今回ちょっと長いです。
~ジークside~
…………えーっと、
「なぜゼファードルが意識を失っている」
なんか眷属に介抱されている
「黙らせただけだ」
さいですか。
結果的に静かになったから良いけどさ。
するとサイラオーグは介抱をしている悪魔のうち1人に話しかけた。
「まだ時間はある。頭を冷やしてこい。邪悪なものを纏ったままでは行事もままならんからな」
「———っ。え、ええ。分かっています」
どうもサイラオーグに気圧されて多少は頭が冷えたらしい。
ゼファードル一行は踵を返して奥に消えて行った。
〜イッセーside〜
「私はシーグヴァイラ・アガレス。大公、アガレス家の次期当主です」
色々あったけどこの人たち全部忘れて平然と自己紹介してやがる。
てかこの人スタイル良いな〜。
「っ痛い!痛いから抓らないで小猫ちゃん!」
「……変態」
まあスタイル良いって言ってもこの人とは合わなさそうだな。
なんて言うかキツめの委員長タイプって印象。
「ごきげんよう、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主です」
「私はソーナ・シトリー。シトリー家の次期当主です」
部長と会長が続いて挨拶をしている。
うわ、めっちゃ綺麗なお辞儀!
「俺はサイラオーグ・バアル。大王、バアル家の次期当主だ」
やっぱこの人の圧すごいな、この人の周りだけ空気が変わる。
「僕はディオドラ・アスタロト。アスタロト家の次期当主です。みなさんよろしく」
この人に言いたいことは一つだけだ。イケメン死ねっ!!
「おい、兵藤一誠」
うおう!ビックリした!
「えーっと確か、紅修さん?」
「シュウでいい。それよりも兵藤一誠、お前たちのとこのアーシア・アルジェントだが、悪魔を治療して追放された。合ってるか?」
「え?はいそうっすけど、それが何か?」
「ディオドラ・アスタロトに気を付けろ。あいつは欲しいものは必ず手にれる。それに加えて趣味も悪い。それだけだ」
じゃあな、と言って紅修、シュウさんは離れて行った。
んー、どういう意味だ?
「俺が最後だな?リアス嬢一行にはもう自己紹介したが、俺はジークハルト・ハルファス。ハルファス家の次期当主だ。よろしく」
この人さっきはすごい殺気を出してたのに今もう鳴りを潜めてるな。サイラオーグさんみたいな圧を全く感じない。
って誰かがずっと俺の服に引っ付いてるんだけど。
いや誰かは分かるけどさ。
「何やってんだよ、ギャスパー」
「うう〜」
なーにを唸ってんだか、こいつは。
「なあ、ギャスパー。さっきお前が言ってた『鬼』ってなんのことだ?」
「……さっきジークハルトさんに殺気を当てられた時にあの人の姿が一瞬、ほんとに一瞬だけ日本妖怪の鬼みたいに見えたんです。角は片方しかなかったですけど……」
鬼、ねぇ。
「人間と大して変わんなくないか?」
「で、でも確かに僕はあの時!」
「あー、落ち着け落ち着け。別に信じてないわけじゃないから」
でもどういうことだ?
さっき部長たちにもそれとなく聞いてみたけどなんのことか分かってなかったし。
「グラシャラボラス家については先日、何やら御家騒動があったらしくてな。次期当主だったやつが不慮の事故死をとげたばかりだ。先ほどのゼファードルは新たな次期当主候補ということになる」
ジークハルトさんの説明にへー、と思った。
候補ってことは他にも兄弟とかがいるのか?
ていうか御家騒動って一体何があったんだよ。
作為的なものを感じるんだけど。
これが上流社会の闇ってやつか?
悪魔の貴族怖えよ!
「おい、兵藤。間抜けな顔を見せるなよ」
匙が嘆息しながら俺に話しかけてきた。
「だってよ、上級悪魔の会合だぜ? 木場にも言われたけどやっぱ緊張するじゃないかよ。みんな強そうだ」
「何言ってんだ。お前は赤龍帝だぞ? もう少し堂々としてればいいじゃねえか」
「そんなこと言ってもよ……。って、なんで匙がキレてんだよ?」
「眷属悪魔はこの場で堂々と振舞わないといけないんだ。相手の悪魔たちは主を見て、下僕も見るんだからな。だから、おまえがそんなんじゃ、先輩にも失礼だ。ちったぁ自覚しろ。おまえはグレモリー眷属で、赤龍帝なんだぞ。ほら、見てみろよ。あのジークハルト・ハルファスって人の眷属であろう顔文字の大男」
「鈩さんのことか?」
「なんで名前知ってんだよ……」
いやだってさっき自己紹介してもらったし。
正確には自己紹介って言うより紹介されたってのが正しいんだろうけども。
「まあ、とにかくあの人を見ろ。こんな状況でアホ程パンの耳食ってやがる」
まだ食ってたのかよあの人!
