碇シンジ育成計画byほむら   作:凡用ヒト型キュウベエ

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「ドウシテ・・・」まで行けませんでした、

申し訳ありませんでした(土下座)

(自分の書きたい場面が)遠い・・・遠すぎる・・・(白目)


タナトス編 弐話

沈黙を破るように、低空飛行状態の戦闘機が二人の上空を飛翔する。

 

独特なデザインをしたそれは近くの山あいに消えていき・・・謎の巨大生物と戦闘を開始した。

 

「・・・・・・・・・・・は?」

 

映画の中でしかありえない光景が目の前で起こっている。その事実にシンジは固まってしまう。

 

一方ほむらは、それを目にした直後にシンジを庇うべく行動に移った。

 

「碇シンジ!」

 

固まるシンジを一喝し、手を引いて巨大生物から距離を取るべく走り出す。

 

(やっぱり一筋縄ではいかない世界だったわね)

 

元より自分に依頼された時点で、真っ当に事が運ぶとは思っていない。シェルターの場所を確認すべく駅へ駆け込む。

 

護衛対象をシェルターへ避難させ、巨大生物の動向を確認しつつルート次第で迎撃する。大まかな指針を頭の中で決定しつつ、情報掲示板から最寄のシェルターの場所を確認し、彼を連れて行こうとしたところでクラクションが響く。

 

「そこの二人!早く乗りなさい!」

 

躊躇は一瞬、二人は助手席と後部座席に飛び込んだ。車が急発進した直後、車のあった場所に戦闘機が墜落する。

 

「危ないところだったわね、しっかり掴まって!」

 

車通りの無い道路をフルスピードで疾駆する車は、巨大生物の進行方向も相まって見る見る巨大生物から遠ざかっていく。

 

ほむらはいつ攻撃や瓦礫が来ても対応できるよう、その姿を捉え続けた。

 

発射された大型ミサイルをぼんやりとした八角形の障壁で受け止め、巨大生物はまったくの無傷で----

 

(待って・・・待ちなさい、今のは)

 

忘れる筈も無い。ループ最終日に現れる最強の魔女、『ワルプルギスの夜』の攻撃のことごとくを余裕で受け止め、奴を触れることなくバラバラに吹き飛ばした障壁『ATフィールド』だった。

 

(どういうこと、何であの生き物が渚君と同じ能力を?)

 

思えば渚カヲルは、驚く程自分のことを話さなかった。いや、話はしたがほぼ意味不明だったので理解できなかったというのが正しいだろう。

 

一体彼は何者で、何を知っていたのだろうか。

 

だがそれより問題なのは、

 

(アレ相手に戦闘行為は無理ね。そもそも攻撃が通らない)

 

自身の選択肢の中から『戦闘』を抜き、護衛対象を安全な場所へ誘導する、あるいは一緒に逃走する方向性へシフトさせる。

 

・・・こういう所は以前と比べて楽なままだ。まどかを守る際は魔女の脅威だけでなく、まどかに擦り寄るキュウベエの対処、人間関係の変化に伴う魔法少女への願望の見極め、町の防衛等も同時に行わなくてはならなかったのだから。

 

「あの・・・暁美さん?」

 

思案に耽っていると、助手席の護衛対象が遠慮がちな表情で声を掛けてきた。

 

「何かしら」

 

「さっきはありがとう、おかげで助かったよ。」

 

「礼には及ばないわ」

 

「胆の据わった子ね~、あ、私葛城ミサト。よろしくねん。」

 

「よろしくお願いします、暁美ほむらです。」

 

運転している女性、葛城ミサトが快活に混ざってくる。

 

「ところでほむらちゃん、何であそこにいたの?シンジ君の付き添い?」

 

表面上は笑顔で、ミサトが問い掛ける。その目は全く笑っておらず、探るような意味合いを感じた。

 

「・・・・・両親の仕事の都合で引っ越すことになったので、先に周辺の地理を覚えようと思って」

 

「今日平日なんだけど、学校は?」

 

「・・・・・・・・・・・・引越しの手伝いでお休みしました。」

 

「学校の制服で手伝ってたの?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

背中が滝の様に冷や汗をかいていた。

 

「き、きっと何か事情があったんですよ。それより、これから父の所へ向かうんですか?」

 

ワケアリと察したのか、護衛対象が露骨に話題を逸らそうと試みる。

 

「そ~なんだけどねぇ・・・シンジ君はお父さんの仕事が何か知ってる?」

 

「人類を守る、立派な仕事だと聞いています。」

 

「そ、正確には国連直属の非公開組織。私もそこに所属しているの。」

 

ミサトはほむらを一瞥する。

 

「だから一般人のほむらちゃんを中に入れるわけには行かないのよ。」

 

「じゃあ今からシェルターに寄って行くんですか?」

 

「そうしたいんだけど・・・ね。」

 

内心ミサトは頭を抱えていた。本来ならそうしなければならないが、一刻を争う状態でもあるのでシェルターに寄っている時間は無い。なので緊急避難的にジオフロント内に入れるのもやむなしなのだが・・・

 

(明らかに怪しいのよね、この子)

 

