碇シンジ育成計画byほむら   作:凡用ヒト型キュウベエ

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Q:どうしてこんなにシンジはスパシン状態なのですか?


A:>>>要するに、どっちを、選んでも、死ぬのだ。


  これが全てです。ケツに火がついてそこにガソリンぶちまけられた状態なのです。





タナトス編 十話 後編

「・・・今、何て言ったかしら?」

 

「彼女と一緒に、僕を使徒と戦わせてください。」

 

シンジは自らの提案を続ける。

 

「使徒は、ATフィールドを持っていて、普通の兵器では傷一つ付けられません。だから、僕のエヴァでそれを中和して、持っている武器と武装ビルで攻撃する必要がある。そうですよね?」

 

「彼女を、武装の一つとして組み込もうって事?」

 

「はい。暁美さんの時間停止は、敵がどんな場所にいても、すぐに攻撃に移ることが出来ます。なので僕は攻撃をしないで、使徒の後ろからこっそり近づいて、取り押さえてフィールドを中和するだけで良くなるんです。」

 

少なくとも予定された戦術に比べ、遥かに安全性は向上する。

 

「・・・確かに、悪くないわね。シンジ君に攻防両方をやらせるより、二人で役割を分担したほうが安全性も高まる。」

 

ミサトは頭の中で算盤を弾く。だが・・・

 

「彼女の武装でコアを砕けるのかしら?」

 

「暁美さんが言うには、戦車位なら壊せるそうなので、それで少しづつ削っていけば・・・それが駄目なら、新しく暁美さん用の武器を作ってもらうことになりますけど・・・で、でも、価値はあると思いませんか?」

 

確かに、価値はある。武器生産のコストにしたって、すぐ壊れる武装ビルをやたらと増やすより、歩兵用携行兵器を大量生産したほうが安上がりだ。

 

普通なら限りのある携行制限も、彼女の戦闘を見る限り無いに等しい。仮に武装が無くなっても、その程度の武器コンテナなら幾らでも配置可能だ。

 

さらに彼女の能力で、文字通り一瞬で補給も完了する。

 

悪くない、実に、悪くない。今までの損害に目を瞑っても、それを上回るメリットがある。

 

「それ以外にも、彼女をエヴァと接触させて、時間を停止させることが出来れば、使徒なんか敵じゃありません。」

 

言いつつ、まぁ、それは無理だろうとシンジは思う。

 

エヴァはでかい、とにかくでかいのだ。推定全長80メートルの巨人である。

 

 

 

・・・『超大型巨人』の1.3倍以上の大きさと言えば、どれ程かイメージ出来るだろうか?

 

 

 

そんな弩級の質量を停止解除させながら、戦闘を行えるとはシンジも思っていない。

 

が、見せ札にはなるし、ほむらのテクノロジーが解明されれば、場合によっては可能になるだろう。

 

「・・・シンジ君、確かに貴方の提案は素晴らしいわ。それこそ、今までの損害を無しにしてもお釣りが来る程に。」

 

「!それじゃあ、」

 

「でもそれは、暁美ほむらが私達の信用に足る存在でなければ意味が無いの。」

 

そうだ、どんなにメリットを提示しても、そこが不明瞭なままでは何も意味が無い。故に

 

「ほむらちゃん、貴方の口で、自分が何をしに来たのか、自分が何者なのかをネルフの皆に説明なさい。」

 

 

 

 

 

 

受話器を受け取ったほむらは、自らの素性を語り始める。

 

「私は、渚カヲルと言う男に碇シンジの護衛を依頼され、此処とは違う、平行世界からやってきました。」

 

「・・・平行世界、ですって?異世界から来たって事?どうやって?」

 

「それは私にも分かりません。ですが、渚カヲルは使徒と同様に、生身でATフィールドを展開できる人間でした。彼の力によって、自分は碇シンジの下へやって来たんです。」

 

暫し、沈黙が流れた。恐らくミサトとの通話は司令部全体にも伝わっているだろう。極一部を除いて、荒唐無稽な内容に動揺を隠せていない。

 

「わかったわ、その渚カヲルのことは後で考えましょう。それで、貴女自身は何者なのかしら。」

 

「・・・私は、インキュベーターという地球外生命体と契約して、魔法の力を手に入れた『魔法少女』です。」

 

 

 

 

 

-----空気が、死んだ。

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさい・・・何て?」

 

「魔法少女です。」

 

