碇シンジ育成計画byほむら   作:凡用ヒト型キュウベエ

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読者の『こうあってほしいエヴァ像』と、自分の『こうあってほしいエヴァ像』の違いに愕然とする(←今ココ)



まあそれでも書くんですけどネ!!

☆1評価来いやオラァ!!!!


・・・0だけは勘弁して下さい(土下座)


タナトス編 九話

暁美ほむらをロストした後のミサトの行動は、迅速であった。

 

全ての隔壁を再び緊急閉鎖。カートレインも収納し、完全にジオ・フロントと外部の連絡路を遮断する。

 

それと平行して地下・地上全てをモニタリング、彼女の行方の捜索を開始した。

 

結果はゼロ。見事に痕跡すら見付けられない。サードチルドレン、碇シンジにも平静を装って連絡し、無事を確認した。

 

彼を下手に動かすと勘付かれると判断し、そのままにする。

 

それからしばらくして、暁美ほむらの身元を洗っていた諜報部から連絡が入った。

 

その特徴的な名前から、同姓同名の人物を片っ端から調査する様に命じていたが、結果として一人の少女が捜査線上に挙がったのだ。

 

その少女は、幼い頃から重病を患い入退院を繰り返していた少女であり、入手した顔写真も暁美ほむらの面影があった。

 

さらに病院から入手したDNAのデータも、ケイジに散らばった肉片のDNAと完全に一致している。

 

通常であれば、この段階で彼女が暁美ほむら本人だと断定されるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・とっくの昔に、彼女が死んでいなければ、だが。

 

 

 

 

さらに技術部からも、驚異的な推論が報告された。

 

『二人目』の彼女が現れる直前に破裂した、バッグのスキャンデータを再確認すると、事前に体操服に混ざった小さな宝石らしき物質を発見していたのだが、その宝石は破片すら見付からない。

 

さらにミサトと共にジオ・フロントに入った際の画像データと、ベークライトで固まった後の画像データを照合、分析した結果、前者が身に付けていた『指輪』が、後者の画像には見当たらなかった。

 

さらに盾を操作し、『一人目』を何らかの方法で削り出したことから、『二人目』には明らかに実体がある。

 

以上の点を踏まえて考察すると、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

彼女の『本体』は宝石あるいは指輪であり、人間に見えている部分はある種の擬態ではないのか、

 

という推論が出たのである。

 

 

 

 

これらの情報をミサトは繋げていく。

 

 

 

暁美ほむらは、今まで地球上で存在が確認されていなかった『無機的生命体』の一種である。

 

その『無機的生命体』は、とっくに死んでいる少女に擬態している。

 

超人的な身体能力と、現代科学では説明がつかない『時間停止』の異能によって、サードチルドレンの拉致を試みている。

 

ATフィールドが見受けられず、『殺害』ではなく、『拉致』を試みていることから、使徒に関係しているとも考えにくい。

 

 

 

 

余りの得体の知れなさに、ミサトは全身から汗を噴出していた。正に『未知との遭遇』である。

 

実は彼女は地球外生命体の一種で、エヴァを操れるサードチルドレンをサンプルとしてアブダクトしようと企んでいるのでは?

 

そんな馬鹿げた推論すら現実味を帯びてきたのだ。

 

振り返ってみれば、最初から彼女は変だった。

 

緊急事態宣言の出された人っ子一人いない街中に、

 

現代ではありえない冬服を着て、

 

身分証の内容は高品質なのに何故かデタラメで、

 

言っていることは支離滅裂。

 

あれは、ワケアリだったのではなく、人間に擬態したばかりで、その辺りの知識が存在しなかったからではないのか?

 

ミサトは恐怖した。それと同時に危機感を抱く。

 

彼女は未知の能力によって、隔壁を自在に開閉していた。どうやってそれを行ったのか、MAGIですらその答えを出せていない。

 

つまり、MAGIですら把握できないテクノロジーが、シンジの荷物に仕込まれていた可能性がある。

 

それを助長するかのように、シンジを外から監視している諜報部より連絡が入った。

 

カーテン越しに、二人分の人影が見えると言うのである。

 

ミサトは真っ青になった。絶望と恐怖、手遅れを悟った喪失感がミサトを襲う。

 

だが、それでも諦めるわけにはいかない。自身の『夢』と、人類の存亡が掛かっているのだから。

 

ミサトは正規の保安部員、その全兵力を葛城邸へと仕向けた。

 

するとどういうわけか、何故かシンジともう一人がその場に留まっており、安堵と共に覚悟を決める。

 

