テスタロッサ家に移動してきた一同はすでに居たリンディとクロノ、亜樹・先に帰宅していたリニス、アリシア、アルフを交えて事の説明を聞こうとしていた。
まず口火を切ったのはなのはであった。
「はやてちゃん。さっきの泣いてたのはもしかして……。」
「あぁ。あれな。
あそこに行く前に波留君に聞いててん。」
「何を?」
フェイトが聞き返す。
「今起きていることを。
リーンフォースが自ら消えようとしていることを。」
「…………。」
「でも、救える可能性があることを聞いたんよ。」
はやての言葉を黙って聞いているリーンフォース。
「それでなんで泣いた演技?なんかをしてたんですか?」
シャマルが聞く。
「うんうん。私もそれが聞きたかった。」
「それな、波留君の案で『今から見るのは悲しい別れの場面だ。でも俺たちは解決の方法が
もう一つあることに気が付いた。だからこれは、はやてが皆に対して黙ってやられた分の
仕返しだと思え』って言うんよ。」
「それでああなったと。」
フェイトが言う。
「せや。でも悲しかったのは本当であんなことはもう金輪際懲り懲りや。
演技も含めてな。」
「そう言うことだったのか。
はーるーくーん、ちょーっとO・HA・NA・SHIしようか?」
それを聞いた目の笑っていないなのはが波留に迫りながら指をポキポキ鳴らしている。
そこからしばらくなのはから説教をされる波留だった。
そして解放された波留は本題に入る。
「えーーっと
リーンフォースは消えなくて大丈夫です。以上。」
「「「「「早っ!」」」」」
一同から総突っ込みが入る。
「ていうか雑過ぎんだろ!」
「そうよ。もうちょっとちゃんと説明して欲しいわ。」
ヴィータとシャマルから追い打ちが来る。
「それには僕も賛成だ。」
更にクロノから追い打ちがかかった。
「まったくしょうがないわね。
いいわ、私が説明します。」
そう言い立ち上がったのはプレシアだった。
「私が、以前フェイトを生み出す際に研究していた資料の中には様々なものがあるのだけれども
その過程で融合機の事についても色々調べていてね。
それでその中の資料にこの本があった事を思い出したのよ。」
「管制人格プログラム(管制融合機)の自立と自衛について
~これがあれば誰でも融合機といつまでも一緒~」
「著 Dr すかりえってぃ」
なのはとフェイトが本の題名と著者を読み上げる。
「おいおい、なんだそのふざけた本は?
本当に大丈夫なんだろうな?」
ヴィータの一言でその場に一気に不安な空気が立ち込めた。
「それは問題ない。
私も中身をざっと確認したが内容はしっかりしたものだ。
言い回しは少々むかついたが……。」
ブリジットが援護射撃を行う。
「でも、本当に可能なのか?」
シグナムの言葉にプレシアは
「私の専門はエネルギー開発と人造生命開発よ。」
その言葉にアリシア、フェイト、リニスの顔が曇ったがアルフが
「専門家がこう言ってるんだから何か問題あるのか?」
「む?そうだな。
失礼した。」
シグナムは素直にプレシアに謝罪をした。
それを聞いたアリシア達は笑顔になった。
「それでね、この本によると魔動機と融合機、まぁ今回は魔導書と融合機
なんだけれども今の状態を教えて貰えるかしら?」
その質問にはやてとリーンフォースが答える。
「今は私の完全制御下にあります。自己防衛プログラムは今は沈黙しています。
しかし遠からず再生プログラムが発動して修復するでしょう。」
「再生プログラムが発動したらすぐに復活するものなの?」
今のを聞いてリンディが質問する。
「いえ。それは無いと思います。
今回、一度完全に消しましたし、今は私の完全制御下です。
そこまでのリソースを割くことができないようには手を打てます。」
するとはやてが魔導書に手を当て自身の魔力を流し始めた。
「うーん。そうですね。
今のままやと、再生プログラムが発動するまでは最低でも3ヶ月。
そこから修復には半年以上ってところですかね。」
「すごーい。はやてさん今のでそこまでわかるんですか?」
亜樹がはやてに近づき聞いてきた。
その亜樹の頭を撫でながらはやては
「何となく、こうすればわかるような気がしたんよ。」
「そう。それなら時間に余裕が出来るわね。
ただ問題はここからよ。」
プレシアが放った一言にその場が緊張する。
「この本によると第1と第2段階はクリアしてるわ。
それは主と融合機が心を通わせて完全に支配下に置いている事なの。
そしてここからは設備を使って魔導書と融合機を完全に
切り離さなければならないの。」
「それなら管理局の物は使えないんですか?」
なのはの言葉にクロノが
「そう言うことなら許可が下りないことはないと思うが…。」
答えながらプレシアの方を見ると彼女は首を横に振る。
「いくら本局の設備でも不可能よ。」
その言葉に一同は沈黙する。
「それじゃあどうすんだよ!」
ヴィータが怒り交じりで叫ぶ。
そんなヴィータをなだめながらシグナムが
「どうにかならないのか…。」
そうつぶやく。
「……ママ…。」
「母さん……。」
娘2人に懇願の眼差しで見つめられタジタジにプレシアを見てリニスが
「プレシア…。」
少し強めにプレシアの名前を呼ぶ。
それにビクッと反応したプレシアは
「な、何かしら?リニス…。」
「あなた、なにか隠してますね?」
「なんの事かしら?」
リニスはプレシアに詰め寄りながら真っすぐ見つめる。
その光景をその場にいる皆が固唾をのんで見守る。
「今の反応。あなたは何か知っていますね?」
「し、知らないわよ。」
目が泳ぐプレシア。
「他の人は騙せてもあなたの使い魔である私は騙されませんよ!」
その迫力と娘2人の上目遣いに観念したプレシアは
「分かったわよ。話すわ。
設備に関しては心配しなくていいわ。
心当たりがあるから。ただ…。」
「ただ…?」
「あまり連絡を取りたい相手では無いのよ。変態だから…。」
それを聞いたリニスは
「そんなことを言ってる場合ですか!
