バカと明久と怪異死譚   作:イビルジョーカー

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四ヶ月間も待たせてすみません(汗)

今回は明久とストーリーのバトル回です、どうぞ。





よしいゾンビ その五

『血糖』。

 

……間違えた。『決闘』ね、『決闘』。

 

この何ものかもが発展し尽くされた現代社会において、この僕。

 

『吉井明久』という、ひょんなことからゾンビ(ハーフ)になった不幸少年は

シエルを狙う、4人の怪異殺しのハンターを相手にしなくちゃいけないこと

になってしまった。

 

正直なところ、僕的には決闘に勝つ自信が無いに等しいと言えるんだ。

 

全然自慢にもならないのに何処か自慢げに言っちゃったけど、本当にそう思えて

しまうのが怖いというか、何というか……とにかく人生で一度でも戦闘経験なんてもの

を味わったことのない僕が、今日まで血の臭いが漂う死の戦場を駆け巡った猛者相手に

決闘なんて、『どうかしてる!』って叫んでみたくなる。 

 

……とは、思ってみても実際こんな住宅地のど真ん中でやるとなると、色々面倒なこと

が起きると思うから叫べないし、何ていうか……もうすべてを放り投げて逃げ出したく

なるような。そんなマイナス思考の感情が、心の奥底から湧いてる来る感覚の心境だ。

 

でも、そんなことをすれば僕は二度と人間には戻れなくなる。

 

だからこそ僕は向かった。

 

その決闘の舞台、正確に言えば『波代公園』に徒歩で。

 

 

 

 

「少し遅いですが、多少程度なので大目にみるとしましょうか」

 

ストーリー。僕と同じ『屍人種』……つまり僕がゾンビなのに対して、彼女は中国に

伝わる吸血鬼『キョンシー』。

 

その服装は赤、青、黒の三色が特徴的なチャイナドレスに生気をまるで感じさせない

死人のような青白い肌。髪型は緑色のストレートでその目は冷静さを感じさせるも

『獰猛な本性』をちらつかせていた。

 

ここに来る前に少し、ほんの少し程度だけど、カヲルさんから色々と彼女のこと(正確に

言えば他のハンターたちのことも)を聞いた。

 

何でも彼女は『死屍累々団』っていう、『メンバーが35人で、その全員が屍人種の怪異

たちの集団組織』の一員らしい。

 

それと『腕が立つ』。

 

カヲルさんから貰えた情報は、たったのこれだけしかなかった。

 

カヲルさんがあまり干渉を好まない、まさしく『中立の立場』を考えてみれば仕方のないこと

だと思う。だって両方のどれかに余計な情報を与えすぎれば、それはもう『中立』じゃない。

 

そんなことは僕にだって分かる。

 

だからこそ、カヲルさんは僕に敵の情報を少ししか教えず、その逆として僕の情報をあっちに

流したらしい。

 

まぁ、僕と同じで少し程度だけど。

 

ようするにこれで両者共に『少ない情報下での正々堂々とした決闘』に臨めるってわけだね。

 

「随分と早いんだね」

 

「……時間に少しうるさい性根でして。ちなみに言うと私は今、貴方とこの場所で

殺し合いをする為に参上したわけではありません……場合によってはそうなるかも

しれませんが」

 

「どういうこと? 君達はシエルを殺す為に組んで狙ってるんだろ。だったら」

 

「確かに。最終的にはアンダーブラックを始末しますが、私は貴方に用があって

決闘の一番槍という建前でここにいるのです」

 

ますます分からない。僕に用がある? シエルなら分かるけど僕は半分だけのゾンビ、

つまりゾンビハーフで怪異を狩ることを専門にしてるハンターにとって、僕は獲物……

すなわち、シエルがメインデッシュなら僕はそのメインデッシュのおまけ。

 

前菜にだってなりゃしないよ。

 

そんな僕に凄腕の怪異ハンターが僕という個人に用がある? 絶対にどう考えたってないでしょ。

 

「率直に言いましょう。私の、いえ、我々『死屍累々団』の同志になる気はないでしょうか?」

 

…………………………………………………………………………………………………………………

……………更に意味不明で難解な言葉が来たーーーーーーーーーーー!!!!!!!!

