戦う守られるべき存在達   作:tubukko

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さぁ、楽しんでってください!

…書くことがなくてすみません。


子供想い

正影は今、ヘリに乗っている。

この轟音も慣れ始めつつある。

今心配なのはバリバリと響くこの音が空を飛ぶタイプのオスに見つからないかということぐらいだ。

 

「正影さん、今回はご同行感謝するぜ」

 

不意に通路を挟んで向かい合うようにして座っている男に話しかけられる。

 

「なに、オスを殺すのは俺の仕事でもあります。当然です」

「…」

「どうしました?」

「敬語はやめてくれ。俺は貴方よりも非力なただのプロトだ」

 

正影は自分が目上と思った人以外には敬語は使わない。

たまにどうしても使わなければならないときは相手が無能でも歯を食いしばってしゃべるがどこかに皮肉が含まれていることが多々ある。

そんな正影が敬語を使っている。

 

「ですが、悠斗《はると》さんは年から見ても俺より上ですし…。なにより…」

 

正影があまりじろじろと見てはいけないと分かっているのか、チラチラと悠斗の顔を見る。

 

「こんなのは名誉の負傷でも何でもないさ。俺がボーっとしてたから不意打ちを食らって負った傷だ」

 

悠斗の顔には、右目を軸に斬られたかのような傷が残っていた。

そして斬られているその眼は開いていない。

こんな傷が本当にできるものなのかと正影は今も心の中では首をかしげていた。

 

 

 

 

 

 

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悠斗に出会ったのは2日前のことだ。

最近正影はあまり任務をこなしていなかった。

理由は金があったからだ。

金があるのならわざわざヘリに揺られて外に出る必要もない。

それと1週間ほど前の任務を境に司令からの特別任務が来なくなったからだ。

もともと正影はロストチルドレン。

以前の正影は任務に出るのがだいたい1週間に1回ぐらいだった。

理由はロスは基本強いオスにしか当てようとしなかったからだ。

だからある意味、これくらいのペースの方が正影の生活リズムに合うのだ。

 

悠斗に会ったのはそんな時だ。

やることもなかったので今では珍しい図書館へ足を運んだ。

正影に読書の趣味などない。

それでも行ったのはこの世界の情報がほしいからだ。

別に困ることはなかったのだが、暇だからといってベッドでゴロゴロしているのは性に合わない。

穂香も訓練を頑張っているのだから行くべきだと思ってきたのだ。

 

「…にしても量が多いな」

 

しかし、いざ集めてみるとなかなかの本の量になる。

実はインターネットで見れば部屋でも見れるのだが、紙媒体の方が好きな正影。

ペラペラと本を席に座りページをめくる。

そんな時、彼は来た。

 

黙って本を読んでいると自分の向かいの席に座ろうとする人影が見えた。

 

「(またか…)」

 

正影には今でも付きまとう女子がいる。

大抵の人は常識人だったらしく引いてくれて、今では普通に接してくれるのだが今でも「彼女になって」だの、「メディアトールになって」だのほざく野郎がいる。

その類がまた来たのだと思って身構える。

 

「すまないんだけど…」

 

声をかけられた。

しかし、声は男性のもの。

なら、少し珍しいが「メディアトールになって」というお願いだろうと思う。

メディアトールの条件はタイプA,Bがそろうこと。

性別も年齢もこれを満たせば関係ない。

だが、やはりこれは強いつながりを持つことになる。

だから基本は同性なら仲がいい友達同士、異性なら恋人が多くなる。

 

正影は本から目を離しながら相手に言う。

 

「悪いが俺はすでにメディア…」

 

そう言いながら顔を上げて驚いた。

目の前には右目に眼帯をつけ、顔に切り傷が入った強そうな顔をした男が座っていた。

 

 

 

 

 

 

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「…ならいいんだが」

「それでよし」

 

いつ見ても驚く。

顔の傷は話からすればプロトになった後できた傷だ。

それが未だにこんなにはっきりと残っているなんてよほど深い傷を負わされたのだろう。

 

「だが…改めてお礼を言わなくちゃならないな」

「構わないと言っている。それにあんたと少し境遇も似ていてなんだか手伝ってやりたくなったしな」

 

悠斗には妻子がある。

だが、この子供は養子らしい。

人型のオスが出現したとき、あらゆる場所が壊滅的被害を受けた。

それで親を失った、或いは親とはぐれた子供も少なくない。

妻と非難している最中に見つけたそうだ。

それからは子供もいなかったこともあり、その子を引き取り育ててるらしい。

その子は女の子だったのだが今では悠斗たちに子供が生まれ、姉と弟の二人の子供を養っている。

 

そんな娘が5日後誕生日ということでぜひ、プレゼントをしたいらしい。

だが、ここではプレゼントになるようなものはすべてぜいたく品で値段が馬鹿にならない。

その子は「休暇をもらって父さんが帰ってきてくれたらそれで十分だよ」と言っていたそうだが。父親としてはそれではなんか嫌なのだ。

だから正影にお願いして少し報酬が高めの任務に来た。

 

「穂香ちゃん…だったかな?あの子は活発でいいな。うちはどうもおとなしめでね、まぁ怒ると怖いんだよ」

「だって悠斗さんのところはもう15,6だろ?そんなもんだ。むしろこっちはもうちょっとおしとやかになってほしいな」

「いや、正影。活発な方がこっちもいろいろ接しやすいんだよ。まぁ、うちのアルツェだけ見たらほとんどがうるさい女子ばっかりだけどね」

「確かにパワフルだな。まぁあれくらいないとプロトとしてやってはいけないだろうしな」

 

