リリカルの世界に転生?   作:Y's T

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里帰り

ブリジットが闇の書を調べてみると多くは無いが分かったことがあった。

この魔導書は確かに様々な魔法を蒐集をしては色々な所に行っている。時代も場所も関係なく現れている。出現頻度も何百年と経つときもあれば今回みたいに十数年と短い期間で現れるときもある。

 

「…ほうほう…これはこれは……。

 お?……え~と、エ……リ…ア、うーん上手くいかないな。

 ほほぅ、月にも行ってるのか。」

 

ブリジットは実に楽しそうに解析をしている。

こんなブリジットは初めて見る波留は多少困惑しながら声をかける。

 

「お、おーい。

 ブリジット?

 なにか分かったかー?」

 

そんな声に遅れながら反応したブリジットは興奮しながら答える。

 

「お?おぉ。

 すまない。なかなか面白くてな、つい夢中になってしまった。」

 

「そ、そうか。

 それでなにか分かったか?」

 

「うむ。

 今の蒐集状況は400ページにそろそろなるところか。

 現状では何もできん。」

 

その言葉に一同は落胆をする。

 

「というのも、ほとんどのシステムにロックが掛かっているから解除が出来ん。

 これは管制人格と言ったか?そ奴が出てきて持ち主とパスを繋がないと機能が

 解除されないようになっている。それ以外にも厳重にロックが掛かっているのが

 いくつもあって手が出せん。」

 

「つまりは打つ手なしか…。」

 

はやてがつぶやく。そこへ波留が

 

「なら取るべき行動は決まりだな。」

 

「へ?」

 

はやてが驚きながら波留の方を見る。

 

「何としても残りのページを埋める。そして管制人格を起こしてはやてがちゃんとマスターとして

 管理する。原因をすべて取り除く。それで解決だろ?」

 

「でも蒐集するには人様に迷惑がかかる。私はそこまでして治りたくは…。」

 

そこまで言ったはやての肩に手を置き波留は笑顔で

 

「大丈夫。俺に心当たりがある。」

 

「心当たり?」

 

「うちの実家に行けば解決する。と思う。」

 

「あっ、そっかぁ。」

 

それを聞いて亜樹とブリジットは納得した顔をし他の皆は?が頭の上に浮かんでいる。

波留は、はやて達に自分たちの事(なのは達に説明した事)を話した。

 

「なるほどなぁ。

 ヴァンパイアにダムピールなぁ…。」

 

「今夜にも親に聞いてみるよ。」

 

ひとまず蒐集は一時中止してもらい、この日はここまでにして波留たちは帰宅した。

 


 

その日の夜、月山家の夕食時に波留と亜樹は両親にはやて達の事を説明した。

 

「なるほどなぁ、あのはやてちゃんがそんなことになっていたのか。」

 

「そうなの。だから何とかしたくてお兄ちゃんと考えたんだ。」

 

孝夫の言葉に亜樹が答える

 

「それで、里の人達に協力してもらえないかと思って、父さんどうにかできないかな?」

 

孝夫がしばらく考え込んでいると

 

「いいのではないか?」

 

師匠(先生)?」

 

ここで真玄が口を開く。それに反応したのは奈々だった。

 

「そう言うことなら里の連中も協力するじゃろう。儂らは無駄にしぶといからの。」

 

「…そうね。

 波留、明日はやてちゃんたちを家に呼んできなさい。」

 

「母さん?」

 

「私も協力します!」

 

そして次の日の夜

八神家一同は月山家に来ていた。

学校帰りに八神家に寄った波留と亜樹は皆を連れて帰宅。19:00まではお店があるのでそれまでは宿題をしたりお店の手伝いをしたりしていた。因みに月山家ではよっぽどのことが無い限りは家族全員で夕食をとる。

夕食を済ませリビングで今後の事を話し合う。

 

「…という訳で今週末にうちの実家がある富士の里に行く。そこで蒐集?を行う。

 そこで足りなければ翌週に近場の里にまた行くってのを繰り返す。でいいんだよな?波留。」

 

孝夫の問いに波留が頷き、亜樹が笑顔でvサインを出す。

 

