青龍魂心セイリュード   作:サナギ@北の大地

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前回の続き、言わば、続編です!

今回は後に登場するキャラがでます

ではお楽しみください!


新たな力、ツインセイリューバー

「……ここがモンドさんの部屋!?」

 

目の前に見たことない計器や機械が並び、まるで研究施設の一部屋であった。

 

「惑星ホープの技術をフルに活かしたんだ」

 

「でも……こんなの父さん達にバレたら」

 

「それは大丈夫……ほら」

 

モンドはリモコンのスイッチを押すと、何時もの風景に戻り、晴人は目を疑う。

 

「す、凄い!」

 

「君の力になりたいと思ってね」

 

「え?」

 

疑問に思った晴人にモンドは微笑みと真剣な顔になる。

 

「最近、晴人くんは無理をしてる……」

 

「違います!僕が弱いから……ミカちゃんやモンドさんに……」

 

そういう晴人の肩にモンドは手を置く。

 

「自分を責めたらダメだ……君が困ってる時に手を貸す事が僕の役目だ。だから力になりたい」

 

モンドの真剣な眼差しに晴人は黙って首を縦に振る。

 

「うん。じゃあ特訓だ」

 

再び、リモコンのスイッチを押すと施設に戻る。

 

「特訓……ですか?」

 

「セイリュードを始めとしたシステムは戦闘経験を積む事に強くなっていく……」

 

「だから身体に馴染んでいったんですね」

 

「そう、システムに内蔵しているAIがそれを学習して成長していくんだ。つまり、君も強くなればAIも強くなり、君の成長に繋がるんだ」

 

「そうだったんですね……改めて、お願いします!!」

 

 

「よし!まずはセイリュウブレスを渡してくれるかい?」

 

「はい」

 

渡した、セイリュウブレスを手にしたモンドは装置にセットする。

 

「よし……晴人くんこれをつけてくれ」

 

渡されたのはヘッドマウントディスプレイを晴人は装着すると……。

 

「こ、これは」

 

映し出されたのは、晴人がメモリアンの存在を、セイリュードとして初めて戦ったアント・メモリアンが待ち構えていた。

 

「驚いたかい?晴人くんが戦ったメモリアンのデータを読み取り、仮想空間で実体化したのさ……おっと忘れたよ」

 

そう言うと晴人に近付き、ある物を渡した。

 

「モンドさん……これは?」

 

「それは空間ではセイリューバーになるから……使ってくれ」

 

「分かりました……行くぞ!!」

 

気合を入れ叫ぶと走り出す。

アント・メモリアンも同じく走ると、模擬戦が開始された。

 

―――*―――

 

「はぁ……」

 

美風は自宅の居間で溜息をついていた。

 

「どうしたの?部活の悩み?」

 

風香が洗い物を終え、タオルで手を拭いてから向かいの席に座る。

 

「えっと……あのね」

 

「晴人くんの事?」

 

「ッ!?ち、違う……ハルくんは関係ないの!」

 

顔を真っ赤に手を前に振り、どう見てもバレバレな仕草をする娘を見て、風香はクスッと笑う。

 

「美風ったら……昔っから晴人くんの事になるとそうなるじゃない」

 

「うっ……」

 

母親の指摘に顔を更に真っ赤になる美風。

 

「話してごらん……力になるから」

 

「うん。あのね……」

 

セイリュードのことを伏せながら説明する美風に風香は黙って聞く。

 

「そっか……悩んでるのね」

 

「うん」

 

「小さい時に晴人くんにクッキー作ってあげた事は覚えてる?」

 

「朧気だけど覚えてるかな。どんな時に作ったんだっけ?」

 

「お姉さんの時雨さんが風邪ひいた時、不安になった晴人くんに作ったの」

 

「そうだったんだ」

 

「その時の晴人くんが元気になった……なにか参考になった?」

 

「うん!ありがとう。お母さん」

(私にはできることがあるんだ……頑張らなきゃ)

 

「ちなみに作った理由は【ハルくんの元気な顔が見たいの】なの。それに塩入りバター使ったのも懐かしい思い出かしら」

 

娘の失敗を思い出し、風香はふふと笑う。

 

「お、お母さん!」

 

思わぬ不意打ちを受けて美風は蒸気が出る程に赤くなる。

 

