碇シンジ育成計画byほむら   作:凡用ヒト型キュウベエ

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お待たせしました。日常描写を書くのに、かなりてこずりましたが、何とか三週間以内に投稿が間に合って良かったです。


後、先述した通りANIMAを読み終えました。実は2巻までしか自分は読んでおらず、今回初めて最後まで読み終えましたが・・・

・・・ユイさん、貴女一体何者なんだ?

正直、人間かどうかも怪しくなってて訳がわからなくなりましたよ、ええ。

後、カヲル君のループ方法も理解しました。

ヤバいですね、これではほむらの世界に彼が辿り着くことは不可能ということに・・・

なので、その辺は多少の独自設定を織り込む事になるやもしれません。

どうかご了承ください。




タナトス編 十一話

「使徒襲来か。余りにも唐突だな。」

 

「15年前と同じだよ。災いは何の前振れもなく訪れるものだ。」

 

人知れない某所にて、ネルフの最高司令官碇ゲンドウとその上位機関『人類補完委員会』の通信会議が行われた。

 

国連直属の軍事組織と銘打たれたネルフであるが、その実態はこの委員会、ひいてはその裏の顔である秘密結社『ゼーレ』の私物組織である。

 

これは、提供される資金及び組織体制を維持する政治的根回し等を含めてのものであり、名実共に、ネルフは彼らが作り上げた組織なのだ。

 

「幸いとも言える。我々の先行投資が無駄にならなかった点においてはな---だが、今はそんな事どうでもいい。碇君、これは一体どういう事かね?」

 

委員会の一人が、ジロリとゲンドウを睥睨する。

 

「君は以前言ったな、使徒戦前後に正体不明の侵入者『暁美ほむら』が本部内でテロ活動を開始、故に、それを必ず殲滅すると・・・それで?何が、どうなれば、コレをネルフの一員として認めろという話になるのかね?」

 

ぐうの音も出ない正論であった。

 

「そうは言っていません、現在のネルフは、暁美ほむらを戦力の一つとして運用せざるを得ない状況に陥っているのです。やむを得ない措置でした。」

 

「やむを得ない?ハッ、それを何とかするのが君の役目だろう。今回の一件で、我々の面子は丸潰れだ。国連直属の軍事機関が、たった一人のテロリストに屈した。コレがどれ程ナンセンスな状況か分からない君ではないだろう。」

 

不愉快千万といった面持ちで、彼は毒を吐き続ける。

 

「この事実を隠蔽する為に、我々は多大な予算を追加するはめになったのだぞ?そんなテロリストを、あろうことか、戦力にする?・・・冗談も休み休み言いたまえ!」

 

「同感だ。そもそも、この暁美ほむらとかいう少女は一体何者なのだ?送られた資料は読ませて貰ったが、得体が知れないだけでなく、未確認生命体の一種だと?全く以って信用ならん、論外だ。」

 

ド正論の嵐に、ゲンドウは胃を痛めていた。そんな事、自分が一番良く分かっている。

 

ゲンドウ自身、当初はほむらを殺害するか、体良く追い出すつもりでいた。言うまでも無く、彼女が脅威だからだ。

 

あの騒動から二日が経過し、職員達の暁美ほむらに対する印象は悪化の一途を辿っている。

 

特に彼女が何かをしたわけでは無い。ただ単に、冷静な判断能力が各々に戻って来ただけだ。

 

事前に予測されていた異能『時間停止』は実在した。

 

彼女は左手の盾を操作することで、自身の感覚で最長数十分~数時間に及ぶ時間停止が可能だったのだ。これは本人の証言のみならず、現場に残されていた痕跡等からMAGIによって判断されている。

 

さらに正体不明のテクノロジー『魔法』によって、いかなるセキュリティーも突破可能。

 

これが意味することはシンプルだ。

 

 

 

 

 

 

 

彼女は、何時いかなる状況でも、気まぐれ一つでネルフ職員を皆殺しに出来るのである。

 

彼女はこの街に、ただ存在するだけで、全職員の生殺与奪を掌握しているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

