編集した際、寝落ちで全消しという展開、リアルの事情もあり……
言い訳かもしれませんが、どうかご理解いただければ幸いです
それでは最新話どうぞ
研究ラボにある椅子に晴人ら適合者が腰掛ける。
ある物を取りに行くと言って奥へモンドを待っていたからだ。
テーブルには晴人の淹れたコーヒーが置かれているが誰一人口にしないまま冷めていく。それと同じく時間も過ぎていく。
「あの……いいですか?」
晴人が遠慮気味に訪ね。3人の視線も彼に集まる。
「何だ?」
ここに来てからの沈黙を破ったのは翔真に向けた言葉であった。
とうの本人は少し機嫌が悪くしていたが、それでも、質問を投げかける。
「名前を教えてください」
「は?」
何を言ってるんだ?そんな顔をする翔真に明倫も投げかける。
「そうだヨ!一緒に戦う仲だからナ」
同意を求めるかのように輝かせるその目に、翔真は目を逸らすが……。
「紅翔真だ……名乗った所で俺は1人で動くのは変わらないからな」
そう言って誤魔化すように冷めかけのコーヒーで喉を潤す。
「寺野晴人です」
「李明倫ダ、よろしくナ」
そんなのはお構い無しと2人は名乗る。
「亀沢玄斗、この2人の担任だ」
「おっさんも乗るなよ」
「俺はまだ28だぞ?」
「十分おっさんだな」
「え?」
数分前の沈黙は破られ、空気が変わりつつあるこの場所にモンドが戻ってくると、察したかのように空気が張り詰める。
「すまない。最後の調整で遅れたよ。亀沢先生、お呼びしたのに申し訳ない事を……」
「いえいえ!用事があるなら仕方ない事です」
頭を下げるモンドに玄斗はそれを止めようとする。そう言われ、彼もまた椅子に腰掛ける。
「亀沢先と朱雀の──」
「モンドさん、翔真だって名乗ってたヨ」
明倫に指を刺されムッとなるが、当の本人はどこ吹く風と見てはいなかった。
「そうかい、では改めて、亀沢先生と翔真くんに今の状況とシステムの説明、を始めようと思う」
ゴホンっとわざとらしい咳をして本題に入る。
メモリアンの存在と目的──それを聞いた玄斗は最初は半信半疑であったが、聞いていく内に納得をする。
(先月の生徒が行方不明なのはそういう事なのか?)
子供を失った親の悲しみが浮かぶ。
握る拳が強くなり険しい顔つきになって見える。それは自身も子を持つ親だからこそ見せる現れだろう。
翔真はメモリアンと何度なく戦っている為、ある程度は理解していた。
次はモンドがこの星の住民では無い事、【バグ】と呼ばれるメモリアンと共にセイリュード等のシステムを開発した事を話した。
(良いメモリアン?そんなのいるかよ……奴らは人の命を何とも思ってない輩だぞ)
オクトパス・メモリアンの事を思い出すが、両親の命を奪った外道の事を思い出し、頭の片隅に入れ、無かった事のように忘れる。
とある居酒屋、活気時に溢れるこの場所にポンチョの男がトウコツに呼ばれ、彼のいるテーブルに向かう。
「待ったかなぁ?遅れてごめん──」
その時だった。ガラの悪い男とぶつかり、よろけた。
「乱暴だなぁ」
「悪ぃ〜ノッポだから目立つもんなぁ」
「気にすんなよ!コイツいつもこうだからさ!」
「バカヤロ!かわい子ちゃんがいる所で俺の株を下げんなって!」
下品な笑いをする2人組に何も言わない。というよりその目は見下しているというのが正しいと言えよう。
「ごめんねぇ、僕ちゃんデカいから……大丈夫だったぁ?」
だが、直ぐにその表情を変え、穏便にすます。
「分かればいいんだよ。分かれば」
肩を乱暴に叩く男は相棒と共にその場を後にしようとするが……。
「だいたいデカブツがこんな狭い所来るなって話だよな」
「それにあの口調カマっぽくて気持ち悪い─」
その言葉から続くことは無かった。何故なら……。
「それは言っちゃダメだよぉ?」
手からの触手で消滅させたその光景に悲鳴があがりパニックに陥る。
「うわぁぁぁ!人が消えたぞ!」
「いやぁぁぁぁ!」
「化け物だぁ!?」
「警察だ!早くしろよ!!」
「あっ……あっ……」
店員の1人が恐怖心を抑え呼ぼうとするが、その瞬間、クラゲの触手がポンチョの男の背中から伸びその場にいあわせた【人間】に突き刺すと、光の粒子になって消滅した
「恨むなら僕ちゃんの悪口言った。2人を恨むんだよねぇ」
「お待たせしました。流石ですと言いたいですね」
評価をするトウコツの席に座り、自身の決意を表明する。