 

なんて、心の中ではそんな風に叫んでみたりして、とりあえずどういうことかと質問してみた。

 

「どうもこうも言葉通りの意味です。貴方は怪異の頂点に君臨する『怪異の王族』が

一つ、すなわち『悪魔』の中で最強にして最凶なる悪魔『シエルアンダーブラック・

アレイストル・ファントムハイヴ』の眷属たるゾンビ。貴方は自分のことを半分だけ

の中途半端ゾンビとしか思っていないのかもしれませんが……断言します。

 

貴方は完全な状態でのアンダーブラックを殺せる唯一の存在なのです」

 

ええっ!? 僕ってそんな凄い存在だったの?

 

それはそれで何となく嬉しいけど、正直これから人間になる僕に仲間になれなんて。

 

そんな要求は……当然受諾できない。

 

だから僕は、表面上ではクールを装った上で言ってやった。

 

「証拠も突拍子もない妄言をありがとう。僕はただ、人間に戻りたいだけなんだ。

だから君等みたいな連中の仲間になるつもりなんてないよ」

 

「…………そうですか。残念ですね」

 

その言葉を合図に僕は駆けた。眼前にいるストーリーを倒す為に。

 

すぐ近くまで来た僕は力一杯拳を振るう。

 

つまりパンチを放ったわけだけど、僕の拳は容易くストーリーの手に掴まれた。

 

「ぐっ!」

 

「なかなか良いパンチですね。しかし、それだけでは私を倒すことなどできません」

 

ストーリーは、ふっと手に力を込めて僕を後ろへ……まるで紙屑でも投げるかのように

ポイっと飛ばした。

 

さすがは吸血鬼。

 

中国でも西洋でも吸血鬼の腕力は世界共通らしい。

 

僕はすぐに態勢を立て直して、もう一度接近戦に持ち込む。

 

今度はパンチだけじゃなくてキックやチョップとか、とにかく思いつく限りの

攻撃方法を実施してみたけど、ストーリーは手馴れた感じで苦もなく対応する。

 

「はっきり言って、素人丸出しのいい加減な戦い方ですね。まぁ、つい最近まで

普通の一般人だったのを考慮すれば仕方のないことですが……」

 

「くそっ!」

 

一旦距離を取って冷静に考えよう。

 

いくら人外になったからって、僕は戦闘経験なんてものは皆無。

 

でも。向こうは僕と同じ人外で、しかも戦闘経験あり。

 

普通にやりあったって勝てないのは目に見えてる。ならどうするか?

 

『逃げる』? 

 

無理だ。それは契約違反になるし、第一僕は人間に戻れずに死ぬ。

 

『説得してみる』?

 

僕はカヲルさんとは違う。あの人みたいに話術の手練手管を心得てなんかいない。

 

だったら……『弱点を突いて戦う』か『突拍子もない予想外な戦法で攻める』かの

二択しかない。

 

まずは『弱点を突いて戦う』でやってみよう。

 

「これでも、喰らえっ!」

 

「!っ それは……」

 

僕はポケットに入れておいた『ある物』をストーリーめがけて投げつける。

 

それは『もち米(蒸す前)』の入ったビニールの小袋。

 

吸血鬼が食べ物の弱点で大蒜が苦手なら、キョンシーは『もち米』や『ゆで卵』。

 

『桃』も嫌うらしい。

 

僕は対策の一つとして、丁度自分の家にあった『もち米』を使ってみた。

 

そもそも何故僕の家に『もち米』があるのかと言えば、別に対キョンシー用の為に

事前に買っておいたわけじゃない。

 

