【旧版】普通の人間ですけど…ゑ、天才魔法使い?【新版はあらすじから】   作:不審者γ

27 / 34
どうも不審者です。

よくよく考えると昨日、イラストを上げる、と言いましたが、そういやこれ匿名投稿でしたね。
まあ、イラストから私の垢がバレることはない気もしますが…以前にカラー(花)の写真貼りましたし。
それと、UAさん5000人、ありがとうございます!

では、本編どうぞ!


決戦前

あれから一週間たち、今夜は黒い満月の日。

 

この一週間の間に、例の魔法の練習も含めた修行をしていた。

そういえば、マリオネットさんから聞いたけど魔導書に名前をつけるだけでも使う魔法の質が上がるんだって。初耳。

それで、私の魔導書の名前は、「リデル」にした。何でって?なんででしょうか。れっつしんきんぐ。

 

まあ冗談はさておき。それも含めてこの一週間、今日で終わらせられるようにできる限りの事はしてきた。で、いま騎士団の皆さんと会議をしている。

「…それで、アリスちゃん、どうやってマーダーを無力化させる気なんだ?」

 

「…最初の方で前衛で戦い、ある程度消耗させたところで今私が使える魔法の中で最強の技を使います。仕組みとしては、マーダーはエルちゃんの体を乗っ取って現れるはずですので、まずマーダーを疲労させて癒着を弱くした上で、彼女の中に結界を作り、その中にマーダーを封じ込めます。ですが、封印結界ほど遮断するものではないので、いわゆる拘束するための鎖と言ったところでしょうか。それならエルちゃんの魔力を残しつつマーダーを鎮圧できます。」

…なんとかこの一週間で6割ぐらいの威力なら影響なしに使えるようになってきた。これなら全力で使っても死にはしないはず。

 

「ですが、それをするにあたって一つ問題があります。式の構築がかなり複雑なため、その間ほとんど無防備になってしまいます。その上、ほぼ一回しか使えないため外すことも考えられます。ですから、少なくとも私が魔法を放つ前後1、20秒の間、マーダーの動きを止める必要があります。」

 

「……それは問題ないわ…私が全力で相手をしておく。……ただ…ジャンヌが今いないからヒーラーがいない状況……できるだけ素早く終わらせてくれると助かるわ……」

そう、ジャンヌさんは、ギリギリ目は覚めているものの怪我の具合がお世辞にもいいとは言えず…なんて所ではなくて、重症もいいところ、そのため現在強制療養中、今回の作戦には入っていない。

 

「そうだな…ルーズ、タンクとして、アリスちゃんの守護、頼めるか?」

 

「勿論だ。元タンクだからな、腕は鈍ってない…と思う。」

そういえばルーズさんって元々タンクなんだっけ。

 

「バートちゃんはいつも通り後方から指示をお願い。どれ位被害を少なくできるかは君にもかかってる。…あんまりプレッシャーはかけたくないけど、」

 

「いえ、できる限りがんばります。」

バートもクロドさんが言い終わる前に返答した。

 

「他も…いつも通りかな。バレットも後方から援護射撃、アレグロはマーダーの気を一部引いて戦ってくれ。接近戦ならこの中でアレグロが一番上手い。」

 

「分かった。…でも流石に一人ではきつそうだから副団長もよこしてくれるとありがたいんだけど…」

 

「、そうだな。ヴァイス、大丈夫か?」

 

「問題ない。」

…どうやら全員問題ないみたい。さて…

 

「…だが、その魔法、アリスちゃん自身は大丈夫なのか?そんな高位魔法を使おうものなら体が持たない可能性もあるぞ。」

っと、やっぱり聞かれるかー…

 

「…詳しくは分かりません。少なくとも死ぬことはないですが…」

 

「死ぬことが前提みたいな話になってる事自体がおかしいんだけどな。怪我とか昏睡とかやめてくれよ?」

…どうだろ。でも最悪でも気絶くらいで済むはず。

 

「流石にそこまでは…予想外のことがあれば別ですが。」

 

「予想外?」

 

「はい。…一番大きなリスクとしては、マーダーの邪気が現時点で想像できる以上に強化できる状況だった場合、エルちゃんとの癒着を弱くするのが困難になります。どれぐらいかにもよりますが…」

 

「まあ、あれなら余力を残していると考えるほうが妥当だろうな。多く見積もっても5割…あれの2、3倍はあると考えたほうが良い。」

だよね…こっちで思った感じでも多分3、4割程度…

まともにやり合ってたら勝ち目なんかないけど…

 

「……なら…その邪気も一緒に振り払ったらいいんでしょ……?」

 

「!」

と、マリオネットさんがとんでもないことを言い出した。

 

「いやいや…マリオネット、流石に無理があるぞ。」

 

「……いえ…出来るわ…。……久々に本気を出すわ。ここらへんででも使ってないと錆びつきそうだし……」

 

「って、それって…」

バレットさんがなにかいいかけたけど、マリオネットさんはそれを遮って…

 

