リリカルの世界に転生?   作:Y's T

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ナハトヴァール

「あの~質問があるんですけど…」

 

なのはが右手を小さく上げながら聞いてくる。

 

「今のうちに何とかできないんですか?」

 

その質問にリーンフォースは

 

「今は一切の干渉を受け付けない状態なんだ。

 簡単に言うと、とてつもなく固い殻に覆われている状態だな。」

 

それを聞いたなのははしょんぼりしながら「そうなんですか」と答えた。

 

 

「それで、ブリジットはどうするつもりだ?」

 

波留は不機嫌な顔をしてブリジットに質問をする。

 

「そう怒るな。

 今回の作戦は大まかに分けて3つの段階に分けて行う。」

 

「……3つの段階?」

 

それを聞いてなのはが聞き返す。

 

「そうだ。

 まず初めにあそこの淀みが解放されたら、多重障壁を破る。

 

 次に今回の蒐集で獲得したであろう情報から構築された体を消滅させてコアを露出させる。

 

 最後に露出したコアを軌道上に待機しているアースラ前に転送させてアルカンシェルで

 破壊・消滅させる。

 

 以上が今回の作戦の概要だ。」

 

「成程な、単純だが一番確率が高いか…。」

 

ブリジットの話を聞いて、シグナムが手を顎に当てて答える。

 

「問題は障壁の強度と数ですね。」

 

「あぁ。それに必ず邪魔しようとするだろう。

 それの対処も考えないといけないな。」

 

フェイトの疑問にザフィーラが追加で答える。

その間のなのはは目が丸くなって話している人を見るだけだった。

今のを聞いて波留が

 

「実際はどうなんだ。

 リーンフォース?」

 

「…正直、分からない。

 こればかりは出現してからの確認になるな。

 今までは暴走すると私の意識は全くなかったから……。」

 

リーンフォースは俯きながら答えてくれた。

波留は、「そうか、分かった。ありがとう。」と言いブリジットと相談を始めた。

はやては落ち込んだリーンフォースを慰めて、なのはは相変わらず目を丸くしている。

波留とブリジットはシグナム達を呼んでそれぞれの得意なことを確認する。

そこへエイミィから

 

「臨界まであと5分!」

 

と言う知らせが届いたと同時に詳細が決まった。

 

「お待たせ皆。

 じゃあ今回の作戦担当を伝えるぞ。」

 

波留が言うと皆、自然と円形に集まり話を聞き始めた。

 

「まず、あれが解放されたら障壁の強度を確認する。

 それは亜樹、お前にやってもらいたい。なのはのシューターと同程度の威力で

 数発攻撃してくれ。」

 

「はーい。」

 

「次にユーノとアルフとザフィーラは、奴の本体と今もちらほら見えている

 あの触手を止めてくれ。」

 

「了解。」

「おうともさ。」

「承知した。」

 

「次に、なのは・ヴィータ・フェイト・シグナムの4人は障壁の破壊担当だ。

 亜樹の威力偵察の結果で状況は変わるが基本は二人で一枚を破壊してくれ。」

 

「うん。」

「分かった。」

「あいよ。」

「了解した。」

 

「んで、はやて。」

 

「はいよ。」

 

「一度、奴の行動を止めて欲しい。出来るか?」

 

「まかせとき。」

 

「亜樹は皆が対処できなかった奴を随時攻撃してくれ。」

 

「まっかせて。」

 

「シャマルは奴のコアの補足と状況の確認をしつつ各人へ指示を頼む。」

 

「分かりました。」

 

「クロノは状況を見て後詰として待機していてくれ。」

 

「分かった。」

 

「そして、障壁が破壊出来たらはやて・なのは・フェイトの3人で本体を攻撃。

 コアの露出をさせてくれ。」

 

「「「うん。」」」

 

「コアを補足したらユーノとアルフの強制転送でアースラ前に転送だ。」

 

「「分かった。」」

 

「ん?波留君はどうするん?」

 

はやての質問に

 

「俺は、戦況を見つつ介入するよ。

 んで、ブリジットはいざというときの切り札と言うことで。」

 

「だろうと思ったよ。」

 

微笑みながらブリジットは答えた。

 

「あっそうや。なのはちゃん、フェイトちゃん、ちょっと。」

 

「なぁに、はやてちゃん。」

 

はやてに呼ばれなのはとフェイトは近寄る。

 

「シャマル。」

 

はやてに呼ばれシャマルが3人の傍に近寄ると

 

「お二人の治療ですね?