今回に至って使用したのは、今年の正月に残った『もち米』であって、つい最近の

じゃないんだ。

 

ようは『使い回し』、つまるところ『リサイクル』だ。

 

賞味期限は……まだ切れてないけど、古いのでも効果があるのか心配だ。

 

でもその心配は無駄に終わってくれた。

 

「ぐっ……くぅぅっ!!」

 

効果は確かにあった。

 

ストーリーの体が、より正確に言うなら『顔を庇った両腕』と『胴体』、

そして両足の上『腿の部分』がもち米の当たった場所で、その部分がまるで

焦げるかのように煙を発している。プスプスと音を立てながら。

 

ダメージは与えられていた。後はどうやって敵に降参させるかだ。

 

僕としてはいくら人外だからって殺すようなマネはしたくない。

 

だから咄嗟に僕は、ストーリーの細い首を両手で絞めた。

 

もちろんちゃんと力加減をして、その気になればこのまま首の骨を折ること

なんて造作もないけど、あくまでこれは脅しに過ぎない。

 

「降参しろ。さもないと首を折る」

 

できるだけそれっぽく言ってみたけど、やっぱりこういうのって柄じゃない。

 

さて、この問いに相手がどう返して来るか……。

 

「ああ、そうですか。そうですよね。今まで我々のような『怪異』の存在など

認識できない世界にいたのですから、当然ですよね」

 

「……聞こえなかったのか? さっさと降参しろ」

 

「無理もありません。私も『成り立てだった頃はそうでしかたから』」

 

「いいから、さっさと降参しろっ!」

 

何が言いたいのか、さっぱり分からなかった。

 

ストーリーのはっきりとしない、それでいて何処か見下すかのような物言いに

苛立った僕は声をつい荒げて、怒鳴るように言ってしまったけど、この時点で

あることに気付いてしまった。

 

これはシエルから聞いた話だけど、吸血鬼やゾンビとかって『元は死体だったものが

怪異化した』種類の怪異らしい。『屍人種』と呼ばれていて、特徴としては『既に死

んでいる』という点にある。

 

だから『呼吸なんて本来なら必要はない』。

 

『一つの生物として生きようとする肉体的機能なんて既にない』。

 

つまりそれが何を意味するのかと言えば、ようはこういうことだ。

 

『人間の死体の首を絞めたところで何になる?』

 

そもそも僕は、最初から気付くべきだった。

 

相手は人外であり、自分と同じ『屍人種』の怪異こと『動く死体(リビングデッド)』。

 

半分生きて、半分死んでる、そんな中途半端な僕なんかとは違ってストーリーは完全に

死んでる。

 

死んでるということは、呼吸機能なんてない。

 

『生きるのに必要な行為』は無意味なんだ。

 

なんで、それに気付かなかったのかな。

 

いや、原因は分かってる……僕は、あまりに『常識』と言うやつに囚われてたんだ。

 

ストーリーが普通に立って動いて……それで会話しているから普通に『生きてる』

って。そんな風に認識しちゃってたけど、それは間違いだ。

 

ストーリーは『死んでる』。

 

そして怪異であるからこそ動いて、喋って、何気なく会話できる。

 

そんな簡単なことに気付かなかった僕は、いつの間にかストーリーに殴り飛ばされていた。

物凄い力で。隕石でも衝突したんじゃないか、とさえ思われる腕力を乗せたパンチで。

 

「弱点をついた、というのは褒めて上げてもいいのですが、『常識に囚われていた』と

いうのは致命的です。怪異は『常識の範疇外』にいるからこそ怪異であり、つまるところ

『この世の法則には属さない存在』なのです。そんな相手に常識の範疇内で挑むとは愚か

極まる行為」

 

と、まぁ当然と言えば当然の正論を僕に向けて叩きつけるかのようにストーリーは言う。

 

とりあえずはその言葉を返すことなく無視して、ストーリーのいる位置から5mくらい

吹き飛ばされた僕は、地面に仰向けで倒れ伏していた自分の身体を起こして、ダメージ

がどれくらいか見てみる。

 

