実はこの回は四聖獣の……おっと。ネタバレは厳禁でした。
「行ってきます!」
「おう!しっかりな!」
「車に気をつけてね」
「わかってるよ!」
晴人が学校に行こうと鞄を背負った丁度その時、2階からモンドが降りてきた。
「晴人くん、これを」
「これは……」
渡されたのは青色で青龍の紋章が描かれたブレスレットであった。
「そう。セイリュウストーンをブレスレットにしたんだ」
「ありがとうございます!僕の為にわざわざ…」
目を輝かせてブレスレットを巻き、晴人はモンドに感謝する。
「メモリアン探知の機能も調整した。これで耳鳴りはしないはずだよ」
「ありがとうございます」
「モンドさん!そろそろ手伝ってくれないか!」
「はい!今行きます!それじゃ、行ってらっしゃい」
威勢のいい源二の声によばれ、モンドは駆け足で居間へと向かって行った。
「はい!いってきます!」
晴人は玄関から家を出ると、真っ直ぐ学校へと向かっていった。
「あ、ミカちゃん」
「おはよう!ハルくん!」
校門の前で他愛無い挨拶を交わす2人。
だが、校内には何人もの警官がおり、教師たちへと聞き込みが行われていた。
「あれって、昨日の……」
「うん……」
そこへ美風の友人、由美子と和実がやって来る。
「おはよう大羽さん!」
「オッス、ミカっち!……あ……寺野……」
昨日の一件で気まずい二人。
先に口を開いたのは由美子だった。
「あ、あのさ、寺野くん……昨日は……」
「昨日?」
「うん、ほら大羽さんとぶつかった時にさ……私たち……」
「え……?」
「高木、お前今日は日直だろ?」
その時、晴人の後方から歩いてきた男性教師が由美子に声をかける。
「亀沢先生!おはようございます!」
「あ、カメ!」
「先生をあだ名呼び捨てで呼ぶんじゃない」
中肉中背の体系に組織柄の紺のスーツ、多い茂る草の様な緑髪を後ろで結い、黒縁のメガネをかけた晴人達の担任、
「ごめんなさい、また後で!」
「やれやれ……お前らも遅れるなよ?」
玄斗の言葉に、由美子は慌てて職員室に向かっていく。
「高木さん、何言おうとしたんだろう?ねぇ木俣さん、何か知って……」
和美の方を見る晴人。だが和実は既にその場を去ってしまっていた。
「木俣さん!……ごめんハルくん、先行くから!」
「え、ミカちゃん!?」
美風も彼女を追い掛け、置いて行かれた晴人はその背中を見つめていた。
「どしたノ晴人、元気ないネ!」
「ああ、
振り向くと、黒髪ショートにピンク色の瞳、スタイルの良い体つきに、スカートの下にはスパッツを履いた少女、李明鈴がチャームポイントの八重歯を覗かせながら笑っていた。
日本人の父と中国人の母を持つため、日本語はペラペラな明鈴。
時々イントネーションに違和感はあるが、周囲からはそれも愛嬌の1つとしてカウントされている。
「おはようネ!ちゃんと朝ごはん食べたカ~?」
「そりゃあ勿論!定食屋の息子だからね」
彼女の実家、中華料理屋【口福】は寺野家とライバル同士でもあり、良きご近所さん同士でもある。
その為、美風とはまた違った意味で仲がいいのだ。
「それなら良し!じゃあ、先行ってるヨ!」
晴人の答えを聞いて満足げに頷くと、彼女も駆け足で去っていく。
「相変わらず元気だな……僕も頑張らないと!」
両頬を叩いて気合を入れた晴人は、一足遅れてようやく校舎へと入って行った。
「アイツですか?同胞を倒したという奴は」
コウモリの姿をした怪人が、四乃宮高校の屋上から眼下を見下ろしながら呟く。
「ええ。ですが、まだ派手には動かないように。あの方の指示なのでね、慎重に頼みましたよ」
「は、はい」
黒スーツの男はバット・メモリアンにそう釘を刺すと、空間に溶けるように姿を消した。