「本当は我々夫婦も一緒に行きたいんだがクリスマス前にお店を閉めるのは流石に出来ないからね。

 その代わりこちらの真玄師匠(先生)アリア(ブリジット)が同行する。」

 

孝夫の言葉に

 

「ほんまにありがとうございます。」

 

はやてが申し訳ない顔をしながらお礼を言い頭を下げる。それを見たシグナム達も頭を下げる。

すると奈々がはやてに近寄って顔を持ち上げるとギュッと抱きしめた。

はやては混乱して驚いていると

 

「…大丈夫。…私はもちろんここに居る皆はあなたの味方よ。」

   

その一言ではやての感情が一気に爆発して、大粒の涙を流し始めた。

 

「…大丈夫。

  …大丈夫。」

 

そう言いながら奈々ははやての頭を優しく撫で落ち着かせる。

 

数分後

ようやく落ち着いたはやては顔を赤くしながらお礼を言い帰宅した。

 


 

週末

一行は富士の樹海の中に居た。

 

「…ハァハァ。ま、まだつかないのか?」

 

ヴィータが怪訝な顔で聞くと

 

「もうつくよ♪」

 

最年少の亜樹が元気いっぱいに答える。

 

「ほんまにこんなところに里なんてあるんか?」

 

ザフィーラに抱えられながらはやてが聞く。

なぜ歩けないはやてがいるかと言うと当初、はやてとザフィーラは留守番の予定だった。だがはやてが

 

「当事者の私が行かな示しがつかん。どんなことしてでもついて行くで?」

 

と言いだしたのである。皆で説得したが失敗に終わり、これまでの道中はシグナムとザフィーラで交代しながらはやてを運んできたのである。

 

「ここを抜ければ里に到着じゃ。」

 

そう言う真玄の後に続いて一行は樹のアーチを抜けるとその里は現れた。

 

「「ようこそ富士の隠れ里へ。」」

 

波留と亜樹が振り返り一行を歓迎する。

そこは少し盆地になっている土地でとてものどかな所だった。

すると突然悲鳴が上げる。

 

「きゃぁっ!!」

 

声の主はシグナムで彼女の背後になにやら人影が見える。

シグナムの背後にはヴィータ程の人影が見えた。

その人影はどうやらシグナムのお尻を触っているようだ。シグナムがワナワナしながら右拳を前から後ろに全力で振りかぶるとその人物は素早くかわす。躱した先はシャマルがいて今度はシャマルのお尻に頬ずりをしている。

 

「きゃぁぁっ!!!」

 

シャマルが悲鳴を上げると、ヴィータがアイゼンを振りかぶっていた。

盛大な土煙が舞う中、波留と亜樹、真玄は呆れていた。

シグナムもレバンティンを携え、土煙を横なぎで晴らし先程の人物を探す。

次の瞬間、木陰からヴィータとシグナムに目掛けて礫が放たれる。二人はたやすく躱し放たれた方に行くが既にもぬけの殻。再びシャマルの背後から気配がし二人が振り向くとシャマルに飛ぶ掛かろうとする人影が・・・

シャマルに抱きつく瞬間に更にその背後から迫る陰に鷲掴みにされた。

 

「いい加減にせんか!典膳!!」

 

ブリジットである。

 

鷲掴みにされながら典膳と呼ばれた小さな老人はとぼけた顔をして

 

「おや?ブリジット様。どうなされたので?」

 

と、とぼけた顔をして答える。

頭を抱えるブリジットが

 

「孫も弟弟子もいる前で変わらんなぁお前は。」

 

「ひょほほ。ブリジット様も相変わらずお美しい。

 波留と亜樹それに真玄か?久しぶりじゃの。」

 

「まったく兄者は昔からそうじゃて…。」

 

「しょうがないよ。じいちゃんだもん。」

 

「確かに。じいちゃんだからな。」

 

各々が典膳に呆れている。

 

「…あ、あのー波留君?そちらは?」

 

たまりかねて、はやてが波留に訪ねる。

 

「あぁ、悪い悪い。あそこで鷲掴みにされているのは俺らの祖父の…。」

 

「”月山 典膳”じゃ。」

 

するとさっきまでブリジットに鷲掴みにされていた筈の典膳が突然はやての前に現れた。

 

「ひゃっ!」

 

