リリカルの世界に転生?   作:Y's T

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黒幕

翌朝

 

朝食をとりにホテルのレストランフロアに行くとすでになのは達が来ていた。挨拶を済ませバイキング方式の食事を取り席に着こうする波留だが、なんだか妙に空気が重い所がある。なのは・フェイト・はやての3人のいる席が暗い。逆にクイントたちのいる方が明るい。必然的に波留はクイントたちのいる方に座る。昨夜は妙に疲れた為、波留は直ぐに寝てしまったがなのは達はすずか達と少し話をしたみたいだ。普段なら、くよくよしているなのは達を見ると心配という名の喝を入れるアリサが静かに見守っている。波留は取ってきた食事を食べながらメガーヌに聞く。

 

「メガーヌさん、あいつらどうしたんですか?」

 

波留の質問にメガーヌは小さいため息をついてから

 

「私達は気にすること無いって言ったんだけどね。

 夕べの出来事を引きずっているみたい。」

 

それは夕べホテルに戻ってから状況の確認や相手の目的を確認していた時の事。

なのはとフェイトが対峙していた2人はどうやら姉妹だったようで戦闘中にもかかわらず、申し訳なさそうな表情を幾度かしていたそうだ。はやてはディアーチェの事が気になるようだ。それに波留は夕べの戦闘で気になることがある。

 

「メガーヌさん、夕べの戦闘途中から違和感がありませんでしたか?」

 

「波留君も気づいた?」

 

メガーヌの返事に頷く波留にメガーヌは

 

「やっぱりそうだったのね。彼女たちには途中から私達の魔法が効かなかった。そうよね?」

 

「はい。こちらは、はやての魔法が効きませんでした。その時に相手が「それはもう調べた。」

 そう言ったそうです。」

 

「こちらでも私達やなのはちゃん達の魔法が途中から効かなくなったわね。

 バインドなんかも直ぐに破られてたわ。」

 

そこへクイントが嫌な顔をしながら話に加わってきた。

 

「その対処は出来そうですか?」

 

波留の質問にクイントが答える。

 

「そこに関しては規格外の頭脳の持ち主が丁度ここに居てくれて助かったわぁ。」

 

先程とは打って変わっての安堵の表情を浮かべるクイント。その時、レストランの入口が騒がしくなった。

スカリエッティ一家が食事に来たのだ。波留は彼女たちを見て、「あぁ。」と納得した。そして視線を親たちの方に向けるとプレシアの姿が見えない。それを確認してクイントを見ると

 

「そうよ、プレシア女史にも手伝ってもらっているわ。」

 

「成程ね。」

 

波留はそう言い、食事を取りながらなのは達を見るとスカリエッティ一家がわちゃわちゃしている為、さっきより皆の顔が明るくなっていた。

食事を取り終えた波留は再度、バイキングに向かい簡単に食べられるものを持ってきた。それを見てクイントは

 

「波留君それは?」

 

「どうせまた飲まず食わずでやっているだろうから強制食事という名の差し入れを持っていこうかと。」

 

「そう、お願いね。」

 

クイントとメガーヌに頼まれ食事と栄養ドリンクを持って波留はジェイル達の作業している部屋に向かう。

そしてたどり着いた部屋では、以前に見た光景と同じものが視界に入ってきた。

テーブルの上は資料で埋め尽くされており、無数の空中モニターが映し出され、床には丸められた紙が散乱している。そして入口の横の台の上にはおそらく昨晩に差し入れされたであろう食事がそのままの状態で放置されていた。波留が入ってきたことも気づかず2人は作業に没頭している。大きなため息をつき波留は持ってきた食事を両手に一つずつ持ち、なにも言わずに2人の口にねじ込む。

 

「「むぐっ!!」」

 

2人は驚きながらも口に入れられたであろう物を咀嚼しながら波瑠の方を見る。

 

「ふぁふふん!」

 

ジェイルが口に入ったまま喋ろうとして何を言っているのか分からないのを見てプレシアは

 

「モグモグ…、ゴックン。

 波瑠君どうしたの?」

 