「さて、そうだな……あのおっさんを利用するか」
そう言ってバット・メモリアンは、校門前を掃除している用務員の男性に狙いを定めた。
渡り廊下で和実に追いついた美風は、肩をポンポンと叩くと彼女に話しかける。
「ねぇ?木俣さん、高木さんはさっき、何を言おうとしたの?」
「ミカっち……。実はね、あたし達、寺野に謝りたいんだ。でもさ、昨日の事……多分、怒ってるだろうなって思うと……」
「そっか……」
「だって寺野、キレたらメチャメチャ怖いらしいじゃん!コンクリ詰めにされて、海とかに沈められちゃうよ!」
「木俣さん……ヤクザ映画の見すぎじゃない……?」
大袈裟にガタガタと震える和実に、美風は苦笑いする。
「そっか……。でも、ハルく……寺野くんは優しいから、別に気にしてないよ」
「でも、あたし達的には、気が済まないから……お願い!」
手を合わせ、美風に頼む和実。
「分かった。寺野くんには私から言っとくね」
「ありがとミカっち!!」
握った美風の手をブンブンと握り回す和美に、美風は苦笑する。
「木俣さん、ちょっと痛い」
「ああ!ごめん、ごめん!」
(あの時の言葉は本意じゃなかったんだ……。良かった……)
心の中でホッのしながら、美風達は教室へと戻って行った。
―――*―――
その頃、席に着いた晴人の元に、二人の男子生徒が歩み寄る。
「おっす!晴人」
「晴人おはよう」
「おはよう。幹也くんに健吾くん」
茶髪の男子生徒は糸井幹也、黒髪で晴人より背の高い男子生徒が西崎健吾だ。
「まさか、健吾と同じ日に風邪を引くなんてなぁ……。何とかは風邪を引かないって言うけどアレは嘘だな!」
「いや、アレは風邪を引いても気付かないって意味だぞ。つまりお前はどのみちバカだ」
「なるほどな~……ってオイッ!」
「ふふふ」
騒がしい二人のやり取り。晴人は思わずクスッと笑う。
「あっ、休んでる間のノート取っといたから、後で見てね」
「お、サンキュー!」
「恩に着る」
「健吾〜、硬いぜ少し柔らかく言えないのかぁ?」
「お前が軽すぎるんだ!もう少し遠慮ってものを覚えろバカ!」
「あ!またバカって言ったー!」
「相変わらず騒がしいね、糸井くん」
由美子は幹也を見てそう呟く。
「西崎の方も相っ変わらず真面目。疲れないのかな?」
和実も同じく健吾を見て、呆れてるように呟いた。
その時、始業のチャイムが鳴り、玄斗が教壇に立った。
「全員、席に着いてるな?……落ち着いて聞いて欲しい。実は昨日、この学校の生徒が行方不明になった……。生徒の名は──」
ざわつく教室。
消えた生徒の行方を、晴人と美風以外は誰も知らない。
「みんな静かに。不審者を見かけたら、まずは逃げることを優先してくれ。まずはお前たちの身の安全が第一だ」
玄斗は生徒達を見回し、静かにそう言った。
「消えた生徒を探すのは、警察の仕事だ。くれぐれも変な気は起こすなよ。ミイラ取りがミイラ、なんてことになったらシャレにならないからな」
その言葉を残し、玄斗は教室を出ていくと、生徒達のざわめきは再び始まった。
「怖いなぁ……」
「警察も動いてんだ、早く解決するだろ……」
「ねぇ……連れ去られた子って知ってる?」
「知らない。でも可哀想よね」
「見つかると良いわね」
「うん」
生徒たちの間に、不安が渦巻く。
(メモリアン、人を平然と消す連中だ……。僕が皆を護って行かなくちゃ……)
晴人はそう思いセイリュウブレスのある手首を握りしめた。
―――*―――
「よーし、今日はここまで……日直、悪いけど黒板よろしく頼むぞ」
2時間目、玄斗の受け持つ国語の授業が終わり、晴人が鞄に手をかけようとした時、ブレスレットが青く光出した。
(まさか!メモリアンが!?)