ていうか今気付いたけどなんか大量にパンの耳が入ったビニール袋持ってる!?
そんな風に匙と話していると扉が開いて使用人が入ってきた。
「皆様、大変長らくお待ちいただきました。皆様がお待ちでございます」
———ついに始まるのか……!
〜ジークside〜
おーおー、案内されたと思ったら、あーんな高い位置から老害含むお偉いさん方が見下ろしてらぁ。
全く、そんなに同じ高さが嫌かね、アホらしい。
あ、断っておくけど俺は別に四大魔王の方々は貶してないからな?
まあ、ともかく。
そんなことを考えていると俺含む若手7人は前に出るように促された。
「よく集まってくれた。これから次世代を担う貴殿らの顔を、改めて確認するために集まってもらった。これは一定周期ごとに行う、若き悪魔を見定める会合である」
初老の男性悪魔が手を組み、威厳のある声で言う。
「早速やってくれたようだが……」
いやそうは言われてもね。
諸悪の根源であるゼファードルかシーグヴァイラに言ってくれ。もしくは物理で説得したサイラオーグに。
「キミ逹六名は家柄、実力共に申し分のない次世代の悪魔だ。だからこそ、デビュー前にお互い競い合い、力を高めてもらおうと思う」
一番上にいるサーゼクス様が言った。
すると今度はサイラオーグが、
「我々もいずれ『
んー、どうだろ。
「それはないと思うぞ?」
「む、なぜだジークハルト。若いとはいえ、我らとて悪魔の一端を担うものだ。この歳になるまで先人の方々からのご厚意を受け、なお何もできないとなれば———」
「いや、サイラオーグ、彼の言う通りだ。君のその勇気は認めよう。しかし無謀だ。何よりも成長途中のキミたちを戦場に送るのはなるべく避けたい。それに、次世代の悪魔を失うのはあまりにも大きいのだ。理解してほしい。キミたちはキミたちが思う以上に宝なのだよ。だからこそ、大事にキチンと段階を踏んで成長してほしいと思っている」
サーゼクス様がそう言うと、サイラオーグは一応の納得はしたのか、「分かりました」と返事をした。
そのあとは延々とお偉いさん方のありがた〜いお話が続いた。
正直聞く気も起きねぇ。
「さて、長い話に付き合わせてしまって申し訳なかった。なに、私たちは若いキミたちに夢や希望を見ているのだよ。それだけは理解して欲しい。キミたちは冥界の宝なのだ」
宝、ね。
あんたら四大魔王はそう思ってるみたいだけど、元老の老害どもはそうでもないみたいだぞ?
新たな思想と力を併せ持った悪魔が登場したらとんでもないことになるからな。
今まで吸っていた甘い蜜が吸えなくなるもんな。
「最後に、それぞれの今後の目標を聞かせてもらえないだろうか?」
ほー、そう来たか。
最初に答えたのは……やっぱお前だよな、サイラオーグ。
「俺の夢は魔王になることです」
『ほう』
躊躇いなく言ったねぇ。
そら、見ろ。上の老害どもも驚いてるよ。
「大王家から魔王が出るとしたら前代未聞だな」
「俺が魔王になるしかないと冥界の民が感じれば、そうなるでしょう」
ま、頑張ってくれ。
俺はそんな面倒な役職に就くつもりはないから。
「私はグレモリーの次期当主として生き、そしてレーティングゲームの各大会で優勝する事が近い将来の目標ですわ」
ふーん、「近い将来の」ときたか。
お、なんか赤龍帝が覚悟を決めたような顔してる。
主のために頑張りなさいな。
次はっと、
「俺か?俺にはこれといって夢はないんですがね。強いて言えば自分の“大切“を守ることですかね」
俺の行動理念は基本的にこれが根幹にあるからな。
「ふむ、というと?」
そう言われて俺は徐に
「例えば、俺はこれからこの
『!』
そう、俺は新たに眷属を1人迎える。
迎えるやつが少々訳ありでな、こういう場ではっきり宣言しといた方がいい。ところで……
「魔王様方、頼んでいたことは?」
「
「ありがとうございます、サーゼクス様」
俺は字面に魔法陣を描いた。
「少し話をしよう」
描くのは召喚術式。
「あるところに2匹の猫の姉妹が住んでいた。その2匹はたいそう仲が良かったそうな」
一部の悪魔、主にリアス嬢一行が反応する。
