リリカルの世界に転生?   作:Y's T

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告白と真実

2日後

 

月山邸リビングに先日の事件の関係者が集まった。

 

バニングス家からはアリサが一人。

 

月村家は一家全員で

 

月山家も一家全員で

 

高町家からは桃子さんを除く全員。

 

〘何故になのはとユーノまでいる?〙

 

〘だって3人の事だもん友達として私にも知る権利があると思います。〙

 

波留の念話になのはがドヤ顔で答える。

 

〘僕はなのはの付き添いで…。〙

 

〘はぁ、魔法の事は絶っ対に喋るなよ?〙

 

〘は~い〙

 

「さて、息子の波留から大まかな話は聞いていますが詳しくご説明してもらえますか?俊さん。」

 

孝夫がすずかの父親・月村 俊に質問をする。

 

「はい。では改めて自己紹介をさせて頂きます。私は夜の一族・月村家当主”月村 俊”です。

 我が家は夜の一族と呼ばれる吸血鬼(ヴァンパイア)の一族です。私と妻の春菜は同じ夜の一族の出身です。

 なので娘たちも吸血鬼(ヴァンパイア)としての能力が備わっています。身体能力は総じて普通の人間を

 超えています。」

 

「なるほど。……夜の一族はいつからいるんですか?」

 

孝夫は続けて質問する。

 

「文献ではおよそ1000年前となっています。」

 

その後、士郎や恭也もいくつか質問をする。

寿命や能力の事をもう少し詳しく聞いていた。

 

「それじゃあ次はうちの一族の説明かな?」

 

孝夫がそう言うと皆の視線が集まる。

 

「月山家は代々古流の技を受け継ぐ家系で私で25代目になります。士郎さんの所と違って、

 主に徒手格闘術に精通してて過去の当主は隠密や暗殺もしていたらしいです。

 そして……………ダムピールと言われるハーフヴァンパイアです。」

 

その言葉に全員固まってしまった。

 

「……いままで、いままでどうして見つからずに過ごせたんだ?」

 

そこへ士郎が疑問を投げかけた。

 

「うちの一族はずっと隠れ里に住んでいたので見つからなかったんですよ。」

 

「でも隠れ里といっても完璧に隠れることはできないでしょう?」

 

そこにすずかの母・春菜が聞いた。

 

「それは隠れ里にはある種のまじないがしてあるんですよ。里に入るために

 決められた地点を順番に周り、里の入口で決められた所作をしなければ中には入れません。」

 

そうなのかぁと聞いてきた春菜や士郎が納得していると

 

「そうすると月山家は夜の一族の分家?に当たるのですか?」

 

今まで黙って聞いていた俊が聞いてきた。

 

「……う~ん。」

 

孝夫は腕を組み悩みながら

 

「…そこなんですけど、違うと思うんですよね。」

 

「違うというのは…どういうことですか?」

 

俊がさらに聞き返す。

 

「いやね、うちの里は隠れ住んで約1800年位らしいんですけどダムピールの生き残り

 なんですよ。だから純血の吸血鬼(ヴァンパイア)がいる事はまずないんですよ。」

 

「それじゃあ夜の一族は吸血鬼(ヴァンパイア)では…ない?」

 

困惑する俊に孝夫は

 

「これは私の推論なんですが、夜の一族はダムピールの隠れ里から別れた人たちじゃないかと

 思うんですよ。実際今は9つの隠れ里があるんでその中から出て行ったもしくは別れた人たちが

 夜の一族の始まりじゃないかと…。ダムピールは世代を重ねるごとに血が薄くなるんですけど

 時たま先祖返りする子供が生まれるんです。その子たちが純血だと言えば……。」

 

「……信じる。」

 

恭也が答える。

 

「そう。そこが夜の一族=吸血鬼(ヴァンパイア)の始まりじゃないかと。」

 

「あの~…。」

 

そこへすずかが手を挙げて聞いてきた

 

「そうすると物語の吸血鬼って何ですか?あれは一体………。」

 

「それについては適任者がいるからその人から話してもらおうか。」

 