ダメージはデカかった。腹にポカンと口を開けたかのような風穴があった。

 

そこからは骨らしき白い部分や自分の肉が見えて想像以上に気持ち悪かった。そもそも

こう言うのに慣れていない僕は、できればその場で吐きたかったけど眼前に敵がいる上

、また追撃が来てもおかしくないこの状況下でそんなことするわけにもいかず、一応は

立ち上がってみる。

 

痛みは……なかった。

 

どうにもおかしい。シエルに胸を刺された時も全然痛みを感じなかったし、逆に

あの蜥蜴男ことリザードショットの銃弾を喰らった際には、ちゃんと痛みを感じてた。

 

でも今は腹部に風穴を開けられた筈なのに全然痛みを感じない。

 

どうなってるんだ?

 

でもこの状況下で暢気にそんなこと考えたって仕方ない。今はこの状況をどういう風に

有利に持っていくかだ。

 

一先ず雑木林が生い茂る公園の区域に非難する。そこで僕はうまく隠れながら

息を止め、一時的な呼吸停止状態に入った。

 

もちろんこれには意味がある。キョンシーは基本的に目が見えないんだ。

 

でもその代わり『嗅覚』があって、その嗅覚で人間の吐く息を察知して

攻撃して来るらしい。

 

ちなみに情報源は僕のアイフォンから。

 

知りたいことを即座に調べられる時代に生まれて良かったよ。

 

「チッ、息を止めましたか。しかし半分生きている貴方に呼吸停止がいつまで

続くか……見物と言えば見物ですね」

 

そうなんだよな。

 

ぶっちゃけ半分生きている僕としては、普通の人間より何時間単位で息を止めて

られるぽいっけど、でもそれだけ。

 

時間を過ぎれば、耐え切れなくなってしまう。

 

つまり僕は自分が呼吸を止めてられる限界時間までに逆転の策を考えなきゃいけ

ないんだ。

 

改めて僕はストーリーの様子を伺う。どうやら僕が根を上げるのを持つ気らしく

その場に佇み神経を集中させるかのように、あるいはじっと機を待つ猛獣の如き

と言った感じで直立不動で佇む。

 

……やっば。このままじゃ完全に詰まれるっ!

 

息を止められ続ける時間は……たぶん一時間くらいだと思う。

 

もし、一時間経って我慢できなかったとしたら。

 

もし、止めていた息を一気に吐いてしまったとしたら。

 

終わりだ。あの高性能な嗅覚に探知されて終わりだっ!!

 

どうする? こういう時こそ無い頭でも搾れるだけ搾って名案を是が非でも

捻り出すしかない。

 

そこでふと、あることを思い出した。

 

それは多分この状況を逆転的に打開してくれるものかもしれなかった。

 

しかもそれを実現してくれるだけの『材料』が尻ポケットの中にある。

 

なら、一か八か賭けてみるしかない!

 

僕はポケットからその『材料』を取り出して『あるもの』を作った。

 

即席だからうまく出来たかどうか分からない、けど、今はやってみる以外に

道は無い! 僕はそれを手に一気に駆けた。もちろん今まで止めていた息を

全部吐き出して、ストーリーめがけ一直線に駆け出した。

 

「気でも狂いましたか? なら望み通りにしてあげましょう!」

 

手刀。より分かり易く言えばチョップ。

 

それが普通のチョップなら気にしないんだけど相手は普通どころか人間ですら

ない妖怪変化の類。僕の腹に風穴を穿つほどの力を秘めた相手のチョップなん

て、いちいち喰らってたら洒落にならないよ。

 

スピードもパワーも規格外だと思うストーリーのチョップを僕は何とか紙一重

で回避できた。本当に運が良かったと思う。

 

そして次の一手が来る前に僕は、それをストーリーの額に『貼った』。

 

「がっ、な、ぁ、ぁぁっ!……」

 

『貼った物』の効果でストーリーの動きが止まった。

 

いやピクピクって感じで痙攣っぽい動きはあるけど、それ以外はできないって

感じだ。どうやら僕の一か八かの賭けは何とか成功したみたいだね。

 

でも、これで終わりじゃない。

 

吸血鬼が川などの『流水』を苦手とするなら、キョンシーは『溜まった水』を

嫌うらしい。

 

そしてこの公園には丁度溜まった水…つまり『池』がある!