方法は簡単。時間を停止してそこらの武装ビルから砲弾を引き抜き、対象の近くで信管を起動、停止を解除するだけで良い。武装ビル及び弾薬庫にロックを掛けても、魔法の前では意味が無い。

 

これが、暁美ほむらを新戦力として加える代償である。本当に冗談ではなかった。

 

「仰ることは分かります。しかし、暁美ほむらを殺害ないしは追い出すための選択肢が、極端な物しか存在しないのが現状なのです。それに失敗し、反撃を受ければ我々は全滅。使徒迎撃は不可能になります。」

 

ほむらの能力が強力過ぎる為、ネルフの対応は不意打ちで殺すか、屈服するか、決裂(交戦)覚悟で説得するかの三つしか無い。故に、詭弁を混ぜた正論で追い出そうと試みた。

 

 

 

『このまま最悪な状態で死ねっていうなら、辞めるよ!このまま暁美さんと逃げてやる!!』

 

『司令!サードチルドレンの提言には、非常に多くの戦術的価値がありました!彼女を味方に引き入れるべきです!!』

 

 

 

だと言うのに、だと言うのにこの有様である。

 

お前らマジでふざけんじゃねぇよ、誰が責任取ると思ってんだよ。

 

ゲンドウには、表向きの目的である使徒迎撃及びゼーレの進める『人類補完計画』の推進とは別に、ひた隠しにしたもう一つの目的がある。その為に、自分はいかなる犠牲をも覚悟・許容してきた。

 

その覚悟が無ければ、自分は今頃逃げているだろうと確信する。

 

「懸念はまだ有ります。暁美ほむらを送り込んだ存在、渚カヲルという生身でATフィールドを展開できる男についてです。委員会の方で、何かご存知なのでは?」

 

ゲンドウはゼーレの踏み込んではいけない部分に切り込まざるを得なくなった。生身でATフィールドを展開できそうな人物をゲンドウは知っているし、自身の管理下に置いている。

 

そして、他にそれが出来そうな存在を保有しているのは、ゼーレ以外に考えられない。要するに『お前達の仲間が送り込んだんだろ?だったら文句言うなよ』と言うことだ。

 

 

・・・何が悲しくて、この段階で命懸けの大勝負に挑まなければならないのだろうか。この予想が外れていた場合、ゲンドウは終わりである。

 

委員会メンバーは絶句していた。自身の放った言葉が、思った以上に効いたらしい。

 

「・・・・・・わかった、もういい。暁美ほむらを戦力にすることは認めよう。それ以外については追って伝える。ご苦労だった。」

 

それを最後に、僅かに狼狽した様子を見せながら、委員会の面々は姿を消す。

 

(やはり、渚カヲルはゼーレの関係者だった・・・しかし何故だ?独断の暴走だとでも?)

 

暁美ほむらの活動は、ネルフを牽制するにしては明らかに過剰だった。最悪、あのまま使徒に敗北も有り得たのだから。

 

(いや、それについては考えても仕方が無い、か)

 

自分にゼーレ内部の権力闘争など分かるわけが無いし、首を突っ込んでもろくな事にはならない。

 

(だが、情報は集めなければならんな)

 

パワーゲームの結果次第では、計画の遂行に支障が出る可能性がある。ドイツに忍ばせた諜報員へ追加の指令を検討しつつ、ゲンドウは次の業務---暁美ほむらとの取り決めについて頭を悩ませ始めた。

 

彼の安息の日は、遠い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議が終わった後も、委員会の会合は続く。

 

「・・・タブリスが、裏切ったのか?」

 

「奴の偽情報の可能性は?」

 

「タブリスに関する情報は我々の最高機密だぞ、有り得ん。」

 

困惑、彼らの状況はそれに尽きていた。

 

「タブリスが裏切っていたとして、一体何のつもりで暁美ほむらを呼び寄せたのだ。サードチルドレンの護衛らしいが、何の為に?」

 

一番考えられるのは、自分達の計画を妨害する事だ。暁美ほむらをサードに張り付かせることで、タブリス本人は元より、初号機あるいは弐号機を寄り代とした『人類補完計画』の阻止が可能となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、それが何だ?それが上手くいったとして、一体何の意味がある?