「親は死別し、貧しくも懸命に、けれども幸せに生きていた。だがそんな2匹にある日転機が訪れた」
あーあ、この話嫌いなんだよな。
「2匹はある悪魔に拾われました。なんと、姉猫が眷属になれば妹も一緒に住めるようになるというのです」
シルヴィが話を引き継いだ。
「やっとまともな生活を手に入れた二匹は幸せな時を過ごせると信じていました」
ホントならここで良かったねで終わるんだけどな。
「ところが事態は急変してしまいました。姉猫は力を得てから急速なまでに成長を遂げたそうです。隠れていた才能が転生悪魔となった事で一気に溢れ出たらしいのです」
あ、間違えた。いかんいかん、落ち着け、俺。
「その猫は元々妖術の類に秀でた種族で、魔力の才能にも開花し、挙げ句仙人のみが使えると言う『仙術』まで発動していました。短期間で主をも超えてしまった姉猫は力に呑み込まれ、血と戦闘だけを求める邪悪な存在へと変貌していきました。そして、力の増大が止まらない姉猫は遂に主である悪魔を殺害し、『はぐれ悪魔』と成り果てました」
「あの部長、もしかしてこの話知ってます?」
「……小猫のことよ」
「え!?」
シルヴィを手で制す。
ここからは俺が話す。
「ここまでが表向きの話」
『!』
「その実態はその悪魔が強大な力を手に入れた姉猫を見て妹の方もできるのではないか、と思い立ったことによる。なんでも姉猫は当初妹には手を出さないように契約を結んでいたらしくてな、それを破ろうとした主が姉猫に殺されたっていうのがことの真相」
京都のセキュリティレベル高すぎるだろ。
術式教えてもらってなかったら連れて来れなかったぞ?
「妹の方は力を付ける前に始末すべきって話が出てきてな、それで妹は全力で逃げ出した。そしてついに力尽きようという時にある目的のために世界中を旅していた悪魔に保護された。だが旅は中々過酷なものだ。そんな旅に子供を連れて行くわけにもいかない。よって信頼できる
お、繋がった。
「———俺は件の悪魔みたいになるつもりはない。あんなクズに成り下がるつもりはない。それなら死んだ方がいくらかマシってもんだ。俺はハルファスであることに誇りを持っている。あの両親の元に生まれたことを誇りに思っている」
召喚成功っと。
「死なれたら困るにゃ〜。私の行き場が無くなっちゃうから」
「モノの例えだよ」
おーおー皆驚いてるねぇ。
特に小猫、いや白音。
「姉様!?」
「ヤッホー白音、久しぶりね」
「SS級のはぐれ悪魔、黒歌。先日からブラックリストから消えていたから何事かと思えば。ジークハルト、お前一体何をした?」
サイラオーグがそう聞いてきた。
「武器を集めて旅してた時にそこの妹猫を保護してな。話聞いたら胡散臭かったんでちょっと調べて魔王様方に報告。そのあとまた旅先で黒歌に会えたんで、あるところに誠心誠意頼み込んで、ていうか謝って保護してもらった」
「妹の方はそちらに保護するわけにはいかなかったのか?」
うーん、そうしようとも考えたんだけどね?
「数年後に旅から帰ってきたらすでにリアス嬢の眷属だったから」
「なるほどな」
さてと、
「やるぞ、黒k「待てジークハルト・ハルファス殿」なんですか?」
いやまあ言いたいことはなんとなく分かるけどね?
「彼女の駒はどうやって摘出したのだ?」
「ま、ちょっと特別な道具がありましてね、それで強制的に摘出しました」
そう言って俺は
「まあ、気を取り直して。
我が従えるは汝、汝が従うは我。
汝が名を述べよ」
「我が名は塔城 黒歌。
我が従うは汝、ジークハルト・ハルファス」
「ここに契約は成立した。
汝、これより我に仕えよ」
「詠唱が違う?どういうことなの?」
そうリアス嬢が疑問を口にした。
「今のうちにここで宣言しておくぞ。黒歌含める俺の眷属に手出してみろ?その時は俺が相手だ」
そう言って、殺気を放つ。
なんか後ろで黒歌含める女性陣が赤くなってるけど気にしないでおこう。
「いやジーク、別にいらん。自分で対処できる」
『うん』
おいシュウ、テメェ、雰囲気ぶち壊しじゃねぇか。
他の皆も頷いてんじゃねぇよ、せめてシルヴィ、オーフェリア、アリスそして黒歌は頼ってくれません?
