怪異症候群 怪異が創り出した怪物   作:まっちゃんのポテトMサイズ

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第七話 くねくねの予兆

 

僕は姫野さんと話をする為、共に警察署の外に出る。

彼女はきっと、この問題から関わりを絶つことだろう。

所詮、人間なんてものは自分が第一なんだ。

姫野さんも、そのうちの一人。ならば、早急に関係を絶ち、普通の人間として生きるべきだ。

 

「…それで、お話と言うのは?」

「先程の事についての事です。…怪月さんはこれ以上この事件に関わらない方が良いと言いましたよね」

「ええ」

「…私もそう思います。ですから…。またいつか会いましょう」

 

姫野さんは僕に背を向け、警察署の中に戻って行った。

僕は空を仰ぎ、溜息を吐く。

 

「全く、この世界でも僕って言う奴は救われないな」

 

若し、救われる日があるのだとしたら、それはこの荷物(責任)を下ろしても良い日だ。

けれども、そんな日は永久に訪れない。

何より、そんな事を望んだ事は無いし、頼みたいとは思わない。

 

「…こんな所に居たのか」

「…氷室さん。何の用でもあるんですか」

「ああ、君にしか頼めない重大な用事だ」

 

僕は視線を氷室さんに向けて黒いコートのポケットに手を入れる。

 

「その詳細は何ですか」

「…姫野くんと神代くんの家までの見送りだ。生憎と、俺は彼女達の証言の整理と事件の始末をしなくてはならなくてね」

「…分かりました」

 

僕は自室に戻り、外に出る準備を終える。

と言っても、目的地まで彼女達に僕の正体がバレない様に少し細工をするだけなのだが。

その後、彼女達が警察署の外に出た時を狙い、自室の窓から飛び出し、負の感情で両腕を覆う。

たちまち両腕は濃い紫色に染まり、手からは鉤爪が生えていた。

僕は壁に鉤爪を喰い込ませながら屋上まで上り、そこで身体全体を負の感情で覆う。

身体は両腕と同じような色に染まり、虎の姿を再現した。

それにより、視点が狭まり、視界が低くなった。

だが、護衛に於いては通常の人間の姿よりかはそれに向いている。

その間に彼女達は先に進んでおり、僕はその後を追うように建物の屋上を飛び移る。

それを何回か繰り返している内に、周囲の光景が田舎に近しくなり始めた。

このまま進めば最寄り駅に辿り着くのだが、何か様子が可笑しい。

特に迷ったという訳ではないのだが、幾ら歩こうともその駅に到着するような気がしない。

それに彼女達も気づいているのか、不安げな様子を顔に浮かべていた。

僕は虎の姿を解除し、遥か遠くの建物の屋上から飛び降り、彼女達の元に向かう。

 

「…どうも、大丈夫ですか」

 

僕は何も知らないようなふりをして、彼女達とコンタクトを取る。

姫野さんは僕を見ると、安堵したような表情を浮かべ、ホッと溜息を吐いた。

 

「あの、菊川駅にはどうやって行けばいいんでしょうか。道に迷ってしまったみたいで…」

「…菊川駅は恐らく、この道を引き返した先でしょう。しかし、恐らくそこに辿り着く事は無いと思われます」

 

僕は振り返り、この地域周辺に漂う怪異の気配を感じ取る。

だが、怪異は今のところ姿を現していない。その状態で空間を操る。となると、あのひとりかくれんぼの悪霊よりかは高度の存在となる訳か。

あの悪霊はあくまでも殺人を行うもの。それは人を認識しなければ動かない。

だが、今回の怪異は人を認識せずとも影響は空間そのものに及ぼす。

故に、高度のものとなる。

 

「…もしかして、また怪異ですか?」

 

金髪の少女が嫌そうな態度を顔に出しながら僕に問う。

何も言わずに頷く。彼女は直ぐに怯えた雰囲気を醸し出したが、姫野さんが彼女を宥めて落ち着かせる。

僕は何をすれば良いのか分からず、何となく名前を問う。

 

「あの…貴女のお名前を聞いても?」

「あ…はい。私の名前は神代由香です」

「僕の名前は怪月遺澄です。…取り敢えず、周囲に人間が居ないか探しましょう。…もしかしたら居るかもしれません」

 

僕は身体を虎に変え、地を蹴る。

 

日常編は必要か否か

  • 必要
  • 要らんわぁ!!
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