怪異症候群 怪異が創り出した怪物   作:まっちゃんのポテトMサイズ

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第10話 仁義

由香が遺澄から離れ、アスファルトの道路を暫く走っていると、美琴がいるコンビニに到着した。

由香は息を切らしながら、コンビニの中に入る。

美琴は自動ドアの開く音に気付き、それが鳴った方に視線を飛ばすと、疲労困憊の状態の由香がそこにいる事に気が付いた。

すると、弾かれたように由香を強く抱きしめた。

 

「…心配したんだから」

 

そう言いながら抱きしめる力を強めた。

由香は力無く笑って「ごめん」と言って美琴の肩を掴んで離した。

 

「それよりも、怪月さんが…」

「えっ?」

 

美琴はそう言われて初めてそれに気づいたのか、辺りを一度見まわした。

 

「怪月さんがどうかしたの?」

「良く分からないけど、何だか辛そうにしてた。顔色もとても悪かったし、何かあったんだと思う」

 

羽織ったコートの裾を悔しそうに握り締め、由香は言った。

 

「ねぇ美琴。私、怪月さんに助けられてばっかで何も出来ないのかな」

 

顔を俯かせて、歯を食いしばってコートの裾を更に強く握り締めた。

 

「そんなことない。私達でも何かできる事はきっとあるよ」

「そう、だよね」

 

由香は震える声でそう言った。

美琴は由香の手を包むように握り、「大丈夫」と言って微笑んだ。

それに釣られるように由香も微笑み、美琴はそれを見てゆっくりと手を離した。

 

「それじゃ、行こう」

 

美琴はそう言ってコンビニを後にして道路に出る。

由香は早足でその後を追い、遺人の方に向かって駆け足で先導する。

はやる気持ちを抑えられずに、地を蹴る度に足裏に走る痛みを無視して道路を走り続けていると、大きな血溜まりの上に横たわる至極色の塊が視界に入った。

由香はそれが遺人だと理解していたが、本能的に近づいてはいけないと察知して踏みとどまる。

美琴も同じように察知したため、ゆっくりと速度を落として由香の隣で立ち止まる。

 

「…アレが本当に怪月さんなの?」

 

由香は信じられないとでも言うように両手で口を隠した。

至極色の塊は規則的に身体をもぞもぞと微動させながら、耳を澄ませなければ分からない程小さく遺澄の声を発している。

しかし、美琴はそれに気づき、耳を澄ました。

 

「ねぇ、由香。何か聞こえない?」

「え?」

 

美琴に釣られるように由香も耳を澄ます。

しかし、由香にはそれは聞こえなかった。

その代わりと言うように由香の背後に白くくねくねと動く白い靄の様なモノが出現した。

由香はそれに気づき、振り向こうとしたが、それよりも先に至極色の塊から二本の触手が伸びて白い靄の様なモノの腹部を貫いた。

そして、由香にも聞こえる声でこう言った。

 

「僕は守らないといけないんだ。あの人の為に守らないと…!!」

 

至極色の塊は人型になり、立ち上がって由香と美琴を見つめた。

由香はそれが自分たちに向けて発している敵意に気付き、美琴の手を取る。

 

「美琴、逃げよう。私達が今の怪月さんに対してできる事は何も無いし、逆に攻撃されるかもしれない」

「…でも」

「何かしたいなら、今は氷室さんを呼ぶのが先だよ。私達じゃ何もできない」

 

美琴は顔を陰らせて、コクリと頷いた。

それを見て由香は美琴の腕を引っ張り、一目散に駆け出した。

美琴はその最中、振り返り、至極色の塊を見つめた。

至極色の塊は触手に貫かれた白くくねくねとした靄の様なモノを見つめていた。

直後、その触手は爆発し、白くくねくねとした靄の様なモノは上半身だけになり、田んぼに頭から突っ込んだ。

至極色の塊は白い靄の様なモノの首根っこを掴み、田んぼから引っ張り出した。

 

「僕には、人を守る責務がある。それを果たす為にお前は邪魔なんだ。…悪いけど、死んでくれ」

 

首根っこを掴む力を段々と強め、軈て、その首を握り潰してしまった。

白い靄の様なモノのくねくねする動きは首を潰されると同時に止まり、腕は垂れ下がり、そして、身体からは赤色のオーラの様なモノがあふれだしていた。

それは直ぐに至極色の塊に集まっていき、染み込むように吸収されていった。

すると、至極色だった塊は赤紫色に変色し、人型から巨大な白狼の姿に変化した。

白狼の姿になるなり、それは苦悶の表情を浮かべながら喉から捻り出すように大きな咆哮を上げた。

その咆哮は逃げている由香と美琴の耳にも届き、更には等にも届いていた。

等はその聞き慣れない咆哮とその声量の大きさに異変を感じ、窓に近づき、下方に視線を飛ばす。

しかし、そこには何も居らず、等はさらに遠くからその咆哮が聞こえて来たのだと理解し、すぐさまパトカーに乗り、それが聞こえて来た方向にパトカーで向かう。

林が横に広がっている整備されたアスファルトの道路を走っていると、段々と木々が無くなり、田んぼが見えてきた。

 

「…何だアレは」

 

等は視線を前に飛ばして、先にいる巨大な白狼を見つめてそう言った。

白狼はパトカーの鳴らすエンジン音に気が付くと、等の方を向き、地を蹴って飛び上がり、パトカーに向かって落下しながら爪で切りかかった。

パトカーは大きな爆発音を立てて爆発して、炎を出した。

等は間一髪のところでパトカーから飛び出し、ホルスターから銃を取り出し、両手で構える。

燃え盛る炎の中、白狼は咆哮を上げ、等を睨みつけた。

 

日常編は必要か否か

  • 必要
  • 要らんわぁ!!
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