「魔法少女?あの魔法少女?日曜の朝にやってるあの?」

 

「あれは、かなりフィクション色が強いです。実際の私達は縄張りやグリーフシード、資源を巡って殺し合いを続けているストリートギャング的な存在で---」

 

「あー、うん。もういいわ、・・・つまり、何?貴女は中学生とその、魔法少女?を兼業している存在だって言うのね?」

 

「・・・そう、です。」

 

「・・・そっかー・・・魔法少女かー・・・・・・。」

 

 

ネルフ総司令、碇ゲンドウより、処分が下される。

 

 

「論外だ。」

 

 

 

 

 

「「「えっ」」」

 

 

 

 

 

シンジは激しく動揺した。

 

「ま、待ってよ父さん!僕は別に損するような事一つも言ってないじゃないか!何が駄目だってのさ!?」

 

「信用できん、胡散臭すぎる。」

 

「そんな!!!?」

 

身も蓋もなかった。

 

(胡散臭い・・・胡散臭い・・・やっぱり私の話なんて・・・誰も・・・)

 

「司令!確かに、確かに彼らの発言は胡散臭いこと極まりないですが、『魔法』と称する能力それ自体は紛れも無く本物です!」

 

「サードチルドレンの提言には、非常に多くの戦術的価値がありました!彼女を味方に引き入れるべきです!!」

 

「それが何だと言うのかね。兵器とは、人間の完全なコントロール下にあって初めて兵器足り得る。彼女は人間の支配下に留めて置ける存在なのかね?」

 

ミサトは押し黙った。確かに、彼女を味方に引き入れたところで、それを支配下に置くことは不可能だ。

 

よって今後の使徒戦において、常に彼女の顔色を伺っての行動を強制される事になる。

 

それはネルフとして、一つの軍事組織として、絶対にあってはならないことだった。

 

「暁美君、私は君の正体について、微塵の興味も抱いてはいない。私の望みは唯一つ、君がこの街から出て行くことだ。それが出来ないと言うなら、我々は君と戦うしかなくなる。」

 

「だが我々が負けてしまえば、君が守ろうとするシンジごと、人類が滅ぶこととなる。・・・何が最善か、分かるかね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わかったよ、父さん。つまり、僕がエヴァのパイロットを辞めればいいんだね?」

 

 

 

「・・・・・・何?」

 

「父さんの言いたいことは分かった。暁美さんが邪魔なんでしょう?だからそんな意味の無い、意地悪い事言ってるんだ。」

 

「意味が、ないだと?」

 

「そうじゃないか、さっきの話が真実なら、暁美さんは自力で元の場所に帰ることは出来ないんだ。」

 

「そうなら、街から出ても出なくても、暁美さんは僕に、自分の命を任せなくちゃいけない。」

 

「暁美さんに出来るのは、僕に全てを賭けて黙って見てるか、僕と一緒に戦うかの二つだけなんだ。」

 

「でも、僕は、エヴァを動かしたことは無いし、銃を撃った事も、ナイフを振り回したことも無い。」

 

「そんな僕が、使徒と戦って、勝てるわけが無い。」

 

 

 

 

 

「でも、彼女と、暁美さんと一緒なら、僕は使徒に勝つことが出来る。いや、全ての使徒を倒し尽くす事だって、きっと出来る。」

 

「そう思ってこの話をしたのに、それが駄目で、このまま最悪な状態で死ねっていうなら、辞めるよ!このまま暁美さんと逃げてやる!!」

 

 

 

 

 

事実上の、脅迫であった。今この状況でシンジに逃げられれば、使徒に対抗するパイロットは、重症のレイのみとなる。

 

そうなれば、敗北は必至である。

 

「・・・シンジ、葛城一尉の話を聞いていたのか?彼女は、宝石が本体の、人間に擬態した未確認生命体の類か、ロボットの一種である可能性が高い。」

 

「国連軍より上位の権限を持つ我々より、そんな得体の知れない、危険極まりない存在を信用するのか?出撃前に言っていた事と随分違うな?何を吹き込まれた?」

 

「っ!!??」

 

大きく、ほむらが肩を跳ねさせた。

 

「・・・僕は、暁美さんと話をして、父さんより、暁美さんを信じることにしたんだよ、もう決めたんだ。それで、どうするの?僕がこのまま逃げてもいいの?」

 

・・・・・・長い沈黙の後、ゲンドウが口を開く。

 

