その日 町は炎に焼かれた
その日 全てを失った者がいた
その日 ひとつの町が消えた
貴族として生まれた者がいた
期待されていた者だ
信頼されていた
だからこそ
信頼の崩壊はとてつもない印象を残した
何故そうしたのか
どうしてもそれをするまでになったのか
確かめるため向かっって言った者がいる
その者はあまりに無力だった
それは誰も知らない
妹、父親、母親でさえも
両親は捕まった
反逆者の親だからだそうだ
妹はある人物に引き取られた
才能を潰すのはもったいないとか何とか
噂程度しか知らないこともあるが
その出来事はもう
4年も前のことだった
あの日見た炎を、あの日見た光景を、私は生涯、忘れはしないだろう
精霊、それはこの世界と似て非なる世界に存在し
我々に干渉してくることもある存在
そんな彼らと契約を交わし使役する存在
精霊使い
清らかな乙女にのみ許された精霊との契約
男がそれをすることは不可能だ
例外がひとつ
1000年も前、魔王と呼ばれ伝説になっている歴史上たった1人の 男の精霊使い
恐らくあれは本当に突然変異的なものだったのだろう
それと世の中には精霊使いだけの学校があるとか何とか
そんなことはいいのだ
「そこのお方」
声がする
当たりを見てみる、人は少ない
声をかけた当人に最も近い人物…
「私か?」
「あなたです。貴方はとても奇妙な結果が出ております」
「私を占ってるつもりか? 世の中には占いよりよほど不思議な事が頻発しているだろう」
「まぁ、そういいなさんな 貴方は今年、人生の転換期を迎えると出ていますぞ」
「適当言って金を巻き上げようと言うのなら私はさっさと行くが」
「いやとんでもない。占いは趣味のようなものでしてねぇ人の運勢を勝手に見て楽しんでる程度なのですじゃ」
「ならなぜ声をかけた?その口ぶりからして普段声なんてかけてないだろう」
その通りです の返答とともに言葉は続く
「貴方にはとても奇妙なものが見えた。あなた自身の生まれと自身の才能を動かす何かが」
何をくだらねぇことを抜かしてやがる
生まれ?才能だと?
そんなもの知るか
私はあの日妹を見捨てて逃げた卑怯者なのだ
それになぜ今更生まれが関わってくるのだ
「この先あなたの身に何が起こるか少し見て見ましょうか」
はなしをかってにすすめるんじゃないよ
「これは…部屋に手紙が届いた所でしょうかね?コウモリが手紙を持っておりますな」
家に住んでもないのに手紙なんか来るわけないだろう
私は旅人なのだ
しかし写っているのは腰掛けたベッドから立ち上がり手紙を受け取る自分自身
映像が切り替わる
「それにこれは…黒い…剣ですかな?剣を握っておりますぞ」
剣…確かに腰に下げているが黒くはない。
手入れだけは欠かさずやっているからサビなんてないのだ、では何だ…なにか別の…
遺跡の壁のようなものが後ろに見える
「それにこれは…青と赤が交互に写ったり混ざるように動いておるな。まるで炎のゆらめきのよう」
行けない、なにか胸騒ぎがする
これ以上踏み込めば自分にとってなにか決定的な何かが━━━━━━━━━━━━━━━
ピシッ
「!?」
割れた
透き通るほど純度の高い精霊鉱石でできた水晶玉が
ヒビが入るどころか真っ二つに割れた
確かに指で割れるものもあるがこの大きさが呆気なく真っ二つになることはまず無い
違和感
何だ?
見られている!?
咄嗟に振り返る
怪しいものは何も無い、後ろには誰もいない なら今のは…
先程話していた自称占い師の老婆の姿がない
占いをしていた道具も机もあるのに老婆の姿だけがない
馬鹿な!?ついさっきまで話していたんだぞ
去っていった音もなかった
「どうなってるんだ…」
気味が悪い、私の予感が告げている
このままではなにか良くないことが
私は旅人なのだ
この街に来た時にとった宿にさっさと戻ろう
あの日の奇妙な体験から数日たった
あの出来事が頭から離れない
あれから占いの結果にあったようなことは全くなかった
あれ以降場所を転々としていたが
それらしい出来事もそれらしい遺跡のようなものも無い
ある日宿を取り部屋で休んでいると部屋にコウモリがい入ってきていた
「こいつどっから入ってきたんだ?」
窓は閉まっている。開けてもないし部屋を見渡してもコウモリが入ってこれる隙間はない
こいつ精霊か使い魔の類か?
手紙を…持ってるな
ふとあの言葉を思い出す
『これは…手紙が届いた所でしょうかね?』
確かあの時の水晶にはベッドに座っていた…
ベッドに座っている!?まるっきり同じだ
偶然だろさすがに
手紙を受け取るとそのコウモリは消えてしまった
やはり精霊関係か
「帝国の第一級紋章印…マジなやつじゃないか」
正式な書状に使われるものである
ということは本気で私に何かを伝えたいのか
突然の手紙申し訳ない
この度貴殿の探し物の鍵を握るだろう存在が見つかった
それに伴いアレイシア精霊学院に招き入れることになった
出来うる限り早く到着されたし
アレイシア精霊学院 学院長 グレイワース・シェルマイス
結構ここからだと近いところにあるな…
偶然近場にいた訳か
同封されていた地図によればだが
なんであんな所に学院なんて…
あそこには近寄らない方がいいぜ旅の方
あそこには強大な精霊が…
これは…まさかあの時の!?
お前はなんのために力を求める?
次回 目覚め