 

 

「ただいま。どうしたんだ?」

 

スーツを着た茶髪でオールバックの美風の父親である、浩司が疑問に思う。

 

「母と娘だけのひ・み・つ」

 

口に指を当てる仕草をする風香に浩司は頭に疑問符が浮かんでいた。

 

「あなた、先にご飯食べる?」

 

「そうだな。頼むよ」

 

「温めるから待ってて」

 

「わかった」

 

そんな微笑ましい両親のやり取りを見た美風は邪魔してはいけないと思い2階へと上がった。

 

―――*―――

 

「……ッ!」

 

仮想空間ではアント・メモリアンをドラグスラッシャーで倒し、

続くリザード・メモリアンもドラグスラッシャーで倒す。

バット・メモリアンには超音波の不意打ちをくらうも、ブルードフィニッシュを叩き込んだ。

 

(流石だな……だがこれからが厳しくなるぞ。晴人くん!)

 

そう言うとモンドは次のメモリアンである、ラット・メモリアンを出す。

 

(自分の限界までやるんだ……強くなる為にそれしか無いんだ!)

 

セイリュードは気を入れ直し、ラット・メモリアンに向かっていった。

 

「ケケケケ!」

 

ラット・メモリアンもまたセイリュードに爪で引っ掻こうとする。

 

「そんな攻撃ッ!」

 

空高く飛び上がり、ラット・メモリアンの攻撃は弧を描く。

 

「ハァァァッ!!」

 

着地をする前にセイリューバーで斬り、ラット・メモリアンは消滅した。

 

「ハァハァハァ……」

 

肩で息をするも、セイリュードは首を横に振り、構える。

 

「晴人くん!無茶は禁物だよ。次で最後だからコレが相手だ!!」

 

現れたのはシューザックであった。

 

「……」

 

無言でこちらを見るシューザック。

セイリュードを狙い矢を引くと同時に左サイドに回り込む。

 

(落ち着け。寺野晴人、2つ避けられないなら……これなら!!)

 

矢を右腕で受け止めるのを見たシューザックは平然としており、セイリュードを狙う事に変わりはなかった。

 

だが、セイリュードはシューザーアロウの刃をセイリューバーで払い除ける左足からのハイキックをシューザックにくらわせる。

 

「ッ!!」

 

無言であるが怒りを見せる気を見せるシューザック、メモリを3に変えて拡散させた矢を放つ。

 

(次は……どこだ?)

 

辺りを見回すもシューザックの姿は何処にもなかった。

 

(……!)

 

警戒をして上を見るとシューザーアロウを振り下ろすシューザックがセイリュードを狙っていた。

 

「それも……わかっていた!!」

 

矢を切り払い、袈裟斬りをシューザックにあびせると、セイリュードはセイリューバーを強く握りしめて上段の構えでシューザックを狙うが……。

 

「あの時の力か!」

 

シューザックの鎧装が炎熱が立ち込める。

 

「……ッ!」

 

その炎で勢いをつけるとセイリュードに炎を纏ったシューザーアロウの刃で斬り掛かる。

 

「そっちがそうなら……!?」

 

刃を受け止めようとするがその一撃はセイリュードに空振る。

 

「!!」

 

2激目は先程より激しい炎が刃に纏いセイリュードのアーマーを斬り裂いた。

 

「うわぁぁぁ!!」

 

その声と共に、晴人の視界が真っ暗になった。

 

―――*―――

 

「お疲れ様、晴人くん」

 

「駄目だったか……ちくしょう」

 

下唇を噛み悔しがる晴人にモンドは首を横に振った。

 

「自分を攻めたら駄目だ。この訓練だけでも成果は得られたよ」

 

「本当ですか!?」

 

「あぁ。セイリュードの強化アイテムの案が1つ浮かんだよ」

 

「僕も手伝います!明日は休みだから、モンさんの手伝いを……」

 

晴人の言葉を受け取るもモンドは手のひらを出し断る。

 

「いや、これくらいなら僕一人で十分だ。晴人くんは休むんだ」

 

「ですが……」

 

「君を負かしたメモリアンを倒すのに体力の回復は必要だろ?シャワーでも浴びてきたらどうだい」

 

「あ……わかりました」

 