「まぁね。明日、明後日で終わらせるよ、何たって僕ちゃんは強いからねぇ」
キッチンの奥から持ち出したウィスキーを飲み、ツマミを食べ、足をテーブルにかける。自分らしかいないからこそ出来る事であった。
「確かに……そうですね。私はこれで」
1口をクイッと呑むと席から立つ。
「あのメガネの男も狩るとするか」
ボトル越しに飲み干し、彼も店を出る。
────※───
翌朝、休日であるが玄斗は朝早くから近くの公園を走っている。
ここは外周が広く、足腰を鍛えるには丁度いいと思っての事であった。
(少しでも鍛えないと、寺野達の足は踏みたくはない)
自身で決めた目標まで残り数km、そして……。
「やったゴール。フゥ……フゥー」
手に膝を付けてから腰に置くと息を吐き出す。近くにあった自販機で飲み物を買おうとした時だった、聞きなれた声達がして振り向く。
「おはようございます、亀沢先生」
「先生おはよう!」
「寺野、李……お前達も?」
「先生もかァ?」
「そうなるな、何時からここに?」
「休日は4時からですね」
「平日は5時からだゾ」
玄斗は腕時計を見ると、6時を過ぎていた。
(この子達は俺より早くここに来て……まだまだ負けてられないな)
「よし!俺ももう少し頑張っ──」
「先生!」
晴人は玄斗を庇うように押し倒す。そこにはクラゲのような触手が自販機の照明に突き刺さりヒビが入る。
「誰ダ!お前は!」
明倫はその方向を睨みつける。
「いやぁ〜すごいすごい。僕ちゃんの攻撃避けるなんて、人間の癖に場数を踏んでるだけはあるねぇ」
小馬鹿にしたような感じでポンチョの男が3人に近づいてくると、立ち止まり、ニカッと笑う。
「ごめんねぇ。小馬鹿にしたんじゃないよぉ、だって僕ちゃん達メモリアンを倒してきたから……さ!」
「「龍装・白装!!」」
クラゲの記憶を持つジェリーフィッシュメモリアンに姿を変えると、2人を無視して、玄斗を狙う。
「そう言ったけど!手早く死んでもらうよ!」
「そうは──」
「させないヨ!」
セイリューバー・ガンモードと風烈・一刃を放つが、両刃の付いた杖で斬り払われる。
「先生!戦ってください!」
「今ならなれるはずだヨ!」
ジェリーフィッシュに駆け寄ろうとするが、それも予測済みと言わんばかりに触手で進歩を妨害され、思うように進めずにいた。
「よ。よし……ッ!」
ゲンブリングに気を込めて構えるが、玄斗の姿のままで変われずにいた。
「都合いいね……バイバイ!」
「うわっ!」
とっさの判断で、ジェリーフィッシュの前に飛び出したのが功を奏したのか、最悪の結果は免れる。
「ッ!」
触手を切り払ったセイリュードは袈裟斬りをくらわせるが……
「残念だったねぇ……並の奴なら効くけど、僕ちゃんには全くな無駄なんだよねぇ」
回し蹴りで脇腹を狙うものの、両手で抑えられる。
「あれまぁ……やるねぇ」
「そこダ!風爪・乱れ!」
風を纏ったビャックローの攻撃は隙が出来ていた、ジェリーフィッシュであろうとも、ダメージは与えらなかった。
「2人まとめて……こうなんだね!」
「う、うわっ!」
腰を捻り、抑えられている足から振り払いセイリュードをウォンフウの方まで吹き飛ばす。
「一石二鳥だなぁやったよぉ!」
「おい?何だ?朝から」
「あっちだよな」
「事件?」
「なら……バズる動画撮れるかもだな」
物音を聴いた若者がセイリュード達の居る方へ歩いて来る。それを知った2人は起き上がる
「晴人!」
「わかってる」
「ここは危険です!早く下がってください!」
「死にたくなイなら逃げるンだ!」
「何言ってんだよ」
「つーか、アレ?コスプレ?」
「特撮の撮影じゃね」
「マジかよ……え?」
若者の1人に触手が刺さると光の粒子に、それに続いて残りの若者も一言も抵抗もせずに消え去った。
「僕ちゃん、人の記憶奪うのもやらなくちゃあいけないんだよねぇ」
「許さない……許さないヨ!アイツだけは!」
「──!」
激昂するウォンフウよりも早くジェリーフィッシュに一太刀入れたのはセイリュードであった。予想だにしない不意打ちでふらつくと隙を入れずに、何度も切りつけるが……。
「僕ちゃんには君らの攻撃通用しないんだって!!」
杖で斬撃の一つ一つを払い除けると、触手をセイリュードに突き刺す。
「う、うわぁぁ!」
(次の行動に移るんだ!そうしないと……先生が……ッ!?)