 

 クラールヴィント、本領発揮よ。」

 

Yes Ma'am(イエス マム)

 

「風よ、癒しの恵みを運んで。」

 

シャマルのデバイス。クラールヴィントが輝くとなのはとフェイトの傷とバリアジャケットがみるみるうちに治っていった。

 

「湖の騎士シャマルと風のリングクラールヴィント。

 癒しと補助が本領です。」

 

笑顔で二人の治療を完了させた。

 

◇ ◆ □ ■

 

そして、ナハトヴァールが目覚める。

 

それはとても巨大な体をしていた。

8本足の獣の様な生物の肩口にキリンの様な首がついていてその先に人間の上半身の様なものがついている。

下半身の獣には巨大な口が無数の牙を露わにしている。首や下半身は固い鱗の様なものでおおわれている。首の途中からは複数の蛇の様な竜の様な触手が大小ある。この触手は下半身や周囲の淀みからも出ている。

首の後ろと人型上半身の後ろにはそれぞれ光輪の様な輪が大小浮かんでいる。

 

それは、獣の様な低い声と、女性の様な高い声が混じった咆哮を上げながら移動を開始した。

 

「さぁって、いっくよー!」

 

バン  バン

 

亜樹の放った魔力弾がナハトヴァールに放たれた。

 

キン   キン

 

「お兄ちゃん!あの壁なんか変!」

 

亜樹の言葉に波留は一瞬考えた。

 

「亜樹、もう一度頼む。

 今度は………。」

 

「りょーかい。」

 

バン    バン

 

キン     キン

 

次に放った亜樹の弾丸は、魔力弾と通常の弾丸だった。その反応をみて波留は確信した。

 

「物理と魔力の混合多重障壁か!

 亜樹、サンキュー!

 

 奴の足を止めてくれ!」

 

波留の叫び声と共にユーノとアルフそしてザフィーラが動く。

 

「ケイジングサークル!」

 

「チェーンバインド!」

 

「囲え!鋼の軛!!」

 

緑の輪がナハトヴァールの周囲を囲みオレンジの輪がそれぞれの足を拘束し鎖を緑の輪に繋ぐ。首や光輪には緑とオレンジの鎖が巻き付いている。そして上空から無数の白い軛が足や触手に突き刺さる。

一瞬、動きが止まるが直ぐに動き出し鎖は引きちぎられた。そして光輪の中心に黒い魔力の塊が現れるとそこから無数の魔力弾が放たれる。

ユーノたちは上手く躱し大事には至らなかった。

その間に波留はナハトヴァールの障壁の事をみんなに伝えた。

ヴィータには物理メインでなのはにはヴィータの援護をシグナムとフェイトには魔力メインで攻撃するように指示を出す。

そしてシャマルの指揮のもと障壁への攻撃が始まる。

 

「先陣突破!なのはちゃん、ヴィータちゃん、お願い。」

 

「おうよ!

 

 合わせろよ。高町なのは!」

 

「うん!!」

 

ヴィータの言葉になのはは喜んで返事を返す。

 

「やるぞ。アイゼン!」

 

Gigant(ギガント)

 

ヴィータが先行して飛翔し、なのはがそのすぐ後ろから追走する。

ヴィータはナハトヴァールの攻撃を躱しながら近づく。

それを確認したなのはは

 

「アクセルシューター・バニシングシフト」

 

lock on(ロックオン)

 

「シューート!!」

 

なのはがシューターを無数に放つとそれはヴィータの後ろで散開し彼女の進路上の敵に次々と命中していく。ヴィータが敵上空に到達すると敵からの攻撃が下から放たれるが、なのはがそれをシューターで阻止する。それを確認するとヴィータは魔法陣を展開して

 

「豪天爆砕!」

 

ギガントフォームを更に巨大化させ

 

「ギガント・シュラーク!!」

 