今すぐに連絡を取ってください!」
「でも……。」
「デモもへちまもありません!
さぁ早く!」
「分かったわよ。」
リニスに圧倒されたプレシアはブツブツ言いながら通信をした。
それを見ていた皆が思ったことは
【リニスを敵に回したくない】
というものだった。
そして待つこと数十秒後
「つながったわ。」
モニターの向こう側に白衣を着た男が現れた。
「おや?これは珍しい。
とても懐かしい人物から連絡がきたもんだ。
いったいどういう風の吹き回しかねプレシア・テスタロッサ。」
「え、えぇ。
私も、あなたにだけは連絡したくなかったのだけれど、
そうも言ってられない状況になったのでこうして連絡をしているのよ。
ドクター…いえジェイル・スカリエッティ。」
プレシアはとてもいやそうに答えた。
「つれない事を言うねぇ。君とはプレジェクトFの基礎理論の時以来かな?」
「そうなるわね。」
「それで、今回は一体どういう要件だい?」
「それは僕から説明します。」
ここで名乗り出たのはクロノだった。
「……君は?」
「失礼。
僕は時空管理局執務官、クロノ・ハラオウンと言います。」
それを聞いたジェイルは一瞬怪訝な顔をしてプレシアを見る。
プレシアは大丈夫という顔をして頷く。
「ふむ。では改めて名乗らせていただこう。
私はジェイル・スカリエッティ。
しがない科学者だ。
それで今回の経緯を聞いてもいいかな?」
「実は…………」
・
・・
・・・
・・・・
「…………という訳で今回連絡をさせてもらいました。」
「成程……分かった。
うぅぅぅむ
実に興味深い!!
そう言うことなら是非わがラボの使用許可を出そうじゃないか。」
するとモニターの後ろを小さな人影が横切った。それも3つほど。
最初にそれに気づいたのはフェイトとプレシアだった。
フェイトは確実に小さな女の子が3人追いかけっこをしているのを見た。
プレシアも同じものが見え自分の目を疑った。
次の瞬間、モニターの下側に赤色のアホ毛が見え隠れする。
そして次の瞬間信じられない声が聞こえた。
「ドクタ~。
ドクタ~。
おなかすいた~。」
下の方からなにやら小さい女の子の声が聞こえる。その後ろで
「あーっ、ちょっとノーヴェ何やってるのこっちにいらっしゃい。」
次に聞こえてきたのは、少し大人びた感じの女の子の声。
「やーー。」
ノーヴェと言われた女の子は引っ張られているようでアホ毛が見え隠れしている。
その間のジェイルは完全にやちまったという顔をして固まっている。
「おやつ上げるからおいで。」
「「「「わーーーい!」」」」
この一言は小さい子には最大の武器だ。
ノーヴェと言われた女の子も後ろで駆け回っていた子達もそろってモニターから離れたところに誘導されていく。
「…ジェイル
……あなた……。」
「い、いや違うんだよ。
違くはないが、この子達は決して攫ってきたとかそういうんじゃなくて……。」
「「「攫う?」」」
それを聞いて反応したのは管理局員の2人とプレシアだ。
どんどん状況が悪化していく。
「いや、だから……。」
「「説明してくださる?」」
母親2人からの圧に負け説明することになったジェイル・スカリエッティ。
「実は、プレシア女史にプロジェクトFの基礎理論を提供してから私も
独自に研究を重ねてね、気づいたら大家族の出来上がりさ。」
悟りを開いたような顔をするジェイルにプレシアは
「それで?何人ほど作ったの?」
「ねんれいもバラバラの12人さ☆」
「………
やっぱり変態だわ。」
「失敬な!」
一通りの突っ込みを入れ二日後にジェイル・スカリエッティのラボに行くことにした。
メンバーは今いる全員で行くことになった。
場所はミッドチルダの首都クラナガンから5時間程離れた地方都市の外れ、森の中に佇むロッジ風の建物がラボの入り口らしい。
この建物も平屋作りだがかなり広く作られていて大人数で訪れても問題ないくらいだ。
呼び鈴を鳴らすと奥からジェイル・スカリエッティ本人と高校生くらいの女の子が出迎えてくれた。
「やぁやぁ、よく来てくれたね。
私が、ジェイル・スカリエッティだ、よろしく。」
「ドクターの補佐をしています。ウーノと言います。」
「玄関ではなんだからリビングへどうぞ。」
ジェイルの案内で奥へ進むと20畳以上はあろうかという広いリビングに通された。
そこには、スカリエッティ一家勢揃いしていて賑やかである。
一通りの自己紹介をして(かなり長い時間)からリインフォースが
「早速ですまないが……。」
「そうだな。さすがに全員で行くには多すぎるこちらからは、
ウーノ・ドゥーエ・クアットロの3人と私が。」
「こちらは私とハラオウン親子・波留君とブリジットさんそれと
今回の依頼者の八神一家が行くわ。
リニス、申し訳ないけど子供たちの事お願いね。」
「分かりました。」
プレシアがリニスに子供たちの事をお願いしていると
「えー、私も行きたかったなぁ。」
となのはが言ったが波留に
「この間の会話の内容ちゃんと理解できたか?」
と聞かれると、目を丸くして固まり何も言わずに回れ右をして歩いて行った。
研究室は地下にあるらしくロッジの奥からエレベーターに乗って降りて行った。