戦う守られるべき存在達   作:tubukko

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あ~…、ダルイ。
まだ6月だというのにこの暑さはなんなんですか?

部屋の中で軽く熱中症気味です。
…クーラーガンガン使えたらなぁ。


雑魚か強敵か

「正影、悠斗に向かうオスの反応有り!」

「残り30秒で接触します!」

 

指令室があわただしく、状況を報告している。

青羽が情報の整理に動いている。

指令室が慌てている理由はイレギュラーな敵の出現によるものではない。

敵が一直線に正影たちのもとに向かっているからだ。

 

理由は自分の子供を殺された親が逆上したからなのだがそんなことを考えるはずもない。

 

「型、大きさともに判明しました!蜂型、20m級!」

「正影たちのもとに向かう理由は?」

「不明です!推測としてはアクリス菌が何か作用しているのではないかと」

「推測はいらないわ。確固たる答えを頂戴」

「はい!」

 

今までオゥステムがたった1人の相手に向かって戦いに行ったことはない。

視界に入ればなぶり殺しにはするが、今のオスは1km以上離れたところから場所がわかっているかのように向かってきている。

原因はロストチルドレンにあると考えるのが当然だろう。

 

「他にオスは向かってないのね?」

「はい、依然向かってきているオスは一体のみです」

「…なぜ、1体?」

 

青羽は考えるが答えが出るはずはなかった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「なんだって?」

『そちらに新たなオスの反応が有ります。数は1。残り50秒で接触します!』

「型と大きさは?」

『ともに調査中です』

 

正影はため息をついた。

ようやく帰れると思ったのにこれだ。

決してあり得ない話じゃない。

以前にも乱入してきたオスはよくいた。

 

「悠斗さん、先に帰ってていいぞ?」

「正影、俺の身を案じているなら心配はいらないぞ。さっきの武器がなくとも戦えるからさ」

「そうか…」

『敵情報、届きました!型は蜂、20m級です』

 

それを聞いて正影が今度は安堵からのため息をつく。

これならおそらく10秒とかからず自分だけで殺せる。

30m級以上が来ると本気を出さなければかなり時間がかかってしまうが20m級なんて敵ではない。

 

『正影さん、悠斗さん、用心してください』

「ああ、わかってるよ」

『正影さん、貴方は分かってないです。今、もう一つ情報が入りました』

「それは?」

『対象のオスは正影さんたちに向かって一直線で近づいているそうです』

「…なに?」

 

疑問を投げかけながら悠斗を見る。

今まで正影は驚かされてきた。

敵を選ぶオス、恐怖を感じるオス、安全圏から攻撃しようとするオス。

どれも本能的に行動しているのではなく、考えているのだ。

そんなオスは正影の時代には存在していなかった。

 

しかし、悠斗は首を横に振る。

どうやらこんな事例は初めてのようだ。

 

『敵が何を目当てに向かっているのかは不明ですがおそらく…』

「俺か」

『はい…』

 

正影はこの世界では、オスが恐怖を覚えたこの世界では軽く化け物扱いだ。

化け物であるオスのほうが怖がるのだから当たり前だろう。

だが、それでも向かってるオス。

単に馬鹿なのかあるいは…

 

「悠斗さん、もしかするとこいつはやばいかもしれない。貴方は逃げたほうが…」

「だが…」

「気持ちはわかる。だが俺を狙うとなれば最悪、化け物以上が来るということになる。そんな戦いをして貴方が死んだら俺は貴方の娘に報告しなければならない」

「…」

「自分の戦闘で自分のせいで死んだなんて俺は言いたくない」

「…分かった、と言いたいところだが少し遅かったな」

 

すでに羽音が近い。

おそらく今から逃げても間に合わない。

 

「…クソ!」

「安心しろ。相手が宙を舞うとなると俺は手が出しずらいからな。逃げる気はないが避けるに徹するとしよう」

「…頼む」

「お前に重荷は負おわせないさ」

「そのセリフはやめてくれ。なんだかフラグが立ちそうな気がする」

「安心しろ。ラッキーなのが俺の取り柄だからさ」

 

それを聞くと正影はこれから来る敵に構える。

音がどんどん大きくなっていく。

ヘリの轟音には慣れたつもりだったが、これはそれ以上だ。

もう鼓膜が破れるんじゃないかと思う。

こんなのは長く聞くのは体に悪い。

 

『そ…えば正…さん』

「なんだ?周りがうるさくて聞こえないぞ」

『そち…に、…を…し…たので』

「なんだ?頼むからもっと大きな声で―――」

 

リムの言葉を理解しようしたその時、真上に大きな何かが出現する。

上を向けばいるのは例の蜂型のオス。

これが飛んでいるというのだからいつ見ても驚きだ。

 

「先手必勝!」

 

正影はすぐに相手に飛びつく。

とりあえず真っ二つに出来ればバランスを崩して落ちてくるはずだ。

そう思い、一撃腹に加える。

地面に真っ二つになった2つの胴体が落ちてくる。

 

「グギュギュギュギュギュゥゥゥゥゥゥゥ!」

 

悲痛なのか、快感なのか、困惑なのかわからない叫び声をあげる。

建物にぶつかり、崩れてくる。

 

「正影ぇぇぇぇ!少しは考えろぉぉ!」

 

真下にいた悠斗が全速力で逃げだす。

まぁ、あんなデカ物が落ちてきたらそりゃ逃げる。

っていうか逃げないと死ぬ。

 