住民の大半が非難を完了させる中、一人で街をふらついていたばかりかサードチルドレンと接触、さらに言ってる内容は嘘っぱちときている。

 

おまけに制服は第三新東京市立第壱中学校のものでも、シンジが通っている学校の制服でもなかった。

 

(でも途中で降ろすわけにはいかないし、諜報部に監視を頼みましょうか。)

 

だが間違いなく始末書は書かされるだろう、ミサトの内心は憂鬱だった。

 

尚、ミサトは後にこの判断を後悔することになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

(何だか随分と物々しい流れになったわね、何なのかしら)

 

人類を守る国連直属の非公開組織、これから護衛対象が向かうのはそんな現実味の無い場所らしい。渚カヲルだけでなく、護衛対象自身も何者なのか怪しくなってきた。

 

「これからシェルターへは向かわないんですか?」

 

「ええ、悪いけど一刻を争う事態なの。これから貴女は、かなりの機密事項を目にすることになるわ。状況が良くなり次第、色々と手続きをしてもらうことになるけど我慢して頂戴。」

 

「わかりました。」

 

(まあ、手続きを受けるわけにはいかないから、途中で逃げるけど)

 

現状を正確に把握する必要がある。そう判断したほむらは魔法で時間を停止して、護衛対象の持っている『極秘』と書かれた冊子を読もうする。

 

しかしバックミラー越しに葛城ミサトがこちらを観察していることに気付き、内心で舌打ちした。

 

(これじゃあ変身できないわね・・・)

 

まあいい、いずれチャンスが来るだろう。そう思い直して護衛対象、碇シンジを何となしに眺める。

 

(・・・失礼だけど、あんまり凄そうじゃないわね)

 

渚カヲルのような超然的な雰囲気は欠片も感じることができず、とても国連組織に関係している人間には見えなかった。

 

「ミサトさん、父は何故僕を呼んだんですか?」

 

護衛対象が都合のいい話題を切り出した、ほむらは耳をそばだてる。

 

「私からは何も言えないわ。・・・苦手なの?お父さんが」

 

「・・・当たり前じゃないですか、10年間ほったらかしにされたんですよ?父は僕のことなんて忘れていると思っていました。」

 

(重ォォイ!!)

 

予想を上回るヘビーさだった。

 

(で、でもこれで理解したわ。碇シンジは組織とは関係無い可能性が高い)

 

言い方から察するに、この親子は10年間面識が無かった。

 

そして何故か今になって父親に呼び出された護衛対象。

 

(そしてやって来たその日に、偶然謎の巨大生物がやって来たと・・・嫌な予感がするわね)

 

だが現状、自分が出来ることが無いのも事実だ。今は様子見に徹するべきだろう。

 

「ちょっち待って」

 

突然、葛城ミサトが車を止める。訝しげに彼女を見ると、彼女は窓を開けて双眼鏡を覗き込んでいた。

 

視線の先には地平線ギリギリの距離で、多数の戦闘機と交戦中の巨大生物が見える。

 

そして、戦闘機が蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

 

「ちょっと嘘でしょ!?こんな所でN2兵器を使う気!?ほむらちゃん伏せて!」

 

「え?」

 

言うが早いか、葛城ミサトはシンジをシートへ押し倒し、覆いかぶさった。非日常的な動きにほむらは戸惑う。

 

直後、巨大生物を中心にきのこ雲が発生。それが爆弾によるものだと気付いたのは、その数瞬後、強烈な爆風が襲いかかった後だった。

 

地平線ギリギリの距離があったにもかかわらず、車が数回横転する程といえば、その凄まじさが分かるだろうか。

 

瓦礫が直撃しなかったのは奇跡と言う他無い。

 

(今のは・・・まさか、核兵器?)

 

まさか、それだけはありえないだろうとほむらは半ば願望染みた推測を立てる。

 

もしそうなら、護衛対象を連れて何処まで逃げれば良いのか見当も付かない。

 

「ほむらちゃん!大丈夫!?」

 

「大丈夫です・・・それより今のは何です?まさか核兵器ですか?」

 

「違うわ。でもそれに近いものではあるわね。放射能の出ない核兵器みたいなものよ。」

 

ばれないように治癒魔法を自らに掛けつつ、ほむらは爆心地を見つめる。山が幾つか丸ごと消し飛んでおり、きれいな円状のクレーターが出来上がっていた。

 

自身が持つ最高火力である、対艦ミサイルが玩具に見えるほどの破壊力に、ほむらはドン引きする。

 

(これは死んだ・・・わよね?さすがにこれで生きてる筈ないわ)

 

死んでいるはずだ。これで死なないならそれはもう生物ではなく、

 

「嘘・・・でしょう・・・?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神の使い、『使徒』と呼んで良いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




地獄を逃れたほむらを待っていたのは、また、地獄だった。

破壊の跡に住みついた欲望と権力、

セカンドインパクトが産み落としたソドムの街。

愛憎と背徳、退廃と混沌とをコンクリートミキサーにかけてぶちまけた、

ここは21世紀のゴモラ。

次回「ネルフ(※次回はいつも通り番号です)」

ほむらが飲む、シンジの淹れたコーヒーは、旨い。




・・・コーヒー飲むのはかなり先になりそうです。
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