「晴人、どうした!」
「具合が悪いのか?なら保健室に行くか?」
幹也と健吾が声を掛ける。
「だ、大丈夫だよ……」
親友2人を心配させまいと気を使って教室を後にした。
「あいつ、あぁ言ってるけどどうなんだろうなぁ」
「何ともなければ良いんだけどな」
心配そうな目で保健師へ向かう晴人を見つめる。
―――*―――
用務員はゴミ捨てを終え、一息つこうとしていた時だった。
「お前の知識貰いに来た」
「誰だ!」
「俺が誰かなんて、お前は気にしなくてもいい。何故ならお前は今日、俺と入れ替わるのだからな!」
「とにかく……警察に!」
携帯を取りだし、かけようと手にかけるが
「無駄だ!」
用務員に緑色の触手を指し消滅させると、その姿に変える。
「さて、どいつを襲っておびき出そうか……ん?」
「だりぃ……」
「フケるか」
「おー」
「鴨がネギをしょってくるとはこの事!」
如何にも不良な感じを出してる男子3人組に目を付けた男は尾行を開始した。
―――*―――
「あれ?光が消えた」
「ハルくん、どうしたの?」
「ミカちゃんか……実はね」
事を話すと、美風は納得した
「モンドさん、改めて言うけど凄いね」
「うん」
「でもこの学校にメモリアンがいるなんて……」
「寺野、大羽……どうしたんだ?」
後ろから声をかけられた美風は不安で口が動かない。
晴人は会話が聞かれたのかと思い後ろを振り向く。
「亀沢先生?」
「2人して何かあったのか?」
何も無かった様な素振りを見せる玄斗に晴人はキョトンとした表情になる。
(もしかしたら聞いてないとか?)
「明日の課題の事で大羽さんに……」
「そうか。次の授業始まるぞ。席に戻れ……」
タイミング良くチャイムが鳴り出す。
「そういう訳だから……廊下は走るなよ」
玄斗は急ぎ足で自分が次の授業があるクラスに向かった。
「僕達も行こうか」
「うん」
次は移動授業の為、晴人は準備をしていたがブレスレットが再び光出した。
『メモリアン!今度こそはッ!』
もう逃がさない、そう心に決めた晴人は教室を抜け出し、走り出す。
「おい!晴人!?」
「まだ体の調子悪いのか?」
「なら、走ったりしないだろ?」
「おぉ」
幹也も健吾も心配であったが、時間がない為、追わずに教室を後にした。
―――*―――
校舎裏
「このままフケるか?」
「だな」
「ゲーセン行くべ」
3人組の不良の前に先程の用務員の男が現れた。
「君たち、サボったらダメだろ?」
「あ?関係ないだろ!おっさん!」
その場を後にしようとする3人組の不良であったが、用務員の男が震え出す。
「何だぁ?」
「気にすんなよ、行こうぜ」
「お、おう」
「まぁ、待ちなさい」
用務員の男が不良の1人を引き止める。
「るっせぇよ!」
腕を払い、去ろうとするが、用務員の男は振り返ると口から触手を出して不良の身体に突き刺し、記憶を吸い取り消滅させるのをみて動揺する。
「な、何してんだテメェ!!」
落ちていた箒を拾い立ち向かうも、用務員の男は右手で防ぐと箒はポッキリと折れてしまった。
「効かないなぁ……フン!」
左腕から触手を出して、不良の記憶を吸い取り再び消滅させる。
「助けてぇ!」
「不味い記憶だ、吐き気がする。顔を見たんだ……死人に何とやらだ……」
無慈悲に出された触手は不良の身体を貫き消滅させた。
「フフフフ……早速来たな!」
男が笑うと、晴人が駆け付ける。
「な、何をしてるんですか……」
「来たな……死ね!」
男は蝙蝠のメモリアンである、バット・メモリアンに姿を変え、突進を仕掛けた。
「龍装!」
セイリュードになり、突進の威力を和らげるも、バット・メモリアンは飛び上がり、壁に激突させ、セイリュードはよろめく。
さらに、目からレーザーを放つと、セイリュードの装甲に煙があがった。
「まだだ!!」
「キキキ!無理はするなよ!」
急降下の突進でセイリュードは吹き飛ばされる 。
「うっ……」
「どうした?どうした!」
追い討ちをかけるように、超音波をかき鳴らしてセイリュードを追い詰める。
「耳が!」
更に周囲のガラスも割れる。
(このまま、みんなが来たら……犠牲者は増やしたくない!)