正影はそれに構わず追撃を加える。

さらに縦に一太刀。

それによって体が4等分になる。

斬られてすぐ、地面にオスの体が落ちる。

地響きを上げコンクリートが割れ、白い粘液が飛び散る。

カビが胞子を出し、あたりが視界不良になる。

 

正影がその状況を建物の屋上から確認する。

 

「…ただの馬鹿だったか」

 

デカ物が動く気配はない。

靄のようなものが晴れ初め、状況がよくわかるようになる。

地面に降りて相手の状態を確認する。

 

「うわ…最悪」

 

地面に降りたとき地面に血の水たまりができていた。

このオスは血を持っていたようだ。

靴に血が付き、悪臭がする。

つくづく、血がなくても生きられるならなぜ血を作るのかと思う。

 

「正影、どうだ?」

 

悠斗が話しかける。

 

「最悪だ。靴が血まみれ」

「それは良かった」

 

正影が刀をしまい通信をつなぐ。

 

「リム、聞こえるか?」

『はい。もしかして終わりました?』

「ああ、ただの雑魚だった。迎えのヘリを頼む」

『分かりました。あと3分ほどでそちらに着きます』

「早いな?」

『ちょうどぞ―――』

 

突如、正影に衝撃が走る。

背中から何かでぶつけられた状態だ。

吹っ飛ばされ、地面に転がる。

 

「…何が!?」

 

受け身をとり態勢を立て直す。

そして相手を見る。

 

「…!」

「なんだこいつ?」

 

そこにいたのは何かの幼虫…らしきオス。

いや、オスが蝶のように幼虫、サナギ、成虫という過程を踏むことはない。

もし新種と言われたらそれでおしまいだが少なくとも聞いたことはない。

だから目の前にいるのは真っ白なイモムシというべきだ。

決して幼虫ではない。

 

「どこから湧いてきた?」

「ごめん。ちゃんと俺が見てれば…」

「いえ、大丈夫です。俺は無傷。それより今は前の障害を排除する」

「ああ」

 

目の前のオスは真っ白。

ついているのは牙が見える丸い口。

大きさはせいぜい5,6mといったところ。

 

「…」

 

すぐに正影が動く。

外見通りならただの雑魚…のはずだった。

ここで正影の嫌な思い出が掘り起こされる。

 

オスがなんと地面に潜ったのだ。

あの大きさで3秒とかからず地面に入り込んだ。

しかもここはコンクリートが張っていたはず。

それをいともたやすく。

 

「…こいつ!」

 

これでは正影は攻撃できない。

この世界に来てからこの類の奴をよく見かけるような気がする。

俺は呪われてんのか?と疑問をよく持つ。

 

「悠斗さん!」

「分かってる、今は自分の心配をしろ!」

 

この類の敵の対処法はない。

強いて言うなら地面から出てきたところを狙え、ということだろうか。

出来たら苦労しない、と思う。

 

「クソ、どうする…!?」

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「はぁぁ…、あれはすごいな」

 

和人が離れたところから感嘆の声を漏らす。

 

「寄生型って本当に寄生するだけでただの雑魚じゃなかったのか?」

『あいつは別格だ。今までのオスの寄生型とは根本が違う』

「どういう風に?」

『今までのは一度寄生すればそこでそいつは一生を過ごしていた。だが、今回のは違う。寄生して生まれたらそいつを内側から食い尽くす』

「おお、怖っ」

 

内側から食べられる感覚なんて味わいたくもない。

和人は真面目に身震いした。

 

『だが、今戦っているのは寄生もしてないただのオスだ』

「他のに寄生する前に親が死んだもんな。そういう時は普通子も死ぬと思うけど」

『そこまでは知らん。あいつについては全然研究が進んでいなかったからな』

「そんな貴重な材料を…いいのか?」

『また作り出せばいいだけの話だ』

「…大した奴だよ、お前は」

 

和人が準備を始める。

あれなら正影を生け捕り、或いは殺して連れて帰れると踏んだのだ。

カバンからスナイパーを取り出す。

 

「なぁ、最悪殺してもいいんだよな?」

『構わん。リレグ様がそうおっしゃっていた。だが…』

「分かってる。生け捕りに出来るよう、善処してやる」

 

弾を込め構える。

隣に予備弾が並んでいる。

スコープの調子を確かめる。

 

「…よし、後は時が来るのを待つだけだな。なぁ、本当にいるのは2人なのか?」

『そうだ。間違いないはずだがなぜだ?』

「釈然としねぇんだよ。仮にも貴重なロスだぜ?もしものことがあったらどうする?警備が甘すぎやしないか?」

『…』

 

フラテッドも思っていたのか黙り込む。

確かに、正影はロス。

最強なのだから死ぬことはないと思うがもしものことを普通なら考えるべきだ。

最大戦力を失うのは誰もが嫌なはず。

絶対に死なないという保証はない。

最低でも4人はつけるべきではないだろうか?

 

「これが罠とかいう可能性は?」

『…可能性はなくもない。だが、それを考えていると何もできん』

「それは分かってるけどよぉ…、まぁいいか。罠ならそれはそれで面白いしな」

『…大した奴だ、お前は』

 

呆れた、という感情を込めながらフラテッドは言った。




さて…、この物語では初めての予約投稿かな?

しばらく書けないからとこの措置をとらせて頂きました。
ですがこれの後はしばらく書けません。
予約投稿もこれだけしか書けませんでした。
一週間とちょっと、更新はないと思います。
読んでくれている方々には大変申し訳ないのですがご理解のほどよろしくです。
こんな作者ですがこれからもよろしくです…。
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