交渉も考えたが、そもそもそれが出来るならこんなことにはなっていないし、失敗した場合『怪物』は彼を連れ去る。

 

そして不意打ち以外の攻撃が彼女に通用しない以上、不可能と判断した。

 

作戦はこうだ。対物ライフルによる不意打ちによって『怪物』の意識を奪う、あるいは異能の本体と推察される盾、困難だが盾の裏、正確には手の甲にある宝石を粉砕する。

 

その後サードチルドレンを退避させ、装甲車に急遽装備した火炎放射器で焼き払う。

 

いかに時間停止であろうと、熱量までは停止出来ないという推論によるものだ。

 

故に、シンジに自然を装ってカーテンを開けさせ、場所を特定、狙撃を開始する------

 

 

 

 

 

 

 

「ミサトさん!?な、何なんですかこれは!?」

 

シンジの声で、ほむらは自分が見付かったことを理解した。

 

(馬鹿なの私は!?こんなに長くいたらバレるに決まって----)

 

直後、自身の頭部が吹き飛んだ。が、身構えていた為に気絶はしない。咄嗟に時間を停止、頭部を回復させると、複数の銃弾が自身の左半身を滅多刺しにする直前であった。

 

(対物ライフル・・・間一髪ね)

 

思わず冷や汗を流す。後少しでも停止が遅れていれば、自分の左半身はバラバラになって、最悪ソウルジェムも砕けていただろう。

 

そう、つまり、死ぬところだったのだ。

 

(っ!・・・っ!!)

 

ベークライトの一件がフラッシュバックし、またしても吐きそうになる。

 

恐怖によって戦うことを放棄し、その場から一目散に逃げようとして・・・碇シンジが目に留まる。

 

思い出すのは、ソファーに蹲って泣いている彼の姿。

 

彼をこのままにしていいのか?

 

そんな思いが頭をよぎる。自分の中で論外だと思っていた選択肢『彼と共に渚カヲルを待つ』を実行するべきではないのか?

 

最初は、彼に謝って全てを諦めようと思っていた。だが、思うのだ。

 

自分は、まどかを助ける自分になりたくて魔法少女になった。

 

だが、結局それは叶わなかった。『ワルプルギスの夜』という、最大の障害が立ち塞がったからだ。

 

そしてソレは『渚カヲル』という奇跡によって取り除かれ、自分は此処にいる。

 

自分は結局、自分の力で何一つ成し遂げてはいない。

 

まどかに会えそうにないと考えたのは、そんな自分が酷く惨めで、後ろめたかったからだ。

 

自分はただ、長い年月を掛けただけではない。

 

多くの魔女(同胞)を屠り、多くの仲間、街の人々を見捨てながら此処まで来た。

 

その結末が、コレなのか?彼を見捨てて逃げて、魔女になることが、その結末だというのか?

 

・・・ほむらはシンジの陰に隠れて停止を解除。すぐさまシンジに駆け寄り、彼の手を握って再び停止した。

 

戸惑うシンジをなだめつつ、ほむらは懇願する。

 

「碇君お願い!私と一緒に逃げて!!」

 

「逃げる・・・?」

 

「泣くほど辛いなら、無理に戦うことはないわ。人類が滅ぶといっても、実際にそうなると決まったわけじゃないでしょう?このまま私と逃げて、渚カヲルと合流するの。どう?」

 

シンジは僅かに俯き---

 

「それは、無理だよ。僕が戦わないと、サードインパクトが、セカンドインパクト以上の災害が起きちゃうんだ。」

 

---搾り出す様に、残酷な事実を口にした。

 

「セカンド・・・インパクト?」

 

「知らないの?セカンドインパクトだよ?」

 

心底驚いた顔でシンジは語る。西暦2000年に起こった大災害を。

 

----セカンドインパクト。

 

極小の隕石が、光速に限りなく近いスピードで南極に衝突、それに伴い地震・津波・噴火・地殻変動・地軸の変動等が発生。

 

人類はその後に起こった世界紛争を含め、世界人口の半数を失った。

 

・・・と、言うのが表向きの情報であり、実際の原因は隕石ではなく、使徒によって引き起こされたものらしい。

 

そして、今度同じ事が起これば、次はそれと比較にならない規模の災害が起こるという。

 

彼が逃げれば戦う者がいなくなり、確実にそれが起こってしまう。だから逃げることは出来ない。

 

 

 

 

 

 

それは、つまり、自分に出来ることは何一つ無い、ということを意味していた。

 

 

 

 

 

 

「フ、フ・・・あははははは!!!!」

 