納得した晴人は階段を降りていった。

 

「さて……頑張らないとな」

 

気を引き締めてモンドは作業に取り掛かることにした。

 

―――*―――

 

深夜、バイソン・メモリアンである、カウボーイ風の男は廃墟で身体を休ませていた。

 

「あの青龍は強き者になりつつある、次は必ず」

 

痛む部分に手をやる男、その後ろから靴音が聞こえ振り向く。

 

「おやおや。貴方にしては珍しくやられてますねぇ」

 

「饕餮さま……」

 

月明かりに照らされて饕餮が何時もと変わらぬ笑顔のような表情で男に歩み寄る。

 

「その傷は青龍にですね」

 

「えぇ」

 

この男、恐怖を感じることはあまり無いが、饕餮もとい幹部に対しては恐怖は抱いていた。

 

それが今目の前にある事に恐怖が増していることに気付く。

 

(まさか……【処分】されるのか!?)

 

近づく度に心臓が締め上げていく、饕餮は歩むのを止めると口を開く。

 

「怪我は大丈夫ですか?」

 

「え?あ、はい明日には癒えます。その後にでも奴を」

 

「そうですか。了解致しました……では」

 

きびつを返し廃墟を後にする饕餮。

 

(助かった……)

 

「あ、忘れてました」

 

「何でしょうか?」

 

「次はしくじらないでくださいね……本来なら【処分】です。温情なのは青龍と朱雀のシステムを追い込んだからですよ」

 

目を開き威圧して警告すると今度こそ饕餮は廃墟を後にした。

 

 

「お見通しという訳か……」

 

身体に震えがするのを抑えて男がそう呟く。

 

「尚更だな」

 

カウボーイハットを深く被り、男は眠りについた。

 

―――*―――

 

モンドの部屋

 

「まだだ!彼が悲しまない様な力はこんなんじゃない筈だ!」

 

パソコンを操作するモンドはセイリュードの新たな武器の調整に苦戦していた。

 

(晴人くんはセイリュードに選ばれた、僕はそれで安堵していたかもしれない……だから、何としてもコレを完成させる!)

 

眠気覚ましのコーヒーを一気に飲み干すと再び作業に取り掛かる。

 

その作業は深夜まで続いたのであった。

 

 

 

 

翌日……晴人が食卓につくと、そこにモンドはいなかった。

 

「モンドさん……何があったんだ?昨日までは元気だったのに」

 

「身体でも壊したのかしら?」

 

源二と葵が不安を抱えていると、階段を下る音が聞こえる。

 

「おはようございます……すいません。昨日は寝付けなくて」

 

「そうか……良かった」

 

「今、用意しますね」

 

「モンドさん……」

 

(大丈夫……ちょっとした方法でね。それとコレを)

 

2人に見つからないようにセイリュウブレスを晴人に渡したモンドは椅子に座った。

 

(ありがとうございます。モンドさん)

 

 

―――*―――

 

 

 

「傷がまだ痛みやがる……暫く動けないな」

 

ベッドから起き上がろうとする翔真であったが痛みが響き起きれないでいた。

 

「アイツが……もう1人の野郎に任せるしかないのか……メモリアンを庇う奴に!」

 

あの時を思い出し、拳を握りしめる翔真。

 

「まぁいい。今はこの怪我を治すのが先だな

 

閉じたその瞼に映るものは彼のみぞ知るのである……。

 

 

 

午後になり、晴人の家に手提げ袋を持つ美風が立ち寄ると葵と出くわした。

 

「あら!美風ちゃん」

 

「おば様こんにちは……あの、晴人くんはいますか?」

 

「晴人なら出かけたわよ」

 

「あの何処へ行くって言ってましたか?」

 

「街へ行くって言ってたわよ」

 

「そうですか。ありがとうございます!」

 

頭を下げてお礼を言った美風は駅の方へ向かった。

 

「あの手提げ袋、もしかして……晴人は幸せ者ね」

 

息子の事かと思い微笑んだ、葵は家へと入っていった。

 

―――*―――

 

 

「モンドさんの言ってる通りだと裏通りか……」

 

『晴人くん……監視カメラで調べたらメモリアンの反応があった、恐らく君を負かしたヤツだ。場所は……』

 