振り下ろした。

それにより障壁が破壊されナハトヴァールの巨体が海に沈む。

 

「次。シグナム、フェイトちゃん!」

 

シャマルの指示が飛ぶ。

近くで攻撃を躱しながらフェイトとシグナムが攻撃の準備に入る。

 

「行くぞ。テスタロッサ。」

 

「はい。シグナム。」

 

フェイトはそう言うとすでにザンバーフォームのバルディッシュを横に一薙ぎして目の前の触手を切り払うとナハトヴァールを飛び越え反対側に位置を取る。

フェイトの反対側に居るシグナムは、すでに魔法陣を展開し準備している。

シグナムは鞘とレバンティンを合体させて弓にしていた。

 

Bogen form(ボーゲンフォルム)

 

そして弦をひき構える。

 

「翔けよ!ハヤブサ!」

 

Sturm falken(シュツルム ファンケン)!」

 

それと同時に反対側のフェイトが

 

「貫け、雷神!」

 

Jet Zanber(ジェットザンバー)

 

シグナムが矢を放つと同時にフェイトも振りかぶる。

炎を纏った矢がハヤブサの形を成しナハトヴァールの障壁を突き破り本体に命中し爆発。と同時にフェイトの攻撃が上から障壁を真っ二つにして消滅させる。

ナハトヴァールの動きが止まる。

 

「やったか?」

 

様子を見ながらアルフがそう言うとユーノが

 

「いいや!まだだ!」

 

ナハトヴァールから無数の攻撃が四方八方に放たれ各々躱しながら距離を取る。

するとナハトヴァールはその巨体を浮かせ再度、障壁を張り直そうとする。

3層の障壁を張り直そうとするのをザフィーラがいち早く阻止に向かう。

両拳に魔力を溜め障壁を殴りつける。

 

「うをぉぉぉぉ!!」

 

それと同時に反対側から亜樹が援護射撃を行う。

 

「させないよ!」

 

ダン!

 

ダン! ダン!

 

亜樹の2,3発目と同時にザフィーラも殴ると展開途中の障壁が粉々に砕けた。

それを確認したシャマルは上空を見ながら

 

「はやてちゃん今!」

 

ナハトヴァールの直上にいるはやては杖を掲げ

 

「彼方より来たれ、ヤドリギの枝。」

「「銀月の槍となりて撃ち貫け。」」

「石化の槍」「「ミストルティン!」」

 

詠唱と共にはやての魔法陣が浮かび上がりその周りを8つの魔力の塊が生成させる。

そしてはやてが杖を振り下ろすと次々に魔力の塊が槍となり降り注ぎナハトヴァールに突き刺さる。刺さった所から徐々に石化していき遂には完全に石化し海に墜落した。

一同は固唾をのんでナハトヴァールが落下した地点を見つめると案の定ナハトヴァールは急速再生を行い元の姿に戻ってしまう。

それを見て波留は

 

「クロノ、それとなのは、フェイト、はやて!

 4人とも準備しろ!」

 

そう言うと波留は翼を展開しナハトヴァールに近づく。それに気づいたナハトヴァールは波留に攻撃を集中するが、次々に躱される。そんな波留の行動を予測しナハトヴァールは波留の躱した先に触手を出現させるがそれは波留の目の前で粉砕する。

亜樹の援護射撃が波留の周辺にいる触手に次々と命中する。

そして波留は小烏丸を抜きながらさらに近づく。

その目は虹彩が茶色から赤に、瞳孔が猫のように垂直のスリット状に変化していた。

そして自身の周りに魔力球を複数生成し本体目掛けて放つ。

 

振動弾(ヴァイブレイト・バレット)!」

 

全弾命中するが直ぐに再生してしまう。波留は攻撃を続けながらナハトヴァールの上空に移動し今までで一番大きい魔力球を作り出す。

 

「これでも食らいやがれ!

