青龍魂心セイリュード   作:サナギ@北の大地

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5話目です
実は今作、pixivで連載してるのと変更点があります。

是非、読み比べて見てください


朱雀の炎は憎しみで燃え上がり、悪を焼き尽くす

晴人がセイリュードになる数週間前の事である……。

 

「こんな時間に起きるなんて……」

 

赤い髪と瞳をもった青年はスマホを開き、時間を確認すると【明日】を迎えていた。

 

「寝付けないのか?喉乾いた……」

 

下に降りようとドアに手をかけ、階段を降りようとする中、嫌な寒気が男を襲う。

 

「父さん……母さん!」

 

最悪の事を考え、居間に駆け寄るとそこで見たものは……彼の日常を壊すには容易いものであった。

 

「嘘だろ……え?どうして?」

 

「ボクの獲物がまた増えた……今日で5人目だ♡︎」

 

直ぐに感じる、血生臭い匂い。

外では雷が鳴り響き、その稲光りで映し出されたのは、斬り刻まれた両親の変わり果てた姿。

 

そして、女性の声で喋る怪物が、腕の鎌についた血を舐めとる仕草を見た青年は動けないでいた。

 

数時間前まではいつもと変わらず、両親とたわいも無い会話していた。

そう考える青年だが、血の匂いと惨状で現実に戻される。

 

「まぁいいや……死んでよ」

 

「ふざけるな!」

 

無慈悲にもその刃は青年の胸を切り裂く。

 

「はぁ……はっ……」

 

「よ〜し、君はばらばらにしちゃうぞぉ★」

 

青年の体温が段々と下がっていく事と、怪物から狂気を感じる言葉に死を覚悟するが、サイレンの音が鳴る。

 

「チッ、あの女……死に際に……。運が良かったね……バイバイ」

 

そう言い残し、カマキリの怪物は人の姿に戻るその場からと消え去った。

 

 

 

「おい!しっかりしろ!」

 

「急げ!死なせるな!!」

 

「大丈夫だからな!」

 

刑事や救急隊員の声を最後に青年は意識を闇に落とした。

 

―――*―――

 

病院に搬送された青年が目を覚ますと、2人の刑事からの質問をされるが、精神的に動揺が今になって現れ返せずにいた

 

「ダメだ、答えてくれないですね」

 

「家族を失って自分も死にかけたんだ。無理もない。」

 

「そうですよね……」

 

「紅翔真さん、後日伺います」

 

刑事が去ったと同時に、水色のセミロングで瞳も同じ色の女性、西原真凜(さいばらまりん)が病室に駆け寄ると翔真の手を握る。

 

「翔真!」

「マリ(ねぇ)?」

 

「朝のニュースでこの事知って、急いで来て……それから……」

 

「落ち着けってマリ姉。俺も少しだけど理解してきた」

 

「あの、【化け物】は俺が殺す」

 

空気が変わる……殺意を乗せて、翔真はそう呟く。

 

「ダメ!ダメよ!翔真!!そんな事したら……」

 

「あっ……」

 

目に涙を浮かべる真凜を見た翔真はハッとして我に返ると、頭を下げた。

 

「ごめん、俺どうかしてたな。父さんと母さんを失って……つい」

 

「ううん……私の方こそ声を荒たげてごめんね……」

 

気まずくなる雰囲気に真凜はワザとらしく手をパンっと叩く。

 

「飲み物買ってくるね。翔真は……何が良いかな?」

 

「コーヒーのブラック」

 

「うん、わかった……ねぇ?落ち着いたら私の家に来て?あの子達も楽しみに待ってるから」

 

真凜の実家である児童養護施設「おおぞら」の子供達の事を言われた翔真はただ一言。

 

 

「あぁ……そうだな。俺さ寝るから……おやすみ」

 

 

 

そう言って、病室を後にする真凜を見送る翔真……だが、どす黒い心を抱きながらで呟く。

 

『ごめんな……マリ姉。あの【怪物】は命を捨てる覚悟で殺す……だから……俺は』

 

誓うと、翔真は眠りについた。

 

「翔真……寝てるんだ。おやすみ」

 

缶コーヒーを置いて真凜は病室を後にした……それからしばらく、翔真と会えなくなる事を彼女はまだ知らない……。

 

―――*―――

 

 

その日の深夜 メモリアンの幹部である黒スーツの男とフードの者がビルの屋上で会話をしていた

 

「なるほど。あの【少女】はしばらく放置しろと言う訳ですね」

 

「そうだ……創成者様の指示……分かるな」

 

「ええ、【バグ】は本来なら排除ですが、あの行動なら納得ですね」

 

 

向かいのビルを見ると、黒髪の外ハネショートでパンクファッションの少女。

 

少女は本の数分前にビルに入ると、その場にいた悪徳金融の社員全員を壁の染みに変え、それを気にせずに眠りにつくのが見える。

 

 

「だが……監視は怠るな……そう仰った」

 

「了解です……」

 

フードの者は消えるとのを見届けた黒スーツの男は階段を降りてその場を後にする。

 

 

 

―――*―――

 