「・・・結果だ、結果を出せ。次の使徒戦で、お前の言った戦術による戦果が無ければ、暁美ほむらには出て行ってもらう。」

 

「葛城一尉、それまで彼女のことは君に一任する。何かあれば君の責任だ。」

 

何処か忌々しそうに言い残し、ゲンドウは司令部から去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通信機越しにほむらの処遇を聞き、シンジはベランダの柵へ蹲る様に倒れこんだ。

 

危なかった、本当に、死ぬ所であった。

 

「っ・・・っ・・・っ」

 

今さらになって、涙があふれてくる。肩を震わせて泣くシンジに、ほむらが歩み寄る。

 

「大丈夫?碇君。」

 

「大丈夫・・・じゃ、ないや。ちょっと立てない。」

 

そのまま、ほむらはシンジの横に座り込む。

 

「碇君は、どうして、あんなことしたの?何で、ネルフを説得してくれたの?」

 

感謝より先に疑問が残る。彼にそんなことをする義理など無かった筈なのに、何故?

 

「・・・嫌だったんだ。」

 

「何が?」

 

肩を震わせてシンジは言う。

 

「暁美さんが死んじゃうって、そう思って・・・それで、何も、何も出来ない自分でいるのは嫌だって、そう、思って。」

 

死が身近に迫っていた恐怖、

 

ほむらが生きていることへの安堵、

 

生まれて初めて、自らの行動で何かを成し遂げた歓喜、

 

それらによって、シンジの涙は止まらない。

 

「暁美さんが、自分は何も出来ない奴だって、そう言ってて・・・それが、嫌で、そんなわけ無いって、言いたくて・・・。」

 

「・・・事実よ、私は何も出来てなんかいない。」

 

そうだ、何一つ出来てなどいない。自分は結局、誰かに寄り掛かったままだ。

 

まどか、カヲル、そして今回は、それがシンジだっただけだ。

 

「違うよ」

 

----だというのに、涙と共に、シンジはそれを否定する。

 

「僕は、全部、本当の事しか言ってないんだ、それだけだったんだよ。」

 

「暁美さんが、もし途中で僕を傷付けたり、僕が、エヴァに乗るのを黙って見てたり、」

 

「ネルフの人を、殺しちゃったりしてたら、絶対に、こうはならなかった筈なんだ。」

 

事実である。

 

もし途中で面倒臭がって傍観したり、

 

妥協して、シンジに怪我を負わせての拉致を試みたり、

 

シンジの所へ、謝りに行かなければ、絶対にこうはならなかっただろう。

 

 

 

 

「それは、それは結果論だわ・・・全て偶然よ。」

 

「いいじゃんか結果論で・・・偶然でも、暁美さんが一生懸命、真面目に、必死に僕を守ろうとしたから、手に入った結果なんだよ。だから、だからさ------」

 

涙ながらに、シンジは言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「自分は何も出来ないなんて、そんなこと、言わないでよ。そりゃ・・・暁美さんだって、辛い事とか、たくさんあったんだろうけど・・・一生懸命頑張って、何一つ出来たことが無いなんて、そんなの、悲しいじゃないか。」

 

「だから----守ってくれて、ありがとう、暁美さん。」

 

「----------------------------------------------」

 

 

 

 

 

二人は泣いた。

 

泣いて、泣いて、泣いて。

 

シンジの促しでコーヒーを飲むまで、

 

------二人は、泣き続けた。

 

 

 

 




ほむらが飲む、シンジの淹れたコーヒーは、旨い。









・・・はい、ようやく、ようやく自分の中でのプロローグが終わりました。長かったです。

当初の予定通り、順次、感想への返答をしたいと思っています。

が、軽く見ても100はあるので、時間が掛かるとは思います。

どうか、そこはご容赦ください。

読者の皆さんからの感想と評価は、本当に私の始めての創作活動において、大きな励みになりました。

私の考えるシンジとほむらの物語はこれから始まりますので、どうか、これからも感想を頂ければ、と思います。


・・・さて、次回ですがこの続きではなく、

自分が思いついたカヲル君のほむらボッシュート前後の外伝を書こうと思っています。

一話完結を予定していますが、結構大きな、オリジナル設定を突っ込むことになると思われますので、そこだけご注意下さい。

最後に、今後を踏まえてもう一度エヴァ関連の作品を見返そうと考えています。(特にANIMA)

なので、少し更新が滞る可能性がありますので、どうかご了承下さい。
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