はやての所に遊びに行っていた亜樹がしょんぼりしながら帰ってきた。
普段なら「たっだいま~!!」と元気に帰ってくるのだが今日は「ただいまー」
としょんぼりしている。
理由を聞いてみると、今日は皆で遊ぶ予定だったらしいのだがいたのがはやてとザフィーラだけで、ほかの皆とは遊べなかったらしい。しかも今日は普段いないシグナムもいると聞いていたので余計に残念だったみたいだ。
それになんだかはやての体調が普段より良くないように見えて余計に落ち込んでいた。
その日の夜、夕食が済んだ月山家に来客があった。
奥羽の隠れ里の陸奥さんが突然やってきたのだ。
両親はすごく驚いていて、特に父親は驚きが隠せないでいた。
この人は”陸奥 真玄”たしか今年で80歳になる老人で一族の徒手空拳の先生をしている人だ。もちろん父親も教え子の一人だと聞いたことがあるが、驚きが異常のような気がする。
「
「何?ちょっとお主に仕事の依頼をしたくてこうして山奥から来たんじゃよ。」
「それなら電話でもよかったんじゃ…。」
「たわけ!そうしたら弟子の成長を見ることが出来んじゃろが!
それにお主の子供達にも会いたかったのでな。」
「ひっ!す、すいません。」
「先生、取り合えず
母・奈々が間を取り持ってリビングに案内する。
波留と亜樹も呼ばれ一通りの挨拶をした。
「それで
お茶を一口飲んだ真玄が話始める。
「うむ。つい先日、里の者が襲われての。それの調査をお願いしたいのだよ。」
「「「!!」」」
亜樹以外が驚いた。
以前にも説明したが、隠れ里は基本普通の人間には見つからないようになっている。
その隠れ里の人間が襲われたとあっては驚かずにはいられない。
それに里の人間は身体能力が普通の人より高い為、滅多なことが無い限りは大抵返り討ちにしている。これはどこの里のでも同じだ。
それに特に奥羽の里は陸奥一族がいるため、里に住むものたちは真玄らから最低限の手解きを受けているので他の里の者よりこと格闘に関しては秀でている。
そんな里の者が襲われたのだ。
「丁度、狩りに出ていたものが襲われての。
結界の外だったんじゃよ。なので里が見つかった訳でもないから安心せい。
それに襲われたものがおかしなことを言うのでなそれが気になってお主を頼ることに
したんじゃよ。」
「おかしなこと?」
説明を聞くと、狩りに出ていた人は山中で突然、西洋の剣士らしき女性に襲われた。
その時の彼の装備は、弓と鉈。相手は不思議な力を使い剣に炎を纏わせて襲ってきたらしい。その攻撃を躱すことが出来ず右袈裟に斬られ血も沢山出たところで意識を失っている。次に気づいたのは近くの大木の洞で、受けたはずの傷が完治していたらしい。
ただ、妙に体が重く、直ぐ里に戻ったらしい。
「それでな、ここに来る途中で
嫌な予感がしての、立山と白山にも足を延ばしたら…。」
「同じことが起きていたと?」
「そうじゃ。ただ事ではないと思いここに来たんじゃ」
「確かに妙ですね…。
分かりました。こちらでも色々と調べてみます。」
「そうか。よろしく頼む。ところで…。」
真玄がそうつぶやいた時、アリアが帰ってきた。
「おぉ。ブリジット様!お久しゅうございます。」
「む?真玄か。久しぶりだな。」
それから二人はしばらくお喋りをし、今回の訪問理由を話していた。
その話を聞いた
「波留、これはあいつらと同じではないか?」
「あぁ、そうだね。」
「「「同じ?」」」
「うん。
この間、なのは達が襲われたんだ。
その時も一度それなりの怪我をしてから治療をした痕があったんだってさ。」
波留は他にも、リンディ達から協力をお願いされていることを話した。
それを聞いた孝夫は、直ぐに各里に連絡をしていた。
内容は
・しばらく里の結界の外に出ないこと。
・出る際は必ず複数人で出ること。
・もし襲撃者にあった際は応戦しないで撤退をすること。
・襲撃者が現れたらこちらに連絡を入れること。
以上の事を各隠れ里に通達したところ、大山・石鎚山・高千穂の3つはすでに襲撃にあっていた。
その中で大山の者が襲撃者を撮影していたのでその画像を送ってもらった。
孝夫がPCに向かい送られてきた画像を印刷してみんなに見せる。
それを見て、波留と亜樹は驚いた。
そこに映っていたのはどうみてもシグナムの姿だった。
「お兄ちゃん……。」
波留の袖を亜樹が引っ張りながら見つめてくる。
「…あぁ。」
二人が驚いているのに気づかない大人たちはどうやって彼女を探すか話している。
そこへ
「父さん。」
「どうした波留?」
「今回の件、俺に…俺たちに任せてくれないか?」
「どうした?俺たちって亜樹もか?」
「うん。」
波留と亜樹の言葉に驚きを隠せない孝夫だったが、その真剣な眼差しに
「分かった。やってみろ。」
「あなた!?」
その答えに驚く奈々を制し
「ただし、無茶はするな。亜樹もいるんだからな!」
「分かった!」
波留と亜樹はハイタッチをして喜ぶ。
その後、波留と亜樹は真玄に稽古をつけて貰い彼を驚かせる。
普段から身体能力が高いのはもちろんだが、二人は更にそこから魔法による身体能力強化を行ったのでかなり驚かれた。
「これはたまげた。坊に嬢はすごいのう。」
「へへ~。アリアに教えて貰ったんだよ♪」
「ほぅ。そうかそうか。それなら納得じゃわい。」
亜樹のご機嫌も戻ってよかった。
「ところで、お主は何をやっておるんじゃ?」
道場の入口をそっと出ようとする父親を見つける子供達。真玄は入口に背を向けているが気配で孝夫が逃げようとしているのを察したようだ。
真玄が波留と亜樹に頷くと二人はニヤリと笑い左右に分かれて一瞬のうちに孝夫を挟み撃ちにする。
それを察した孝夫は慌てて出ようと道場の扉を開けるとそこにはニッコリ微笑む奈々と呆れた顔をしているアリアが塞いでいた。
「な。奈々?」
「いい機会だから先生にしごいてもらえば?」
その手には真玄がお土産にと持ってきた
「う、裏切り者~~。」
その夜は道場から孝夫の叫び声とも言えない声が絶え間なく聞こえたとか聞こえないとか・・・。