 

自らの行動の無意味さを、タブリスは理解出来ているのか?

 

 

 

「何にせよ、タブリスへの『処置』は必須であろう、暁美ほむらへの尋問もな。」

 

「その上で、奴が再び裏切るのであれば止むを得ん、我々の手で計画を進める他あるまい。」

 

ゼーレのトップ、キール・ローレンツのこの言葉を最後に、会合は終了した。

 

・・・その後暫くして、彼らは暁美ほむらへの尋問を実施。しかし、『魔法少女』というファンタジー極まる概念が登場したことで、彼らは大いに頭を捻る事となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ほむらは目を覚ました。物が殆ど無い空間の中、カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。

 

耳を澄ますと、居間のほうからトントンと規則正しい物音が聞こえてきた。

 

(?・・・!?)

 

慌ててベッドから跳ね起きると寝巻きのジャージのまま髪を整え、居間へ脚を運ぶ。

 

台所では、見覚えのある少年がこちらに背を向けて、朝食の支度をしていた。

 

「あっ、おはよう暁美さん。もうちょっとで出来るから、顔を洗っておいで。」

 

振り向いた少年、シンジがパッと顔を綻ばせて、自分を迎える。

 

「ごめんなさい!寝坊しちゃった・・・」

 

昨日、料理を手伝う約束をしていたのに、完全に寝過ごしてしまった。

 

「いいよ、色々あって疲れてたでしょう?暫くはゆっくり休みなよ。」

 

洗面所から出ると、シンジは完全に調理を終えたのか、慣れた手つきで料理を皿に載せている。

 

「・・・よし、出来た。お皿運んでくれる?」

 

テキパキと食卓に料理を並べていくシンジ。

 

朝食はご飯に味噌汁、ポテトとひき肉入りのオムレツとサラダであった。この和洋折衷のメニューは、ほむらが和食・洋食派のどちらでも、ある程度栄養を摂れるようにとシンジが配慮した結果である。

 

「「いただきます」」

 

(美味しい・・・美味しい)

 

ほむほむコクコクと、ほむらは深く感じ入るように味わって食べ続ける。

 

振り返って見れば、自分は今まで『普通の料理』と言うものを食べた事が無かった。

 

勿論、病院でこういったメニュー形式の食事は食べていたが、それは自身の病気故、厳格な制限が課されていたのだ。

 

もう遠い思い出だが、病院で同年代の子が、売店で好きなものを買って食べている光景を目にする度、不条理に泣きそうになっていたことを思い出す。

 

(思えば、魔法少女になってその縛りから開放されたのに、食事なんて全然気にしていなかったわ)

 

まどかを救うことだけを考えて、自分は走り続けてきた。

 

その代償に、自分は異世界まで赴いて目の前の少年を守る事になった訳だが、

 

(人間関係に関しては、本当に上手くいったわよね)

 

社会的な状況はともかく、護衛対象『碇シンジ』との関係は非常に良好である。

 

「碇君?そんなに見つめられると食べにくいのだけど。」

 

「!ご、ごめん、なんていうか、口に合ってるかなって思って。」

 

ギクリとした様子で、言い訳するようにシンジが弁解する。こっそりと見ていたつもりだったのだろうか。

 

「とても美味しいわ、文句の付け様も無い位に。」

 

むしろ、申し訳なさが湧き出てくる。この明らかに手の込んだ朝食を、彼は早起きして態々用意してくれたのだから。

 

「そっか、良かったよ。好き嫌いとか聞かないで作っちゃったから、不安だったんだ。」

 

「特に好き嫌いは無いわ。こういう状況なのだし、私の嗜好は考える必要は無いんじゃないかしら。」

 

・・・どうして、自分はこういう物言いしか出来ないのだろうか。ループの中で培った冷酷な言い回しが、完全にこびり付いてしまっている。

 