「どうしたの?じゃ無いよ。2人が食堂に来ないからどうせ

 こんなことだろうと思って強制食事を取らせに来たんだよ。

 それで進み具合は?」

 

波留の質問にはプレシアがそのまま答えた。

 

「7割方の解析は完了したのだけれど、ちょっと躓いていてね…。」

 

そこへ口の中身を飲み込んだジェイルが意気揚々と答える。

 

「なぁにこの天才、ジェイル・スカリエッティの手にかかれば直ぐに解析して見せるさ!」

 

そう言うジェイルにプレシアが厳しく突っ込む。

 

「そう言って、この2時間が過ぎたのだ・け・れ・ど!!」

 

その姿を見てジェイルは縮こまってしまった。

 

「要は、行き詰ったんだな?」

 

「ええ、その通りよ。今は打つ手が無いわ…。」

 

プレシアが力なく答えると波留は

 

「そっかぁ……、

 なら助っ人を呼ぼうか。」

 

「「…助っ人?」」

 

2人が首をかしげながら聞き返すと、波留はそのまま携帯を取り出し電話をかけ始めた。

 

「……あ、父さん?波留だけど、近くにアリアはいる?―うん、代わってくれないかな?

 ―あ、()()()()()?ちょっとお願いがあるんだけど、え?

 ――違うよ。―そう、――だから違うって。――――、

 なら今度、翠屋の特製ケーキセットでどう?―――よし、ならそう言うことで。

 そしたら今、ここに転送のマーカーを置くからお願い。うん、それじゃ。

 

 よし、これでオーケー!」

 

そう言って電話を切った波留は右手をかざし魔法陣を展開する。

魔法陣から現れたのは先程、波瑠と電話をしていたブリジットだった。

 

「それでどうしたというのだ?」

 

ブリジットの質問にプレシアが答える。

 

「実は……。」

 

波瑠の説明を一通り聞いてブリジットは

 

「なるほどな、今回は情報の解析でいいのか?」

 

「できればその後の各デバイスへのアップデートも

 協力してもらいたい。」

 

今度はジェイルが質問に答えた。

 

「分かった。

 波瑠、ここはもういいぞ。」

 

ブリジットは大まかに理解し波瑠を退室させた。

波瑠は部屋を出ると自身が泊っている部屋へと移動した。すると部屋の近くでフェイトとアリシア、チンクとノーヴェ、ウェンディ、セイン、セッテの皆と鉢合わせた。

 

「あ〜、波瑠ッス!」

 

ウェンディが波瑠を見つけ駆け寄ってくる。

波瑠とウェンディがハイタッチをするとセインとアリシアがノリノリで続きセッテは無表情で続いた。ノーヴェとフェイトは恥ずかしがってしてこなかった。チンクは少し顔を赤くしながらもしてくれた。

 

「波瑠、やっぱり母さんは…。」

 

フェイトがプレシアの様子を聞いてきた。

 

「やっぱり、夢中になって食事をとってなかったから、無理矢理口にねじ込んできた!もちろんジェイルにも。」

 

波瑠が答えるとみんながホッとしたように笑顔になった。

 

「それに、ブリジットを助っ人に呼んだからもう大丈夫だと思う。」

 

「それなら安心だな。」

 

チンクがウンウンと頷きながら答え

 

「それでこれからどうする?」

 

チンクの問いに波瑠は

 

「そうだな…、課題は昨日でだいたい終わってるから今日は遊ぶかな?」

 

それを聞いたフェイトは驚いた表情で

 

「でも、波瑠。

 昨夜の…。」

 

そこまで言いかけたフェイトに波瑠は

 

「大丈夫。

 さっきメガーヌさん達とも話したけど、昨日の様子からして

 昼間には動かないと思う。」

 

不安そうなフェイトの肩をアリシアが後ろから押して

 

「大丈夫だって!今は楽しもう!」

 

そう言いながらズンズンとフェイトを押して歩いていく。

それについていく形で波瑠やチンクたちもあとに続く。

 


 

一方その頃

アミタとキリエは昨晩の戦闘の後遺症で激しい筋肉痛と倦怠感に襲われていた。

 

「…うぅぅ。」

 

「ぴぎっ!」

 

そんな2人のもとにイリスがやってきた。

 

「2人とも、だから言ったのよ。

 アクセラレーターは使っちゃだめよって。

 あれはまだこの星用に調整していないんだから必要以上の

 出力が出るってあれ程注意したわよね?