床に崩れ落ち、ほむらは嗤う、嗤い続ける。

 

「何にも変わってないわね私は!!私は!!なんッッッッにも!!できないじゃない!!!!!!」

 

この世界に来た時から、魔法少女になった時から、いや、生まれた時からそうだった。

 

自分は何一つ出来やしなかった。運動もダメ、勉強もダメ、優しい友達を守ることも出来ない。

 

そんな自分から逃げて魔法少女になって、『ワルプルギスの夜』に阻まれて、多くの命を踏み台にしておきながら、今度は渚カヲルに縋り付いた。

 

自分はあの頃から、病室のベットから出た時から何一つ変わっていない。

 

まどかが言ってくれた『ほむら』という名前は、ついぞ名前負けしたままだった。

 

そんな自分が、一体どうして、目の前で泣いている少年を救えるなどと思ったのか。

 

「暁美さん!こっちへ!」

 

彼に促されるまま、個室へ繋がる廊下へと引っ張り込まれる。気付けば魔法は解けていた。

 

本来守るべき対象に、逆に守られた事実がさらにほむらの心を痛めつける。

 

「ごめんなさい・・・ごめんなさいまどか・・・私は結局・・・弱虫で、臆病で、何にもできないままだった・・・ごめんなさい・・・」

 

「待ってくださいミサトさん!彼女は敵じゃありません、僕の護衛だったんです!ただ、僕を守ろうとしただけなんです!」

 

受話器越しに彼が叫んでいる。

 

「え?・・・え?・・・そんな、そんな馬鹿なことあるはずがありません!止めて下さい!!」

 

受話器越しに言い合いを続ける彼をぼんやりと見つめる。

 

彼はいい人だ。目の前の傷ついた人を見て、特攻確実のロボットに乗って戦って。

 

こんな得体の知れない女を招き入れて、こんな危険な目に遭っているのに、自分を庇い続けている。

 

 

 

・・・・・・ああ、あるじゃないか、出来る事が。

 

戦おう。彼を地獄へ突き落とそうとする奴らを、一人でも多く道連れにしよう。

 

どの道、依頼は失敗だ。

 

渚カヲルは何をするか分からないが、せめてここで義理を果たせば、まどかには手を出さないでくれるかもしれない。

 

ロケット砲を取り出した自分を見て、彼が止めに入る。

 

「暁美さん逃げて!さっき僕と一緒に逃げようって言ったなら、一人で逃げられるでしょう!?戦ったら殺されちゃうよ!!」

 

「いいわよ別に。どうせ私には、行く所も帰る場所も無い。ついでに言うなら、死に場所を探してた様なものだから、丁度いいわ。」

 

嘘である。現に彼女の顔はトラウマが蘇ったことによって、恐怖に彩られている。

 

「それに私は・・・もう、何も出来ない自分からは逃げたくないの。」

 

そうだ、もう自分は逃げたくは無い。

 

何もできない自分自身からは、

 

それからだけは、もう逃げたくなかったのだ。

 

その言葉を聴いて、彼は固まり、俯く。銃撃は先程から止んでいた。

 

暫しの沈黙の後、ほむらは告げる。

 

「ご飯ありがとう。あんなおいしい食事、久しぶりに食べたわ・・・それじゃ」

 

ほむらは彼に背を向けて、外のネルフ保安部へと特攻しようとして------

 

 

 

 

 

「暁美さん、待って。」

 

 

 

 

雰囲気が一変した彼に、肩を掴まれた。

 

そのまま両肩を掴んで彼の方へ向かされると、真っ直ぐな目で自分を見据える。

 

「ミサトさんが言ってた、暁美さんはネルフ本部と保安部を一人で半壊させたって。これは本当?」

 

「え、ええ、そうよ。」

 

気圧されながらほむらは肯定する。

 

「次の質問、暁美さんは、戦車や戦闘機相手に勝てる?」

 

「まあ、状況によっては・・・」

 

「わかった。最後の質問。」

 

 

 

 

 

 

「まだ、僕の護衛をする気はある?」

 

 

 

 

 

「・・・なんでそんなこと聞くの?」

 

「いいから答えて。あるの?ないの?」

 

「あ、ある、けど・・・どうするつもりなの?」

 

ほむらの問いに、彼は逡巡したように沈黙し、答えた。

 

 

 

 

「暁美さん。僕を守って、僕を助けて、僕を----信じて。」

 

 




次回予告

全ての悲劇は、今、この時の為に



・・・ノリと勢いで突っ走った感が無くもありません(汗)
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