何か小田和正っぽいけど気にしないでください
ラブストーリーはもう始まってます
あの後授業を四時間寝ぼけ眼で、愛に後ろから小突かれながら、机に突っ伏して学習をしていた訳なのだが、幾ら睡眠学習と言えど長年の習慣かそれとも成長期特有なのかお昼が近くなるとお腹が空く。
愛は彼女のおばあちゃんが作ったのであろうお弁当を食べている。
でも、流石にお昼まで彼女等に迷惑はかけられない為僕はいつもお昼は購買でパンを買うか、食堂で食べている。
食堂は同じ昼食を食べる学生で賑わっていた。
食券を買いそれを注文し受け取ってから、僕は席を探した。
お昼はとても食堂は混む為席を見つけるのも一苦労だ。
すると、ずっと後ろの窓側の席に見知った顔を見つけた。
「果林さん、ここいいですか?」
「ええ、貴方なら遠慮しないでもいいわ」
自身の美しく伸びた青みがかった髪をかきあげながら、優しく笑って彼女は答えた。
僕はその向かい側に座り、軽くお礼を言った。
「今日はエマさん居ないんですね」
エマさんが世話焼き過ぎるのか果林さんがそれ程生活力が壊滅的でポンコツなのか知らないけれど果林さんとエマさんはいつも一緒にいるイメージだった。
「エマは今、先生に呼ばれたらしいの。だから少し寂しいと思ってたのよ」
「なら良かったです。お邪魔だったらどうしようかと思って」
「貴方なら何時でも大歓迎よ?」
「なら良かったです」
うふふ、あははと互いの笑い声が響く
「果林さん、それで足ります?」
彼女の食べるものが気になって視線を移すと目の前には食べかけのサラダと水が入ったコップが一つ。
幾ら女子と言えど成長期の高校生が到底お腹が満たされるような量ではない。
「プロポーションの為よ」
「モデルっていうのも大変なんですね」
「えぇ、本当に大変」
厳しくカロリー制限をしているようで練習では彼方さんやエマさんが作ったおからのお菓子や油の多いものも偶に食べているのを見るがいつもこんな生活で辛くはないのだろうか
「果林さん、それ以上プロポーション良くなってどうするんですか。木の棒なんじゃないかって思う程細いじゃないですか」
「もっと貴方が私に夢中になっちゃうわね?
少しの気の緩みがダメなのよ。やるのなら徹底的にしないとダメなの」
僕は果林さんの揶揄う様な色っぽい笑みについつい夢中にマジマジと彼女を見つめていた。
それに果林さんはにこやかに笑ってまた僕を揶揄った。
「そう言えばそんな果林さんに相談があるんですけど」
「私に相談?なんでも言ってちょうだい。もしかして恋の悩み?」
「まぁ、それに近いです」
キッと彼女の目付きが少し鋭くなった様な気がした。
「今日僕の下駄箱にラブレターが入ってまして、でも答えようにも名前も返事を聞く場所も書いてなくてどうしようって思ってたんですよ」
鞄から件の手紙を取り出し果林さんに見せた。
すると彼女は目を大きく開いて驚いた様子だった。
彼女も僕がモテて告白されるなんて全く思っていなかったのだろう。
直接言われるより心に来るものがある。
「貴方が女の子にモテるなんて………」
「遠回しに言われるより直接言われる方が心に来ますね!!!」
怒鳴るように大声を出した為周りがこちらを見ていたが、直ぐに喧騒が戻った。
果林さんは『冗談よ』と笑って、そして僕は彼女に手紙を渡した。
その手紙を果林さんは何を言うでもなくただじっと手紙を見ていた。
「こんなイタズラじみた手紙を貴方は信じるの?」
そして、吐き捨てるように言った。
冷たく、平常心で。僕を問い詰めるかのように
「僕もそう思ってはいるんですけど、結構手が掛かっていてただの書き忘れ、なんて事ないかなぁと思いまして。愛に聞いたら捨てた方がいいよって言われてました。悪戯だって」
「ええ、こんな物は捨てた方がいいわ。」
美しく伸びた二本の指で、汚いものを触るかのように摘んで手紙をぶら下げた。
「もしかして初めて告白をされてラブレターを貰って捨てずらいとか?」
「まぁ、そんな所です。あと悪戯って決めるのも何か早計すぎる様な」
「捨てずらいなら私が代わりに捨てて置くわよ?」
「いや、大丈夫です」
僕は果林さんからぶら下げられていた手紙を取り返した。
「はぁ、忌々しい」
ため息と共にそんな事を言う彼女に僕は驚いた。
「仕事、大変なんですか?」
「まぁ、そんなとこよ。今日も放課後仕事が入っているの」
「なら皆に今日練習来れない事言っておきますね」
今日はユニット練習かなと頭の中でメニューを考えてはいたのだがしょうがない。
愛は自主練に励んでもらおう
一人で今後の事を予定立てて居ると果林さんがじっと僕の事を見つめていた。
「え?何かついてます?」
「今日の仕事終わるのがとても遅いの」
「まぁ、そんな仕事もありますよね」
何かを期待している様にこちらを見ているのだが、エスパーでもない僕に分かるはずもなく
「貴方はか弱い女の子が夜遅く歩いているのに何とも思わないの?」
「要するに迎えに行けとそういう事ですか」
確かにもし果林さんに何かがあったとしたら気が気ではない。でもあれ?それって
「マネージャーさんいらっしゃると思うんですけど、送って貰えないn……!!?」
僕の足を力強く踏みつけながら顔は青筋を立てながらも笑顔で"それ以上は言うな"と言っている気がする。
怒りながら笑うって表情筋どうなってるんですか
そこで、昼休みの終わり五分前を告げる鐘がなった。
「詳しい事は後で連絡するわね」
にっこりと怖いくらいの満面の笑みを浮かべる果林さんに僕は『はい……』と答えることしか出来なかった。
「あ、最後にもう一度言わせてもらうけれど、私はあのラブレターは即刻捨てるべきだと思うの。そんなくだらない物に時間を取られるなら私のマネージャーとして働いてた方が貴方にとって有益よ、お金は勿論弾んでおくわ」
きっと果林さんも今まで何度か告白をされてその経験を交えてアドバイスをしてくれたのだろう。でも何故か寒気が止まらなかった。
そして何だかその言葉に違和感を感じた。
果林さんその言葉には何かどす黒いものが含まれている様に
きっとそれは仕事の愚痴だろうと僕は一人で納得をして、昼食を片付けた。
二人とも捨てろと言うけれど最後にもう一人だけ意見を聞いてみようと思った。
取り敢えずこれの一話出す前に二話位まで書いてあったので、断捨離をしました(?)