 なのにキリエはともかくアミタまで使うなんて…。」

 

「ちょ、イリス。

 私はともかくって何よ?イテテ。」

 

「面目ありません。あうっ。」

 

そんな2人を見ながらイリスは呆れた顔をしながら部屋の隅にあるガラクタの山に向かう。なにやらガサガサと漁りキーホルダーを2つ、取り出す。

 

「これでいいか。」

 

そう言いながら2つのキーホルダーを近くの台に置き空中にディスプレイを出す。いくつかの操作をするとキーホルダーが光りだす。作業を終え光が収まるとキーホルダーを持ってイリスは2人の元へ向かう。2人にキーホルダーを渡すと、淡く光を放ち2人を包み込んだ。

 

「はぁ~、あったかぁい。」

 

「えぇ、心なしか身体が軽くなったような…、

 イリス、これは?」

 

「それには回復の効果を付与したわ。

 そのままひと眠りしなさい。起きた頃には全開してると

 思うから。その間にあなた達のアクセレイターを

 調整しておくわ。」

 

イリスの言葉にどうにか頷いたアミタはそのまま目を閉じた。キリエは既に眠っている。イリスはやれやれという顔をしながら2人に毛布を掛けた。そして作業を開始する。

 

◇ ◇ ◇

 

作業を終えたイリスは階下に降り無数のモニターの前に立つ。そのモニターには何処かの工場らしき所が映し出されている。イリスはモニターを見ながら

 

「…順調のようね。」

 

そうつぶやくとモニターの一つが切り替わり一人の男性が映し出される。

 

「どうだい?作業の方は順調かい?」

 

モニターに映ったフィル・マクスウェルがイリスに問いかける。

 

「…ええ、順調よ。各所の工場も稼働は順調。妹たち(人形たち)も予定通り生産されているわ。

 それにフローリアン姉妹も(あの子達も)…。」

 

○ ○ ○

 

イリスはもともと、エルトリアの惑星再生委員会によって造られた生体テラフォーミングユニットである。少ない資源で無限に増殖できる機能を保持した、いわば生体兵器だ。滅びる間近のエルトリアでもその増殖が可能だったのだから、今の地球は増殖し放題というわけだ。しかも兵器としてのかなり高い性能を誇る。イリスがいた時のエルトリアは環境自体もそうだが危険な生物が生息するようになっていた。その為、環境適応能力と戦闘能力が必要だ。イリス本人は後期に製造された生体テラフォーミングユニットの為、当時のエルトリアの技術の集大成として製造された。今、製造されているイリスの妹たち(人形たち)は性能こそイリスにはかなり劣るがそれでも管理局の一般魔導師と同等の性能を誇る。しかも現在進行形で数が増えている。

 

「そうかい、それは何よりだ。

 ところで邪魔をしてきた娘達はどうだい?

 君の脅威となり得るかい?」

 

「あぁ、あの娘達ね。

 今回、戦ったのが実力というのなら問題無いわ。

 仮に今回以上だとしても対処が可能よ。」

 

イリスの答えにフィルは満足げに

 

「そうかい!

 それなら良かった!

 

 行動開始は今夜になる。

 それまで君もゆっくりしていたまえ。」

 

そう言うとフィルとの通信が切れ、画面には再び妹たち(人形たち)の製造されている映像が流れる。

 

「…ず、必ずみんなの敵はとるわ…。」

 

そう呟くイリスの顔は憎しみに満ちていた。

 

イリスとの通信が切れたフィル・マクスウェルは不敵な笑みを浮かべていた。

 

「フッフッフッ。

 本当に良い子だ。」

 

そんなフィルの後ろには、イリスの後継機らしき姿が4人程佇んでいた。その4人も不敵な笑みを浮かべていた。

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