彼らが話に花を咲かせているとランプが光る。

そろそろ着くという合図だ。

 

「お、時間か。じゃ、いっちょやってくるかな」

 

悠斗が武器を取り出す。

腕に四角い物体をつける。

一か所だけ小さな穴が開いているのが気になる。

 

「悠斗さん、それは?」

「ついてからのお楽しみだ。今回の敵は俊敏に動くらしいからな。正影は隙を作るのを頼みたい」

「あ、ああ」

『正影さん、悠斗さん。到着したので任務開始をお願いします』

 

リムの言葉を合図に2人がヘリを降りた。

 

 

 

 

 

 

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今回降りたところは「ノグリテリア」。

ここも建物が並ぶちょっとした都会なのだが、いつも行っているところとは雰囲気が圧倒的に違う。

 

「…いつ来ても嫌なところだな」

 

悠斗も思わずつぶやく。

並んでいる建物は白いカビのようなものやネバっとした粘液、ところどころ溶けている床などもう気持ち悪いの領域は軽く超えている。

なぜここがこんな風になったのかは不明だが重要な研究対象になっている。

 

「さっさと終わらせようぜ。今回の敵はなんだ?」

「確か…アメンボ型のオスだ」

 

と、しゃべったところで何かの音がする。

建物の屋上に降りていたので下を確認する。

下にいたのは…

 

「あれだな」

 

アメンボ型のオスだ。

下は水じゃないのに地面の上をすべるように動いている。

大きさは20m級。

まぁ、20m級といっても足はさほど太くはなく、体の部分も小さい。

体だけなら10m級にもならないだろう。

 

「コアはどうする?」

「できればほしいけど…、今回の報酬だけで十分だ」

「悪いな。穂香を連れてこれれば簡単に行けたんだが…」

 

今回穂香は訓練と重なり同行できなかった。

 

「こちらとしてはそっち方がいいよ」

「なぜだ?」

「どうも小さい女の子が戦場に出ると過保護になってしまってね。戦いに集中できないんだよ」

「そうか」

 

正影が刀を作り出す。

 

「俺が先行でいいのか?」

「ああ。正影さんはどうにかしてあいつの動きを3秒でいい。止めてくれあとはどうにでもなるから」

「分かった」

 

正影が建物から飛び降り、アメンボ型のオスの追尾を始めた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「…どうだ、調子は?」

「問題ない、今のところは」

 

フラテッドと和人が話している。

部屋はいつものモニタールームだ。

 

「うまい具合にあのオスの討伐に当たってくれたからな。こいつの調子も含めて確認できるだろ」

「ああ。だが、あいつがどれだけ自分の力を出せるのか…」

「確かに所詮はオゥステムだからな。気づかなければ意味がない」

「だか伝える手段もない」

 

この2人が何について話しているかは不明だが、オスと人間との対話は未だに確立できていない。

オスは知能を持つ生き物だ。

もしそれならば対話も可能なのではないかと研究も一部で行われているが、未だにうまくいった例はない。

 

「そういえばお前、もうロスと接触はしたか?」

「いいや、まだだ」

「信頼関係でも気づいておけ。その調子だと直で顔すら見てないようだな」

「分かってるよ。ただどうも気分が乗らなくてな…」

「118は既に確認はしたと言ってたぞ」

「…番号で言うなよ。誰だか分んねぇよ」

 

フラテッドはその質問は無視してキーボードをたたく。

 

「悪いが今回の作戦は失敗した分の埋め合わせだ。これ以上リレグ様を落胆させるわけにはいかない」

「…そうか」

 

和人はフラテッドがリレグを心の底から慕っていることは知っている。

理由は知らないが大した忠誠心だと思う。

 

「じゃ、俺は行ってくるぜ」

「しっかり捕獲してこい。勝てると思ったら表に出ても構わない」

「連れの男は?」

「好きにしろ。ミンチにしても、磔にしても、五体を切り刻んでも構わん」

「それ、全部殺すっていう意味だぜ?」

「そういうことだ」

「了解」

 

和人がその部屋を後にする。

フラテッドがそれを確認すると通信機を使う。

 

「リレグ様、フラテッドです」

『準備はできたか?』

「はい。和人が準備でき次第、いつでも行けますが…」

『どうした?』

「相手はペリコラムのオスを一瞬で全滅させた化け物です。今から行っても間に合わないのでは?」

『あの状態は永遠に使えるわけではない。今回はおそらく使わないだろう。ロスが勝つのは間違いないが、時間は多少かかるはずだ』

「…分かりました。くだらないことを聞いて申し訳ありませんでした」

 

それをいうと通信機を切る。

フラテッドは画面を見る。

画面には右端の方に休んでいるであろうオスがいる。

モニターからは確認できないが先ほど1つのモニターからヘリの音を確認した。

近くにいるのは間違いない。

 

「…さっさと消えてくれよ、ロストチルドレン」

 




え~っと…、実は今日から2週間ぐらい、私事ではありますが予定ができまして…。

しばらくは更新するスピードが遅くなると思います。
2週間経てばおそらく戻ると思いますのでしばらくはすみません。

これからもよろしくです!
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