碇シンジ育成計画byほむら   作:凡用ヒト型キュウベエ

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あまりの感想とUA・評価の数に、本当に驚き感謝しています。

その他にも、誤字脱字報告も本当に助かっています!

応援ありがとうございます!!

・・・それで、当分は執筆に専念したので、申し訳ありませんが、原作二話分が書き終えるまでは、感想の返信を一時停止することに決めました。

さらに言うと、次かその次辺りの話でシンジとほむらの関係性が確立するので、執筆に時間が掛かりそうです。

どうか、ご理解の程、よろしくお願い致します。


タナトス編 五話

----ほむらは思い出す。

 

『ワルプルギスの夜』が目の前で沈んだ時、驚愕と歓喜に身を震わせた。

 

これでまどかと一緒にいられる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして思った。私は、まどかを守る自分になれたのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネルフ本部作戦司令室では、エヴァンゲリオン初号機の発進準備が粛々と進められていた。

 

「すごいわ・・・シンクロ誤差0.3パーセント以内よ、いけるわ。」

 

エヴァの起動が、問題なく行われた旨をリツコが告げる。

 

・・・実は本来よりも数値が下がっているのだが、そんなことは知る由も無い。

 

「碇司令、構いませんね?」

 

全工程が完了し、最終確認としてミサトが問う。

 

----直後、司令室の扉が吹き飛んだ。

 

「さっきは、よくもやってくれたわね!」

 

ミサトは振り向く、が、遅い。

 

背中に暴徒鎮圧用ゴム弾を受け、そのままコンソールに叩き付けられた。

 

オートマチックのショットガンを2丁持ちしたほむらは、ロボットが発進寸前なのを察し、近くのオペレーター、青葉シゲルに銃口を向ける。

 

「今すぐ発進を中止しなさい!」

 

青葉シゲルは、吹き飛んだミサトを見つめ、顔を蒼くた。

 

「カタパルト担当は俺じゃない!」

 

「担当は誰!?」

 

思わずシゲルは担当者、日向マコトを見てしまい、己の失態を悟る。

 

「担当者は伊吹二尉だ!」

 

「ええっ!?ち、違います私はその担当じゃありません!」

 

咄嗟に嘘を吐くが、当然連携など出来る筈もない。

 

この時日向は、構わずカタパルトのスイッチを押すべきであった。

 

それが出来なかったのは、許可が無ければ勝手に作戦を進行してはならない、という長年の習性が染み付いていたからである。

 

結果・・・日向は背中に硬い物体を押し付けられることになったのだった。

 

「暴徒鎮圧用ゴム弾よ、この距離ならただじゃすまないわ。スイッチを押したら・・・分かるわね?」

 

「青葉ァァァァァ!!!」

 

「ちょっ、何でお前押さなかったんだよ!?押せよ!」

 

「・・・・・・どういうことなの?」

 

リツコは呆然とほむらを見つめる。確かにミサトによって撃ち殺され、保安部が霊安室へ運んでいた筈の彼女が、何故?

 

凹んだ頭部は完全に元に戻っており、その痕跡すら見受けられない。

 

 

 

 

実際のところ、かなり危ない状態ではあった。

 

ほむらが助かったのは、受けた攻撃が比較的修復しやすい拳銃弾によるモノだったこと、

 

ほむらが魔法少女の正体を知っていたこと、

 

そして『ワルプルギスの夜』から出てきた、弩級サイズのグリーフシードの存在が大きい。

 

ソフトボールサイズのソレは、通常の物と比較にならない容量を持っており、後先考えない魔力使用を可能にしたのである。

 

(あの不意打ちは完全にしてやられたわ)

 

完全に意識の埒外からの一撃であった。

 

身構えが何も出来ていなかったほむらは、そのまま意識を失ったのだ。

 

ほむらが非魔法少女、もといプロの軍人というものを、内心で舐めていたことも要因の一つである。

 

「碇シンジ!聞こえるなら返事をしなさい!」

 

「暁美さん?・・・え?え?何で!!??」

 

ナンデ!?アケミサンナンデ!?

 

シンジの内心はそれもうパニックに陥った。

 

「自分で降りられるなら降りなさい。逃げるわよ!」

 

「逃げるって、何処に逃げるのさ!?」

 

「少なくともこの街ではない何処かよ、要は時間が稼げればいいの。」

 

そうだ、時間を稼げばいい。

 

もうすぐ渚カヲルがやって来る筈だ、そうでなければ、自分をこの世界に連れてくる意味が無い。

 

そうに決まっている。

 

 

「時間を稼ぐ?そうすれば何とかなるの?何で?」

 

「もうすぐあなたの代わりになる人が現れるからよ、いいから早く降りてきなさい!!」

 

思い通りに行かない状況に、ほむらは苛立つ。

 

何故、この男は自分の言う事を聞かないのか。

 

「代わりになる人って誰!?別のパイロットなら重症で----」

 

 

 

 

 

 

「いい加減にしなさい!!あなたは黙って、私の言う事を聞いてれば良いのよ!!」

 

 

 

 

「何だよ・・・何だよ!!さっきから乗れって言ったり乗るなって言ったり!僕にどうしろっていうんだよ!?」

 

しばらく俯いた少年は、遂に耐えられなくなったのか、ヒステリーに叫びだした。

 

「僕だって嫌だよ!戦いたくないよ!怖いよ!でもしょうがないだろ!?国連の偉い人達が、口を揃えてお前しか出来ない、人類が滅ぶって言ったんだ!!」

 

そう、シンジも状況がある程度は理解できていた。

 

それこそ、ほむらと同じ位、理解できていたのだ。

 