「ここまでしたくれたんだ……勝ってみせますよ、モンドさん」

 

その瞬間、晴人の後ろから殺意がのしかかっている事に気付く。

 

「俺が誰かわかるだろ。ついてこい。」

 

その声はカウボーイハットの男だとわかった晴人。

 

「安心しろ……俺の言うことを聞けば他に危害は加えない」

 

「本当か?」

 

「あぁ」

 

男は人通りの少ない路地裏へ進むと分かり、晴人もそれに従いついて行く事にする。

 

 

 

 

 

2人は廃墟の屋上に来ていた。

 

「強き者に相応しい戦いをしてくれよ!」

 

「龍装!!」

 

男はバイソン・メモリアン、晴人はセイリュードになると互いに武器を持って走り出した。

 

 

「これで!」

 

バイソン・メモリアンは槌で潰すように振るがセイリュードは少しの動作で避けるとセイリューバーの袈裟斬りを決める。

 

「グッ!」

 

隙を入れずにセイリュードはセイリューバーで斬りつけようとするが槌で防ぐ。

 

「少しは……やるが!!」

 

バイソン・メモリアンは槌でセイリューバーを弾くと槌を短く持ち、セイリュードの腹部に一撃を入れる。

 

「グッ……!」

 

痛みでぐらつくも体制を整えようとする。

 

「無駄だ!!」

 

自慢の角でバイソン・メモリアンは突進を仕掛けるも、セイリュードは回避するが……。

 

「これで終わりではない!」

 

足で方向変換を行い、再び突進を仕掛けセイリュードの心臓を狙う。

 

「次は……くらうものか!!」

 

セイリュードはバイソン・メモリアンの自身の命を狙う角を手で抑え、下半身に力を入れる。

 

「力比べか?少しは出来ると思っていたが……俺に勝てると……!?」

 

「勝つつもりは無い!隙を作る……それだけだ!」

 

バイソン・メモリアンの角から手を離し後ろに下がるのを見たセイリュードは、セイリューバーを銃モードにして引き金を弾いた。

 

「グッ!」

 

不意を突かれるも、槌でレーザーを弾き前進して行くバイソン・メモリアンはセイリュードの目の前にたどり着く。

 

「くたばるがいい!」

 

槌を振るうも避けたセイリュードは、飛び膝蹴りをバイソン・メモリアンの顔面に入れる。

 

「ウッ……」

 

不意打ち同然の膝蹴りでぐらつくバイソン・メモリアンにセイリュードで斬り掛かる。

 

「馬鹿の一つ覚えだな!」

 

腕で防ぐ、バイソン・メモリアンは自慢の怪力で引き寄せると右腕でセイリュードの頭を潰さんとしていた。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

締め付けられる痛みにセイリュードは声を上げる。

 

 

「堅いな……だが砕きがいがあると言う事だ!!」

 

更に力を入れるバイソン・メモリアンに対して、セイリュードは次第に声が小さくなっていく。

 

(もうダメだ……せっかくモンドさん協力をしてくれたのに……僕はもう……)

 

(諦めるな!)

 

見知らぬ声にセイリュード……晴人はハッとなる

 

(誰?)

 

若い女性で透き通るような声で晴人に激を送るのに気づく。

 

(思い出せ……お前は誰の為に戦い、何を守るのかを)

 

威厳を感じる声の問い掛けに晴人は考える

 

(誰の為に……何を守る?)

 

(お前がその力を得た理由だ)

 

(ミカちゃんを……あの子に笑顔でいて欲しいから!そして!この地球(ほし)の未来の為だ!)

 

(そうだ!思い出したのなら大丈夫だな……頑張れ晴人)

 

そう言い残し声が聞こえなくなった。

 

「そろそろトドメ……ッ!?」

 

目の前の命が砕けようとするのに、そのセイリュードは自身の腕に掴んでいるのにバイソン・メモリアンは驚愕した。

 

「さぁ……反撃開始だ!!」

 

バイソン・メモリアンに顔面に蹴りを入れるとセイリュードは宙を飛び着地するが膝を着いてしまう。

 

(これ以上は戦えない……モンドさん、貴方が渡してくれた力を今使います!)