 

そこにぶち込めばっ!

 

両腕に力を入れ、担ぎ上げるようにして池までストーリーを持って行こうと

した瞬間、

 

「降参します」

 

この一言で僕の動きはビデオの一時停止みたいに止まった。否、止めるしかなかった。

 

「えっ…こ、降参するの?」

 

「何度でも言いましょう、降参です。さすがに池の中にぶち込まれてはキョンシーの

中でも上位に入る私でさえ消滅しかねません。それほどまでの弱点ですから」

 

てゆーか、何気に僕の行動を読んでるんだねこの人……。

 

とにかくこれで勝負はついた。

 

一応。契約書の強制力ってやつがあるから大丈夫だろうけど、やっぱりストーリーの

身動きを封じてる『それ』を剥がすのを躊躇った。しかし剥がさないと何も進展しな

いから恐る恐るといった感じでゆっくり剥がす。

 

身動きが取れるようになったストーリーは『それ』へと視線を移し思わず溜息を

吐いてしまった。

 

「まさかこの私が…そんな即席且つ、適当に書いたような『札』で負けるとは」

 

「やった僕が言うのもアレだけど、まさか巧く行くとは思わなかったよ」

 

僕があの時、ストーリーに貼ったものは『札』。

 

正確に言うと、付箋で昔キョンシーの映画で見たキョンシーをコントロール下に置く

為の札の文字のデザインを見様見真似で書いた、中途半端なやつなんだけど。

 

でもその文字自体は本物だったらしく、前述通りストーリーの動きを封じることが

できた。うん、本当に運が良かった。

 

「約束の品です。どうぞ」

 

そう言って、ストーリーは口に手を突っ込んで無理矢理吐かせるような形で透明な

プラスチックの四角い箱を取り出した………いや、この辺のツッコミを入れるのは

無しにしよう。

 

とにかく僕は手の平サイズのそれを受け取ると持っていたハンカチで胃液?っぽい

ドロドロを拭いて中身を見てみたんだけど、小さな桃色のような赤色のような肉片

が入ってる。

 

大きさ的にはたぶん、3cm位はあると思う。

 

「本物のシエルアンダーブラック・アレイストル・ファントムハイヴの心の臓の一端

です。あの天使の男にも確認を取ってみて下さい」

 

ではっ、と。そのまま何事もなかったのようにその場から去ろうとするストーリーは

一旦歩みを止めてもう一度だけ振り返った。

 

「ハーフゾンビ、吉井明久。先ほどの質問ですが本当に我々『死屍累々団』の仲間に

加わる気はないのですか? 貴方ほどの強力性を有した屍人種の怪異ならば是非…」

 

「悪いけど、絶対に無理だ」

 

僕は断言してみせた。詰まりを見せず直通的に。

 

「そんなものに魅力も興味も感じない。絶対に人間に戻る……それだけだ」

 

「……残念ですね」

 

そう言い残して、ストーリーはまた歩き始めたかと思うとそのまま闇の中へ消えた。

 

とにかく、これであと3人。

 

まだ安心はできないけど勝てたってことは大した成果だ。

 

だけどこの時、僕は『今までの戦いを見ていた人』の存在に気付かなかった。

 

そして僕がそれに気付いた時は、あまりに遅かった。

 

「吉井君」

 

僕とストーリーの戦いを終始見ていたその人……『姫路瑞希』が声をかけて

来た瞬間だったからだ。

 

 




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