「目の前で君が撃たれて、その後に大怪我した女の子がやって来て、『お前がやらなければこの子が乗ることになる』って言われて!その子が撃たれた君みたいになるって、遠回しに言われて!僕はどうすればよかったってのさ!?教えてよ暁美さん!」

 

「---------」

 

ほむらは、この時初めて気付く。

 

自分は何処までも、自分のことしか考えていなかった。

 

目の前の彼の事など、これっぽちも、考えてはいなかったのだ。

 

「・・・あなたは、それでいいの?あなたは、あなたが死ぬことで、誰かが、悲しむとは考えないの?」

 

シンジは答えない。ただ、虚ろな瞳を向けるだけだった。

 

「悪いけど、私はそれでもやらなくちゃいけないの。だからお願い、エヴァを----」

 

直後、視界の端に動くものを捉え、ほむらは飛び退く。

 

先程まで頭のあった場所に銃弾が飛ぶ。

 

ゴム弾から復活したミサトが、2度目の不意打ちを試みたのだ。

 

「押せ!日向二尉!」

 

司令の叫びで日向がスイッチを押すのと、ほむらが身体に銃弾を受けながら、彼とミサトにゴム弾を浴びせるのは同時だった。

 

日向は顔をデスクに激しく打ち付け、昏倒。ミサトも二発目は厳しかったのか、そのまま気絶する。

 

そして初号機は、ジオ・フロントから地表の第三新東京市へ向けて射出された。

 

(まずい!)

 

思考の一瞬の空白、それに乗じて司令室上層階から、フルオートの銃撃が襲う。

 

司令と副司令が、デスクに常備されているサブマシンガンと拳銃を発砲したのだ。

 

「司令、MAGIが!」

 

「構わん!総員、アンノウンを追っ払え!!」

 

下層階で密かに銃を用意していた職員達が、一斉に発砲する。

 

ほむらは、上層・下層の挟み撃ちを防ぎながら、ここにいる全職員を無力化する覚悟を決める。

 

時間を停止し、自らに治癒魔法を掛けながら、ショットガンを職員達に向けて撃ち、停止を解除する。

 

瞬間、全職員にゴム弾が襲い掛かった。全員、何をされたかも理解できなかっただろう。

 

 

 

だがここで、ほむらも予想だにしない事態が発生する。

 

フルオートで銃を撃っていた一部の職員達が、引き金を引きっ放しにした状態で仰向けに転倒、

 

これにより大量の銃弾が天井に炸裂し、高高度に設置された電灯、部品、瓦礫が降り注いだのである。

 

さらに最悪なことに、一部の流れ弾が備え付けの大型バッテリーに直撃、発火、炎上した。

 

・・・同時に全職員がゴム弾を受けて転倒していたため、流れ弾による怪我人がいなかったことは、不幸中の幸いという他無い。

 

 

 

----つまり結果として、

 

硝煙と血の匂い、鉄の軋みと男達の呻きの中で、燃え盛る炎と煙を見つめながら、

 

ほむらは一人佇むこととなったのだった。

 

(!?・・・・・・!?)

 

ほむらは自らの起こした惨状に頭が真っ白になる。再び時間を停止させ、重傷者がいないことを念入りに確認する。

 

炎と煙の匂いにむせながら、必死に消火器で消火作業を行う。

 

そしてようやく炎が鎮火し、停止を解除して脱力した瞬間----

 

 

 

 

 

 

 

 

『うぁぁぁぁぁ!!!助けてぇぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

護衛対象、碇シンジの絶叫が響いた。

 

砕け散ったモニターの中で、僅かに残ったモニターを見ると、初号機のほぼ正面、すぐそこにヤツがいた。

 

「碇シンジ!早く逃げなさい!!」

 

「動けない!!動けないんだよ!!!動け!!動けぇぇぇぇ!!!!」

 

・・・シンジとほむらの知らないことではあるが、エヴァの射出システムはカタパルトを発射すればそれで終了というわけではない。

 

エヴァを固定している最終安全装置を解除しなければ、エヴァは動けないのだ。

 

そしてそれを解除できる日向は、ゴム弾を受けて昏倒している。

 

つまり、初号機は動けない。

 

 

 

『特攻』が『処刑』に変わったのだ。

 

 

 

使徒サキエルは初号機の頭を鷲掴みにし、締め上げる。

 

「ぐあああああ!?痛い!?痛い!?あああああああっ!!!!」

 

(どうする?どうするどうするどうする!!??)

 

ほむらは半狂乱で頭を抱えて、廃墟と化した司令室を右往左往する。

 

今から現場へ向かう?そもそも場所が分からない上に、いくらグリーフシードがあっても魔力が尽きる。

 

カタパルト担当の男を叩き起こす?気付けの魔法なんて知らないし、そんな時間も無い。

 

「どけ!!邪魔だ!!」

 

ゴム弾を受けて脂汗をたらしながら、青葉が日向のパネルを操作する、が、遅かった。

 

使徒サキエルの腕からレーザー状のパイルバンカーが射出され、初号機の頭部を貫く。

 

 

 

----あれだけ叫んでいた護衛対象の声が、聞こえなくなった。

 

 

 

「そん・・・・・・な」

 

ほむらは膝から崩れ落ちる。そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーー■■■■■■■■■■■■ッッッ!!!!!!!!!

 

 

 

暴走が、始まる。




次回予告

何もかもが炎の中に沈んだ

芽生えかけた理解も、信頼も、

全てが振り出しに戻った。

少女は罪に濡れた魂を疲れた体に包んで、泥濘と硝煙の地に向かった

次回「逃亡」

地獄の二回戦が、始まる。


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