 

 振動砲(ヴァイブレイト・キャノン)!」

 

魔力球を小烏丸で降り抜きながら魔力砲を放つ。

それを受けたナハトヴァールは行動が一旦停止た。その瞬間

 

「いまだ!クロノーー!」

 

その言葉に、準備をしていたクロノは

 

「悠久なる凍土

 

 凍てつく棺のうちにて

 

 永遠の眠りを与えよ

 

 凍てつけ!!」

 

詠唱を終えるとクロノの周りに4本の剣が現れナハトヴァールの上空の四方に展開する。

 

Eternal Coffin(エターナル コフィン)

 

クロノが持つデュランダルから冷気の砲撃が打ち出される。

砲撃が直撃し四散するとその先に先程展開した剣がそれを反射し再度命中させる。それが繰り返されナハトヴァールは命中した先から凍結していく。

 

それを確認したクロノが

 

「なのは、フェイト、はやて!」

 

3人の名前を呼ぶとそれぞれの準備は万端であった。

 

Starlight Breaker(スターライトブレイカー)

 

レイジングハートがそう言うとなのはの前に魔力が収束されていく。

 

「全力全開!

 スターライト……」

 

Plasma Zamber(プラズマザンバー)

 

バルディッシュの言葉と共にフェイトの上空に雷雲が集まりフェイトに雷が落ちる。

 

「雷光一閃

 プラズマザンバー……」

 

「ごめんな。 おやすみな。」

 

はやては悲しい顔でそう言うと杖を掲げ

 

「響け!終焉の笛、ラグナロク……」

 

するとはやての足元下方に更に魔法陣が現れ、魔法陣の3つの角に魔力が溜まる。

3人が同時にデバイスを振りかぶりながら

 

「「「ブレイカーーー!!!」」」

 

ブレイカーを放つ。

とてつもない力の奔流が3方向からナハトヴァールに命中し巨大な爆発と共に本体が崩れていく。

その間、シャマルはクラールヴィントを使いナハトヴァールのコアを逃がさないように補足する準備をしていた。

やがてすべてが飲み込まれ本体が崩れるとそこにコアが露出。この機を逃すまいとシャマルは

 

「つかまえ、た!」

 

クラールヴィントで確保した瞬間に傍で待機していたユーノとアルフが

 

「長距離転送!」

 

「目標、軌道上!」

「「転送!!」」

 

二人の魔法によりコアは軌道上のアースラ前に転送されていく。

 

 

 

 

「コアの現状、来ます!」

 

「転送されながら生体部分を再生中…。は、早い。」

 

アースラのスタッフはその再生速度に驚きを隠せない。

そんな中エイミィは

 

「アルカンシェル、バレル展開!」

 

「ファイアリングロックシステムオープン。」

 

リンディの目の前にアルカンシェルの発動コンソールが現れる。

それと同時に転送されてきたナハトヴァールがアースラの目の前に出現する。

その姿は先程とは打って変わって肉塊に様々な生物の目やら腕やらが再生途中のおぞましい姿だった。

そしてリンディは手をかざしロックを解除する。

 

「アルカンシェル

 

 発射!」

 

発射されたアルカンシェルは見事に命中。その様子は地上からも確認が出来た。

 

「効果空間内の物体、完全消滅。

 

 再生反応……

 

 

 ありません!」

 

エイミィから報告を受けたリンディは

 

「準警戒態勢を維持。もうしばらく効果空間を観察します。」

 

「了解。

 

 ぷっはぁー。」

 

エイミィは安堵の表情を浮かべる。

 

 

 

 

地上のクロノは

 

「状況終了だ。

 皆、協力に感謝する。」

 

そう言いデュランダルを待機状態に戻すと皆、笑顔になった。

少し離れた位置にいたはやての表情はとても疲れ切っておりリーンフォースとのユニゾンを維持出来ず解除してしまう。

それに驚いたリーンフォースは

 

「我が主。まだユニゾンを解かれては……。」

 

振り向きながらはやてに言うと、はやてはそのまま目を閉じて落下していく。

 

「我が主!我が主!」

 

リーンフォースが慌てながら落下するはやてを抱きかかえると、それを聞きつけた皆が集まった。

 

「はやてちゃん!」

 

「はやて

 

  はやて」

 

シャマルとヴィータが心配そうにのぞき込む。

 

「大丈夫だ。お疲れになって眠っているだけだ。」

 

そうして闇の書に関係する事件が一応の幕を閉じるのであった。

 

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