「…き、君が持っている魔導書は
も、もしかして……。」
「ほう…。
やはり気づいたか?
そう。お主が考えている通りの魔導書だ!」
波留達が道場でマテリアルの3人と対峙している時、海鳴市の外れの山の中。
一筋の光が山の中腹に落ちた。
「「きゃぁぁぁぁぁああああああ!!」」
ドォーーン!
「イタタタタ……。
キリエ?大丈夫ですか?」
「なんとか~。
お姉ちゃんは?」
「少しお尻を打ちましたが大丈夫です。」
⦅アミタ、キリエ、二人共無事?⦆
キリエと呼ばれた少女の近くにあった石板の様なものから声が聞こえる。
「ええ。大丈夫よ。」
「それでイリス。ここが目的地で間違いないですか?」
⦅ええ、そうよ。アミタ。⦆
「それじゃ、ここにあるんですね、
アミタが神妙な面持ちで街の明かりを見つめていると
⦅それより二人共、私を持って早く近くの茂みに移動した方がいいわよ。⦆
「え?何でですか?」
アミタが聞き返すと、キリエの顔が赤くなっていきアミタの手を引っ張りながら茂みに飛び込んだ。
「ちょ、ちょっとキリエどうしたんですか?」
「どうしたじゃないわよ。下見て、下。」
キリエが指で下を差す方に視線を動かすと、今まで着ていた服がボロボロになって今にも裸になる寸前だった。
「きゃああぁぁぁ。」
しゃがみ込むアミタと、どうにか余った服を手で押さえて隠すキリエを見て、ため息をつきながらイリスの石板が光る。
⦅しょうがないわね。⦆
石板の中のイリスが近くの茂みに右手をかざし、左手を姉妹に向けると植物の繊維から今まで着ていた服と同じ物を精製した。
「ありがとう、イリス♪」
「助かりました。イリス。」
二人が立ち上がりイリスにお礼を言った。
⦅どういたしまして。
それでこれからなんだけど……。⦆
「えぇ。分かっています。
まずは本を探すんでしたよね?」
イリスの問いにアミタが答える。
「本は本でも魔導書と言われる本。
その名も”闇の書”。
まさか、おとぎ話のような本がこの世界にあるなんてねぇ。」
キリエが左手に着けているブレスレットをかざして、闇の書の情報を確認している。
⦅とりあえずは近くの町に行って、情報を集めましょう。
それに、拠点になるような場所も探さないといけないし………。⦆
イリスの言葉に不思議な顔をしてアミタが聞き返す。
「拠点を探す?
何でですか?普通に宿に泊まればいいじゃないですか?」
それを聞いたイリスとキリエが同時に大きなため息をついた。
「お姉ちゃんそれ本気で言ってるの~?」
「何がですか?」
再度、ため息をつくキリエ。そこへイリスがアミタに質問をする。
⦅アミタ。
私達ここに着いたばかりよね?⦆
「そうですね。」
⦅
「だからそうだと言ってるじゃないですか。」
アミタは少し怒り気味だ。
⦅あのねアミタ。私たちはこの世界に着いたばかりで持ってないのよ?
この世界の通貨を!⦆
それを聞いたアミタは膝から崩れ落ちた。。。_
数日後
波留の周りも少し落ち着いてきた、かのように思えたがそんなことはなかった。
◇ ◇ ◇
あの日、ジェイル達が海鳴市に来た日に更にトラブルが向こうからやってきた。
ディアーチェ、シュテル、レヴィの3人である。
〇 〇 〇
あの後、ディアーチェの出した魔導書にジェイルが反応した。
「その魔力波形は、まさか………。」
「ほう?やはり気づいたか。」
「ジェイル?どういうことだ?」
波留が驚いているジェイルに聞いた。
「あの魔導書の波形は…、
先程、言っていたはやて君の夜天の書のデータを元に作られたものだ。」
「「「!!!」」」
「その通り!
特別に教えてやろう。この本の名は”紫天の書”我こそは闇統べる王である!」
「魔導書の事は分かった。
それでこの3人は何だと推測する?」
波留の質問にジェイルは考えをまとめながら自身の推測を話す。
「おそらくだが、闇の書の残滓みたいなものじゃないかな?