 

腰のバックルに手をかざすと光の粒子がセイリューバーよりも小さい短剣になった。

 

「セイリュウダガー!!」

 

不思議だった。

初めて見る武器なのに使い方を覚えている事に……。

 

「油断大敵!」

 

バイソン・メモリアンが振り下ろす槌の攻撃にセイリュードはそれを防ぐ策を既に出していた。

 

「これは……こうすれば!」

 

セイリューバーを剣モードに変えると、柄にセイリュウダガーを装着する。

 

「青龍双剣!ツインセイリューバー!!」

 

大小の剣が1つになったツインセイリューバーで槌の一撃を防ぐと弾き返し、横一閃を入れ、蹴りを腹に入れられたバイソン・メモリアン吹き飛ばされた。

 

「ここに来て新たな力だとぉ!?」

 

恐れるバイソン・メモリアンであったが、饕餮の威圧を思い出し自身を奮い立たせる。

 

(こんなもの……奴を潰せば無意味だ!!)

 

槌を捨ててセイリュード目掛けて渾身の一撃と言える突進を仕掛けた。

 

「ハァァァァァァァ……」

 

ツインセイリューバーを腰のバックルにかざすと両刃が青白く光り出す。

 

ツインドラグスラッシャー!!

 

2つの剣に青き龍を纏ったその一撃は突進で向かってきたバイソン・メモリアンにすれ違いざまに斬り裂いた。

 

「コレが強き者……あの方の制裁よりかはマシか……」

 

その言葉を残してバイソン・メモリアンは炎をあげて爆発した……。

 

「終わった……勝ったんだ……僕は、ありがとうございます……モンドさん」

 

変身を解除した晴人は大の字に倒れ込み空を見上げる。

その空はいつもと変わらない風景の1つであった。

 

―――*―――

 

身体を回復させた晴人は家路につこうと駅に入ろうとした時、手提げ袋持つ美風を見かけた。

 

「ミカちゃん?」

 

「は、ハルくん……ここにいたんだ」

 

「うん……どうしてここに?」

 

「これ!ハルくんに食べてもらいたくて……クッキー食べて欲しくて……手作りなの」

 

「本当かい!?ありがとう!」

 

手提げ袋を渡された晴人から感謝の言葉を送られ、美風は下を向いて赤くなった。

 

(その笑顔は反則だよ。ハルくん)

 

「早速食べようかな?小腹がすいてて……」

 

「あ、うん!近くの公園に行こっか!」

 

幼なじみの言葉に我を取り戻した美風は我先にと公園へ向かう為に早歩きになっていた。

 

「ま、待ってよ!ミカちゃん!そっちは逆方向だよ!?」

 

―――*―――

 

昼下がりの公園、2人は人の多い所より少し離れた場所のベンチに座っていた。

 

「さてと……開けるね」

 

「うん」

 

晴人は手提げ袋から取り出し、箱を開けるとハート、ダイヤ、花、丸の形をしたプレーンのクッキーが入っていた。

 

「いただきます」

 

ハートの形をしたクッキーを食べる晴人は口にした途端、動きを止めた。

 

「もしかして……生焼け!?ハルくん無理して食べないで良いよ!」

 

「いや、甘いのにしょっぱいんだ……」

 

「え?」

 

晴人にそう言われ花形のクッキーを口にした美風は彼と同じ動作をとる。

 

「あ、無塩バターじゃなくて普通のバター使ったんだ……」

 

「そうか、そのしょっぱさか」

 

「ごめんね!ダメだなぁ……私」

 

「いや……美味しいよ。思い出すなぁ……あの時のクッキーも同じ味だったのを」

 

「え……覚えていたの?」

 

「勿論。おばさんから僕の事を思って作ってくれた事も……ね?」

 

美風からしたら恥ずかしい過去であったが、それと同時に晴人がちゃんと覚えていた事の嬉しさから顔から火が出る程、真っ赤になっていた。

 

「えっと、その……今度は美味しく作るから!三度目の正直だからね!」

 

「うん!頑張れ!ミカちゃん」

 

意気込む美風に晴人はエールを送ると同時にセイリュウブレスをふっと見る。

 

(それにしてもあの声は何だったんだろ?)

 

自分に激を送った女性の声は何だったのかそれを疑問に思いながら晴人と美風の昼下がりは過ぎていくのであった。

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