「…適任者?」

 

孝夫の返事に今度はなのはが首をかしげながら答える。

 

「アリア。」

 

孝夫はアリアの方を見ながら呼ぶと皆が一斉に注目する。

 

「……やれやれここで私に話を振るとは。」

 

窓辺にいたアリアが喋ると一同驚愕した。

そして尻尾をほどき二股の尾になるとそのまま体が光り、人間に変身する。

 

「彼女はブリジット・アーヴィング・フロストハート、月山家に昔からいる猫又でいわゆる

 転生者です。」

 

それを聞いたすずかは驚きと喜びの感情が顔に現れ、他の面々は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていた。

 

「転生者ってどういうことですか?」

 

その場の空気を無視してすずかが興奮気味に聞いてくる。その言葉に皆、我に返り興味津々で注目する。

 

「そこからか……。私はもともと2000年近く生きてきたダムピールでこの姿はその時の姿だ。

 元々ダムピールは約1000年前に月に移住したのだ。その時、月に行かずに地球に残ったのが

 この月山家のいた隠れ里の者たちだ。私は、はじめ月に行ったが向こうが大丈夫になったので

 地球に帰ってきて隠れ里に厄介になっていたのだ。そこで寿命を迎え意識がなくなった

 と思ったら猫になっていた。後は300年、猫から猫又になり里の者たちを見守っている

 という訳だ。」

 

一同は終始、驚きっぱなしだ。ただすずかだけは目を輝かせている。

 

「それで吸血鬼の物語の話は……。」

 

その中で美由希がハッとしてブリジットに再度聞いた。

 

「あぁ、そうだったな。吸血鬼(ヴァンパイア)と人間は昔、良き隣人だったんだ。吸血鬼(ヴァンパイア)とダムピールが

 暮らす夜の国は平和だった。だがいつからか人間が我らを恐れはじめ、いさかいが起き始めた。

 そして……」

 

ブリジットはその後に起きたことかいつまんで説明した。

・戦争を終結に導いた若き吸血鬼(ヴァンパイア)の将軍の事

・その将軍と王女の婚姻そして同時に若き国王の即位【赤バラの豊穣】時代の事

・治世9年、周辺国が赤バラ王を恐れ対夜の国大同盟を計画、また国内でも赤バラ王の力を問題視している事

・翌年に大同盟が現実化それに合わせて元老院で赤バラ王の処刑が決まった事

・赤バラ王の処刑の際、王妃の魔力が暴走、夜の国が壊滅状態になり周辺各国で阻止、封印した事

・そして生きていた赤バラ王が王妃奪還のため封印を解こうと一人でダムピールと人間の連合に戦いを挑んだ事

・その戦いが1000年続いた事

 

「と。まぁこんなことが起きていたんだが、その過程で赤バラと戦っていた1000年の間に

 ダムピールを人間世界から隔離していったのだ。」

 

「それは何でですか?」

 

なのはの質問に

 

「理由は二つある。ダムピールは吸血鬼(ヴァンパイア)と人間のハーフだ。

 血が濃ければ吸血鬼(ヴァンパイア)側に薄ければ人間側に偏るのだがそれでも当時のダムピールは

 普通の人間に比べ成長は遅いし寿命も長いそれに能力も高かった。ゆえにダムピールは

 赤バラの恐怖を忘れないが人間は違う。世代が変われば過去として風化していく、

 人間は過去の事より目の前の政治や争いを優先するようになる。そうなると我らと人間が

 手を組んで赤バラの阻止なんてことは出来なくなってなこれが一つ目の理由だ。

 そして二つ目が霊力を使える人間が急激に減った為だ。人間が吸血鬼(ヴァンパイア)の血族に対抗できるのは

 霊力だけだ。それなしでは我らダムピールともまともに戦えん、それに赤バラが人間を無闇に

 攻撃しなくなったからだ。こうなれば人間にとって赤バラはいないも当然。そうなれば

 人間からするとダムピールの方がよっぽど脅威になる。そうなると迫害が起き、

 我々ダムピールは絶滅する流れになる。そうなる前に私は少しづつ人間界から切り離し

 吸血鬼(ヴァンパイア)の血族を架空の存在と思わせるように情報操作を行った。およそ250年かけて

 人間の認識と歴史から吸血鬼(ヴァンパイア)の血族を実在から架空に置き換えたのが始まりだな。」

 