自分がこんな物言いを続ければ、この良好な関係は崩壊してしまうのではなかろうか。

 

昔に戻りたい、昔の自分ならもう少し素直にお礼が言えたのに----以前なら絶対に思わなかったことだが、彼と共にいると、少しだけそう思うのだった。

 

「そっか・・・出来るだけ、暁美さんに好きな物を食べて貰いたいなって思ったんだけど・・・迷惑、だったかな、ごめんね?」

 

そら見たことか、言われた彼が傷付いている。

 

「・・・貴方の作った物なら何でも美味しいと思うし、貴方が料理をしてくれるだけで、私は嬉しいわ。」

 

偽り無い本音だった。

 

朝、目が覚めた時、遠くからご飯を作る音がして、自分の為に作ってくれた食事を一緒に食べる。

 

自分には殆ど経験が無かったが、それに対して悪くない感情を抱いていたのは事実だった。

 

「本当?ありがとう!それじゃあもっと色んなメニューを作ってみるね。」

 

傷付いた様子から一転して上機嫌になるシンジ。

 

・・・この男、いささかチョロ過ぎではないだろうか。

 

もし自分がその手のスパイだった場合、例え機密情報だろうがペラペラ喋りそうである。

 

先程の自らの発言を顧みても、見方によっては家事を相方に押し付ける屑発言に聞こえなくも無いだろうに、全く疑いもしない。

 

「全てを貴方にやらせる訳にはいかないわ、だから・・・今日の昼食は、ちゃんと手伝わせて。」

 

「うん、色々と教えるね。」

 

彼一人に家事を全てやらせるつもりは毛頭無かった。むしろこんな状況となった今、自分が積極的にそれをこなすべきだろう。

 

「おふぁよ~」

 

眠気を隠さない声色で、のっそりと葛城ミサトが現れた---下着同然の姿で。

 

「・・・こっちに来る前に、何か着るべきじゃないでしょうか。」

 

女性として色々終わった姿に、心底呆れながらほむらが咎める。最初こそビシッとした生活態度だったが、今ではすっかり自堕落になっていたのだ。

 

「ミサトさん、朝食の前に顔を洗ってきて下さい。」

 

「ふぁ~い・・・」

 

洗面所へと消えるミサト。

 

 

 

---現在ほむらは、この二人(+一匹)と同じ一軒家で生活している。

 

ほむらを何処で、どのような状態で管理下に置くか、これはネルフ内部でも大いに意見が割れた。

 

先述した通り、ほむらはネルフ職員の大半から恐れられている存在である。故に騙まし討ちでの殺害を声高に唱える者も少なくなかったが、それらをミサトが必死に押さえ付けたのだ。

 

だが、当然ほむらを何の制限も無しにネルフへ加えるわけにはいかない。よって、チョーカー型の爆弾をほむらに取り付けることにした。

 

しかし問題だったのは、彼女が首や胴体、何なら身体が木っ端微塵になっても反撃が可能な点にある。

 

故に、首と両手両足首に同様の爆弾を計五つ、取り付ける事となった。爆弾自体の威力も上がっており、首を除いた4つは腕輪・足輪というよりは手枷・足枷の様だ。

 

さらにほむらには、地上の一軒家が与えられた。

 

街外れの森林にあるこの家は、多数の隠しカメラと盗聴器が仕掛けられており、さらに家ごと跡形も無く吹き飛ばせる爆薬も設置済みの物件である。

 

彼女には常時監視が付き、定められた規則を破ったとネルフが判断し次第、家ごと彼女を爆殺するという訳だ。

 

 

 

眠りにつく度に、このまま永遠に目覚めないかもしれない、

 

ネルフの勝手な都合一つで、自分は呆気なく殺されるかもしれない、

 

 

 

そんな生活をしなければならない事実を、ほむらは受け入れた。受け入れざるを得なかった。

 

下手に暴れればネルフと戦わなければならず、そうなればネルフは壊滅、使徒を止められなくなり、サードインパクトが起こるのだから。

 

逃亡するにしても帰る家も無く、ド素人のシンジ一人に全てを託さなければならない。

 