以前の解析の時に危険なプログラムとかは排除したつもりなんだんだけど……。
それが、はやて君達のリンカーコアの情報をもとに素体を構築したと考える。」
ジェイルの推測にディアーチェは
「ふむ。なかなか良い考察だ。
褒めて遣わす下郎。」
「それで?何の用だ?」
それを聞いた波留は若干イライラしながらディアーチェ達に目的を聞いた。
「?そうであった。
我らは探し物をしておる。その行方はそ奴らが知っているはずだ。」
ディアーチェはそう答えながらはやてとリインフォースを指さす。
「知らぬとは言わせんぞ、……永遠結晶・エグザミアのありかを!」
それを聞いた2人は、特に管制人格であったリインフォースはその単語にまったく覚えがなかった。
「言わぬか……?」
「ちょっと待ってくれ、私は永遠結晶なんてものを知らないぞ!」
慌てて否定をするが、ディアーチェは信じていない。
「そうか?ならば仕方ない。
力ずくでも聞き出そう……。」
ディアーチェはそう言いながら紫天の書に魔力を流し込む。
他の2人もデバイスを構え臨戦態勢を整えた。
次の瞬間、レヴィとシュテルが飛び出すと同時にディアーチェが無数のナイフを展開する。
すぐさまナイフが放たれるとレヴィとシュテルは、はやてにおそいかかる。
寸前でレバンティンを構えたシグナムとリインフォースが立ち塞がりぶつかる。
ディアーチェから放たれたナイフは主にはやての周辺とジェイルの周辺に向かっていったがザフィーラやトーレたちに弾かれ道場の床や天井に刺さる。
レヴィとシグナムは鍔迫り合いをしながら入口の戸に突っ込み壊しながら表に出て剣劇を始めた。その衝撃で庭の木が折れていく。シュテルとリインフォースはお互いに連射の利く魔法弾を打ち合っている。
シャマルが直ぐに結界を張ったが道場の周辺だけしか張っていない。
シュテルとリインフォースは打ち合いが一旦落ち着き、それぞれの主のもとに戻る。
第2ランドを開始しようと再度ディアーチェ達が構えたその時
2人の後ろから男性の低い声が聞こえた。
「騒がしいと思ってきてみたら、これはどういうことだ?あ?」
そこにはさっきまで外で戦っていたレヴィとシグナムが引きずられている。
2人の頭にはたんこぶが出来ていて気絶している。そして2人の襟を持って引きずっているのは家主・月山孝夫の姿があった。
その姿を見て真っ先に戦慄したのは波留と亜樹そしてブリジットの3人だ。
波留と亜樹は未だに父親を本気で怒らせたことはないが、その実力は十分に知っている。
最も怯えていたのはブリジットだ。ここに居る誰よりも孝夫と付き合いの長いブリジットが怯えている。
その顔は、まさに鬼の形相をしていた。
「…き、貴様!何奴だ!
関係無い者は引っ込んでいろ!」
孝夫の気迫に物怖じせずディアーチェが声を上げる。
それを聞いた波留・亜樹・ブリジットの3人は一層、顔色が悪くなり皆を入口から出来るだけ遠ざける。
そして3人は目一杯の力でシールドを張った。
「あ?俺か?
俺はここの家の主だ。
勝手に人様の家に
覚悟は、出来てるんだろうな?」
そう言うと孝夫から凄まじい殺気がディアーチェとシュテルに向けられる。瞬間、シュテルはその場で座り込んでしまった。波留達はシールドでどうにか防いでいるがそれでも、なのは達は震えて座り込んでしまった。
それでも震えながらもどうにか立っているディアーチェはすごいと言え様。
そして次の瞬間”ドサッ”と音が鳴ったと思ったら、孝夫が引きずっていた2人が地面に横たわっていた。当の孝夫はその場には居らず、いつの間にかディアーチェとシュテルの後ろに移動していた。そして、2人は頭に強い衝撃を受けたのだった。
〇 〇 〇
それから30分
3人は孝夫の監視のもと正座をさせられている。
「良し。もういいぞ。」
「…ふぅ。」
「ぬあぁ…。」
「あー----。」
シュテルは表情そのまま、ディアーチェとレヴィは何とも言えない顔をしている。
そんな3人を見ながら孝夫は質問する。
「それで、何の用で家に来たんだ?」
その質問に驚いたディアーチェは改まって答えた。
「我らは永遠結晶・エグザミアという物を探している。
それは闇の書の中にある。
それだけは覚えている。…だから来たのだ。」
「と、言うことらしいが?……。」
孝夫が波留たちの方を見る。
それを聞いた、はやてとリインフォースが首を横に振りながら答える。
「…今も調べてみたんやけど、―そのエグザミアっていう物の記録は無いわ。」
「私は、管制人格だったが私も記憶にない。」
それを聞いてディアーチェは食い下がろうとするが二人の表情を見る限り嘘を言っていないのは分かる。
「……そう、か。」
「…王。」
「王様。」
俯いたディアーチェはしばらくしてから顔を上げ深々と頭を下げた。
「…突然の来訪と無礼、深く謝罪する。」
それを見てシュテルとレヴィも頭を下げる。
「家主殿。」
ディアーチェが孝夫の方を向き声をかける。
「おう。」
「この度は大変申し訳ない事をした。
持ち合わせがない故せめてここの修理をさせて欲しいのですが…。」
孝夫は腕を組み考えた。
「…本当は理由が聞けてしっかり謝ってくれればそれで良かったんだが、
それだと納得いかない顔をしてるな。
分かった、今回はそれで許そう。」
「…感謝する。」
するとそこへシグナムが
「孝夫殿、申し訳ありませんでした。
今回は私も無関係ではないので一緒にやらせてほしい。」
「なら、主として私も参加するで。」
「はやてがやるなら私も!」
「もちろん私も。」
「私もです。」
「うむ。」
こんな感じで八神一家総出の申し出があったので
「分かった、分かった。やりたい奴、皆で直してくれりゃあいい。」
そんな訳で、ここに居た全員で月山道場とその庭の改修工事が決まった。
◇ ◇ ◇
その数日後
ディアーチェ達マテリアルズが来た後にジェイル達スカリエッティ一家が来たのだが、一緒に見知った顔と新たな来客があった。
見知った顔は、リンディとクロノの2人だった。
「2人とも久しぶり。と言っても3週間ぶりくらいか?
今日はどうしたの?」
波留が2人に質問するとリンディが答えてくれた。
「えぇ、お久しぶりです。今日はこちらの方々の紹介と少しばかり協力をお願いしに来ました。」
そうして2人の後ろにいる人達を紹介してくれた。
「この方たちは、時空管理局・首都防衛隊所属の……。」
「ゼスト。グランガイツだ。」
「クイント・ナカジマよ。」
「メガーヌ・アルピーノです。」
それぞれが挨拶をしてくれた。
その後、リンディが理由を説明してくれた。