「…ま、ともかく……邪気の心配は無いわ…私があいつの動きを止めると同時に攻撃を届きやすくしておくから……」

 

「そ、そうですか。…で、もう一つ、危惧するとすれば…マーダーがエルちゃんを盾にしようとした場合でしょうか。」

 

「盾に?」

 

「はい。ああいう型の体の取り込みは、今回ならマーダーがエルちゃんの体、というよりは魂を乗っ取っているというのに近いです。ですから、こちらが魔法を発動する前にその魂を盾にされてしまえば、魔法はマーダーではなくエルちゃんに当たります。」

 

「……え、それすごい面倒なんじゃ…」

とバートが言うけど、実際は多分こうはならない。

 

「まあでも、それを使われる可能性は低いだろうな。」

 

「そうですね。」

クロドさんも分かってたみたい。ヴァイスさんも頷いてる。

 

「なんで?敵からすれば人質が取れたようなものでしょ?」

アレグロさんは分かってないみたい。

 

「盾として他人の魂、しかも子供のまだ小さい魂を使ったところで、こういう多対一の状況でどれぐらい効力を発揮できたものか、ってところだな。1、2方向からの攻撃を防ぐだけのバリアをわざわざ体を維持するための器を体外に出して自らを弱体化させてまで使うメリットが無い。」

 

「!なるほど!」

でも…

 

「ですが、今回は訳が違います。私の魔法に気づかれてしまえばそれで防がれてしまう可能性があるんです。…そのために、私が魔法式を組み立てる間、気を散らせてほしいんです。」

 

「なるほどな。相手からすれば自分を倒しうる攻撃のみを防げばいいわけだしな。」

 

「そういう事です。」

…つまりは。

自分はこの魔法式の構築中、ほとんど動けない。それによって、慣れてない魔法で急に相手の狙う位置を反転させたりなんて器用なことは流石に出来ない。

つまり、マーダーにこいつが自分を倒しうる攻撃をしてくる、と認識されてしまえば防がれる可能性だってある。

 

「そういえば…その彼女は今どこに?」

 

「必死に魔法の練習をしてたよ。…あ、そうだ。アリスちゃん、エルちゃんがこれを渡してほしい、ってさ。」

と、ヴァイスさんが取り出したのは…あの、エルちゃんが使っていた杖。

 

「なんか直接渡すのが恥ずかしかったんだと。で、それも使ってほしい、だそうだ。」

 

「………分かりました。後でお礼を言っておかないとですね。」

…大切なものだろうに。

それだけ信頼されてるのか、他に何かあるのか。

ともあれ、失敗は許されない。絶対に成功させてみせる。

 

 

 

 

 

 

《真夜中》

「…1時52分、そろそろだな。多分2時以降に変化するっつってたか。」

 

「そうですね。…そろそろ身構えておいた方がいいでしょう。」

魔導書…リデルを取り出して集中する。

最初は接近戦に持ち込むから魔導書だけだけど、途中からエルちゃんの杖も使わせてもらう。

 

『アリス、我も少し相手をする。前からあやつの性根は叩き直さねばと思っていたからな。』

 

「うん、ありがと。」

メアもポケットから出て大きさを人と同じぐらいの大きさにする。

 

「………そうだアリスちゃん、その魔法の詠唱ってどれぐらいかかるんだ?」

 

「…分かりませんね…。ですが、普通の魔法とは詠唱の量は桁違いです。そのため、タメが長すぎるのがネックですね…」

そんな話をしていると…

 

「!来るぞ!」

クロドさんの声が聞こえた。そして…

バキバキバキ…ミシ…ズゥン………

 

ドゴオォォン!

 

「来た!」

森からマーダーが姿を現した。…こころなしか前より強いような気がする。そういえば黒い月は魔物の凶暴さが増すとかなんとか聞いたことがあった気がする。…いや、そこは今どうでもいい。

 

「最初は私も前線に立ちます!私もいる、と相手に認識させないと面倒なので!」

 

「わかった!」

マーダーは記憶等も一部エルちゃんのものを奪っているらしい。私の存在がいないと怪しむだろう。…でも、これであいつの行動も最後。これ以上、好きにさせるわけにはいかない。

 

………さあ、

 

 

 

       Let's start to action(戦闘開始だ).




白い満月、黒い満月
この世界には月が2つあり、それぞれ光の強い方が白い月、弱い方が黒い月と呼ばれていて、それぞれ交互に昇る。
白い月の満月はその光は自然に力を与え、黒い月は魔物に力を与える。
白い月は創造神が、黒い月は最古の魔王が作った、という話もある。

こんなところですね。
最後のやつを最後に持って来たくて今回超短めになりました。次回、激戦(になる予定)です!
あ、最初に言っておくと、私に戦闘描写の才能はありません。
あと、ここらへんの話は一日一回投稿しようと思います。

では、また次にお会いしましょう。
See you!!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。