最悪の考えが現実になる前に……友達が、守りたいと誓った幼なじみが消滅する、最悪の未来が脳裏に浮かぶが首を横に降り、理性を保つ。
(そうだ……今の僕にはそれを何とかする力がある!それは守る為に!!)
そうはさせないと腰からセイリューバーを抜き出す。
「フフフフ……トドメの大音量だ!」
「お前達の好きにはさせるか!!」
セイリューバーを銃の形にする。
「そこだ!」
引き金を2回引き、バット・メモリアンをうち落とそうとするも、回避する。
「下手くそが!」
「いや……これが本命だ!!」
銃身にエネルギーが充填される。
「させるか!」
阻止せんと突進を仕掛ける。
「ドラゴバースト!!」
一直線の龍の形をしたビームがバット・メモリアンを撃ち抜き、消滅した。
「ふぅ……!」
龍装を解除して晴人は膝まづく。
「はぁはぁ、何とか済んだけど……ここに居たら怪しまれるな」
壁を支えにして立ち上がり、その場を後にした。
「やれやれ……詰めが甘いですねぇ」
遠巻きに見ていた幹部であるスーツの男はバット・メモリアンを見限るように言う。
「ですが……これで終わりではありませんよ……貴方を追い詰めるのには容易いのですから」
まだ始まったばかりだ。その意志を呟き、スーツの男は姿を消した。
―――*―――
「寺野!?」
「亀澤先生……」
廊下を歩く晴人を見つけた玄斗は駆け寄ると安堵した表情をする。
「良かった……無事で」
「え?え?」
「糸井と西崎からお前の事を聞いて、何かあったかと思ったんだぞ……とにかく無事何だな……」
本気で心配してくれてる玄斗に晴人は申し訳ない顔を浮かべた。
「ご迷惑をかけました……すいませんでした」
「とにかく、あの二人に合って無事を伝える事。いいな」
「はい!」
「実は窓ガラスが割れてな、その処理を任せれたんだ」
そう言い、立ち去る玄斗。
晴人はその背中が消えるまで見つめていた。
(ミカちゃんだけじゃない……亀澤先生や他の人にも不安にさせてしまった……まだまだだな、僕は)
そう思い、晴人は教室に戻り親友2人に事情を説明した……具合が悪かったと言う嘘ではあるが2人は一応納得してくれたのであった。
―――*―――
そんな晴人は屋上に来て、考え事をしながら、空を見上げる。
(今回は何とかなったけど……また同じ事が起きたら……僕は!)
対策を考え無いといけないと考える晴人の元へ美風がやってくる。
「ここにいたんだ。ハルくん」
「ミカちゃん」
「あのね!この2人が話があるの……」
そう言うと、現れた由美子と和実が晴人に頭を下げた。
「え?高木さんに木俣さん、どうしたの!?」
「昨日……寺野君に酷いことしたから……」
「ウチらもさ、言い過ぎた感あるからさ、その……」
「ふ、2人とも!頭あげてよ……」
慌てる晴人の言葉を聞いた2人は顔をあげる。
「僕は気にしてないから、寧ろぶつかった僕が悪いのに高木さんに口返したし……その……」
しどろもどろになる晴人に2人は疑問符がつく。
「え?」
「ね、寺野くんはそんな事は気にしてないんだよ。だから深く考えないでね」
「そ、そう」
「でも……」
「本当に気にしてないよ……いや、高木さん達が気にしていのなら僕が悪いよ」
「いや!私たちが」
「みんな!落ち着いて!お互い気にしてた、でも怒ってない。それで良いんじゃないのかな?」
イタチごっこになりそうなのを美風が仲介して事を収めようとする。
「うん……ミカちゃんが言うなら」
「ありがとう、大羽さん」
「サンキュ、ミカっち」
「よし!この話は終わり!」
納得した美風はワザとらしくとったポーズに晴人は笑う。
「ミカちゃん、それはちょっと……」
「え?ダメだった!?」
「ダメって訳じゃないけどね。その、ふふふ」
「もう!」
そっぽを向く美風に晴人はハッとなり慌ててた。
「ごめんねって……その」
「ねぇ……ミカっちと寺野って彼氏彼女じゃないんだよね?」
「うん……?」
晴人と美風のやり取りに疑問を持ちながら、一日が過ぎていくのであった。