数週間後、退院した翔真は真凜等の身内に会わず、例の【怪物】を探していたが、当然の如く見つからず、途方に暮れる。

 

「あの化け物は何処にいるんだ……」

 

 

ポケットにナイフを忍ばせてそう呟く、そんな中、近くで騒がしくなっていた。

 

「おい!死体だってよ!」

 

「女の死体だって!」

 

「うげぇ……アッチのか?」

 

「路地裏らしいぜ!」

 

「何でも斬られた後があるらしいぜ」

 

 

「斬られた……女……まさか!」

 

自分を探しに来た真凜なのかと感じた、翔真は雑踏の根をかき分け現場を見る。

 

「ホッ……違う人か……いやここを張ってみるか……まずは夜まで待つか」

 

被害者には気の毒であるかもしれないと思いながら翔真は近くのネットカフェに入り時間を潰す事にした。

 

―――*―――

 

「あの怪物の事は書かれてないよな……」

 

翔真はインターネットで自身に起こった出来事を調べるも当然出る訳もなく途方に暮れる。

 

「時間が来るまで寝る……ん?」

 

掲示板サイトをクリックした翔真、その書き込みに目をやると、書かれていた事に興味を示す。

 

ホラー好きな名無し:最近あった連続失踪事件知ってる?

 

死霊のもつ煮:何それ?

 

ホラー好きな名無し:夜遅く部活終わりに突然消えたんだってさ

 

あ、クマの生贄:なんだそりゃ、ただの失踪事件だろ

 

ホラー好きな名無し:それがその翌日にはその子の通う高校で用務員が消えたんだよ

 

ムニエル街の悪夢:偶然にしては出来すぎだよなぁ

 

14日は土曜日:まぁそんな話よくあるよ

 

‡‡‡‡‡

 

「くだらない……都市伝説かよ」

 

マウスから手を離し翔真は目を閉じ眠りに入った。

 

―――*―――

 

「よし……落ち着け。まずは探すのを優先だ……」

 

人の居ない路地裏につき、冷静になる様に自分に言い聞かせ歩き出すと何か固いものを踏んでいた事に気付き、拾い上げる。

 

「何だこの紅い丸っこい石は?何だろ俺が持っても良いみたいな……何言ってんだ俺は……落し物かもしれないし、交番に……」

 

そう考えていると、ニット帽を被った男が翔真の前に現れた。

 

「お?カモ発見ジャン!!」

 

ニット帽の男は右手から触手を出して翔真の身体に突き刺そうとするも左に転び避ける。

 

「おっ?これならどうジャン?」

 

 

攻撃を避けられたニット帽の男はミミズのメモリアンであるワーム・メモリアンに姿を変えると矛先が直線状の槍で翔真を襲う。

 

「化け物になった!?」

 

「メモリアンって呼んで欲しいジャン!死ねジャン!!」

 

 

突きを躱すも右脚の蹴りに対応出来ず翔真は蹲る。

 

「へっ!最弱ジャン!人間なんざよォ!」

 

翔真の髪を掴んだワーム・メモリアンはもう一度、右手から触手を出すと翔真に突き刺す

 

『死ぬんだな。俺は仇も取れないで……』

 

「おっ……真凜って女いいジャン!ガキ共殺ってから、後で遊んでから殺してやるジャン!」

 

「!」

 

『ふざけるなよ……アイツら殺すだけじゃなくてマリ姉も襲う?』

 

そう思った瞬間、ポケットからナイフを取り出し触手を斬る。

 

「てめぇ!」

 

「お前らは……俺から家族だけでなく大切な人達も奪うのか?」

 

「当たり前ジャン。俺たちメモリアンはそうやって生きてるジャン!他の星の連中なんざ興味無いジャン!!」

 

「そうか……そうなんだな。父さんと母さんを殺したのもそれが理由何だな!」

(あの書き込みも関係あるのか……?そんなのは今どうでもいいッ!)

 

「は?知らねぇジャン!あの世に行きやがれジャン!」

 

槍を握り締めるトドメをさそうとする、ワーム・メモリアンに翔真は炎の如く怒りを心に秘めていた。

 

『こんな奴の為に……マリ姉とアイツらを失いたくない!!』

 

その時だった、ポケットに入れた紅い玉が赤く光り、取り出す。

 

「これは……!」

 

手にした瞬間、浮かんだ言葉を呟く。

 

朱装!!」

 

赤いオーラが翔真を纏い、オーラが消えるとそこに立っていたのは、翼を広げる紅雀をイメージした紅いマスク。

目の色はダークレッドで複眼で、炎をイメージしたボディに黒のラインが入り、橙色の翼をイメージした装飾が肩に付き、ベルトには朱雀のエンブレムがつけられた戦士であった。

 

朱雀魂心……シューザック!!