だから仕方ない、そう必死に自らに言い聞かせ、諸々の恐怖を飲み込もうとして

 

 

 

 

『わかりました、それじゃあ、僕にも考えがあります。』

 

シンジの行動は迅速だった。すぐさま荷物をまとめ、ほむらの家に突貫したのだ。

 

『今日から僕もこの家で生活します。駄目だって言うなら、僕はエヴァに乗りません。』

 

自分が一緒に住めば、ネルフ側も迂闊に爆弾を起爆させることは出来ない、そう踏んでの判断であった。

 

当然ミサトは猛反発する。パイロットの安全のみならず、未成年の男女が同棲すると言っているのだから。

 

『僕はパイロットなんですよね?ちゃんと給料を貰って、自立してる訳ですよね?何が駄目なんですか。』

 

『やることやって子供でも作ったらどうするのよ!?妊娠して戦えません何て冗談じゃないわ!!』

 

『だったら、僕の時みたいにミサトさんも来て監視すればいいじゃないですか。・・・そもそもミサトさん、暁美さんを加えることに賛成してましたよね?暁美さんは魔法でいつでも爆弾を解除できるのに、何でこんな意味の無いことやってるんですか。』

 

ミサトは言葉に詰まった。自分だって、好きでこんな事しているわけではない。だが、ほむらに対する恐怖が予想以上に職員間で広まっているのだ。

 

ほむらと戦った保安部からは、辞職を希望する者が続出している。自信を喪失したか、彼女ともう一度戦うことを恐れたのだろう。事実、保安部は暁美ほむらの殺害を声高に、必死に訴えていた。

 

諜報部も直に彼女の力を目の当たりにしている。自分達がどれだけ必死に監視をしても無駄だと心底理解しているが故に、彼らもまた、ほむらの殺害を進言していた。

 

彼らの進言と辞意は強制的に握り潰しているが、そのせいで士気はガタ落ちである。

 

一般の職員達にしたって、あの日司令部にいた者達の証言と実際の被害から、不安の声が絶えない。

 

ほむらを戦力にする為には、まずはこの混乱を早急に鎮めなければならないのだ。

 

(だからといって、こんなことされたらそりゃ反発するわよね)

 

職員側に立ち過ぎていた事を自覚したミサトは、胃を痛めながら双方の仲裁をやる事となった。

 

結果、意味の無い首輪を取り外し、代わりに暁美ほむらを一番近くで監視し、状況次第で爆弾を起爆させるという最も危険な役割を自ら背負うことで、職員側の溜飲を下げる事に成功したのだ。

 

これはゲンドウからほむらに関する全責任を言い渡されていた事によって、『最終的に全ての責任を自分が負う』と、周囲に宣言した事が大きかった。

 

さらにネルフ側で唯一、暁美ほむらを昏倒、あるいは撤退させた実績を持つのがミサトのみという事実もある。

 

・・・この事実によって、ミサトが保安部から英雄として崇められている事実を、彼女は知らない。

 

ほむらには単独行動の厳禁が言い渡され、外出にはシンジ(及び彼を監視・護衛するチーム)・ミサト・諜報部のいずれかの同伴が必須となった。

 

これを破った場合は、ほむらが街から退去する契約を本人及びシンジと結んだ上での措置である。

 

 

 

 

---かくして三人仲良く、盗聴器・隠しカメラ・爆弾付きの家で生活と相成ったのだった。

 

 

 

 

「くぅ~~~朝から飲むお酒は美味いわぁ!シンちゃんの作るご飯も最高だし言うこと無しね!!」

 

ヤケクソ気味にミサトは酒をあおる。飲まなきゃやってられないのだから仕方が無い。

 

「あの、ミサトさん?カメラ付いてるんですからその格好は考えた方が・・・」

 

「い~のよ、私がいる間、カメラの方は止まるから。」

 

これはミサトのゴリ押しによるものだ。仮にも作戦本部長の家になるわけで、低いレベルとはいえ、機密書類の類も家に持ち帰って仕事をする事もあるミサトにとって許容できるものではなかった。