はやてとザフィーラはかなり驚いていた。というか他のヴォルケンリッター達もかなり驚いていた。

 

「そこの真玄の兄弟子であり波留と亜樹の祖父でこの里の長をしている。これからよろしくの。」

 

「あっ、はい。よろしくおねがいします。八神はやてです。」

 

はやては呆気にとられながら挨拶をする。

シグナム達ははやてが紹介をした。

一通りの挨拶が済んで

 

「こんなところで立ち話もなんじゃ。ひとまず屋敷に行こうか?」

 

そう言う典膳に案内され一行は典膳の屋敷、波留と亜樹の実家にやってきた。

居間に通された一行に典膳は

 

「それで波留。こんな人数でやってきて一体どうしたんじゃ?」

 

典膳の質問に波留はかいつまんで説明をする。

 

「なる程の?それでその魔力?の蒐集に来たわけか。」

 

「そうなんだ。でどうかな?じいちゃん。」

 

波留の言葉に典膳は

 

「あぁ。かまわないぞぃ。早速やっていくかの?」

 

と言ったところで居間の襖が開き一人の少年が入ってくる。

 

「失礼します。お茶をお持ちしました。」

 

そこには以前、すずかにちょっかいを出しこの里に送った氷村 遊が居た。

 

『この里に送って約半年。かなりしおらしくなったな?』

 

「おぉ、遊か?そうじゃ遊、おんしもちと手伝ってくれ。」

 

「なんでしょう?」

 

典膳がそう言うと氷村は近寄ってきた。波留と亜樹を見て一瞬、殺気が膨れ上がったが直ぐに治まり典膳の傍に行く。すると

 

「これ。」

 

典膳に軽く拳骨をもらい波留と亜樹に謝った。

 

「なんだ?襲い掛かってくるかと思った。」

 

波留の言葉に氷村は

 

「フン!ここにきて、如何に自分が未熟だったかを痛感させられた。それでもまだ

 お前にもそこのガキにも敵わないことぐらいは分かる。というかここ居る誰よりも

 弱者なのが分かるからただの嫌がらせだ!」

 

氷村はそう言いながらそっぽを向いた。

典膳はそんな氷村に簡単な説明をし了承を得ると

 

「ほれ嬢ちゃん。手始めに、こやつからその蒐集をするとよかろう。」

 

その言葉を聞いて、はやてが闇の書を出しシャマルに渡し氷村から魔力の蒐集を始めた。

蒐集は日常生活に支障が出ない程度に行うため今までの限界ギリギリの半分程度に収めている。氷村からは3ページ分の魔力を回収できた。その後も里の人達に協力してもらい、一人あたりからは3~7ページを蒐集できた。これは、今回派遣された武装局員に匹敵する魔力保有量である。

今回だけで100ページ近く蒐集できたことになる。これには皆、かなり驚いた。

翌日には帰る為、早めに食事を済ませ就寝することにした。

 

夜中

はやては、ふと目が覚めた。時計を見ると夜中の1時を少し過ぎたところである。他の皆は昼間の疲れがあるからかぐっすり寝ている。はやては上半身の力を上手く使い客間の入口まで行くと襖を開け縁側の方に向かった。

そこには波留が一人、月を眺めていた。

 

「……ステラ…。」

 

その横顔にドキッとしたはやてはつい声が漏れ出てしまった。

 

「…波留君?」

 

はやての声に驚いた波留は振り向き、はやてを確認すると

 

「なんだ、はやてか?

 どうした寝付けないのか?」

 

「ううん。なんか目が覚めてもうた。」

 

「そうか。」

 

波留はそう言いながらはやてに近寄り身体強化の要領ではやてを抱きかかえ縁側に座らせる。

その行動にはやては、あわわするだけで大した反応が出来なかった。

 

「月が綺麗だよ。はやて。」

 

「……ほんまやね///」

 

はやては顔を赤くしながらその一言を言うのが精一杯だった。

数分後

波留は

 

「風邪引くといけないからもう寝よう。」

 

そう言いながら再度、はやてを抱え客間に向かう。

はやてはまたしてもあわわしながら

 

『ステラって誰や?波留君。』

 

そして夜の闇は一層濃くなりあたりを包む中、月だけが淡く輝いていた。

 

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