隠す訓練もやるぞ。」
「うん、分かった。」
一抹の不安を感じながらも二人は家に帰った。