反撃の一手を考える暇もなく、セイリュードから晴人に戻ってしまう。
「何で……龍──!」
再び、龍装を叫ぼうとするものの、右腕から痺れが襲う。
「お前……!」
背を低くし、スタートダッシュの勢いでジェリーフィッシュに突進をする。
「強気なのは僕ちゃんの好みだけど……邪魔なんだよ、お前」
軽い口調からドスの効いた声になるとウォンフウの頭を掴と、子供が気に入らない玩具を壊すかのように木に投げつけられ、変身が解除された。
「アッ……アッ、ウゥゥ」
悔しさと痛みが明倫を襲う中、ジェリーフィッシュは戦えなくなった2人に興味を示さず、玄斗の方を向く。
「これで最後だねぇ」
ニヤッと笑う様に呟くと、杖の刃を玄斗の首に向ける。
「最後に言いたい事あるかなぁ?」
(何で力が出せないんだよ……俺は家族をみんなを守るって誓ったのに、何でだよ!?)
「その表情……良いねぇ。君の家族も同じ顔するのかなぁ?」
その言葉が玄斗の諦めかけていた感情を変えた。
「巫山戯るなよ。クラゲ野郎……どうせ死ぬなら、堂々と死んでやるよ」
臆病な心は無い。自分は無力だ。だが、死ぬなら怖くないって思って死のう、その覚悟を決めた直後、火を纏った矢がジェリーフィッシュの身体に突き刺さる。
「痛いなぁ……おっ!朱雀だねぇ」
「もう、情報渡ってるのか……厄介だな」
シューザックが構えていると、ジェリーフィッシュはポンチョの男に戻るといなや、両手を天に伸ばす……所謂、お手上げのポーズを取り。おどけた態度を見せる。
「いやぁ!流石の僕ちゃんでも、流石にキツいなぁ……じゃあまた今度……ッ!」
バネで飛び跳ねたかのような脚力で男はその場から立ち去った。
───※───
「昨日の威勢はどこいったんだよ。おっさん」
屋根付きのベンチで翔真は玄斗に対して呆れていた。しかし、明倫は大切な人を貶したとして口を返され、ムッとなる。
「そこまで言わなくてもいいヨ!」
「じゃあ、お前は何が出来た、負けた癖に言うなよ」
「アンタが早く来たら……来てくれれば……」
感情を抑えきれずに明倫はポロポロと涙を流す。
「おい、どうしたんだよ」
「あのメモリアンは……2人の目の前で人を消した」
泣いた理由を訪ねようとした翔真に玄斗は説明をする。
「初めてダよ……アタシ、この力でみんなを守れると思ったのに……」
その悔しさは翔真にも伝わり、何も言わずに向きを変え、握り拳を作る。
(俺も同じかもな。なんでこんな気分になるんだ?)
(どうしてあの時、力が出なかったんだ……俺に何が足りないんだ?)
玄斗もまた、その悔しさで握り拳を血が滲むほど力を入れていた。