最初はラブレターの主を探すラブコメだったはずなのに何故こんなことに……
小鳥が囀り、太陽は燦々と照り輝いているそんな気持ちのいい朝
そんな日は布団や眠気は簡単に手放せない。
でも、何処か嫌な予感を僕は感じ取った。
「ほら、早く起きなさーい!」
「ぐほぉ!」
お腹に突然重みと痛みを覚えた。
眠気は一気に覚め布団から飛び上がった。
「愛!!」
犯人は僕の幼馴染、宮下愛だった。
「ご飯、出来てるよ」
にっこりと満面の笑みを浮かべてそう言った。
階段を降りて下に向かえば、香ばしい香りのとても美味しそうな白米、卵焼きに味噌汁、漬物に鮭の塩焼き。和食一色の朝ごはんが並んでいた。
いただきます。と手を合わせて白米を口に運んだ。
「態々毎日ご飯作りに来なくていいのに」
彼女の好物である愛のおばあちゃんが漬けた漬物を食べながら僕はそう言った。
愛は、僕のご飯を毎日作りに来ているのだった。
面倒見が良すぎると言うか優しすぎるというか。
「いいの、いいの。これが愛さんの生きがいみたいなもんだから」
朝の太陽よりも明るく暖かい笑みを浮かべながら彼女はそう言った。
彼女の世話焼きも度が過ぎるのではないか。
***
しかし、転機は急に訪れるもので、僕はいつも通りに学校に通い、二年生の下駄箱を開け内履きを取り出そうと思った時にその上に綺麗なハートのシールで閉じられている手紙に気づいた。
それを綺麗に剥がして、中身を取り出す。
すると、ピンク色の紙が一枚折り畳まれた状態で入っていた。
僕は手紙を開いて読んでみた。
『私はあなたの事が好きです。貴方の何事にも真剣な所が好きです。貴方の優しい所が好きです。私と付き合ってください』
ただそれだけが書かれていた。
名前も告白の返事を聞く場所や時間も一切書いていなかった。
これを書いた主は中々の恥ずかしがり屋らしい。
これってもしかして……
「ラブレター……か」
生まれて一度も貰ったことの無いラブレターが突如、名も知らない誰かから貰った。
これをどうするべきか僕には分からなかった。
よっしゃぁぁ!と飛び上がって喜ぶとも思ったけれど、頭は意外に冷静……というか現実を受け止められてないという方が正しいかもしれない。
人間、急に驚くような事が起こると一周まわって無反応になるらしい。
「あれ?立ち止まってどうしたの?」
下駄箱でずっと止まっていた僕を不審に思ったのか愛がそう尋ねてきた。
僕は周りを見渡した。
他にも登校してくる人も多く、昇降口は中々賑やかであった。
「教室で話すよ」
僕はラブレターを鞄にしまい、愛と一緒に教室へ向かった。
***
「さっき僕の下駄箱にこんなものが入っていたんだよね」
教室へ入った僕らは、自分の席に座ってカバンからさっきのラブレターを取り出し愛に見せた。
「こ、これは……?」
「ラブレターって奴。まさか僕が貰うとは思ってもなかったけれど」
中身を開いて見せる。愛はとても驚いた様な表情をしていた。
確かに今まで一度もラブレターも告白もされていないけれど、そこまで驚くのは僕に失礼な気もするが、僕に好意を持っている人がいるなんて僕自身も露ほども思っていなかった。
「ラブレター……でも名前とか返事を聞く場所書いてないよね?」
「そう、だからどうしようかなって。愛に聞こうと思って」
男子のイタズラというか線も無きにしも非ずだが、生憎それなら今頃犯人の男子がニヤニヤとしながら僕を見ているはずだがそんな視線も感じないし、話しかけても普通通り会話をしてくれている。だから多分違う。
「も、もしさ、書いた人が分かったらさ、その人と付き合うの……?」
愛が何故か酷く怯えた様に僕に尋ねてきた。
その様子を疑問に思いつつ僕は答えた。
「う~ん、相手次第……かな。知ってる人ならもしかしたら付き合うかもしれないし。僕だって彼女は欲しいんだよ」
中々に最低の答えだと思うが、これが本心。
男子高校生は彼女のいるリア充生活を常に夢見ているのだ。
「え~、なら愛さんにしなよ。ほら、告白して!男らしくビシッと!愛さん今フリーだし!」
「クラスとか部活の人達に恨まれそうだから辞めとく」
コミュニケーション能力が高く運動神経抜群で運動部に引っ張りだこの彼女にもし彼氏がいて、試合に来てくれなかったなんて事になったら命の危険すら感じる。今は更にスクールアイドルとして活躍している最中なので、ファンが僕を殺しにやってくるだろう。
それ程恐れ多いし、何より
「ただの幼馴染だろ」
「つれないなぁ……」
ぶぅと口を尖らせる。毎日ご飯を作ってもらっている幼馴染とは何だ。と自分にツッコミたくなるが、ただ家が近所で小中高が一緒で、彼女のおばあちゃんのもんじゃを食べて育ってきたけれど、あまり期待する様な恋愛感情は互いに抱いていない筈。
「愛なら、引く手数多だろ。僕じゃなくてもサッカー部のエースとか野球部のエースとかのかっこいい人でも断る人なんて居ないだろうし」
「愛さんはうちのもんじゃ屋を継いでくれる人がいいなぁ。夫婦二人とおばあちゃんで経営するの良くない?その為にはおばあちゃんにも信頼されてるような人がいいんだよねぇ」
チラチラとこちらを見ながら言う必要はあるのだろうか。
そんな人、愛なら幾らでも見つかると言うのに
「話逸れたけど、本当にこのラブレターどうするかなぁ……」
封筒の背を指でなぞりながら、机に突っ伏した。
「愛さんは、これはただのイタズラだと思うな。女子でも偶にあるんだよね。罰ゲームみたいなので」
「やっぱりそんなもんか。でもそれにしては手が込んでるというかちゃんとしてると言うか。ハートのシールとかピンク色の手紙とか長所みたいなのも書いてるし」
僕は顔を机に突っ伏したまま答えた。
「いいや、絶対イタズラだよ。捨てちゃおうよ」
そこで授業の予鈴のチャイムが鳴り響いて、僕達は慌てるように授業の準備をした。
ふと顔をあげた時に彼女が憎む様な視線を手紙に向けていたのがとても気になったが、きっと気の所為なのだろう。
僕は疲れているのかもしれない。
いつの間にか封筒の背を撫でていた指から紙で切れたのか血が流れているのがとっても不吉な予感を思わせた。
ヤンデレ書くの久しぶり過ぎて色々忘れてしまった。
追記 頭がおかしくなったのか宮下愛が友達なんだか、幼馴染なんだが混合されてたので幼馴染に統一しました。疑問に思った方すいませんでした