 

 

 

「な、何なんだよ!そのコスプレは……ジャン!」

 

変わりように手を止めたワーム・メモリアンは驚きつつも槍を改めて握り締めてシューザックに突撃する。

 

「……!」

 

だが、シューザックは1歩も動かずに顔に向けられた槍を掴み遠くまで投げ飛ばす。

 

「この力はいったい……」

 

思いもしない事に驚く翔真であったが、今の状況を思い出し、身構える。

 

「この……やってくれるジャン!」

 

立ち上がるワーム・メモリアンを見た、シューザックは腰に備えられた弓状の武器【シューザーアロウ】を取り出し引き金を引く。

 

「ガァ!」

 

放たれた矢は弾丸より速く発射され、シューザックはワーム・メモリアンの元へ歩み寄りながら容赦なく引き金を引き続けた。

 

 

「この野郎!」

 

「無駄だ」

 

槍で矢を払うも、シューザーアロウのメモリを2に変えると直線上から拡散状の矢になりワーム・メモリアンに突き刺さる。

 

「く、来るなぁ!!」

 

歩み寄るシューザックからでる、その殺気に怯えだし、デタラメに槍を振り回すも、シューザックは近付き、歩みを止めた。

 

「おい……お前は3月10日、何をした?」

 

 

「ハァ?そ、その日は……若い女を襲ったそれだけジャン!お前の言ってる事と関係ない無いジャン!」

 

ワーム・メモリアンはシューザックを押し倒し逃げようとするが、その背中に追い付いたシューザックが振り下ろした、シューザーアロウの上下の弦についた刃で切ると、地に伏せられる。

 

「ヒィ!ヒィ!何で!?俺はその事関係ないジャン!」

 

「忘れたのか……お前はアイツらを殺そうとした。そして、マリ姉を傷モノにしようとした理由はそれだけで十分だ!」

 

「うわぁぁぁあ!!」

 

みっともなく慌てふためくワーム・メモリアンを後目に左足に力を入れると炎を纏うと飛び上がる。

 

フレイムスマッシュ

 

その声と共に高く飛び上がると炎を纏ったボレーキックをワーム・メモリアンにくらわせると、燃えるように消滅した。

 

 

 

 

 

シューザックから翔真に戻ると紅い玉を改めて握り締め笑う。

 

「あの化け物を一瞬で。そうかこれは俺の為にある力何だ。なら!あの怪物……メモリアンは皆殺しにしてやる!!そうすれば奴に出会える!」

 

翔真はそう言い、その場を後にした。

その心は怒りと憎しみの炎に包まれていた、だが、それは自分自身をも苦しめる事をまだ知らない……。

 

―――*―――

 

 

そして、現在……

 

「また違った……これで何回目だ?俺は……何弱気になってんだ?俺は」

 

ラット・メモリアンを倒した翔真が路地裏を抜けるとそこに居たのは……。

 

「し、翔真?」

 

「マリ姉!?」

 

再会の驚きに買い物袋を落とす真凜、だが、翔真はそれで動けなくなったのを見てその場を急いで後にする。

 

「待って!」

 

落とした物を拾い上げるのも忘れ、翔真を追い掛けるだが、人混みに紛れその姿を見失ってしまった。

 

「どうして……どうして折角会えたのに……」

 

溢れ出る涙を抑えるもそれを止める事は出来ずにいたのであった……そして、その翔真は……。

 

―――*―――

 

『クソっ!何でマリ姉がここに!?俺は……俺は!』

 

「痛っ……」

 

「悪い!」

 

考え事をしている内に人とぶつかってしまった翔真は謝ると直ぐにその場を後に走り去る。

 

 

「何なんだよ……あいつ」

 

髪と瞳が金色の金の少年が愚痴る。

 

「龍也…大丈夫か?しかし無礼な奴だな」

 

黒髪のセミロングでスーツ姿の女性が手を差し伸べる。

 

「母さん、俺は大丈夫。帰ったら夕飯作るからね」

 

その手を握った龍也は母親に心配はかけさせまいと歩み出す。

 

「龍也、鍋物ならちゃんと冷ましてくれよ?」

 

「わかってるよ。母さん、猫舌だもんな」

 

「うぅ……我ながら情けない……」

 

額に手を置き悩むポーズをとる。

 

「情けなくなんかないよ。母さんは、俺の自慢の母さんなんだからさ」

 

「ありがとう」

 

息子の言葉に感謝の一言を述べ、2人は家路へと向かった。

 

 

―――*―――

 

 

 

とあるアパート……翔真はそこの一室に戻るとへたれこむ。

 

 

「ハァハァ……どうした?紅翔真……俺はあの日から誓ったんだぞ……このバカげた復讐劇にマリ姉やアイツらを巻きこないって、だから俺は避け続けてきた。それなのに……」

 

モヤモヤする気分を消す為に、水を1杯飲み干し気持ちを整理する。

 

「落ち着け。俺はもう1つ誓った……仇を取るまで弱みを見せない……例えそれがマリ姉の前でもだ!」

 

勢いがあまり、翔真はコップを握り締めてしまうも、流れる血に気にしないでいた。

 

「この痛みは俺に刻ませる誓いだ」

 

そう誓う、翔真。

だがその考えは心配してくれる、愛する人を傷付けてしまった事に気付くのはまだ先であったのを彼はまだ知らない……。

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