 

これはミサトに限った話ではなく、様々な条件が課せられた上で、多数の職員が自身の仕事を家に持ち帰り、在宅ワークを行っている。

 

街全体が一つの基地(職場)として機能し、細かな監視体制が確立されているが故に許される、第三新東京市独自のワークスタイルと言えるだろう。

 

(そもそも24時間体制で監視したって、ほむらちゃんをその気にさせちゃったら意味ないしね)

 

ネルフとほむらの対立は、言うなれば核兵器の撃ち合いに等しい。どちらかが攻撃を開始すれば、後は片方が死に絶えるまで戦うか、双方共倒れするしかない。

 

そういった意味で、彼女にストレスを与え続けるのは非常に危険だ。故に自分が起きて家にいる間は、自身が監視することでカメラを停止させることを了承させていた。

 

さらに言うと、シンジとほむらには学校に通わせることが決定している。カメラが起動するのは専ら睡眠時か、ミサトが休日出勤した時のみだ。

 

「葛城さん、本当に良いんですか?私が学校に通っても。」

 

遠慮がちにほむらが言う。ここまで厳重な監視体制に置かれているのだから、当然の思考であろう。

 

「勿論よ、むしろ通ってくれた方がネルフ側としても安心できるの。」

 

少なくとも学校にいる間は、暁美ほむらは何もしない。

 

実際はそんな事無いのだが、ただ閉じ込めておくより、ネルフと関係ない場所で役目を与えたほうが、ネルフ側としても精神的に楽になるのだった。

 

・・・厄介払い?そうかもしれない。

 

「学校は明日から通ってもらうとして、二人は今日どうするの?」

 

「暁美さんと一緒に、生活用品とかを買い揃えようと思ってます。」

 

ほむらは着の身着のままでこの世界にやって来た為、生活用品や衣類を早急に買い揃えなければならない。

 

余談だが、ほむらの生活費はミサトとシンジのポケットマネーから捻出されている。委員会から、ほむら用の予算が下りなかったからだ。当初はミサトが全額負担する予定だったのだが

 

『元々僕が提案したんですから、僕が彼女の面倒を見ます!』

 

この発言が、三人の中で物議を醸した。

 

ほむらとしては同い年の少年に養われるのは流石に嫌だったし、何より申し訳ない。しかしだからといって、ミサトに10割の負担を押し付ける事が忍びないのも事実である。

 

ミサトとしても、大人の面子的にそれだけは絶対に避けたかった。だがここで打算が働く。

 

ここでシンジにほむらを養わせれば、彼はほむらの為に、ネルフを辞める事が出来なくなる。

 

のみならず、エヴァパイロットという役割を自発的にこなす事になるので、彼にパイロットとしての自覚を持たせ、いざとなれば責任を果たさせる事も出来る。

 

・・・以上の考えを擦り合わせ、ほむらの生活の面倒をどうするかの議論は、シンジとミサトが折半する事で決定した。

 

あんまりな決定にほむらは『自分も働く!』と宣言したが、当然そんな事許される筈も無い。

 

 

 

 

 

 

ほむらは、同い年の少年と、自らをベークライト漬けにした女に養われることになったのだった。




※ほむらはミサトがベークライト作戦の実行者だとは知りません。


答えを得た使徒よ、さようなら。(無慈悲)

カヲル「何  故  話  し  た」

A:口止めしていなかったから。説明しなかった代償とも言う
  (例えしていても、言わないと信用を得られない為に無意味)

・・・カヲル君馬鹿過ぎね?とも思いましたが、口止めしたり、懇切丁寧に自身の置かれている状況を説明するカヲル君が違和感バリバリだったので、突き進むことにしました。

・・・そもそも彼って自身を取り巻く社会情勢とか、人間関係とか、人間の社会システム(特に報・連・相)をどれだけ理解できてるんでしょう?あんまり出来てない気がします。



やったねミサトさん!念願のマイホームだよ!(多数の盗聴器・隠しカメラ+爆弾付き)
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