「ほえ~~……。」

 

なのはの何とも言えない声が響くがみんな呆けている。

 

「それと夜の一族だったか……。」

 

ブリジットが月村家の面々の手を順番に握っていく。

 

「うむ、やはり皆ダムピールだな。」

 

「やっぱりそうか。」

 

孝夫が納得した顔でウンウンと頷くが、忍が納得しない表情で

 

「…そんな……でも私たちは定期的に血を飲まなければこの体を維持できないのに!

 それはどう説明するんですか!」

 

そう、夜の一族は定期的に血を体内に取り込まなければ衰弱するとされている。故に月村家は輸血パックでもって維持をしているのだ。

 

「それは関係ないぞ。いわゆるプラシーボ効果と同じだな。いつ誰が言い始めたかは知らないが

 本来、ヴァンパイアやダムピールは吸血しない。少なくとも私はそのような情報を

 流していない。吸血衝動を持つ者もいないし生きるにおいて人血などまるで必要としない。

 現に波留たちは一切、吸血をしていないからな。」

 

「では吸血はどうして広まったというんですか?」

 

今度はすずかが聞いてきた。

 

「我々の犬歯が発達している事から王妃の魔力暴走以降、ヴァンパイアを極度に恐れる人間が

 吸血をイメージして広めたのだろう。それにあながち間違いでもない。我々の牙に吸血能力が

 あるのは事実なのだ。はるか昔のヴァンパイアは吸血を必要としていたらしいが、

 種として進化していく過程で無用となりそれでも子孫には能力として残ってしまっている

 だけだ。人間でいえば盲腸みたいなものだ。だからヴァンパイア=吸血鬼は本来、

 間違っている。」

 

一同は納得しているが月村家の面々はまだ納得いかないみたいだ。これに関しては本人たちが納得するまで時間がかかるだろう。

 

「そういえば、隠れ里って日本だけなんですか?

 吸血鬼のお話って外国のイメージが強いんですけど…。」

 

ここでまた、なのはが鋭い質問をする。

 

「そうだな、私が切り離した時は全世界にちりばめられてひっそりと暮らしていたよ。

 その中でもヨーロッパの方は数が少し多かったな。そのおかげで迫害もかなり受けた

 みたいだが…、そしてさっきも言った通り月にほとんどの血族が移住したが残ったものが

 日本にいた一部の者たちだ。逆に言えばその者たち以外は全員、月に行ったよ。」

 

「へぇ~、そうなんですね。ちなみに場所ってどこなんですか?」

 

なのはが更に聞いてくる

 

「はじめは富士樹海の奥深い所だったな。そこから奥羽・月山(がっさん)・立山・白山・大峰山・大山

 ・石鎚山・高千穂の山中の深い所にある。」

 

「ちなみにうちの実家は富士樹海の本集落よ。」

 

奈々がここぞとばかりに付け加える。

 

◇

 

落ち着いた一同は一息ついた。話の展開に一杯一杯のアリサとなのはにすずかが意を決して話そうとする。

 

「……あ、アリサちゃん、なのはちゃん……。」

 

「すずか…」「…すずかちゃん」

 

「あの……、私…、人間じゃないけど………吸血鬼…なんだけど、えっと…、その…、

 これからも、お、お友達でいてくれますか?」

 

小刻みに震え、俯きながら聞くすずかに二人は

 

「……なぁに言ってんのよ!」

 

「そうだよ。」

 

「いままでも、これからも、あたしたちは友達でしょ!」

 

「そうそう、友達だよ!でも教えてくれてありがとう!すずかちゃん。」

 

二人の言葉にすずかは大粒の涙を流しながら「うん!」と答えた。

 

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