気を取り直して、次はソーナ嬢の夢。
ちなみに欲深い悪魔はさっきから全力で俺から目を逸らしています。
「私の夢は冥界にレーティングゲームの学校を建てる事です」
「レーティングゲームを学ぶ所ならば、既にある筈だが?」
いやー、ソーナ嬢が唱えてるのってたぶんそういうのじゃなくて……
「それは上級悪魔と一部の特権階級の悪魔のみしか行く事が許されない学校の事です。私が建てたいのは下級悪魔、転生悪魔も通える分け隔ての無い学舎です」
だろうと思ったよ。盛大に爆弾投下しやがった。
なんかセラフォルー様うんうん頷いてるけどさ。
『ハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!』
だよな、そりゃ笑うよね、アンタらは。
人を見下すの大好きだもんね。
「それは無理だ!」
「これは傑作だ!」
「なるほど!夢見る乙女と言うわけですな!」
「若いと言うのは良い!しかし、シトリー家の次期当主ともあろう者がその様な夢を語るとは。ここがデビュー前の顔合わせの場で良かったと言うものだ」
「……私は本気です」
「ソーナ・シトリー殿。下級悪魔、転生悪魔は上級悪魔たる主に仕え、才能を見出だされるのが常。その様な養成施設を作っては伝統と誇りを重んじる旧家の顔を潰す事となりますぞ?いくら悪魔の世界が変革の時期に入っていると言っても変えて良いものと悪いものがあります。全く関係の無い、たかが下級悪魔に教えるなど……そうですな、他の者にもどう思うか聞いてみましょう。例えばジークハルト・ハルファス殿、あなたはこのことについてどう思う?」
え、俺?
なんかめっちゃ飛び火したんだけど。
さっきのがあったくせによく俺に声掛けられたね。
ソーナ嬢の話聞いて調子が戻ったのか?
えー、それよりもさー。
「その前にあんたら後ろ見た方がいいですよ。セラフォルー様がすごい顔してるんですよ」
『え』
なんていうかあれだ、背後になんか見えるんだけど何あれ。
ス◯ンドですか?
「何なの!?みんなしてうちのソーナちゃんをいじめて!だったら、うちのソーナちゃんがゲームで見事に勝っていけば文句も無いでしょう!?ゲームで好成績を残せば叶えられる物も多いのだから!」
わーお、たぶんこれ巻き込まれるな。
「もう!私だって我慢の限界があるのよ!あんまりいじめると私がおじさま逹をいじめちゃうんだから!」
涙目でそんな物騒なこと言わないでくれませんかねぇ、怖えよ。
いやうちの親父の方が怖かったわ。
静かに怒るんですよ、あの人。
あれめっちゃ怖い。
「ふむ、ではゲームをしよう。若手同士のだ。リアス、ソーナ、戦ってみないか?」
リアス嬢とソーナ嬢が顔を合わせて目をパチクリさせた。
そんな事は気にせずサーゼクスは構わず続けた。
「元々、近日中にリアスのゲームをする予定だった。アザゼルが各勢力のレーティングゲームファンを集めてデビュー前の若手の試合を観戦させる名目もあったものだからね。だからこそ丁度良い。リアスとソーナで1ゲーム執り行ってみようではないか。対戦の日取りは、人間界の時間で8月20日。それまで各自好きに時間を割り振ってくれて構わない。詳細は後日———」
そんな時、後ろで自分の得物である大鎌を浮かせてその上に器用に寝そべっていたダイヤが口を開く。
「だったらさー、バトルロワイヤルにしちゃいましょうよ」
何?
「ふむ、君は確か……」
「ジークの
「ああ、そうだったね。それでダイヤモンド、バトルロワイヤルとは?」
「そのまんまですよ。だって7人もいるんですよ?時間の無駄でしょうに」
まあ、クッソ時間掛かるだろうな。
だからこそのバトルロワイヤルか……いいんじゃない?
だってさ———
猫姉妹はすでに和解してます。
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